「ファシリティマネージャー」とは

ファシリティマネージャー_画像

企業や組織が保有する施設や設備について、活用方法の提案や総合的な管理・運営に携わる。

ファシリティマネージャーとは、企業や組織が保有する施設や設備(ファシリティ)を、それらが取り巻く環境まで含めて総合的に企画・管理・運営・活用する仕事です。

おもに不動産業界や建設業界の企業のほか、自社でオフィスや店舗、工場、物流施設などを持つ企業に勤務しています。

ファシリティマネジャーは、経営視点でのファシリティの活用方法の提案や、各種設備の運用管理、日常的な点検・清掃・保守・修繕の進捗状況チェックなどを行うとともに、ファシリティに関するデータを収集・分析し、運営コストを削減して収益改善に努めたり、施設利用者の満足度を高めたりする役割を担います。

ファシリティマネジャーが活躍する企業は、自社で複数の施設や設備を保有する大企業であることが多いため、平均年収は高くなる傾向にあります。

建築や施工、さらに電気設備や通信設備、環境衛生など幅広い知識が必要とされることから、建築や施工管理などの仕事に携わっていた人が、配置転換や転職をきっかけにこの仕事に就くことが多いようです。

「ファシリティマネージャー」の仕事紹介

ファシリティマネージャーの仕事内容

法人が持つ施設や設備をマネジメントする

ファシリティマネージャーとは、企業や組織が保有する施設や設備(ファシリティ)を、それらが取り巻く環境まで含めて総合的に、企画・管理・運営・活用する職種です。

具体的な仕事内容としては、経営視点でのファシリティの活用方法の提案や、各種設備の運用管理、日常的な点検・清掃・保守・修繕の進捗状況チェックなどがあります。

また、ファシリティに関するさまざまなデータを収集・分析し、運営コストを削減して収益改善に努めたり、施設利用者の満足度を高めたりすることも、ファシリティマネージャーの重要な役割です。

企業によっては、既存のファシリティを維持管理するだけでなく、オフィスや店舗など、新しいファシリティの取得まで手掛けるケースもあります。

ファシリティマネージャーの就職先・活躍の場

自前で設備を持っている企業や組織が対象

ファシリティマネージャーの就職先としては、ビル管理会社や建設会社、不動産会社などが代表的です。

ただ、不動産業界や建設業界でなくても、自社でオフィスや店舗、工場、物流施設などを保有していれば対象となりますので、一般企業の他、大学や病院、官公庁なども候補として挙げられます。

業務内容は就職先によってさまざまですが、施設の維持管理や、設備診断、中長期修繕計画の策定などの業務はどこでも共通しているようです。

ファシリティマネージャーの1日

多くの人の意見を聞きながら仕事を進める

ファシリティマネージャーの仕事は、部署や役職を横断して、さまざまな人から話を聞くことに多くの時間を割きます。

ときには施設利用者など、社外の人に対して調査を実施するケースもあります。

9:00 出社
メールチェック、スケジュール確認などを行います。

10:00 社内調査
オフィスの利用者から声を集め、生産性向上のため机などのレイアウト変更を検討します。

12:00 休憩

13:00 会議
老朽化している設備について、設備業者をまじえて更新時期などを協議します。

15:00 デスクワーク
運営している施設を利用した人から取得したアンケート結果を分析し、資料に取りまとめます。

18:00 帰社

ファシリティマネージャーになるには

資格は必須ではないが、多くの人が目指す

ファシリティマネージャーになるには、施設運営部門や設備管理部門などのある企業に就職し、ファシリティマネジメントを行う部署に配属される必要があります。

業務を行うために必須となる資格はありませんが、現場ではさまざまな専門知識が求められるため、民間団体の主宰する「認定ファシリティマネージャー」という資格取得を目指す人が多いようです。

なお、認定ファシリティマネージャーになるためには、試験合格後、管轄する協会への登録が必要ですが、登録には一定の条件があります。

ファシリティマネージャーの学校・学費

資格の登録には学歴に応じた実務経験が必要

認定ファシリティマネージャー試験を受けるために学歴などの要件はなく、誰でも受験することが可能です。

ただし、合格後の登録に際しては、学歴に応じた実務経験が必要になります。

・4年制大学卒の場合、実務経験3年
・3年制短期大学卒の場合、実務経験4年
・2年制短期大学、高専卒の場合、実務経験5年
・高卒の場合、実務経験7年
・その他の場合、実務経験10年

高い学歴であればあるほど、必要な実務経験年数は短縮されますので、ファシリティマネージャーを目指すなら、ある程度の学歴があったほうが、キャリア形成上有利といえます。

ファシリティマネージャーの資格・試験の難易度

合格には3か月程度の勉強を要する

認定ファシリティマネージャー試験の合格率は毎年40%前後で推移しており、難易度はそこまで高くはありません。

合格までに必要な勉強時間は150~200時間程度といわれており、3か月程度の準備期間で受験する人が多いようです。

独学でも十分に合格は可能ですが、試験には与えられたキーワードに基づいて論述する形式の問題も出題されるため、解答の記述対策がネックとなるかもしれません。

なお、近年ではIT系分野の時事問題が出題される傾向が強まっているようです。

公益社団法人 日本ファシリティマネジメント協会

ファシリティマネージャーの給料・年収

高い収入が期待できる

ファシリティマネージャーの年収は600万円~700万円がボリュームゾーンとなっており、サラリーマンの平均年収と比較するとかなり高い水準にあるようです。

ファシリティマネジメントを必要とする企業は、自社で複数の施設や設備を保有する大企業であることが多いため、自然とファシリティマネージャーの平均年収も高くなる傾向にあります。

大手企業では、給料面だけでなく、福利厚生面も充実しているところが多いため、ファシリティマネージャーとなれれば安定した働き方ができるでしょう。

ファシリティマネージャーのやりがい、楽しさ

取り扱う規模の大きさ

企業や組織が、新たな価値を生む施設や建物を建設するとき、一般的にその金額は非常に高額なものとなります。

ビルを一棟建てるのには数億円から数十億円が必要ですし、大規模施設ともなれば一千億円を超えるケースすらあります。

これだけ多くの資金を投入するわけですから、いかにその資産を効率的に活用していくかは企業経営にとって重大事項です。

イニシャルコスト(初期費用)だけでなく、施設にはランニングコスト(維持管理費用)も発生し続けますので、それらを取り扱うファシリティマネージャーの業績に対する影響力は非常に大きいといえます。

ファシリティマネージャーのつらいこと、大変なこと

さまざまな設備に精通することが必要

ファシリティマネージャーは建物や設備の管理全般を手掛けるため、その業務範囲は非常に幅広く、多岐にわたります。

日常的に社内のレイアウト変更や各種通信機器、空調機器、セキュリティ機器などの設備管理を行う一方、内装工事や設備工事が行われる際には、各業者の手配や工事立会なども行わねばなりません。

多忙な業務に追われつつ、各社員からの要望にスピーディに応えるためには、さまざまな設備に精通していることが求められます。

ファシリティマネージャーに向いている人・適性

多くのことに興味があり、専門的な勉強ができる人

ファシリティマネージャーに求められる知識は、建築や施工に関することに加えて、電気設備や通信設備、環境衛生など、バラエティに富んでいます。

このため、分野を問わずさまざまなことに興味があり、新しいことを日々どん欲に学んでいける人は、ファシリティマネージャーに向いているといえるでしょう。

企業によっては、電気主任技術者やエネルギー管理士といった資格取得を推奨されることもあるため、資格試験の勉強が苦にならない人は適性があるかもしれません。

ファシリティマネージャー志望動機・目指すきっかけ

社会人経験のある人が目指すことが多い

ファシリティマネージャーはあまり一般的な職種とはいいがたいために、新卒の学生が目指すケースはどちらかというと稀です。

建築や内装、施工管理などに携わっていた人が、より総合的に施設や設備の管理業務を行いたいと志望することが多いようです。

また資格取得についても、認定ファシリティマネージャーの登録には実務経験が条件となっていることもあり、既に企業の施設管理部門で働いている人が、スキルアップのために受験することが多いようです。

ファシリティマネージャーの雇用形態・働き方

組織を移る人は比較的多い

ファシリティマネージャーは、その業務の専門性が高い一方、実務経験豊富な人材が限られることから、よりよい待遇を求めて転職する働き方をする人も少なくありません。

グローバルに事業を展開する外資系企業を選択する人もおり、ファシリティマネジメントの知識だけでなく、ビジネスレベルの英語力なども求められますが、その分高い収入が期待できます。

また、民間企業から官公庁や地方自治体などへ移り、公務員となる人も珍しくないようです。

ファシリティマネージャーの勤務時間・休日・生活

時期にもよるが勤務時間は比較的長め

ファシリティマネージャーの勤務時間は、標準的なオフィスワーカーと同様、9:00~17:30であることが一般的ですが、日中の時間をコアタイムとしたフレックスタイム制を導入している企業もあります。

ただ、さまざまな業務に追われるファシリティマネージャーの残業時間は長くなるケースが多いようです。

特にオフィスの新築や移転などの案件があったり、設備のいずれかに異常があった場合などは、かなり遅くまで働かないといけないときもあります。

ファシリティマネージャーの求人・就職状況・需要

需要に対して資格保有者数は少ない

ファシリティは、ヒト・モノ・カネ・情報に続く、「第5の経営資源」とも呼ばれており、資産運用の最適化や遊休資産の活用などは、各企業が事業運営を行っていくうえでの重要課題となっています。

その一方で、認定ファシリティマネージャーの資格保有者数は需要に対して追いついておらず、全国で7000人程度しかいません。

このため、求人については、有資格者だけに留まらず、将来的に資格を取得したいという人を対象としているケースも少なくありません。

これからファシリティマネージャーを目指す人にとっては、チャンスは大きいといえます。

ファシリティマネージャーの転職状況・未経験採用

関連業界での経験が役に立つことも

ファシリティマネジメントに詳しい人材は現状あまり多くないため、各企業は中途採用も積極的に行っています。

認定資格の保有者数が多くないため、資格を保有していなくても、設備管理や施設運営などについての実務経験がある人は歓迎されるようです。

また、未経験者を対象とした採用も少なからずありますが、「宅地建物取引士」や「建築士」、「建築施工管理技士」といった関連する資格を持っていれば、就職に有利となるケースも見受けられます。

ファシリティマネージャーの現状と将来性・今後の見通し

ファシリティマネジメントの重要性はさらに高まる

近年、資産の有効活用がクローズアップされる機会が増加傾向にあり、設備投資コストを抑えつつ、生産性を最大化させるファシリティマネジメントの重要性は増しています。

労働人口が減少していくなかにあっても、全国に眠っているファシリティを有効に活用することで、日本経済の活性化が期待できるかもしれません。

特に地方自治体では、現有のファシリティを最適化して、漸減していく税収をカバーする必要性がより増してくると予想されます。

資格保有者数は決して多くありませんので、認定ファシリティマネージャーの資格を取得できれば、多くの活躍の場があるでしょう。