【2021年版】石工の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「石工」とは

石材の切り出しや加工を行う仕事

石工は、石を切りだしたり加工したりする仕事です。

安採石場で石を切り出す仕事と、石を削ったり加工したりする仕事の2種類があり、現在では主に後者のことを「石工」と呼びます。

一般的には「せっこう」とよみますが、職人のなかでは「いしく」とも呼ばれています。

石工は石材店や石屋などで働き、墓石の設営や設計、石垣の整備、建築現場で扱う石材の加工など、石に関係したさまざまな仕事をしています。

加工用の岩石のことを「石材」と呼びますが、これを必要なサイズに裁断したり磨いたりします。

さらに工事現場で実際に石を積んだり組んだりするといった仕事を行うこともあります。

かつては職人に弟子入りするというケースが多く見られましたが、大学で建築などを専門に学び就職するパターンが多いです。

近年は石の加工にはコンピューターやプログラミングの知識が求められるなど、機械化が進んでいるものの、細かな細工は職人の手作業で行われるため、現在でも伝統的な加工法は脈々と受け継がれています。

石の据え付けには3年、石の加工技術を身に付けるには10年はかかるといわており、一人前として活躍するには長い時間が必要な仕事です。

「石工」の仕事紹介

石工の仕事内容

採石と石を加工する仕事の2種類

石工の仕事は、主に採石場から石を切り出す仕事と、その石を加工する2つにわかれます。

近年採石の仕事は減少傾向にあり、すでに加工済みの石を組み立てたり据え付けたりする職人を「石工」と呼ぶケースが多いです。

採石場で働く場合は、石の種類に合わせてジェットバーナーやドリル、火薬などを利用して石を切り出していきます。

切り出された石は、たがねやつちといった道具を使い、適切な大きさに割られ、加工されていき、つくられた石材はさまざまな場所で使われます。

石材の加工方法には「1次加工」「2次加工」があり、1次加工は、原石から板材と呼ばれる使いやすい形に整え、表面をきれいに整えることです。

2次加工は、板材を製品ごとの大きさに切断し、細かな作業を行っていきます。

主に墓石や灯籠、石仏、石橋などを作っていきますが、これには数ミリ単位の精度が要求されることも珍しくありません。

サンドブラストなど文字や模様を掘ったりする繊細な作業もあるほか、機械で加工できない部分には手作業での作業も多いです。

このように石を切り出し加工するには専門的な知識と技術が必要です。

石はただ加工してそのまま使われるだけでなく、組み合わせたり積み上げたり、敷き詰めたりすることもあるため、性格さや几帳面さも求められる仕事です。

特に細かい部分の調整を行うには経験が必要で、手先の器用さだけでなく技術向上のため淡々と努力することも大切な仕事です。

石工になるには

大学などで学んだあと石材店などに就職

石工を目指す場合は、まず大学や専門学校等で建築や土木・芸術・彫刻などを学ぶとよいでしょう。

その後、石材店などに就職し、経験を積んで一人前を目指します。

石材店の多くは家族経営など小規模なところも多く、かつては職人に弟子入りして代々技術を受けついでいくのが一般的でした。

しかし近年は後継者不足や人手不足が大きな問題となっており、公共事業が停滞したり、工事が遅延したりするケースも増えています。

そのため、まったく石材加工の経験や知識がなくても受け入れてくれるところもあります。

一般的な企業のように新卒採用を行っているところもありますが、小規模の会社では不定期採用であったり、募集が若干名であることから細々と求人を出していたりするところも多いです。

石材店のホームページを見たり、ハローワークを通して求人情報を集めてみたりするとよいでしょう。

なお、石工には、採石をする仕事と石材加工をする仕事があり、石材加工には建築関係の仕事を中心としているところと、芸術関係の仕事をしているところがあります。

自分はどのような仕事を手掛けたいのかをあらかじめ考えておき、それが実現できる石材店を選ぶとよいでしょう。

なお、近年の石材店は石の加工だけでなく、土木工事や建築工事も行うところが多いため、石材店に就職したとしても、必ずしも石材加工の仕事に携われるとは限りません。

石工を目指すのであれば「石材加工をしたい」という意思をあらかじめ伝えておく必要があるでしょう。

石工の学校・学費

建築・土木関係か芸術系のどちらか

石工を目指す際の進学先としては、建築・土木関係か、美術や彫刻など芸術関係に分かれます。

一方、まったくの未経験から就職し、弟子になることで、石工への道へ進むという人もいます。

かつては中学校や高校卒業後に弟子入りするというケースが多く見られましたが、近年は石材加工が機械化されたことにより、一定のスキルや知識を身に付けてから就職する人が増えてきています。

そのほか、石工を専門的に学べる学校は非常に少ないですが、岡崎技術工学院(愛知県)の石材加工科、北海道石材技術学院などへ進学する道も考えられます。

なお、石工の仕事は建築・土木関係と伝統工芸品をつくる芸術関係がありますので、どういうものを作りたいかを考えた上で進路選択することが必要です。

石工の資格・試験の難易度

「石材施工技能士」がある

石工に関係する資格として、石材施工技能士があります。

石材施工技能士は、石材施工に関わる技能を認定する国家資格です。

参考:厚生労働省

試験は1級・2級とも学科と実技からなっており、石材加工作業、石張り作業、石積み作業という3つに区分されています。

試験は1級が6時間30分、2級が4時間40分と非常に長丁場であるのが特徴です。

それぞれの区分ごとに課題が出され、時間内に石を割ったり削ったりため集中力と体力が必要な試験です。

検定員がその様子をチェックし、作業態度や完成した製品の精度を採点します。

多くの場合、石工として働くために資格は必要ありませんが、資格を取得するために、先輩から指導を受けて仕事終了後などに練習する人も多いです。

石工の給料・年収

かつてほどの高収入は期待できない

石工の年収は400万円前後がボリュームゾーンとされており、実際の手取りとなると320万円、月収は25~26万円ほどです。

ただし、石工の給料は月給でなく、日給制をとっていることも多いです。

これは、石工の仕事が天候に左右される仕事であることから、実働した分だけ給料を支払うという方法をとっていることがあるからです。

日給制の場合、一般的な石工の一日の給料は2万円前後となっており、ベテランの職人となると2万5000円ほどもらえることもあります。

なお、見習いの場合は一日7、8000円~1万円前後であることも多く、毎日働いたとしてもさほどいい給料がもらえるわけではありません。

石工の給料は石材店など勤務先によるところが大きく、公共工事などの大規模な工事を請け負ったり、歴史的建造物を扱ったりしているところは、給料が高くなりやすいです。

また、土地柄として高級料亭や邸宅、寺社仏閣などが多く、仕事量が多いという会社も給料は高くなります。

かつて石材店というと、地域に根差した仕事をしており、その地域の石材はすべて自社で担う、というところも多くありました。

しかし近年は韓国や中国、インドなどから安い石材が輸入され、こうした国で安く加工を行うことも増えてきているため、価格競争によって淘汰されつつあるところが増えてきています。

こうしたことから石材店は苦境に立たされており、かつてのように高収入は期待できないのが現状です。

石工の現状と将来性・今後の見通し

高度な技術を付加価値にする

石材店は、かつては高収入とされているところが大半でした。

これは国産の石を多く扱っていたことや、地域の石材商品や工事を幅広く扱っていたことが理由で、石工職人も多く雇われていました。

しかし近年では、石材も安価な輸入品が使われることが多くなりました。

とくに石材店の主力商品だった墓石はより安価なものが好まれるようになってきていることから、中国製のものも増えてきています。

石工はこうした安価な商品に対抗しなくてはなりません。

近年では、こうした外国製の商品に対抗しようと、石材の販売や加工を中心とするよりも、公共工事や寺社仏閣の修繕など高度な技術が必要とされる事業に変更し、付加価値をつけようという動きも見られます。

石工の就職先・活躍の場

石材を扱う会社

石工の活躍場所は、主に石材店や石材加工会社、建築会社などです。

採石を行う場合は、岩石がとれる山のなかで作業をしなくてはならないため、地方で働く人が多いです。

石材製作の現場も、大きな石を扱ったり加工の際に騒音が出たりすることから街中にあることはまれで、普段の生活ではあまりなじみがないかもしれません。

石材というとお墓をイメージする人も多いですが、なかにはビルや駅の外装や玄関を手掛けるところや、石の橋や灯篭、狛犬などをつくったりするところもあります。

かつては学校卒業後にこうした場所ではたらく職人や親方に弟子入りして腕を磨くという人が多くいましたが、近年は大学などで建築や土木の勉強をしてから就職するパターンが多いです。

石工の1日

屋外作業が中心で天候に左右されることも

石材店で勤める場合、実際に石を加工する仕事は全体の3~5割ほどで、多くは石を組み立てたり据え付けたりする仕事です。

石工は現場に行って作業をすることが多く、天候によってスケジュールが左右されることもあります。

ときには自分が携わった石のメンテナンスや、補修に呼ばれることもあり、毎日同じような仕事をしている人は少ないです。

7:30 出勤
現場が遠ければ、それに合わせて出勤が早くなることもあります。
8:30 現地に集合
きょうは墓石の組立の作業です。
途中休憩をはさみながら、陽が落ちるまで仕事を行います。
16:30 作業終了
現場を片付けて会社へ帰ります。
17:30 帰社
道具のメンテナンスを行ったり、明日以降のスケジュールを確認したりします。
急ぎの加工の仕事があれば帰社した後に行います。
18:30 勤務終了

石工のやりがい、楽しさ

お客さまの驚きや喜びの声

石工のやりがいは、無事に仕事が完了してお客さまやクライアントが喜んでくれたときです。

墓石や石畳など石工が手掛けるものは非常に多種多様ですが、無事に完成して納品し、驚く顔や喜んだ顔が見られた時には、大きな達成感を感じます。

また、ビル工事や公共工事、河川工事など大規模な工事にかかわったときには非常に大きなやりがいを感じますし、自分が手掛けた仕事が後世まで残るという嬉しさもあります。

墓石や石橋、灯篭や狛犬など寺社仏閣に関するものを手掛けることも多いです。

石は何百年も残ることも多いので、自分が納得いく作品が出来上がり、それが何百年も受け継がれていくということは、この仕事の魅力でもあります。

石工のつらいこと、大変なこと

一人前になるまでには10年かかるといわれる

石工の仕事はすぐに技術が習得できるものではありません。

はじめの2~3年は先輩職人や親方についての見習いとなり、一人前になるには10年ほどかかるといわれています。

ハードな仕事の割に、見習いの間は給料も低めになることが多く、一人前になるまでにこの道をあきらめてしまうという人も多いです。

また石を削る仕事では、粉塵を吸い込むことにより「じん肺」という病気になってしまうという人もいます。

もちろん、防塵マスクをして作業するなどさまざまな予防や対策はされていますが、治療法が確立されていないため、悪化すれば仕事を辞めなくてはならない事態につながります。

石工に向いている人・適性

辛抱強く真面目な人

石工に向いている人は、辛抱強く真面目な人です。

石工として一人前になるには時間がかかり、石の据え付けには3年、一通りの加工を覚えるには10年かかるといわれています。

こうした技術をコツコツと身に付けていくには、まずつらい見習い時代を乗り越える辛抱強さ、そして「絶対に一人前の石工になる」という強い意志が必要です。

石工は昔ながらの職人気質の人も多く、一つ一つていねいに仕事を教わるのではなく「見て覚える」「まねて覚える」といった工夫も必要です。

まじめでどん欲に技術を身に付けていこうと努力や工夫ができる人は、この仕事に向いているといえるでしょう。

石工志望動機・目指すきっかけ

石への興味関心がきっかけ

石工になる際の志望動機として多いものは、石への興味関心です。

もともと石が好きだったという人、大学などで石材や建築について学び興味を持った人、芸術について学ぶうち石彫を始めた人などさまざまです。

石は城や寺社仏閣といった伝統的な建築物などに多く使われているため、こうした建築物に興味があり、関係する仕事がしたくなったという人もいます。

石は他の素材に比べると加工が難しい一方で、強度が高く長持ちするため、後世にも残る仕事がしたい、自分の仕事を形として残したいと思ったという人も少なくありません。

石工の雇用形態・働き方

多くは正社員として働く

石工の多くは正社員として採用されています。

石材加工の技術は職人から職人へ受け継がれていくもののため、基本的にはしっかりと雇用された人にその技を伝えていくという方法をとっています。

見習いのうちは日給やアルバイトとして雇われていることもありますが、3~5年たって現場に任されるようになると、多くの人は正社員として雇用されます。

まれにフリーランスとしてさまざまな石材店や工事現場と契約して働いている人もいますが、これは熟練の技を身につけたベテランの職人でなければ難しいでしょう。

まずは石工として一人前と認められるよう、正社員での就業を目指すのが一番の近道です。

石工の勤務時間・休日・生活

日中の作業がメインとなる

石工の仕事は、主に朝8:00~夕方17:00ころまでとなることが多いです。

石工の仕事は屋外が中心であるため、とくに工事現場などでは日が昇っているうちにしか作業ができません。

あまりに朝早くや夜遅くの作業は騒音や振動などで近隣住民に迷惑をかけてしまうため、基本的には日中がメインとなります。

同様の理由で基本的には土日は休みというところが多く、急ぎの仕事がなければしっかりと休めることが多いです。

ただし、現場が遠かったり、作業が大幅に遅れていたりする時は、朝早くに集合し早朝から仕事を行ったり、土曜日に作業をしたりということもあります。

石工の求人・就職状況・需要

職人の高齢化により求人は多い

石工職人の求人は比較的多く見られます。

ライフスタイルの変化などで墓石の需要は減りつつあるものの、伝統的な建築物では今も多く石がつかわれていますし、都市の再開発や公共事業、公園の整備などにも石は必要不可欠です。

今後も一定の需要はあると考えられますが、石工の高齢化により現場では人手不足が続いており、後継者不足に悩む会社も増えてきています。

外国人労働者を採用する会社もありますが、日本の伝統的な石材加工の技法を今後も引き継いでいくには、若い世代を積極的に採用する必要があります。

とくに20代~40代ぐらいまでの若手は業界からも歓迎されており、未経験から就業できるところも増えてきています。

石工の転職状況・未経験採用

中途採用も多くみられる

石工は転職、中途採用も多いです。

前職での経歴が問われることはほぼなく、とくに若手であれば意欲さえあれば歓迎されることがほとんどです。

ただし、石工として一人前になるには長い時間がかかります。

多くの石工は10年ほどかけてじっくりと技術を学んでいくため、採用する側もできるだけ若い世代で、体力があり、長く働いてくれそうな人を採用したいと考えています。

会社によっては、対象年齢を35歳くらいまでとしているところもあるため、転職を希望するのであれば、出来るだけ早いうちに行動に移したほうがよいでしょう。

石工の歴史

世界的に古くからある職業のひとつ

石工は、文明初期から続く古い職業のひとつとして知られています。

石は加工が難しい一方で頑丈で長持ちするため、古代から城壁や橋梁、宗教施設などの重要な建築物に使われてきました。

エジプトのピラミッドやペルーのマチュピチュ、カンボジアのアンコールワットなども石で作られたものです。

ヨーロッパでは、近世まで彫刻家と石工の区別がないほど芸術文化と密接した仕事でもありました。

現在では機械化が進み、石工の活躍は少なくなりましたが、現在でも技術を継承し続けています。

日本は地震が多いため石づくりの建築はあまり普及しませんでしたが、石垣や石橋などは全国に多く見られます。

とくに肥後の石工は歴史的に評価が高く、全国の石橋の4割が熊本県に集中しています。