【2021年版】考古学者の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「考古学者」とは

過去の人が残した遺跡や遺物を発掘し、人類の生活様式や文化を研究・発表する。

考古学者とは、遺跡や遺物など人類が残した過去の痕跡から、その生活様式や変化を研究する人のことを指します。

発掘チームを結成して発掘を行い、そこでの出土品や遺構を記録し、報告書にまとめます。

「学者」や「研究者」の一種ともいえますが、考古学者は、実際に外に出て調査を行う機会が多いことが特徴です。

考古学になるには、大学の史学科や歴史学科で考古学を勉強したのち、大学院に進んでさらに専門性を高め、研究活動を続けるのが一般的なルートです。

考古学者の働く場や働き方はさまざまで、研究を続けながら「学芸員」の資格をとって博物館で働く人もいれば、教育委員会で文化財の専門家として働く人、また大学教員として考古学に関する講義をおこなう人などがいます。

いずれも募集人員はあまり多くなく、安定した雇用環境で働ける人は限られています。

「考古学者」の仕事紹介

考古学者の仕事内容

遺跡や遺物の発掘作業を通し、人類の過去を研究する

考古学者は、国内外の遺跡や遺物などを発掘し、人類の生活様式や文化、もしくは恐竜に代表される昔の生物や自然環境の変化などを研究する人のことです。

発掘チームを作って発掘作業を行い、出土品があれば記録・保管し、報告書にまとめます。

実際の働き方は人によってさまざまで、文化財の専門家として役所や教育委員会で働く人や、大学教員になる人、あるいは学芸員として博物館に勤める人などもいます。

大学勤務であれば講義を通して学生に考古学のなんたるかを教え、博物館に勤める場合は来館者にわかりやすく展示の説明をするなど、勤務先によって仕事内容には違いがあります。

勤務先の仕事と研究を両立させる

考古学者の多くは、純粋に遺跡の発掘調査や研究活動だけを行うのではなく、先に挙げた通り、大学や教育委員会などに所属して生計を立てています。

一部の著名な考古学者を除けば、個人的な研究活動のみで生活できるだけのお金を得るのは難しいため、勤務先の日々の仕事と研究活動をうまく両立させながら生きていくことになります。

また、ひとことで考古学者といっても、人によって専門分野や地域は異なります。

自身のテーマを見つけて、突き詰め続けていく姿勢が必要になります。

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考古学者になるには

大学や大学院で専門分野の学びを深める

考古学者になるのに、必ず求められる資格や免許のようなものはありません。

しかし、現実的に「考古学者」と名乗るには、考古学を専門的に学び、研究を続けていくことが大前提です。

このため、まずは高校卒業後に大学の史学科などへ進学することが第一歩といえます。

ほかの分野の学者や研究者と同様、考古学者にも高度な専門性が求められることから、大学院にまで進んで論文を書き、修士号や博士号をとっている人も多いのが特徴です。

学生時代にどれだけ研究に没頭し、成果を残せるかが、その後の活動にも影響してきます。

教育委員会や研究所などに所属して働く人がいる

「考古学者」というのはあくまでも考古学の研究をする人を広く表す言葉であり、実際の働き方の選択肢は多様です。

どこかの組織に就職する場合には、教育委員会の文化財保護課や、民間の考古学研究所などが挙げられます。

このほか、大学の教員となって学生に考古学を指導したり、学芸員の資格を取得することで博物館の専門職員として働いたりする道もありますが、いずれも求人は多くありません。

発掘調査だけを行いたいのであれば、市町村が単発で募集する調査員の求人に応募するのもよいでしょう。

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考古学者の学校・学費

大学の史学科や歴史学科などで考古学を学ぶ

考古学者を目指すのであれば、大学で考古学を専門的に勉強していく必要があります。

考古学者の出身学部で多いのは文学部や歴史学部、学科でいうと、史学科や考古学科の卒業生が多いです。

また、社会学科や文化財学科などの名称の学科でも、考古学について学べる場合があります。

大学選びに際しては、日本考古学協会がホームページに考古学の大学講義一覧を掲載しているため、そちらを参考にするとよいでしょう。

自分の関心のある分野に関する授業はあるか、専門の教員がいるかどうかをチェックしてみてください。

ただし、大学では考古学の基礎は学べても、考古学者として専門的に活動していくだけの知識を深めるのは難しいと考えられているため、大学卒業後は大学院へ進学し、研究を重ねて修士号や博士号を取得することも視野に入れる必要があります。

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考古学者の資格・試験の難易度

勤務する場によっては学芸員の資格が必要になることも

考古学者になるために特別な資格は必要ありません。

大学や大学院で考古学について専門的に学び、自身のテーマにもとづいて研究活動を続けていくことが、考古学者として活動するための基本です。

ただし、仕事をする場所によっては資格が求められることもあります。

たとえば博物館で専門的な職員として勤務するには、国家資格の「学芸員」を取得しなくてはなりません。

学芸員資格を取得するおもな方法は、大学や短期大学で定められた科目の単位を修得することや、文部科学省で行う資格認定試験に合格することなどがあります。

考古学者としてどのような働き方をしたいのかを考えて、学芸員資格の必要性について考えていくとよいでしょう。

考古学者の給料・年収

勤務先によって収入に大きな差が出やすい

考古学者の給料・年収は、どのような場所で、どういった働き方をするかによって変わってきます。

役所や教育委員会、大学、一般企業などに勤務する場合は、各職場の給与規定にもとづき、毎月固定の給料が支払われることが一般的です。

平均年収は、大学教授にもなれば1000万円前後を見込めますが、教授になれるのは一握りの人だけですし、厳しい競争の世界が待っています。

博物館で学芸員として働く場合の平均年収は、私立であれば250万円~400万円ほど、また国立の博物館の館長になれば1000万円を超えるケースもあります。

ただし、こうした職場で安定した収入を得られる人はほんの一握りであり、不安定な非正規雇用の身分で働く人も少なくありません。

収入アップのためには専門性を磨いて実績を残す

現在、考古学者として純粋に自身のテーマにもとづく発掘調査や研究活動だけで生計を立てている人は、ほとんどいないといわれています。

多くの人は、大学や自治体、研究所などで雇われて仕事をしながら、自身の研究活動を続けているのが実情です。

こうしたなかで考古学者が収入を上げていくには、自身の専門性を磨いて、実績や研究成果を地道に残していくことが大切です。

論文が評価された場合には、研究予算が大きく増えて、さらに研究の幅を広げるチャンスが得られることもあります。

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考古学者の現状と将来性・今後の見通し

安定した身分や待遇は得られない可能性も

日本では、興味さえあれば、素人が発掘作業に参加することも可能です。

そのため、考古学の魅力に関心を寄せる人は少なくありませんし、考古学者を目指すための入口は広いといえます。

地球や人類そのものを見つめなおす考古学の研究は、非常に価値のあることです。

しかしながら、考古学の知識を存分に生かして安定的に働ける職場は限られており、正規雇用で採用される人数も少ないのが現状です。

役所や教育委員会に勤めれば安定はしているものの、夢見ていたような働き方ができない可能性もあります。

また、大学や研究機関でも不景気で教育や研究に関する予算が減っているのが実情です。

考古学者の活躍の仕方は多岐にわたるため、まずは将来をしっかりと見据えて、どんな考古学者になりたいのかイメージすることが大切といえます。

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考古学者の就職先・活躍の場

大学や研究機関のほか、多様な就職先がある

考古学者は、広い意味で捉えると「考古学を研究する人」を指しているため、実際の活躍の場は多岐にわたります。

大学をはじめ、博物館や教育委員会、民間の発掘調査会社や研究機関、埋蔵文化財センターなど、さまざまな場で考古学の知識を生かして働いている人がいます。

考古学者の調査対象となるフィールドも、国内外を問いません。

自身のテーマに関連する遺跡などが見つかれば、世界のどこへでも足を運びます。

有名な考古学者になれば、日常業務や研究活動の傍ら講演会や書籍の執筆などにも携わり、考古学の魅力を発信していく人もいます。

考古学者の1日

休みを使って個人的な研究活動を続ける人も

博物館や教育委員会、大学、発掘調査会社などで働く考古学者の勤務時間は、一般的な日勤の会社員と同様です。

非常勤勤務の場合には、1日に数時間だけ出勤することがあります。

フルタイム勤務の場合、休日は週休2日制が基本で、しっかりと休めますが、オフの時間を利用して個人的に考古学の勉強や研究活動に勤しむ人も多いです。

ここでは、大学で働く考古学者の1日を紹介します。

8:40 出勤
9:00 講義
10:40 研究・報告書作成
12:00 昼食
12:30 打ち合わせ
14:00 ゼミ準備
14:40 講義
16:30 学生の指導
17:30 教授会に出席
19:00 帰宅

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考古学者のやりがい、楽しさ

世界中が考古学者の研究フィールドとなる

研究を続ける考古学者にとってのやりがいは、自分が興味関心を寄せる研究対象に対して、発掘を通して存分に向き合えることだといえます。

過去の文化や暮らしを解明するロマンあふれる仕事であり、日本はもちろん、広い世界のさまざまな地域で活躍できるフィールドがあるのも考古学者の魅力です。

一つひとつ手がかりを積み重ねることで、歴史に埋没していた研究対象が像を結んでいく楽しさは、他の仕事ではなかなか味わえないものです。

これまで誰も知らなかった事実を明らかにすれば、後世に語り継がれたり、歴史に名を残す存在になったりできるかもしれません。

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考古学者のつらいこと、大変なこと

長期間にわたって思うような成果が出ないことも

考古学者がおこなう発掘作業は、ときに過酷な環境で進められます。

気温や天候の変化に苦しめられることはよくありますし、フィールドが海外の場合は、慣れない環境に身を置かなければなりません。

ときにケガのリスクもある厳しい環境下、長時間粘っても成果が出るとは限らず、掘っても掘ってもなにも出てこないこともあります。

また、考古学者の大半は、生活を成り立たせるために大学や博物館、研究機関などに所属しており、そこでの仕事に追われると、必ずしも自分の興味のある対象を追いかけられるとは限りません。

実際に働き始めてみると、自分が本来携わりたいと思っていた研究は、ほとんどできないままという事態もあり得ます。

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考古学者に向いている人・適性

知的好奇心、根気、体力を備えている人

考古学者に向いているのは、知的好奇心が強く、継続的に物事に取り組める人といえます。

発掘作業は時間のかかるものですし、簡単に結果が出るわけではありません。

成果が出なくても、すぐには諦めずに目標に向かって突き進む情熱と根気のよさが求められます。

また、得られた手がかりを結び付けて歴史の謎を紐解いていくには、知識と探究心が欠かせません。

歴史に強い関心を持ち、学び続ける姿勢が大切です。

フィールドに出ての発掘自体は肉体労働の側面も強いため、体を動かすことを苦にせず、体力があることも重要な要素の一つです。

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考古学者志望動機・目指すきっかけ

子どもの頃から遺跡や歴史に興味を抱いていた人が多い

考古学に興味をもつきっかけや背景は、人によってさまざまです。

たとえば、子どものころに博物館で土器を見てワクワクした人もいれば、考古学に関する伝記を読んで心動かされた人、あるいは歴史に対する関心の延長線上で考古学を専門にしたいと考えた人など、人の数だけ理由があります。

考古学をテーマにした漫画や映画も多くあるため、物語を通して感化された人もいることでしょう。

また、例はさほど多くありませんが、学生時代に偶然、発掘調査のアルバイトをしたのがきっかけで、考古学の魅力に気づく人もいるようです。

そこから実際に考古学者を目指す人は限られていますが、歴史にロマンを感じて考古学の世界に憧れを寄せる人は決して少なくありません。

実際に目指す人は限られているかもしれませんが、興味を持ったり憧れを寄せたりする人は決して少なくない、魅力的な仕事です。

考古学者の雇用形態・働き方

常勤で安定的に働く人は限られている

考古学者として、純粋に発掘や研究活動だけをおこなって、生活できるだけの収入を得るのは難しいものです。

多くの考古学者は、大学や博物館、考古学の研究機関などでの勤務を希望しますが、大学教授を目指すにしても博物館や専門機関で働くにしても、募集枠は非常に少ないのが実情です。

このため、実力と運の両方に恵まれなければ安定した職は得られません。

現実的には、非常勤などの非正規雇用で働く人も多く、不安定な立場が長く続くと、見切りをつけて考古学の世界から離れてしまうケースも数多くあります。

それでも夢をあきらめきれない人は、考古学とはまったく関係ないアルバイトなどを続けながらでも、休日などを利用して研究活動を続けています。

考古学者の勤務時間・休日・生活

就職先や活躍の場によっても異なる

考古学者の勤務先や働き方はさまざまであるため、人によって生活スタイルには違いが出ます。

大学勤務の場合は、大学での講義や会議の予定を中心に組み立てていき、それ以外の時間で研究活動に没頭します。

博物館や教育委員会、民間の発掘調査会社、埋蔵文化財センターなどで働いている場合は、基本的には一般的な日勤の会社員と同じように朝から夕方にかけて仕事をします。

決まった曜日で休みがとれ、比較的規則正しい生活を送りやすいですが、博物館は展示前の期間に残業が発生し、多忙になることがあります。

出勤日は勤務先の業務に追われがちなため、休日を使って個人的な発掘調査活動を続けている人も少なからずいます。

考古学者の求人・就職状況・需要

求人数が少ないため、人脈を築いておくことが重要

考古学者は、大学や博物館、民間の研究施設などで働くことを希望する人が多いですが、それらの求人数は非常に少なく、なかなか安定した雇用には恵まれづらくなっています。

このため、若手の考古学者はアルバイトやボランティアで発掘調査に参加しつつ、あまり生活に余裕がない状態で研究活動を続けている人もいます。

考古学者としてよい待遇で働ける先を見つけるためには、自身の研究テーマに関する専門性を磨き続ける努力はもちろんのこと、学会などを通じてコネクションをつくるなどの意識も重要です。

大学や大学院在学中から、積極的に人の輪を広げておくとよいでしょう。

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考古学者の転職状況・未経験採用

未経験からの転職は非常に厳しい世界

考古学者は非常に専門性の高い職であるため、未経験採用はほとんどないと考えておいたほうがよいでしょう。

大学教員にしろ、博物館の学芸員にしろ採用枠が少ないため、経験がある人であっても転職を成功させるのは決して簡単ではありません。

考古学者を目指すのであれば、大学と大学院で地道に考古学を学び、コネクションをつくっていく努力が必要です。

これまで考古学と関係のない仕事をしてきた人の場合、いきなり考古学の世界への転職を試みても非正規雇用でしか職が得られず、食べていけない可能性が高いです。

仕事を続けながらでも大学や大学院に進学し、時間をかけて考古学の勉強をするだけの情熱や覚悟があるかどうかを、よく考えてから行動することをおすすめします。

考古学者と古生物学者の違い

研究対象が人類か、それとも生物か

考古学者と研究領域が近く、しばしば混同されやすい職業に「古生物学者」があります。

両者の違いをわかりやすくいうと、以下のようになります。

考古学者:人類の文化の歴史を研究し、解き明かしていく人
古生物学者:生命の歴史を研究し、解き明かしていく人

考古学者の場合、研究対象とするのは、あくまでも「ヒト」の歴史に関することです。

土器や石器などを発掘し、過去に人類がどのように生活していたのか、どのような文化が根づいていたのかなどを明らかにしていきます。

一方、古生物学者が研究対象とするのは、たとえば恐竜などの生物です。

発掘された化石を通して、過去に生息していた生き物の実態を解き明かしていきます。