広告宣伝の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「広告宣伝」とは

広告宣伝の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

自社商品やサービス、ブランドの認知度を高めるために、各メディアに広告を出稿する。

広告宣伝は、企業で活躍する職種のひとつで、企業の商品やサービスについての効果的な広告を出稿することで、自社の売上や企業ブランド・イメージを高める役割を担っています。

広告を出すにあたっては、マーケティングからはじまり、企画立案、媒体の選定、広告制作の依頼、効果の評価といった多様な業務が発生します。

広告宣伝の仕事に就くには、メーカーなどの企業に入社し、広告宣伝部門へ配属される必要があります。

新卒の場合、まずは他部門で経験を積み、本人の希望や能力が認められることで広告宣伝の仕事を任されるようになるケースも多いです。

Web広告が重要性を増しているなか、これからの広告宣伝担当者は既存の4大メディアだけでなく、インターネット上での広告セオリーにも通じていることが、ますます重視されていくでしょう。

「広告宣伝」の仕事紹介

広告宣伝の仕事内容

広告を出し、自社の商品やサービスを消費者に広める

広告宣伝とは、メーカーなどの企業に置かれる部署、あるいは職種のひとつです。

広告宣伝の目的は、各種メディアを通し、自社の商品やサービスを消費者に知ってもらうことです。

直接売上に繋がるような働きかけをすることもあれば、自社のイメージや商品・サービスのブランドイメージや認知度を高めるような広告展開をすることもあります。

似た仕事に「広報」や「PR」がありますが、広告宣伝の場合、会社の予算(広告宣伝費)を使ってメディアに広告を出すことが特徴です。

そのため、売上や話題性など、目に見える結果を出すことがより強く求められる職種です。

マーケティング活動も重要

広告宣伝を行っていくには、「どの層にどうアピールするのが効果的か」を調査するマーケティング活動が欠かせません。

マーケティングは、販売促進やブランディングの鍵を握る基礎部分であり、これを間違うと効果がほとんど見込めなかったり、いわゆる「炎上」を起こして逆効果になってしまう可能性もあります。

実際に広告を出す際には、通常、広告代理店や広告制作会社に依頼をして、プロのクリエイターに制作を行ってもらいます。

広告宣伝は、社内外のさまざまな人たちとの関わりが多く、アイデアや発想力なども求められる仕事です。

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広告宣伝になるには

メーカーなどへ入社し、広告宣伝の仕事に対する希望を出す

広告宣伝は、メーカーをはじめとする、さまざまな企業に置かれている部署・職種です。

そのため、多様な業界で活躍できるチャンスがありますが、新卒採用の場合、最初からピンポイントで「広告宣伝」の仕事に就けるとは限りません。

というのも、新卒採用では「総合職」として一括採用され、その人材のなかから企業側が配属を決めることが多いからです。

いくら採用試験で「広告宣伝に関わりたい」とアピールしても、希望が通るとは限りません。

もともと、広告宣伝はさほど多くの人数が必要とされないため、他の部署に配属されることもよくあります。

もし希望以外の部署に配属されたとしても、そこで学べることをしっかり学び、自分の強みを作って異動のチャンスを待ちましょう。

広告宣伝に関連する知識・スキルがある人が有利に

広告宣伝が活躍する企業のなかには、中途採用を行っているところもあります。

その場合は、基本的に経験者や関連する知識・スキルがある人が優遇されます。

たとえば、広告代理店などで広告に携わる仕事をしてきた人は、広告宣伝への転職時に有利になりやすいでしょう。

マーケティングや統計学などに詳しい人も、プラスに評価される可能性があります。

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広告宣伝の学校・学費

大手企業を目指す人は大学進学がおすすめ

広告宣伝を部署として設置している企業は、比較的規模の大きなところが多いです。

大手企業の場合、社員採用試験では「大卒以上」の学歴を応募条件として掲げるケースがよく見られます。

そのため、大学に進学して卒業を目指すと、応募できる企業の数は増えるでしょう。

学部・学科は問われません。

とくに新卒者の場合、入社時点で特別な資格や専門知識が求められるわけではないため、どのような勉強をしてきた人にもチャンスがあります。

ただ、商学部や経済学部で、マーケティングや統計学などを専攻すると、広告宣伝にも役立つ知識が得られます。

近年ではWeb媒体での広告展開が重要視されるようになっていることもあり、コンピューターサイエンスなどを学ぶのもよいでしょう。

広告宣伝の資格・試験の難易度

特別な資格は必要なく、実務を通じてスキルアップ

広告宣伝部門で働くために、必須とされる資格はありません。

資格よりも、実務経験に基づく知識やスキルが重視される仕事です。

広告宣伝に求められる知識・スキルとしては、マーケティングの考え方、時代の流れを捉える力、さらに交渉力や提案力などです。

また、自社の強みや商品・サービスの特徴を世の中に訴えかけていくセンスや感性も必要です。

広告自体はプロのクリエイターが作りますが、広告宣伝担当者自身も、クリエイティブな感性を養っておくことに越したことはありません。

自身が身を置く業界の知識や扱う商品・サービスの知識も必要になるため、なによりも日々の仕事を通して貪欲に成長していく意欲が求められます。

広告宣伝の給料・年収

大手企業では比較的よい収入が得られる

広告宣伝の平均年収は、さまざまな調査データを見ていくと、430万円~550万円ほどがボリュームゾーンと考えられます。

若いうちはあまり年収の伸びが大きくありませんが、大手企業に勤務する場合、40代以上で役職がつくと年収1000万円を超えるケースもあります。

比較的よい収入が期待できますが、広告宣伝の仕事は多忙になりがちで、日々ハードに働いている人もいます。

とくに中小企業では1人で何役もこなさなければならない場合があり、一見年収が高くても、業務量に照らし合わせるとバランスが取れていない、ということもあります。

残業時間と、残業手当がきちんと支給されるかといったことも、よく確認しておく必要があるでしょう。

また、契約社員や派遣社員としてアシスタント業務を務める場合などは、正社員に比べ年収は低めになります。

経験を積めば独立することも可能

広告宣伝として十分な経験を積んだ場合、フリーランスになることも可能です。

その場合、企業から依頼を受けて、効果的な広告宣伝のプロデュースを行うといった働き方が考えられます。

クライアントによい影響をもたらせる実力を備えれば、さらなる高収入を得られるでしょう。

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広告宣伝の現状と将来性・今後の見通し

Webマーケティング分野に詳しい人材のニーズが高まる

自社商品・サービスをもつ企業にとって、効果的な広告を積極的に打ち出していくことは、自社の売上向上のための重要な戦略のひとつです。

各業界の大手企業になると、年間で数百億円以上もの宣伝広告費をかけて、大々的に広告を出しています。

一方、近年は低予算で、狙ったターゲット層に確実にリーチできる「Web広告」の勢いが増しています。

SNSを使った広告やクチコミを使った宣伝も一般的になっており、この先、Web広告の重要性がどんどん増していくでしょう。

そうしたなか、Webマーケティングに関連する知見のある人材が、さらに重宝されていく可能性があります。

文系のイメージがある広告宣伝の仕事ですが、理系的な頭をもってデータを読む力、数字で効果を検証していく力をもつ人材も必要とされています。

関連記事広告宣伝の現状と将来性

広告宣伝の就職先・活躍の場

さまざまな業界の企業の広告宣伝部門で働く

広告宣伝は、一般企業の広告宣伝部門で活躍します。

メーカーをはじめ、自社の商品・サービスをもつ企業であれば、どこでも活躍できる可能性があります。

どんなに魅力的で素晴らしい商品やサービスを作っても、それを消費者に知ってもらえなければ、企業の売上はアップしません。

そこで重要になるのが広告宣伝です。

広告宣伝の部門や担当者は、企業と消費者を繋ぐ、いわば会社の顔としての役割を担っているといえるでしょう。

広告代理店など、実際に広告の企画・制作を手掛けるクリエイターとも連携しながら、自社の魅力を発信するために活躍します。

広告宣伝の1日

多様な業務が多く、慌ただしく動き回る日も

広告宣伝は、職場の体制やプロジェクトによっても動き方が異なるものの、慌ただしく働く人が多いです。

日によって異なる動き方をすることもあり、社内外の関係者とのコミュニケーションの機会もたくさんあります。

ここでは、メーカーにて企画や制作進行を担当する広告宣伝のある1日を紹介します。

9:30 出社・タスク確認
10:00 自社SNSをチェック
11:00 新商品のマーケティング
12:00 休憩
13:00 商品企画部門と打ち合わせ
14:00 広告代理店と打ち合わせ
15:30 Web制作会社とデザイン確認
17:30 デザイナーから上がって来た広告の校正
19:00 退社

関連記事広告宣伝担当の1日のスケジュール・残業時間は長い?

広告宣伝のやりがい、楽しさ

自分が関わった広告宣伝で十分な効果が出ること

広告宣伝は、企業と消費者をつなぐための仕事をします。

自社企業の各部門が精魂込めて作った商品・サービスを広めるためにマーケティングをし、企画を練り、広告を打つのが広告宣伝です。

まさに、自社商品やサービスの命運を握っているといっても過言ではありません。

非常に大きなプレッシャーもありますが、自分が関わった広告が大きな話題になったときには、非常にやりがいを感じます。

また事業規模や企画にもよりますが、上層部から認められ、大きな広告宣伝予算が付いて大規模なキャンペーンを展開できるときは、自分の力量を認めてもらえたと感じます。

広告宣伝担当者として信頼されることが、また大きなやりがいにつながっていくでしょう。

関連記事広告宣伝のやりがい、魅力

広告宣伝のつらいこと、大変なこと

マルチタスクで仕事を進め、関係者の板挟みになる

マルチタスクで仕事を進め、関係者の板挟みになる

関連記事広告宣伝のつらいこと、大変なこと、苦労

広告宣伝に向いている人・適性

調整力や人を巻き込む力、流行にも敏感な人

広告宣伝担当者は、社内の各部署のスタッフたちや、社外の広告代理店担当者など、たくさんの人と関わりながら仕事を進めます。

自分の意思もしっかりと示したうえで、関係者の意向を的確にくみ取り、意見の食い違いがあればその溝を埋める役割を果たします。

もし営業側とクリエイター側の意向が異なっていれば、何が最善かを判断して両者を説得しなければならならないこともあります。

多数の関係者たちをまとめ、ひとつの方向に導いていく調整力や、人を巻き込んで物事を進める力がある人は、広告宣伝向きといえるでしょう。

また、刻々と変わり続ける世の中に受け入れられる広告宣伝を行っていくためには、さまざまな分野に広く興味を持てる人、芸術作品やムーブメントにも関心がある人のほうが向いています。

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広告宣伝志望動機・目指すきっかけ

広告宣伝への適性や、やりたいことをアピール

広告宣伝は企業にとって重要なポジションですが、その部門に配属される人数はあまり多くありません。

そのため、志望動機では十分な熱意や適性を伝えることを心がける必要があります。

まずは「広告宣伝として何がしたいのか」を具体的に考え、そのために自分の強みや能力をどう生かせるかを伝えましょう。

ただし、総合職採用に応募する場合には、他職種に配属される可能性もあるため、「広告宣伝しか興味がない」という態度だと、ネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。

「具体的にその企業で何をしたいか」「将来的な展望は」と聞かれた場合には、ぜひ広告宣伝部門で活躍したいということを具体的に述べましょう。

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広告宣伝の雇用形態・働き方

正社員としての雇用が中心

広告宣伝は、多くの企業にて正社員として採用されています。

企業の売上やブランドにも大きな影響をおよぼす重要な役割を担うため、それに見合う安定した働き方ができるケースが多いでしょう。

アルバイトや派遣として採用される場合には、正社員のアシスタント的な役割を期待されることが多いようです。

なお、企業の広告宣伝として経験を積んだ人のなかには、独立してフリーランスになったり、広告関連の企業を立ち上げたりする人もいます。

あるいは、さらなるキャリアアップのために別の企業の広告宣伝部署へ転職する例も見られます。

広告宣伝の勤務時間・休日・生活

業務はやや忙しく、残業が増える時期も

広告宣伝の仕事は、やや忙しくなることが多いでしょう。

基本的には、各社が定める勤務時間に沿って仕事をし、1日の実働は8時間程度です。

ただし、広告を出すにあたっては定められたスケジュールに沿って業務を進めなくてはならないため、抱えているプロジェクトの状況によっては残業が増えることもあります。

平常時はきちんと休日を取れますが、携わっているプロジェクトの追い込み時期には休日出勤をして対応しなくてはならないこともあるでしょう。

少し落ち着いている時期を見計らってしっかりと休んでおくなど、メリハリをつけた働き方が大事になってきます。

広告宣伝の求人・就職状況・需要

新卒での採用例はあまり多くなく、狭き門

一般企業で活躍する広告宣伝の場合、新卒でいきなりこの仕事に就けるケースは決して多くありません。

どの企業でも、まずは営業など別職種で現場をよく知ってから、広告宣伝を担当するケースが一般的です。

そもそも広告宣伝部門自体、どの企業でもそこまで規模は大きくないため、配属されるチャンスは限られています

広告宣伝部門への配属を強く希望するのであれば、現在の仕事でしっかりと成果を残していくことはもちろん、広告宣伝がやりたいことを社内でアピールする必要があります。

広告宣伝の転職状況・未経験採用

基本的には即戦力になれる経験者が採用される

広告宣伝は、多様な企業で活躍してます。

大手企業であれば新卒採用が中心で、本人の希望や能力に応じて広告宣伝に配属されます。

ただ、広告宣伝部門がある企業でも、そこで活躍する人数はさほど多くありません。

中途採用を行う企業は、基本的には欠員による補充を目的としているため、即戦力になれるスキルや経験が求められます。

広告宣伝そのものの経験がなくても、マーケティングや広報関連の職務経験がある人は優先的に採用されるでしょう。

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広告宣伝と広報の違い

広告宣伝は広告を出し、広報は自社の情報をメディアに伝える

「広告宣伝」と「広報」は、どちらも企業に置かれる部門や職種のひとつです。

どちらも自社の情報を外に発信する仕事に携わりますが、正確には異なる役割を担っています。

まず、広告宣伝は、自社に関する広告をメディア(テレビ、ラジオ、雑誌、Webなど)に掲載するための仕事を担当します。

広告代理店の担当者と打ち合わせながら、どのような目的でどのような広告を出すのか、予算やスケジュールなどまで具体的に詰めていきます。

広告を出す際には都度、大きなお金が動くことが特徴です。

一方、広報とは、メディアに対して自社の情報に関するプレスリリースを発信したり、メディア関係者に対して説明会を開いたりといった業務を担当します。

自社の情報を伝えることでメディアが興味を持てば、お金をかけずにニュースなどに取り上げてもらえるチャンスもあります。