【2021年版】公認心理師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「公認心理師」とは

日本初の心理系国家資格。心の問題を抱える人の相談にのって、助言や援助などを行う。

公認心理師は、心の問題を抱える人に対して相談や助言、指導その他の援助などを行う心理学の専門職です。

正確には「公認心理師」の国家資格を保有する人のことをいい、子どもからお年寄りまで、さまざまな不安や悩みを抱える対象者の心が健康に向かうように支援していきます。

公認心理師になるには、公認心理師試験を受験し、合格する必要があります。

この試験の受験資格を得る方法はいくつかありますが、大学の心理学部・学科や大学院で公認心理師に必要な科目を学ぶ方法が一般的です。

資格取得後は、心理の専門職である「臨床心理士」と同様、医療・教育・産業・福祉・司法と多岐にわたる領域で活躍することが可能です。

これまで心理職は雇用の不安定さが課題とされていましたが、公認心理師制度がスタートしたことにより、今後は常勤の採用が増え、安定した環境で働ける人も増えるかもしれません。

「公認心理師」の仕事紹介

公認心理師の仕事内容

心理学の専門家として、人が抱える心の問題を解決に導く

公認心理師とは、心理学に関する専門的知識や技術をもって、心の問題を抱える人に対して相談や助言、指導その他の援助などを行う専門家です。

正確には「公認心理師法」を根拠とする国家資格を所持する人のことを指しています。

公認心理師が活躍する領域は、医療・教育・産業・福祉・司法と幅広く、人が生活するあらゆる場所で需要がある仕事です。

子どもからお年寄りまで、さまざまな世代や立場の人に対して心のケアやサポートを行っていきます。

必要に応じて各領域の専門家と連携することも

公認心理師の仕事は、対象者への「アセスメント」と呼ばれる心理査定からスタートします。

相手が何に悩んでいるのかを正確に把握して、カウンセリングや多様な心理療法を実践しながら、適切な助言や指導を行います。

対象者の心の問題が解決できれば成功といえますが、人間の心の状態は揺れ動くものであり、簡単に解決できないケースも少なくありません。

必要に応じて、医療や福祉、教育などの専門家とも連携しながら、対象者の心の状態を改善に導きます。

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公認心理師になるには

まずは公認心理師国家試験の受験資格を得る

公認心理師になるには、まず「公認心理師国家試験」を受験し、合格する必要があります。

公認心理師の試験には受験資格が設けられており、誰でも受けられるわけではありません。

受験資格を得るルートはいくつかありますが、代表的なものは、大学と大学院で公認心理師に必要な科目を学ぶ方法です。

基本的には臨床心理学に関する科目が中心となるため、大学の心理系学部・学科に進学する必要があります。

その後、大学院でさらに臨床心理に関する学びを深めます。

このほか、大学院を出ていない場合に一定の実務経験を積むことで受験資格を得るルートや、海外の大学で心理学を学んだ人向けのルートなどもあります。

資格取得後の就職先は多岐にわたる

公認心理師試験に合格し国家資格を取得した後は、医療・教育・産業・福祉・司法のいずれかの領域に関連する機関や企業などへ就職する道が一般的です。

具体的な勤務先としては、病院やクリニック、学校、企業、児童相談所など多様であり、各現場で臨床経験を積んでさらに専門性を磨いていきます。

活躍する領域によって、求められる知識に違いが出てくるため、どのような場で働きたいのか事前に考えておくことが大切です。

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公認心理師の学校・学費

大学や大学院で心理学を専門的に学ぶ

公認心理師試験を受験するためのルートは、いくつか存在します。

代表的なルートは、4年制大学の心理系学部・学科で必要科目を履修し、卒業後、さらに大学院で定められた科目を履修するルートです。

このルートでは、大学・大学院ともに心理学を専門的に勉強していくことになります。

「心理学部」や「心理学専攻」といった名称の学校が選択肢に挙がりますが、公認心理師のカリキュラムに該当している必要があるため、各大学のホームページなどで詳細を確認してください。

公認心理師に学歴は重要?

4年制大学で学んだあと、大学院には進学せずに特定の施設で実務経験を積むことでも、受験資格を得ることができます。

ただし、公認心理師には心理学の専門的な知識が求められるため、多くの人が大学や大学院に進学しています。

大学院でどれだけ専門性を高めておけるかが、その後の就職や実務に影響することもあります。

可能な限りは大学と大学院の六年間を心理学の勉強に費やし、専門性を高めておくとよいでしょう。

私立は学費が高額になりがちですが、国公立であれば学費を抑えて学ぶことが可能です。

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公認心理師の資格・試験の難易度

国内で唯一の国家資格として誕生

公認心理師の資格は、2018年に初めて国家試験が実施された、比較的歴史の新しいものです。

公認心理師ができる以前、日本の心理系職業は「心理カウンセラー」や「心理セラピスト」など、いくつもの民間資格が乱立していました。

そのなかで「臨床心理士」は最も権威ある資格として位置づけられてきましたが、現在では公認心理師も同じように、心理学の専門家として高く評価されています。

公認心理師試験は誰でも受験できるわけではなく、大学や大学院で心理学の所定の科目を修めるなどの条件が掲げられています。

時間をかけて知識を習得していく心構えが必要です。

公認心理師試験の難易度は?

公認心理師国家試験は、心理学を専門的に学んできた人であれば、一発合格も決して難しくありません。

しかし合格率が50%前後という年もあるため、決して簡単な試験ではないことも確かです。

専門的な問題が出題されるため、公認心理師試験の出題基準をチェックし、過去問題などを解きながら、計画的に勉強していく必要があります。

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公認心理師の給料・年収

活躍するフィールドや勤務先によっても違いが出る

公認心理師は、2018年に資格制度が開始されてからあまり年数が経っておらず、この資格を持って現場で活躍する人は少ないのが現状です。

そのため、正確な給料・年収を割り出していくのは難しいですが、仕事内容や役割が近しい「臨床心理士」をベースに考えると、平均年収は300万円~400万円台がボリュームゾーンとなるでしょう。

ただし、公認心理師は国家資格である分、給料や待遇面で、さらに優遇される場合があります。

活躍のフィールドが多岐にわたるため、実際には勤務先の規模や地域、役職、経験などによっても大きく差が出るものと考えられます。

活躍のためには専門性を磨く努力が求められる

公認心理士の仕事は、営業職のように個人で成績を出せば収入を大きくアップさせられるようなものではありません。

ただし、心の問題を抱える人はいつの時代もいるため、景気に左右されにくく、さまざまな領域で需要があることが公認心理師の強みといえます。

また、心理系資格のなかで唯一の国家資格であるため、採用時に優遇されたり、特別な手当がついたりする職場が増えていくことも考えられます。

ただし、基本的には専門性こそが重視される職業であるため、若手のうちはあまり稼げなくても、地道に実績を積み上げていく努力が必要です。

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公認心理師の現状と将来性・今後の見通し

心理職に対する社会的評価の向上や待遇改善が期待される

2018年に資格試験がスタートした公認心理師は、日本初の国家資格として業界内外で大きな注目を集めています。

公認心理師は、それまで心理学の世界で高く評価されてきた「臨床心理士」と、仕事内容や役割に大きな違いがありません。

医療・教育・産業・福祉・司法の各領域で活躍し、心理の専門職として多くの人の心のケアに携わることが可能です。

これまで心理職は社会的な評価や信頼度を上げづらく、給料や待遇も不安定でした。

しかし、公認心理師の国家資格ができたことにより、今後は常勤の採用が増え、雇用の安定化が進むことも期待できます。

新しい職業であることから、将来性については最新の情報を追って慎重に見ていく必要があるといえるでしょう。

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公認心理師の就職先・活躍の場

公認心理士の主要な活躍の領域は「医療」「教育」「産業」「福祉」「司法」の5つに分かれています。

各領域のおもな活躍の場は以下の通りです。

・医療:病院(精神病院・総合病院・クリニック)や保健所、精神保健福祉センターなど
・教育:学校や教育センターなど(「スクールカウンセラー」として活躍)
・産業:一般企業やメンタルヘルス関連の専門機関など(「産業カウンセラー」として活躍)
・福祉:児童相談所、療育施設、福祉施設など
・司法:家庭裁判所や少年鑑別所、少年院、刑務所、保護観察所など(公務員として活躍することが多い)

このように、公認心理師が活躍する領域は非常に幅広く、場所によって援助する対象者の年代や立場などが異なります。

おのおのの公認心理士は、勉強や勤務経験を重ねていくなかで自らの強みや得意分野をもち、活躍のフィールドを決定することが多いです。

ただし、必ずしも各領域での仕事が明確に分断されているわけではなく、各領域間の統合や連携が進んでいる現場もあります。

公認心理師の1日

勤務先によって1日の流れが大きく異なる

公認心理師が活躍できる領域は、大きく分けると「医療・教育・産業・福祉・司法」と幅広く、また各領域にさまざまな勤務先があります。

勤務先によって1日の過ごし方はまったく異なると考えておいてよいでしょう。

ここでは、総合病院(心療内科)の公認心理師のある1日を紹介します。

8:30 出勤・着替え
8:40 科内のスタッフとミーティング
9:00 午前の診療スタート
9:30 予約患者のカウンセリング
12:00 昼食休憩
13:00 午後の診療スタート
14:00 病棟をまわる
15:00 カルテ作成など事務作業
18:00 報告・引継ぎ
18:30 退勤

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公認心理師のやりがい、楽しさ

自分がサポートした人の「よい変化」が見られたとき

公認心理師のやりがいは、自分の助言や援助によって、心に悩みや不安を抱えていたクライエントが、少しずつよい方向に変化していくときです。

非常につらい思いをしていた人の心が軽くなり、明るい笑顔を見せてくれるようになったり、日々を前向きに生きられるようになったりするといった「変化」が見られたときに、うれしい気持ちになります。

自分が誰かの役に立ったと実感できる瞬間こそが、この仕事のやりがいです。

また、さまざまな心理職のなかでも、公認心理師の資格を取得している人は、専門家として高く評価されます。

就職・転職の際に優遇されたり、キャリアアップの可能性が高まったりすることも十分に考えられるため、これから心理学について専門的に学びたい人には取得する価値があるでしょう。

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公認心理師のつらいこと、大変なこと

人間のさまざまな面に触れることになる

公認心理師は、日々、さまざまな心の問題を抱える人と接します。

心の問題の実態は多様ですが、なかには非常に重い話を聞いたり、人間のドロドロとした部分にも触れなくてはならないこともあります。

もちろん、公認心理師は専門家の立場として常に冷静な対応を心がけるものの、あまりに負の感情にばかり触れていると、自分自身が参ってしまいそうになることもあるかもしれません。

ストレスを抱え込みすぎないよう、上手にリフレッシュして、自分の心をコントロールしていくことが大切です。

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公認心理師に向いている人・適性

人間の心理に興味があり、突き詰めていける人

公認心理師は、人間に深く向き合っていく職業です。

心の内側にアプローチしていき、人の心がどのように動くのかや、感情からどのような反応を起こすのかなどを探っていきます。

その過程では、人間の良い面も悪い面もたくさん見ることになるため、もともと「人間とは何か」といったことに関心があり、心理を突き詰めていきたいと思える人に向いているといえます。

また、この仕事では「傾聴の姿勢」が非常に重視されるため、他者の心に寄り添い、きちんと話を聞ける人でなくてはなりません。

秘密を守ることができ、誰に対しても誠実な対応をとれる人に向いている仕事です。

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公認心理師志望動機・目指すきっかけ

人間そのものや、人の心に興味がある

公認心理師を目指すのは、もともと人間そのものや、人の内面(心)に興味をもっている人が多いです。

大学進学などの進路を検討する際に心理学を専門的に勉強していきたいと考えるうちに、公認心理師の存在を知ったと話す人もいます。

公認心理師は歴史の新しい職業ではありますが、日本で唯一の国家資格として誕生したため、注目度が高まっています。

心理職として働くうえで、少しでも専門性の高い、難しい資格を取得しておきたいと考えて、公認心理師を目指す人が増えているようです。

公認心理師の雇用形態・働き方

常勤雇用が増えつつあるが、非常勤で働く人も

公認心理士の雇用形態は、大きく「常勤」と「非常勤」に分かれます。

常勤は、いわゆる正規雇用されている人のことで、特定の職場でフルタイム勤務をします。

一方、非常勤は非正規雇用となり、ひとつの職場で働けるのは週に1~3日、1日に4~6時間程度となる場合も多いです。

そのため、非常勤で雇用される人は、他の職場でも非常勤勤務をしていたり、別の仕事を掛け持ちして生計を立てている人が目立ちます。

最近では公認心理師が常勤雇用される例が少しずつ増えていますが、業界の慣習もあって、まだ非常勤雇用が多いのが実情です。

とくにキャリアが浅い若手は、なかなか安定した雇用条件の勤務先を見つけるのが難しい場合があります。

公認心理師の勤務時間・休日・生活

勤務する場所によって勤務時間は異なる

公認心理師は大きく分けると、「医療」「教育」「産業」「福祉」「司法」の5つの領域で活躍しており、各領域で多様な勤務先があります。

どこで働くかによって、勤務時間や休日には大きく違いが出てくるでしょう。

たとえば、病院やクリニックなどの医療機関で勤務する場合には、各医療機関の診療時間に合わせた勤務が基本です。

対象者との面談は基本的に日中に行うため、夜勤や当直はほとんどありません。

学校などの教育機関で勤務する場合には、子どもたちが学校にいる時間帯がおもな勤務時間となります。

ただし、面談記録や今後のカウンセリング方針を考えるために、時間外に業務を行うことも多いです。

非常勤で働く人は、たいてい複数の職場を掛け持ちしているため、とくに慌ただしい生活になることがあります。

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公認心理師の求人・就職状況・需要

安定した雇用条件の求人が少しずつ増えている

公認心理師は、これまでも高く評価されてきた「臨床心理士」と同じように、医療・教育・産業・福祉・司法の各領域において、心理系専門職としての活躍が期待されています。

活躍の場が広いことは公認心理師の魅力ですが、現状は以前からの流れもあって、安定した常勤雇用のケースが決して多くないのが実情です。

しかし、各現場では優先的に国家資格である公認心理師の資格取得者を採用する動きが加速し、待遇面の改善が進んでいます。

民間での勤務だけでなく、公務員として公的な機関での需要もあるため、専門性を磨いていけば多様な活躍のチャンスがあります。

まだ歴史が新しい職業(資格)であるだけに、自分で積極的に情報を集めて、行動していく必要があるでしょう。

公認心理師の転職状況・未経験採用

資格取得までに時間がかかるため、計画的な転職を

公認心理師を転職によって目指す場合、新卒者と同じように、基本的には大学・大学院などで心理学を専門的に学ぶ必要があります。

未経験者がいきなり転職できる仕事ではなく、また現場に出るまでに時間がかかるため、計画的に考えていくことをおすすめします。

心理職としての実務経験が豊富な人であれば、その経験を生かして活躍できる場を見つけやすいでしょう。

そうでない人の場合には、イチから学び、地道に修業を積んでいく覚悟が必要です。

公認心理師よりも手軽に心理カウンセリングの業務に携わりたい場合には、民間の「心理カウンセラー」関連の資格取得を目指すことを考えてもよいかもしれません。

公認心理師と臨床心理士の違い

資格の種類が異なるが、仕事内容や活躍できる場は共通する部分が大きい

「公認心理師」と「臨床心理士」は、どちらも心理学の専門家として、心のトラブルや悩みを抱える人にアプローチをします。

公認心理師の業務領域は「心理査定(アセスメント)」「心理面接(カウンセリング)」「関係者への面接」「教育・情報提供活動」、臨床心理士の業務領域は「心理査定(アセスメント)」「心理面接(カウンセリング)」「臨床心理的地域援助」「調査・研究」と定められています。

基本的に、双方で大きな違いはありません。

最も異なるのは資格の種類で、公認心理師が国家資格であるのに対し、臨床心理士は民間資格です。

ただし、資格の歴史的には臨床心理士のほうが長く、公認心理師ができるまで、業界内外で信頼度の高い資格として位置づけられてきました。

現在では、公認心理師と臨床心理士の両方が高く評価されていますが、どちらも取得のためには大学や大学院で心理学を専門的に学び、試験を受けなくてはなりません。

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