コールセンタースタッフの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「コールセンタースタッフ」とは
お問い合わせからクレーム対応まで、お客さまからの電話対応を専門に行う
コールセンタースタッフとは、お客さまからの電話対応を専門に行う部門で働く人たちのことです。
近年は問い合わせ方式の多様化により、電話対応だけでなくメールやチャット、SNSなどによる受け答えにも対応した「コンタクトセンター」と呼ばれることもあります。
コールセンターの業務は大きく分けて、お客さまからの電話に対応する「インバウンド」と、自分からお客さまに電話をかける「アウトバウンド」の2つがあります。
とくにインバウンドに対する需要が安定しており1社あたりの採用数も比較的多いため、コールセンターの求人は年間を通して見つけやすいでしょう。
男女比については全体的に女性のほうが多くなっていますが、近年は男性のコールセンタースタッフも増えてきており、取り扱う内容によっては男性のほうが多い職場もあります。
コールセンターは貴重な「お客さまの意見」が集まる場所でもあり、その意見をもとに商品・サービスの改善につなげられることもあるため、コールセンタースタッフは非常に重要な役割を担っています。
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「コールセンタースタッフ」の仕事紹介
コールセンタースタッフの仕事内容
「インバウンド」と「アウトバウンド」の2つに分かれる
コールセンターの仕事は、お客さまからの電話に対応する「インバウンド」と、自分からお客さまに電話をかける「アウトバウンド」の2つに分かれます。
それぞれの仕事内容について詳しくみていきましょう。
インバウンド
インバウンドはお客さまからかかってくる電話に対応する仕事であり、コールセンターの求人の約8割を占めるとされています。
商品・サービスの注文や各種問い合わせに対応する「テレフォンオペレーター(テレオペ)」や、企業の問い合わせ窓口である「カスタマーサポート」、電子機器の操作方法といった技術的な問い合わせに対応する「テクニカルサポート」などがあります。
実際に対応をするまでどのような内容の問い合わせがくるかはわからないため、商品やサービスに関するしっかりとした知識が必要です。
アウトバウンド
アウトバウンドは自分からお客さまに対して電話をかける仕事です。
商品・サービスを紹介して商談のアポイントメントにつなげる「テレフォンアポインター(テレアポ)」や、商品・サービスの満足度調査や市場調査を行う「テレマーケティング」などがあります。
お客さまからの電話を待つインバウンドに対して、アウトバウンドは商品やサービスを自ら売り込んでいく「攻めの姿勢」が求められます。
コールセンタースタッフになるには
基本的には学歴や資格は不問
コールセンタースタッフになるのに必須の資格や、必ず通わなくてはならない学校・スクールなどはありません。
また多くの企業が「学歴不問」で募集をかけているため、大学に進学していなくても就職に困ることはないでしょう。
ただし、全体として正社員の求人が非常に少ない点には注意が必要です。
コールセンタースタッフは派遣社員や契約社員、パート・アルバイトでの募集が多く、正社員の求人は狭き門となっています。
正社員求人に応募する場合も基本的には学歴や資格は不問とされていますが、「2年以上の社会人経験」「オフィスワークでの入電対応経験」などが応募条件として課されているケースもあります。
外国人からの問い合わせが多い企業では、外国語スキルが求められることもあるでしょう。
そのため最初から正社員での就職が難しい場合には、まずはアルバイトや契約社員として働き、経験を積んだあとで正社員登用を狙うのがおすすめです。
その場合は「正社員登用あり」の求人を探しましょう。
正社員になったあとは、コールセンタースタッフの育成や、コールセンター全体のマネジメントを行う「スーパーバイザー」へのキャリアアップも可能です。
コールセンタースタッフの学校・学費
通わなくてはならない学校はない
コールセンタースタッフになるのに通わなくてはならない学校はありません。
実際にコールセンター求人の多くは「学歴不問」で募集されています。
ほとんどのコールセンターでは入社後に研修が行われるため、電話対応やその会社の商品・サービスに関する知識は研修を通じて学べるでしょう。
採用においては、学歴よりも「接客や販売などのアルバイトでお客さま対応の経験があるか」「コミュニケーション力は高いか」などが重視されています。
コールセンタースタッフの資格・試験の難易度
転職やキャリアアップに生かせる資格も
コールセンタースタッフは特別なスキルや資格がなくても働ける仕事ですが、業務につながる資格を取得しておけば面接時のアピールになるでしょう。
ここではコールセンタースタッフへの転職や、すでにコールセンターで働いている人がキャリアアップを目指す際におすすめの資格を3つ紹介します。
コンタクトセンター検定試験(コン検)
コンタクトセンター検定試験(コン検)は、「日本コンタクトセンター教育検定協会」が認定する資格です。
試験は「エントリー」「オペレーター」「スーパーバイザー」「オペレーションマネジメント」「コンタクトセンターアーキテクチャ」の5つに分かれており、自分のスキルに合わせて、どの試験を受けるか決めることができます。
受験する試験によって内容は変わりますが、コールセンター業務に必要なスキルを網羅的に証明できる試験といえるでしょう。
→参考:一般社団法人日本コンタクトセンター教育検定協会 コン検
CSスペシャリスト検定
CSスペシャリスト検定は「一般社団法人CSスペシャリスト検定協会」が実施しています。
CS(Customer Satisfaction=顧客満足)の理論や実践技術に関する試験で、日々お客さま対応にあたるコールセンタースタッフにも役立つ内容が学べます。
試験は「ベーシックレベル」「プロフェッショナルレベル」「スペシャリストレベル」の3つのレベルに分かれており、まずは「ベーシックレベル」合格を目指すとよいでしょう。
→参考:一般社団法人CSスペシャリスト検定協会 CSスペシャリスト検定
電話応対技能検定(もしもし検定)
電話応対技能検定(もしもし検定)は「公益財団法人日本電信電話ユーザ協会」による、電話応対のエキスパートを認定する資格です。
電話応対におけるビジネスマナーや日本語の基本知識など、コールセンターの業務にすぐに生かせる内容を身につけられます。
試験は4級から1級まであり、必要な知識を修得しながらステップアップが可能です。
コールセンタースタッフの給料・年収
雇用形態によって給料は大きく変わる
正社員
正社員で就職した場合、平均年収は300万円〜400万円程度になると考えられます。
正社員は年に1~2回のボーナスが支給されるケースが多いため、派遣社員やアルバイトに比べると平均年収は高くなります。
また「スーパーバイザー」や「マネージャー」などにキャリアアップすることで、さらに年収アップが期待できるでしょう。
派遣社員
派遣社員の場合は基本的に時給で働くことになり、平均時給は1,300円程度です。
ただし時給は地域によって差があり、都心部では時給2,000円以上で求人が出されていることもあります。
派遣社員は契約期間が決まっているデメリットはあるものの、生活に困らないだけの収入は十分に得られるでしょう。
なお派遣会社によっては時給アップの交渉に応じてもらえるケースもあります。
アルバイト・パート
アルバイトやパートで働く場合は、時給1,100円〜1,300円程度が相場となります。
こちらも地域によって差が大きく、都心部では時給1,500円以上で募集されていることも珍しくありません。
一般的なアルバイトと比べて高い収入が望めるため、主婦や学生にも人気の働き方です。
コールセンタースタッフの平均年収・月収・ボーナス
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、コールセンタースタッフの平均年収は、42.8歳で367万円ほどとなっています。
・平均年齢:42.8歳
・勤続年数:9.3年
・労働時間/月:161時間/月
・超過労働:9時間/月
・月額給与:273,800円
・年間賞与:384,300円
・平均年収:3,669,900円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
コールセンタースタッフの勤務先の規模別の年収(令和5年度)
コールセンタースタッフの年収は、勤務先の規模によってあまり変化がありません。
10〜99人規模の事業所に勤めるコールセンタースタッフの平均年収は365万円、100〜999人規模は372万円、1000人以上規模365万円、10人以上規模平均は367万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「電話応接事務員」でカスタマーサポートを含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
コールセンタースタッフの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
コールセンタースタッフの年収は、年齢が上がってもあまり変わらない傾向にあります。最も年収が高い世代は、50~54歳の422万円です。
全年代の平均年収は367万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「電話応接事務員」でカスタマーサポートを含むデータです。
コールセンタースタッフの現状と将来性・今後の見通し
さまざまな企業がオンライン展開を進めるなかで安定した需要がある
インターネットやスマートフォンの普及により、商品やサービスの販売をオンラインに拡大している企業が増えてきています。
それにともないお客さまからの問い合わせも増加し、電話対応に追われてしまうケースも少なくありません。
そのため自社にコールセンター部門を設けたり、外部のコールセンター専門企業に外注したりすることで、スムーズな顧客対応を実現させようとする流れがみられます。
コールセンタースタッフは今後も安定した需要があるといえるでしょう。
なかには「外国語対応」「24時間365日対応」といったコールセンターもあり、顧客ニーズの広がりとともにコールセンタースタッフに求められる能力も多様化しています。
コールセンタースタッフの就職先・活躍の場
企業のコールセンター部門や派遣会社
現在は多くの会社がコールセンター部門を設けており、コールセンタースタッフの就職先も多岐にわたります。
たとえば携帯会社、ネットショップ運営会社、食品メーカーなどはお客さまからの問い合わせも多いため、こうした企業におけるコールセンターの求人は見つけやすいでしょう。
また一つの会社に属するのではなく、派遣会社に登録してさまざまな会社に派遣スタッフとして配属される働き方もあります。
全体としては、正社員よりも派遣スタッフやアルバイト求人のほうが多い状況です。
コールセンタースタッフの1日
こまめに休憩を挟みながら電話対応にあたる
コールセンタースタッフの1日は、勤務先や担当業務の種類によってだいぶ変わってきます。
ここでは、ネットショップで「テレフォンオペレーター」を担当するコールセンタースタッフの1日を紹介します。
コールセンタースタッフのやりがい、楽しさ
感謝の言葉をかけられること
お客さまとの電話で感謝の言葉をかけられたときにやりがいを感じる人は多いでしょう。
ていねいな電話対応を続けることで、お客さまから「わかりやすく説明してくれてありがとう」「電話してよかった」などの感謝の言葉をかけられることがあります。
このように、お客さまに満足してもらえたことがわかった瞬間は大きな喜びとなるでしょう。
ときには理不尽なクレームの電話を受けるときもありますが、その場合にも冷静に対応し、相手に納得してもらえたときは達成感を得られます。
コールセンタースタッフのつらいこと、大変なこと
クレーム対応があること
コールセンターで働くうえでクレーム対応は避けられません。
イライラした気持ちで電話をかけるお客さまも多く、真摯に対応しても強い口調で責められたり、暴言を吐かれたりすることも珍しくありません。
こういったクレーム対応が続くなかで落ち込んでしまう人も多いでしょう。
また覚えるべきマニュアルが多いのもコールセンタースタッフの大変な部分です。
想定問答集や商品・サービスに関わる知識などをすべて覚える必要があり、覚えることが苦手な人にはつらい仕事といえるでしょう。
コールセンタースタッフに向いている人・適性
人との会話が好きな人
人との会話が好きな人はコールセンタースタッフに向いています。
コールセンタースタッフのメインの仕事はお客さまとの会話です。
「人と話すのが好き」「なにかを説明するのが楽しい」といった人は仕事の適性があるでしょう。
また適度に受け流せる人もコールセンタースタッフとして長く働き続けられます。
コールセンターにはクレームの電話も毎日のようにかかってきますが、理不尽な内容で電話をかけてくる悪質なクレーマーも少なくありません。
そういった人に対応するとき、聞くべき部分と受け流していい部分が判断できなければ、精神的につらいと感じてしまうでしょう。
コールセンタースタッフ志望動機・目指すきっかけ
営業や販売などの経験を生かしたい
コールセンタースタッフは正社員よりも派遣社員やアルバイトなどの雇用形態が多くなっていますが、ほかの業種と比べて時給は高めです。
その点に魅力を感じる人は多く、主婦やフリーター、学生から人気の仕事です。
また自分からお客さまに対して電話をかける「アウトバウンド」では、紹介した商品やサービスが売れたときはインセンティブ報酬をもらえる場合もあります。
アウトバウンドは営業や販売などで商品を売ってきた経験が生かせるため、そうした前職のスキルを生かしたいと考えコールセンターへの転職を目指すケースもあります。
コールセンタースタッフの雇用形態・働き方
非正規社員の求人が多い
コールセンタースタッフは契約社員やアルバイトなどの非正規社員の求人が多い状況です。
正社員の求人も見つけられますが、その場合は「カスタマーセンターでの業務経験があること」「オフィスワークでの入電対応経験があること」といった条件が課されていることがほとんどです。
そのためコールセンター業務につながるような経験をもっていない場合は、最初から正社員就職を目指すのは簡単ではないでしょう。
一方で非正規社員の「正社員登用」を行っている企業は少なくないため、まずは契約社員やアルバイトからスタートして、数年後に社員登用を狙うのも一つの方法です。
コールセンタースタッフの勤務時間・休日・生活
勤務時間はシフト制で休日は固定されない場合が多い
コールセンタースタッフの勤務時間や休日は、所属先の企業や業務内容などによって大きく異なります。
たとえば個人のお客さまを対象にしている企業では土日も問い合わせを受け付けていることが多いため、それにあわせてコールセンタースタッフも出勤しなければなりません。
また自動車保険のコールセンターなどは夜間に緊急の電話がかかってくるケースもあり、そうした企業では夜勤対応も求められます。
一部例外はありますが、コールセンターは業務の性質上、勤務時間はシフト制で休日は固定されない場合が多いと考えておきましょう。
コールセンタースタッフの求人・就職状況・需要
全国各地でたくさんの求人を見つけられる
大手求人サイトなどを使えば、全国各地でたくさんのコールセンタースタッフの求人を見つけられます。
とくに大手企業がコールセンターを新しく開設する場合は、数百人規模でコールセンタースタッフを募集する場合もあり、そうしたタイミングは大きなチャンスでしょう。
また英語や中国語などの外国語スキルをもったコールセンタースタッフの需要も高まってきています。
そうした専門スキルをもつ人には、通常よりも高い報酬が支払われるケースが多くみられます。
コールセンタースタッフの転職状況・未経験採用
正社員として転職する場合は即戦力が求められる
コールセンターに派遣社員やアルバイトなどの形で入社する場合は、未経験でもとくに問題ありません。
まずは研修で必要な知識・スキルを教育する企業が多いため、コールセンター業務がまったくの未経験だとしても働けるチャンスは大きいでしょう。
ただし正社員として転職する場合は「即戦力」が求められるケースが多くなります。
コールセンター関連の業務経験があればベストですが、それ以外にもたとえば営業や接客・販売などの経験があれば、実務でつちかったトーク力を評価されて採用に至る場合もあります。