「NPO職員」とは

NPO(非営利組織)に所属し、社会課題を解決するための活動をする。
NPO職員とは、NPO(Non Profit Organization)に所属して働く人のことです。
NPOは、日本語では「非営利組織」と訳され、一般企業のように営利を追求せずに、社会貢献活動や慈善活動といった社会課題解決のための活動を中心に行う団体を意味します。
日本全国には5万ほどのNPOがあるとされ、各団体がまちづくり、社会教育、観光振興、国際協力、子育て支援など多岐にわたる活動を行っています。
NPO職員はボランティアのように無給に近い状態で活動している人もいれば、正規雇用で給料をもらいながら職業として働いている人もいます。
NPOの活動規模や活動理念は団体ごとにまったく異なるため、NPOへの就職・転職を検討する場合、まずはNPO職員として何をしたいのか、どう働きたいのかをよく考えたほうがよいでしょう。
「NPO職員」の仕事紹介
NPO職員の仕事内容
非営利組織で社会貢献性の高い活動に携わる
NPOは「Non Profit Organization」の頭文字をとったもので、日本語では「非営利組織」と訳されます。
NPOの特徴は「非営利」という言葉にあるように、一般企業のようなかたちで営利を追求せず、社会貢献活動や慈善活動など「社会課題」を解決する活動を中心に行う団体であるということです。
NPO団体で活動をする人のことを「NPO職員」といい、所属先の団体の活動内容に沿って、さまざまな活動をします。
具体的には、まちづくり、社会教育、観光振興、災害救援、地域安全、国際協力、子どもの育成など、多岐にわたる活動に携わる職員が活躍しています。
NPO職員の就職先・活躍の場
日本全国に5万団体ほどのNPOがある
NPOは、法人格の取得を受けている「NPO法人」と呼ばれる団体と、そうでない個人の集まりである「任意団体」に分けられます。
現在、全国には約5万のNPO法人がありますが、その大半は「ボランティア」での活動であり、代表者のみ、あるいは少人数で運営しています。
したがって、すべてのNPOで人材採用を行うわけではなく、採用があるとしても若干名の場合も多いです。
NPO職員として働きたい場合には、「事業型NPO」と呼ばれるNPO法人を探すとよいでしょう。
そこでは活動によって収益を上げて職員に給料を支払い、出た利益は今後の活動のために使います。
比較的規模の大きなNPO法人であれば、積極的に若手人材を採用するところもあります。
NPO職員の1日
各NPOが活動内容に沿って柔軟に動いている
NPO職員の1日の流れは、各NPOの活動内容によってまったく異なります。
ここでは、子育て支援系の活動を行うNPOを想定した1日の過ごし方の一例を紹介します。
<子育て支援の活動を行うNPO職員の1日>
NPO職員になるには
NPOによって求められるスキル・経験は異なる
NPO職員になるために、必須の学歴や資格などはありません。
NPOといっても、団体によってさまざまな活動をしているため、求められるスキルや経験はNPO法人によってまったく異なります。
なかには社会人未経験でも働けることもありますが、民間の大手企業とは異なり、定期的な新卒採用は行わない場合がほとんどです。
欠員が出たり、事業拡大をしたりするときに不定期で求人が出され、募集人数もわずかであることが多いため、こまめに情報をチェックする必要があるでしょう。
NPO法人の求人を扱う転職エージェントを利用して、情報を入手する方法などもあります。
NPO職員の学校・学費
学歴や勉強した内容が重視されないNPOも
NPO職員になるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。
学歴が重視されないケースも多いですし、学歴だけに関していえば、民間企業よりもハードルは低いと感じられるでしょう。
確かな目的意識や熱意を備えていれば、NPO職員になれる可能性は十分にあります。
ただし、一部のNPOでは高い語学力がある人が優遇されたり、ITなど専門的な知識・スキルを持っていると歓迎されたりすることがあります。
高い学歴そのものが必要というわけではくても、学生時代にさまざまなことをしっかり勉強しておくことで、NPOへの就職や、将来的な活動をするときにも役立つでしょう。
NPO職員の資格・試験の難易度
活動内容によっては資格が有利にはたらく
NPO職員になるうえで、何か特別な資格が求められることはさほど多くありません。
ただし、NPOの活動内容は多岐にわたるため、一部の領域では専門的な知識・スキルが必要になることがあります。
たとえば介護領域では介護系(社会福祉士、介護職員初任者研修など)の資格が、また国際協力系の領域では高い語学力を証明できる資格などがあると、携われる業務領域も広がり、信用を得やすいなどのメリットがあります。
NPOで働きたい場合には、まず自分がどのような活動をしたいのかを考えて、そこから取得すべき資格、取得したほうが有利になる資格を考えていくとよいでしょう。
NPO職員の給料・年収
安定した給料が得られるNPOは限られている
NPOは非営利組織ではあるものの、非営利組織は、決して売上を上げない団体というわけではありません。
NPOも一部のボランティア型団体を除けば、社会的な活動によって売上を出し、活動費用を得て、職員に給料を支払っています。
ただし、NPOの規模や活動内容はまちまちであり、国の補助金や市民からの寄付金に頼りながら運営しているところもあります。
こうした事情もあり、すべてのNPOで安定した給料が出るわけではありません。
比較的大きな規模で法人格をもつNPO法人では、安定した給料が支給されるケースも見られます。
待遇もNPOによってまったく異なりますが、一部のNPOでは大手企業と同じように、社会保険制度や各種手当の支給をはじめ、福利厚生を充実させています。
NPO職員のやりがい、楽しさ
興味関心に応じて社会貢献性の高い活動ができること
NPO職員として働くことのやりがいのひとつは、「社会的な使命やミッション達成のための活動ができること」だといえるでしょう。
NPOでは社会貢献性の高い活動をしているため、そこに所属していること自体が誇らしく、世のため人のためになる活動ができて満足感につながると話す人が多いです。
また、企業よりも小さな規模で、特定の領域に活動内容を限定して運営するNPOも多数あります。
やりたいことが明確に固まっている場合には、NPO職員として働くことで、非常に充実感のある日々を送れるかもしれません。
NPO職員のつらいこと、大変なこと
高収入は期待できないケースが多い
NPO職員が抱えがちな苦労や大変なことは、お金の問題です。
NPOではその団体の性質上、民間企業よりも大きな売上を出しにくいところがあります。
世間では「NPOは単なるボランティア団体」と認識する人も多いため、いざNPO職員になると、団体のあり方や活動内容を正しく外部へ説明するのに苦労するかもしれません。
また、民間企業であれば、業種や職種によっては20代など若いうちから高額な給料を得て、どんどん年収を上げられることもあります。
しかし利益を今後の活動費用に回していくNPOの場合には、個人がそこまで大きく稼ぐことは難しいです。
NPO職員に向いている人・適性
社会課題の解決に対する高い志があること
NPO職員に向いているのは、まず「社会課題を解決したい」という強い意志があることです。
民間企業でもそうした課題を解決できるビジネスを展開しているところはありますが、株主の存在などもあり、どうしても利益を大きく追求しなくてはなりません。
一方、NPOの場合は利益よりも社会貢献性の高い活動、社会が抱える多様な課題を解決させることに軸を置いて動きます。
その点に賛同できる人でないと、なかなかNPOで意欲的に働くのは難しいはずです。
NPO職員は、やりたいことが明確にあって、それがNPOで実現できると考えられる人に向いているといえるでしょう。
NPO職員志望動機・目指すきっかけ
民間企業とは異なる立場で社会課題を解決したい
NPOを目指す人の多くは、「社会貢献がしたい」「人のためになる生き方がしたい」といった思いを持っています。
学生時代のボランティア経験がきっかけとなって、将来は民間ではなくNPOに進むことを決意する人もいますし、同じ志をもつ学生たちが集まってNPO法人を立ち上げるケースもあります。
最近では、若者主体のNPO団体の活動がメディアで取り上げられたり、大きく発展していったりする事例も増えました。
実際にNPO職員として活躍する人の話を聞き、NPOで働くことを決意する人も多いです。
NPO職員の雇用形態・働き方
正規職員のほかボランティアとして活動する人も
NPO職員は、大きく「正規職員」と「ボランティア」の2種類に分けられます。
前者はいわゆる常勤で働くスタッフで、各団体の活動に責任をもって取り組みます。
「団体職員」の身分となり、毎月決まった給料が出ることがほとんどです。
一方、後者は無給となることが多く、フルタイムで活動するとは限りません。
NPOによっては、最初は全員ボランティアからスタートし、しばらく活動すると正規職員へステップアップできるしくみを設けているところもあります。
NPO職員の勤務時間・休日・生活
NPOによって活動する時間は異なる
NPO職員のワークスタイルは、所属先のNPO団体によって異なります。
一般的な企業と同じように日中の時間帯に働く人は多いですが、活動内容によっては夜勤が入ったり、不規則な勤務体系になったりする可能性も考えられます。
正規職員であれば週休2日制となることが多く、有給をとることも可能です。
ゴールデンウィークや年末年始などに長期休暇がとれる団体もあります。
普段の休みは趣味を楽しんだり、家族と一緒に過ごしたりと、NPO職員とはいっても、一般企業の会社員と同じような生活をしている人も多くいます。
NPO職員の求人・就職状況・需要
積極的に求人を出しているNPOは一部
日本全国には5万ほどのNPO団体があるとされますが、それらは小規模の団体も多く、ボランティア中心に運営しているところも少なくありません。
そのため、すべての団体で頻繁に正規職員の求人が出されるわけではないのです。
NPOへの就職を目指す場合は、株式会社と同じように事業売上を立てながら運営する「事業型のNPO法人」を中心に探していくとよいでしょう。
求人情報は、各NPO団体のWebサイト上で掲載されることが多く、また転職エージェントでも取り扱われることがあります。
NPO団体の活動内容は多岐にわたるため、自分が興味のあるキーワードとあわせてNPO法人を検索してみるとよいでしょう。
NPO職員の転職状況・未経験採用
民間経験のある人が歓迎される場合も
転職によってNPO職員として働く人もいます。
たとえば、民間の会社員として働くうちに新しい目標が固まったり、成し遂げたいことができたりして、それが実現できるNPOへ転職する例などがあります。
多様な経験をもつ人材を求めているNPOもあり、またNPOの活動領域は多岐にわたるため、社会人として身につけた知識・スキルを生かせる場を見つければ、おおいに活躍できるでしょう。
社会人経験が浅いか、ほぼない状態でも、熱意次第では採用を行っているNPOもあります。
NPOへの転職先を探すときは、新卒の人と同様、各NPO団体のWebサイトをチェックしたり、求人サイトや転職エージェントなどを活用するとよいでしょう。
NPO職員の現状と将来性・今後の見通し
法人格を得て安定した活動を継続するNPOも
NPOは、各団体が独自の目的やミッションを掲げて活動を行っています。
規模は大小さまざまですが、小さくても長年活動を続けている団体もありますし、法人格を取得することで社会的な信頼度を高め、より幅広い活動をしているところも見られます。
ただ、なかには行政の下請けのようなかたちのNPOもあり、そこでは活動内容に制約が多かったり、あまり将来性のある活動ができないという声も聞かれます。
NPOへの就職を検討する場合、まずはNPOで何をしたいのか、どう働きたいのかをよく考えることが大切です。
また、職業として安定的に働いていきたい場合には、NPO法人として認められており、給料や待遇も充実している団体を選ぶとよいでしょう。