【2021年版】彫金師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「彫金師」とは

金属を彫り、ジュエリーやアクセサリー、仏具や家具、建築物などの飾り金具を製作する。

彫金師とは、鏨(たがね)という工具を使って金属を彫る「彫金(ちょうきん)」の技術を駆使し、ジュエリーやアクセサリーなどの装飾品、仏具や家具、建築物などの飾り金具を製作する職人のことです。

シルバーアクセサリーのアーティストや、ジュエリーデザイナーとして活躍する人も、彫金師に含まれます。

資格は必要ありませんが、専門技術を要する仕事であることから、大学や専門学校などで工芸(とくに彫金)の技術を身につけるとよいでしょう。

就職先の選択肢は決して多くなく、彫金師のもとへ弟子入りしたり、宝石メーカーでジュエリー製作に携わったりする人が多くなっています。

下積みが必要な職業で、見習い中は月収10万円ほどからスタートすることもめずらしくありません。

一人前になるまでは長い時間がかかるため、十分な覚悟をもっておく必要があるといえます。

「彫金師」の仕事紹介

彫金師の仕事内容

彫金の技術を駆使して装飾品などを製作する職人

彫金師とは、鏨(たがね)という工具を使って金属を彫る「彫金(ちょうきん)」の技術によって、ジュエリーやアクセサリーなどの装飾品、仏具や家具、建築物などの飾り金具を製作する職人です。

伝統工芸の職人、またはシルバーアクセサリーのアーティスト、ジュエリーデザイナーなどとして活躍する人もいます。

製作するものによって、彫金師の作業工程は少し異なります。

ジュエリーであれば、まずは糸鋸(いとのこ)や木槌(きづち)、金槌、プライヤーなどを用いて、地金を切ったり叩いたり曲げたりする金属加工を行います。

バーナーの火で溶かして接着する「ロウ付け」や「ヤスリがけ」という研磨、タガネによる「透かし」「彫り」「打ち出し」「象眼」などの彫金技術を施し、宝石の「石留め」を行います。

デザインや販売、指導などの仕事にあたる人も

彫金師は、自ら製作に携わることはもちろんですが、なかにはデザインや販売まで手掛ける人がいます。

また、彫金教室の指導者となって、後進の指導に力を入れるケースもあります。

彫金師になるには

彫金の技術を専門学校などで身につけることが可能

彫金師になるために必須の資格や学歴はありません。

ただし、彫金の技術を身につけるためには日々の努力と長年の経験が欠かせず、できれば事前に大学や専門学校、彫金教室などのスクールで学んだほうがよいでしょう。

大学の場合は芸術・美術系のなかでも工芸関連の学科に進み、さらに彫金を専攻することになります。

芸大・美大系の入学試験は学科試験のほか、デッサンなどの実技試験が行われることもあるため、高校生のうちから美術予備校に通うなどの入試対策が必要です。

幅広くアクセサリー製作を学ぶと活躍の場が広がる

また、彫金師は彫金教室の指導者を兼任することも多いため、ロストワックス技法やシルバークレイ(銀粘土)など、彫金以外のアクセサリー製作も学んでおくとよいでしょう。

ある程度の技術が身についたら彫金工房や宝石メーカーに就職するか、彫金師に弟子入りするのが一般的です。

基本亭には現場に入ると見習い期間からスタートし、先輩や師匠の下で仕事を覚えながら、少しずつ難しい業務を任されるようになります。

彫金師の学校・学費

彫金師を目指す人むけの学校として、一般的なものが専門学校です。

デザイン系、工芸系、ジュエリー系の専門学校などでは、彫金技術を基礎から学べる学科・コースが用意されているところがあります。

専門学校は高校を卒業したばかりの若い人が通うことが多く、実践的な勉強を行い、卒業後は彫金師として彫金関連の工房や企業などへの就職を目指します。

このほか、芸術系の大学でも彫金を専攻できる場合があり、よりアカデミックに彫金を含めた工芸全般について学べます。

また、民間のスクールで手軽に彫金を学べるところがありますが、こうしたスクールは趣味目的で通う人も多いため、カリキュラムや卒業後の進路をよく確認しておいたほうがよいでしょう。

彫金師の給料・年収

伝統工芸の世界で弟子入りする場合は見習いからスタート

伝統工芸の彫金師は、見習いとして弟子入りするのが従来のあり方で、師匠のそばで技術を少しずつ習得していきます。

スタート時点ではアルバイトとして時給1,000~1,500円程度、月収10万円程度から始まることが多いでしょう。

正社員で雇用される場合は、月収20~50万円程度と腕前により幅がありますが、職人にボーナスは通常ありません。

宝石メーカーで社員として働く場合

宝石メーカーの製作部門に正社員として就職する場合は、最初から比較的安定した収入が見込めます。

ボーナスも支給されることが多いですが、初任給は15万円程度で、決して高い金額ではありません。

彫金師の世界では、一般的に勤続年数が10年を超えると一人前とみなされますが、そこまでは給料が低めであり、この仕事で生計を立てるのは大変です。

ジュエリー製作のみで10年続く人は2割程度しかいないといわれることがあります。

彫金師の現状と将来性・今後の見通し

一人前になるまでは地道な修業が必要な職人の世界

彫金の技術を用いて彫金師が製作するものは、ジュエリーやアクセサリーばかりではなく、燭台や食器、仏具や家具、建築物などの飾り金具など多岐にわたります。

ただし伝統工芸の場合は、依頼を請け負う工房や彫金師がほとんど定まっています。

そのため、すでに活躍している彫金師に弟子入りして技術を学ぶことになりますが、一人前になるまで10年ほどかかるうえに、安い給料でほとんど休みがないなど、よっぽどの覚悟がないと続かない職業です。

宝石メーカーに就職した場合でも、製作ひと筋であれば状況はあまり変わりません。

しかも宝石や貴金属業界が不況のため、求人そのものが非常に少なくなっています。

彫金師を取り巻く状況は、やや厳しいといえます。

ただし、趣味としてのシルバーアクセサリー作りは人気が高まっているため、彫金教室の講師やインターネット販売に携わる彫金師のニーズは以前よりも増しています。

彫金師の就職先・活躍の場

彫金師のおもな勤務先は、彫金関連の企業や工房です。

東京都の御徒町や山梨県の甲府市にはジュエリー産業が栄えてきた歴史があり、彫金関係の企業や工房が多数存在します。

また、伝統工芸の職人として、全国各地で彫金技術を駆使して製作をしている人がいます。

さらにシルバーアクセサリーを製造する企業などでも、彫金師が活躍していることがあります。

このほか、彫金技術を指導する彫金教室やスクールで、講師として働く人もいます。

彫金師の1日

勤務先によって仕事の流れは異なる

彫金師の1日のスケジュールは、勤務先によって異なってきます。

基本的には製作が業務の中心となりますが、職場の体制によっては顧客との打ち合わせや商談なども行う場合があります。

また、個人で働く彫金師と、企業や工房などに就職して働く場合でも動き方は変わってきます。

ここでは、メーカーに勤務する彫金師のある1日の流れを紹介します。

8:30 出社
8:50 朝礼
9:00 新規アイテムの製作開始
11:00 デザイナーと打ち合わせ
12:00 休憩
13:00 午前中の作業の続き
15:00 後輩への指導
17:30 業務終了

彫金師のやりがい、楽しさ

職人として技術を磨き続けること

彫金師は、習得した専門的な知識や技術をフルに操って、自分の手で作品を生み出していく職人です。

イチからものづくりを手掛けていくおもしろさがありますし、理想通りの作品が完成したときには、毎回達成感が味わえます。

人によって働き方はさまざまですが、技術力が高まれば、お客さまからの難しい注文にも対応できるようになり、まさに「自分にしかできない」仕事を受けられるようになります。

また、技術を究めることには終わりがないため、情熱が続く限り、彫金師として成長していくことにやりがいを感じている人が多いです。

自分のがんばり次第では「手に職をつけて、腕一本で活躍したい」という夢を叶えることも可能です。

彫金師のつらいこと、大変なこと

見習い時代にどれだけ強い意志をもち続けられるか

彫金師のような職人の世界では、新人は「見習い」からスタートするのが通例です。

最初から重要な作業を任せてもらえることはほとんどなく、先輩の補佐や雑用ばかりで、あまり代わり映えのしない日々を送ることになる可能性があります。

それでいて、見習い期間中は勤務時間が長かったり、給料が非常に低かったりと、決して恵まれた労働環境とはいえません。

すぐに仕事が嫌になって辞めてしまう人もいますが、見習いは「修業」と思って乗り越えない限り、一人前になれる日はやってきません。

責任ある仕事を任されるためには、とにかく我慢強さや忍耐強さが求められますし、地道に自己研鑽を続けていく姿勢が問われます。

彫金師に向いている人・適性

細かな作業を苦にせず、技術向上のために地道な努力ができる人

彫金師は、非常に小さなアクセサリーに細工を施すことがあります。

手先が器用で、繊細な審美眼や豊富な創作意欲、オリジナリティをもてる人は彫金師に向いているでしょう。

個人差はありますが、彫金の技術、とくに地金加工を自分のものにするためには、1日8時間の作業を少なくとも3年から5年は続けなければなりません。

高度な技術者になるためには10年かかるという話もあります。

途中で挫折して彫金を趣味に留める人も多く、プロの後継者が不足している現状もあります。

並外れた忍耐力や強い意志があること、根気強いことも、彫金師の適性のひとつといえるでしょう。

彫金師志望動機・目指すきっかけ

ものづくりやシルバーアクセサリー製作が好き

彫金師を目指す人の志望動機として多いのは「ものづくりが好き」「手に職をつけたい」という内容です。

ファッションとしてのシルバーアクセサリーに魅力を感じ、自分でも作ってみたいという気持ちが原点になっているケースが目立ちます。

もともと趣味でアクセサリー製作を行っていた人が、もっとこの世界で技術を究めていきたいと思うようになり、職業として彫金師を志すこともあります。

このように、目指すきっかけはさまざまですが、一人前になるのは簡単ではなく、職人の世界ならではの厳しさを乗り越える覚悟が求められます。

彫金師の雇用形態・働き方

見習い時代は非正規として働くことも多い

彫金師の働き方は、勤務する職場の種類によっても異なります。

アクセサリーメーカーなどに就職する場合は、正社員として雇用されるほか、アルバイト・パートなどで働く人がいます。

一方、伝統工芸の職人の世界ならではの、師匠に弟子入りする形をとる場合、実質的には非正規で働くことが多いです。

待遇は企業勤めの人のように安定していないことが多く、人によっては「勉強させてもらう」意識で、無給に近い状態で修業を積むこともあります。

一般企業のような福利厚生もほとんどない場合がめずらしくないため、その点は事前に確認しておくほうがよいでしょう。

彫金師の勤務時間・休日・生活

見習い時代から忙しく働く人が多い

宝飾メーカーの製作部門に正社員として就職した場合は、土日祝を休みとする週休1~2日制で、1日8時間労働が基本になります。

夏季や年末年始、有給などの休暇も定められていますが、実際には残業や休日出勤も多いでしょう。

一般的には研磨作業を3年間担当したあと修理部門に配属になるなど、ジュエリー製作がひととおりできるようになるまでには10年かかるといわれます。

それも毎日8時間、製作に従事した場合ですから、現実的には休みなく彫金作業を行うことが多いでしょう。

彫金工房に勤めるか、彫金師に弟子入りした場合も、勤務時間や休日は決まっていても彫金に明け暮れる毎日でしょう。

独立してアーティストとして活躍する人は展覧会などを行うこともあります。

また彫金教室を運営したり、指導者として勤務したりと、活動内容によって勤務時間や生活スタイルは変わってきます。

彫金師の求人・就職状況・需要

求人は少なめで、不安定な働き方になることも

彫金師として活躍するためには長い年月をかけて経験を積む必要があるため、彫金工房や宝石メーカーに就職することで、少しずつ仕事に慣れていけます。

しかしながら、業界全体として求人自体が極めて少ないのが実情です。

個人の彫金師のもとにアシスタントとして弟子入りする人もいますが、よいタイミングで求人が出るとは限りません。

彫金工房や彫金師のもとで見習いをする場合は、おおむねアルバイトから始まり、待遇はあまり恵まれていません。

宝石メーカーの場合は、彫金師の募集は少なく、デザインを含めたジュエリー製作全般の求人が多くなっています。

その場合の雇用形態は正社員、契約社員、アルバイトとさまざまです。

コンテストに入選するなど実績が認められると、フリーランスの作家として独立開業する人もいます。

最近ではシルバーアクセサリーのアーティストとしてインターネットなどを活用して自ら販売することから活動を始める若手の彫金師が増加しています。