「全国通訳案内士」とは

全国通訳案内士_画像

訪日外国人に対して日本の魅力をわかりやすく伝え、滞在中の生活を広くサポートする。

全国通訳案内士とは、日本を訪れる外国人の観光客に対して、日本の観光地や文化を案内したり、旅行中のサポートをする仕事です。

有償の通訳ガイド自体は無資格でも行うことができますが、「全国通訳案内士」と名乗れるのは全国通訳案内士の国家試験に合格し、都道府県の登録を受けた人のみとなっています。

この仕事では、高い語学力に加え、日本の文化や歴史・経済などに関する幅広い知識を生かして働きます。

また、旅行スケジュールの管理やホテルの予約といったツアーコンダクター的な業務を担当することもあります。

全国通訳案内士国家試験の難易度は高く、合格率は例年10%程度を推移しています。

現状では正社員として働く人は少なく、多くの人が兼業やフリーランスで活動していますが、日本への外国人観光客の数は右肩上がりに増加しており、とくに地方で活躍できる人材や、アジア圏の言語が扱える人材の需要が拡大しています。

「全国通訳案内士」の仕事紹介

全国通訳案内士の仕事内容

訪日外国人に対し、日本の魅力を外国語で伝える

全国通訳案内士は、日本を訪れる外国人を各地の観光地へ案内しながら、日本の文化や伝統を外国語で伝える仕事です。

外国語を使ってガイドをするため、英語を中心とした外国語のスキルは必須です。

言語以外にも、外国人が興味を持つような日本の文化や歴史・経済などの知識も持ちあわせている必要があります。

また、旅行スケジュールの管理やホテルの予約、滞在中のトラブルの対応など、ツアーコンダクターさながらの業務を担うこともあります。

全国通訳案内士は、日本に対する観光客のイメージに大きく関わることから「民間外交官」とも呼ばれるほどで、お客さまの旅を総合的に演出する、まさにプロの観光ガイドといえるでしょう。

全国通訳案内士の就職先・活躍の場

フリーランスとして働く人が多い

通訳案内士はフリーランスで働く人が多い職業です。

日本を訪れる外国人は年々増加しており外国語が堪能な通訳案内士の需要が高まっている一方で、環境業を営む企業へ正社員として就職できる機会は多くありません。

全国通訳案内士は、企業などへ就職するというよりも、フリーランスで働く人が多い職業です。

日本を訪れる外国人は年々増加しており、外国語が堪能な全国通訳案内士の需要が高まっている一方で、正社員として就職できる機会は多くありません。

フリーランスで活躍している全国通訳案内士は、「日本観光通訳協会」という社団法人に登録後、そこからガイドの仕事を斡旋してもらうことが多くなっています。

通訳ガイドの業務のみを担う社員を雇う旅行会社や代理店は少ないですが、全国通訳案内士の資格を持っていることで、総合職としての採用には有利になることもあるようです。

全国通訳案内士の1日

案件によって1日の流れはさまざま

外国人観光客を日本各地へ案内する全国通訳案内士の1日の流れは、ツアーの内容によって異なります。

ここでは、一般的なツアーを例にとって紹介します。

09:00 出勤
お客さまが滞在するホテルに出向き、合流します。

10:00 観光地を案内
お城や寺社仏閣などを英語等で案内し、疑問に回答します。

12:30 昼食
お客さまが昼食をとっている間に午後のスケジュールを確認します。

14:00 美術館見学
団体券を購入し、英語等で館内を案内します。

16:00 お土産購入
お土産の紹介をしながら買い物スポットを案内します。

18:00 勤務終了
お客さまをホテルへ送り届け、勤務終了です。

20:00 翌日のガイド先の下調べ
連日ガイドが続く場合は勤務終了後に次の目的地の情報収集をします。

全国通訳案内士になるには

全国通訳案内士の資格を取得を目指す

全国通訳案内士になるには、国家資格である全国通訳案内士の資格を取得する必要があります。

通訳ガイドの仕事自体は無資格であってもできますが、全国通訳案内士と名乗れるのは、この資格を取得した人のみとなっています。

この国家試験は受験資格に制約がなく、これまでには10代前半の合格者も出ています。

しかし、全国通訳案内士に求められるのは外国語のスキルをはじめ、日本の歴史や地理・文化・産業など多岐にわたります。

国家資格取得後は、旅行代理店や日本観光通訳協会などに登録し、仕事を紹介してもらいながらスポットで働く人が多くなっています。

全国通訳案内士の学校・学費

特別な学校に通わなくても資格取得は可能

全国通訳案内士の受験資格には制約がなく、学歴をはじめ、年齢や国籍にも制限がありません。

資格取得のために必ず通うべき学校や修了しなければならない課程はないため、受験だけであれば、どのような人にも門戸が開かれている試験のひとつです。

しかし、独学で合格をするのは決して簡単ではないため、外国語系の学校や、通訳・翻訳者の養成スクールなどで全国通訳案内士の講座を受講する人も多いようです。

単発講座の受講費は1回あたり1万円程度で、通学の場合は年間20万円〜40万円前後の学費を設定している学校・スクールが多いようです。

全国通訳案内士の資格・試験の難易度

語学力以外の知識も問われる難関試験

全国通訳案内士は、国内の語学系資格のうち唯一の国家資格となっています。

合格率は、10%~20%程度になる年度が多く、数ある資格のなかでも難関の部類に入るといえるでしょう。

まずは筆記試験に合格し、次いで口述試験にも合格することで、ようやく全国通訳案内士として登録が可能になります。

筆記試験では日本の地理や歴史なども出題され、多くの人が不合格となっているため、語学以外の部分の試験対策も必須といえます。

なお、各言語や地理・歴史の能力検定で所持している点数によっては、免除される科目もあります。

全国通訳案内士の給料・年収

スポットでの仕事が多く、収入は不安定になりがち

全国通訳案内士はフリーランスで働く人が多く、その場合の収入は、1回の仕事ごとに支給される「日当」となります。

日当は1万円~3万円程度が相場となっていますが、長期ツアーのガイドが入ると、もっと多くの額を一度に得ることもできます。

しかし、フリーランスは基本的に福利厚生などもなく、特に新人のうちはあまり稼げず不安定な生活になりがちです。

また、繁忙期・閑散期によって仕事量が左右するため、全国通訳案内士の業務のみで生計を立てている人は少ないのが実情です。

他に収入源を持っている人がアルバイトとして従事しているケースや、通訳や翻訳など語学力を生かせる仕事と兼業で、全国通訳案内士の仕事をしているケースも目立ちます。

全国通訳案内士のやりがい、楽しさ

自分のガイドで日本の魅力を伝えられる

全国通訳案内士は、ガイドをする国のお客さまがどんな情報を求めているかをよく観察し、彼らのニーズを満たすような案内の方法を考えなければなりません。

また、日本の文化やマナーは、世界から見れば常識はずれで不思議なことも多くあります。

言語も文化もまったく異なるお客さまに日本独自の歴史や作法を理解してもらい、さらには好きになってもらうことができたときに、全国通訳案内士は喜びを感じます。

自分のガイドに満足していただき、「楽しかった、ありがとう」と声をかけてもらえるのは、全国通訳案内士にとって最もやりがいを感じる瞬間のひとつです。

全国通訳案内士のつらいこと、大変なこと

綿密な下調べと体力が必要な仕事

全国通訳案内士がガイドに出る前には、案内先に関する綿密な下調べが必要です。

観光地の情報から関連する歴史や文化、一般常識などを事前にインプットして、お客さまを迎える準備をしなければなりません。

いざツアーの当日になると、1日中動き回るため体力も消耗します。

日本に慣れないお客さまを案内するため、予定通りに進まないことも多く、トラブルに対処したり細やかな気配りが求められたりと、精神的にも落ち着く暇がありません。

観光地のガイドは日本語で行うにしても大変な仕事です。

外国語でお客さまを取りまとめるのには、相当な気力と体力が必要となるでしょう。

全国通訳案内士に向いている人・適性

柔軟な対応力とホスピタリティの精神

全国通訳案内士は、訪日外国人の日本に対する印象を左右する重要な役割を担います。

高い語学力や日本に関する幅広い知識はもちろん、親しみやすい人柄やコミュニケーションが備わった人材が求められます。

また、旅行にはつきものとも言えるトラブルを臨機応変に対処する能力や、大人数をまとめることのできる統率力も必要となるでしょう。

しかし何より大切なのは、お客さまに心から旅行を楽しんでもらいたいという、日本的な「おもてなしの精神」かもしれません。

全国通訳案内士志望動機・目指すきっかけ

語学力を強みに、日本の良さを外国人に伝えたい

全国通訳案内士の志望者には、ある程度の語学力があり、外国人とのコミュニケーションを楽しめる人が多いです。

英語以外のさまざまな言語を習得している日本人は意外と多いですが、活躍できる場は、ごく限られています。

その点、全国通訳案内士には、英語や中国語といった習得者が多い外国語以外でも受験可能な言語がたくさんあるため、語学力や海外在住などの経験を生かしたい人にはぴったりの試験です。

現時点において、全国通訳案内士の業務のみで生計を立てるのは難しいですが、語学力を強みに働ける場所を見つけたいと考える人が、全国通訳案内士を目指すケースが多いようです。

全国通訳案内士の雇用形態・働き方

フリーランスとして代理店等に登録する

全国通訳案内士のおもな働き方は、フリーランスとなっています。

「一般社団法人 日本観光通訳協会」や、旅行会社・旅行代理店に個人で登録し、ガイドの案件が発生するたびに仕事を紹介してもらいながら働く方法が一般的です。

旅行のシーズンによって斡旋してもらえる仕事量に増減があるため、安定した収入を得られる働き方とはいえないでしょう。

そのため、他の収入源を持っている人や主婦・主夫など、空いた時間に副業として仕事をする人が多くなっています。

ただし、正社員としての募集が行われる機会もゼロではありません。

全国通訳案内士の勤務時間・休日・生活

勤務時間は長いが柔軟な働き方がしやすい

全国通訳案内士の働き方は、フリーランスとして旅行会社や代理店などに登録をし、案件ごとに仕事をもらう形が一般的です。

1日がかりのツアーを担当する案件もあるため、勤務日の拘束時間は早朝から夜遅くまでになることは多いでしょう。

宿泊をともなうツアーを担当することもありえます。

一般企業の内勤などに比べると勤務時間は長くなりますが、登録制であれば、働きたい時にだけ仕事を入れることができるため柔軟な働き方が可能です。

一方、この仕事一本で生計を立てていきたい場合には、就職先探しに苦労する可能性があります。

全国通訳案内士の求人・就職状況・需要

派遣会社へスタッフ登録をしながら、自分を売り込む努力も

全国通訳案内士の求人で最も多いのが、旅行会社や派遣会社などにおける、登録制スタッフの募集です。

インバウンド事業が盛んになるなか通訳ガイドができる人の需要は増えており、全国通訳案内士の国家資格取得者は、ほとんどの場合で登録が可能でしょう。

ただし、全国にいる登録者の中からツアーの行き先や言語などの条件に合った人材が選ばれ、仕事の依頼を受けることになります。

ベテランの全国通訳案内士が優先されることも多いため、経験が浅いうちは積極的に研修を受けて知識を増やしたり、自ら旅行会社へ営業をかけたりと、受注するための努力が必要となるでしょう。

全国通訳案内士の転職状況・未経験採用

仕事を見つけるのに苦労する可能性も

現在、訪日外国人を日本各地へ案内する仕事を担うのは、同じ外国人のガイドまたは日本人ボランティアであることが多いです。

そのため、全国通訳案内士に回ってくる案件の数は必然的に少なくなり、この仕事のみで生計を立てるのはまだまだ厳しいのが実情です。

とはいえ、全国通訳案内士の仕事は、高い語学力を持ち、外国人とのコミュニケーションに関心がある人にとっては大きなやりがいを感じられるものとなるでしょう。

今後は国家資格を取得することによって、優先的に働ける場が増えることも考えられます。

全国通訳案内士の現状と将来性・今後の見通し

確かなスキルを持ったガイドの活躍に期待が高まる

全国通訳案内士という職業は、世間ではまだまだ地位を確立できていないところがあります。

国家資格とはいえ、せっかく取得しても実際に全国通訳案内士を生業としている人は、資格取得者全体の2~3割程度といわれています。

その背景には、全国通訳案内士に依頼できる絶対的な仕事量が足りないという理由があるようです。

一方で、日本への外国人観光客の数は右肩上がりに増加しており、とくに地方で活躍できる人材や、アジア圏の言語が扱える人材の需要が拡大しています。

法改正によって無資格者でも有償の通訳ガイドができるようになった現在だからこそ、有資格者は差別化を図ることができ、より重要な案件を任されたり、良い待遇で働けたりする場が増える可能性があります。