【2021年版】測量士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「測量士」とは

あらゆる建造物を造る際に必要な土地の位置・高さ・長さ・面積を測り、図面を作成する。

測量士とは、すべての建設工事において必要な測量を行う仕事です。

作業計画や測量計画のもとに測量を行い、そのデータをもとに図面を作成します。

測量法に基づき国土交通省(国土地理院)が所管している国家資格で、測量業者に配置が義務づけられています。

具体的には、営業所ごとに一名以上の有資格者(測量士ないし測量士補)を設置する事が、測量法によって求められています。

測量士は、測量業者の行う測量に関する計画作製に従事又は実施するものです。

なお、測量士の下位資格である測量士補は、測量業者の作製した計画に従って測量に従事するのみとなっており、その権限や立場に差がつけられています。

測量士の平均年収は400万円前後と言われており、一般的なサラリーマンと変わりありません。

需要が急激に増えることは見込まれないものの、測量士の資格を持つ人の多くは高齢であり、世代交代のために若い世代を欲しているところが多いです。

これから測量士を目指す人にとってはチャンスといえるでしょう。

「測量士」の仕事紹介

測量士の仕事内容

「測量」はさまざまな工事の根幹をなす重要な仕事

さまざまな現場で測量を行う

測量士は、建設現場などにおいて、工事が安全かつ円滑に進むように測量計画を策定し、実際の計測作業を行う「土木測量」が主な仕事です。

建物を建てる場合であっても、道路や鉄道、トンネル、橋、ダムなどのインフラをつくる場合であっても、設計図を引いたり工事を行ったりする際には、底地に関する正確な情報が不可欠です。

測量士は、あらかじめ策定した「測量計画」に基づき、さまざまな計測機器を駆使して現地でデータを収集し、分析作業や誤差修正作業なども行って、工事の基礎となる測量図を作成します。

測量作業には、「土木測量」のほか、地図や航空写真、カーナビ、スマホアプリのデータなどをつくるために行われる「地図測量」や、個人・法人所有の土地を計測する「地籍測量」などもあります。

この測量業務は、測量士だけに行うことが許可された「独占業務」です。

外業と内業

測量士が野外で行う測量作業は「外業」と呼ばれ、位置情報を計測する「GPS」など、専用の測定機器を使って各種データを収集します。

路上で三脚に乗った機械を覗き込んでいる測量士を見かけたことがある人も多いでしょう。

近年は測量機材が飛躍的な発展を遂げており、得られるデータの質・量ともに大きく向上し、また作業の効率性も高まっています。

外業に対して、事務所におけるデスクワークは「内業」と呼ばれ、近年は扱うデータ量が増えていることもあり、事務作業も非常に増えています。

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測量士になるには

業務範囲の異なる2種類の資格がある

測量士の資格を取得するには

測量士になるには、まず測量士の国家資格を得ることが必要です。

その取得方法はおおまかに分けて2種類あり、ひとつめは、測量士国家試験を受ける方法、もうひとつは、学歴や職歴などの指定された条件をクリアする方法です。

どちらかの方法で資格を取得したあと、国土地理院に資格を登録すると、晴れて測量士としてのキャリアをスタートさせることができるようになります。

測量士を目指せる学校としては、大学や短大では理工学部の建築学科や土木工学科など、専門学校では、建築系や工学系学校の、土木工学科や設計デザイン科などが対象となります。

指定された教育機関での学歴があれば、実務経験を積むだけで測量士資格が得られますので、測量士を目指すならば、測量科目を履修できる学校に進学するとよいでしょう。

測量士補からスタートする人も

測量士になるためには国家資格と免許登録が必要ですが、その資格には「測量士」と「測量士補」の2種類があります。

測量士補は、現場での測量業務自体は行えますが、その作業手順は測量士の作成した「測量計画」に従わねばならず、また自分自身で測量計画を作成することもできません。

測量士補のほうが資格取得の難易度は低いものの、多くの人は測量士資格の取得を目指すようで、実際の現場でも測量士のほうが多い印象です。

まずは無資格の状態で、あるいは下位資格である測量士補として、測量事務所などに就職し、その後測量士資格の取得を目指す人が多いです。

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測量士の学校・学費

進学するだけで測量士資格を取得できる道がある

測量士になるためには国家試験に合格する方法と、試験を受けず資格を取得する方法の2通りがあります。

国家試験に受験資格はなく、誰でも受験できますので、高校生で受験する人もいます。

試験を受けないルートは学歴などによって条件が異なります。

・大学で測量に関する科目を納めて卒業し、実務経験を1年以上有する
・短大や高専で測量に関する科目を納めて卒業し、実務経験を2年以上有する
・専門の養成施設で測量士補となるのに必要な知識と技能を1年以上学び、実務経験を2年以上有する
・既に測量士補の資格を有し、専門の養成施設で高度な専門知識と技能を修得する

これらのいずれかを満たして国土地理院に登録すれば測量士になれますが、どちらの方法を選択するかは各自の判断に委ねられます。

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測量士の資格・試験の難易度

合格率は毎年1割前後の難関資格

合格率は低く倍率も高い

測量士試験の合格率は年によって多少のばらつきがありますが、概ね10%前後で推移しており、受験者の多くが実務経験者である点も考慮すると、かなりの難関といえます。

試験を受けず、専門学校などに通って資格取得する道もありますが、時間と費用がかかる点に留意しなければなりません。

過去5年分の試験問題と解答は国土地理院のホームページから取得できますし、多くの試験対策情報、問題解説も簡単に得られますので、独学での合格も決して不可能ではありません。

合格までにはおよそ300時間の勉強が必要といわれていますが、挑戦してみる価値は十分にあるといえるでしょう。

測量士試験で問われること

測量士試験では、測量法や国際条約、多角測量、水準測量、地形測量といった各種測量技術、地図の編集、地理情報システムなど、測量に関する幅広い分野の知識が問われます。

また、知識問題に加えて、三角関数や基線解析といった高校数学レベルの計算問題や、測量の作業工程に関する記述問題なども出題されます。

学校に通ったり、通信講座を利用したりして、しっかりと対策しなければ合格は難しいでしょう。

一方、測量士は難関国家資格であるにも関わらず、上述したように、無試験で資格を取得できる方法もあるという点が大きな特徴です。

資格を得る方法が複数あることを踏まえると、測量士の資格取得難易度はそこまで高くないといえるでしょう。

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測量士の給料・年収

業務のわりに年収は低めで高収入は期待できない

一般的なサラリーマンとさほど変わらない

測量士の平均年収は450万円ほどとなっており、平均的なサラリーマンとほぼ変わらないか、少し高いくらいの水準です。

測量士は、業務を行うために国家資格が必要になるうえ、求められる知識やスキルも高度であり、かなり専門性の色濃い技術職といえます。

その割に、残業の多さ、外を歩き回る肉体的な厳しさなどを鑑みると、決して労務に見合った給与とはいえないかもしれません。

また勤務先の業種によって給与に多少の差があり、建設コンサルタント会社の年収が相対的に高い一方、地方の工務店など小規模の会社は年収300万円~400万円となるケースもあるようです。

給料が一定に達すると頭打ちになってしまうことも多いため、収入アップを目指すのであれば、特殊なスキルを磨く、関連する国家資格を取得して活躍の場を拡げるといった努力が必要です。

新人のうちは給料がさらに低めとなる

測量士の初任給は、およそ20万円が相場であり、一般的な大卒の新卒者とほぼ同じくらいの水準です。

測量士になるルートは複数ありますが、資格を得るまでに数年程度の実務経験が必要になるケースが多いため、新人や若手のうちは、無資格や測量士補で働く人が大半を占めます。

新卒の時点では、資格や実務経験がないために、どうしても給料が低めにおさえられてしまうのです。

その代わり、測量士の資格を取得した時点で、基本給に加えて資格手当が付くなど、ある程度収入がアップするケースが多いようです。

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測量士の現状と将来性・今後の見通し

需要は減少傾向だが、競争は緩和される見通し

高齢化がすすむにつれ社会保障費の増大しており、政府はインフラ整備などの公共事業を抑制し続けています。

公共工事量が減少し続けている近年、測量士の業務量が今後大きく増えていくことは想定し難い状況です。

それでも、公共工事、民間工事を問わず、土地開発事業は今後も一定程度は実施されていくでしょうし、測量士の需要は今後もあり続けると思われます。

また、測量士有資格者の年齢構成は高齢者に偏っており、今後引退する測量士が増えて競争が緩和してくれば、これから測量士を目指す人にとってはチャンスと考えられます。

測量技術が発達し、将来的にはAIなどで自動化することも予想されますが、対応できない複雑な案件は少なからずあり続け、人の手による測量は今後も不可欠でしょう。

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測量士の就職先・活躍の場

専門職のため、測量専門の会社に勤めて働く

測量会社は測量法に基づいてその運営方法が定められており、1事業所ごとに1人以上の測量士の有資格者を置かねばなりません

それに加え、測量という業務自体が非常に専門的であることから、測量士の多くは、測量事業のみを専門に取り扱う測量会社に就職することが多いです。

建設コンサルタント会社という、主に公共事業などの大規模工事における計画立案や調査を支援する企業に勤める場合もあります。

そのほか、地図を作成する会社に勤めて地図測量に特化した業務を行ったり、経験を積んだ後に独立したりして事務所を開くケースもあるようです。

なお数は少ないですが、地方公務員試験を受けて、各都道府県や市町村の土木課や上下水道課などに所属する地方公務員として働くことも可能です。

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測量士の1日

野外作業とデスクワークをバランスよくこなす

測量士は、「外業」と呼ばれる屋外での測量作業と、「内業」と呼ばれるデータ解析や測量図作成などのデスクワークをの両方をこなしていくことが必要です。

測量作業は、繊細な操作が要求されるため、日が明るく作業しやすい時間のうちに外業をすませ、夕方以降に事務所での内業を行うケースが一般的です。

<測量事務所で働く測量士の1日>

9:00 出勤、機材積み込み、移動
10:00 現地到着、測量作業
11:30 外部業者打ち合わせ
12:30 昼食休憩
13:30 帰社、データ処理
17:00 測量計画作成、翌日の準備
18:00 退社

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測量士のやりがい、楽しさ

測量技術者としての楽しさ

測量技術は日々進化しており、GPS衛星を用いた測量や、航空機から撮影したデータを3次元に加工する手法、3Dスキャナーの活用など、新しい方法が次々と開発されています。

それに伴って測量士の専門性はさらに増しており、メカニックや技術者としての大きな楽しさがあるようです。

またこうした最新技術を身につけられれば、これまでよりもさらに誤差の少ない正確な測量業務を行えるため、依頼者からも喜ばれますし、技術者としてやりがいを感じられるようです。

また、測量作業は生活に重要なインフラ建設に携わることができる仕事です。

道路や鉄道、トンネル、橋、ダムといった建設の一端を担った人として、社会に貢献したという大きな誇りを感じることができるでしょう。

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測量士のつらいこと、大変なこと

体力勝負となる厳しい環境での仕事も多い

測量士の外業は、人里離れた山奥など過酷な現場で行われることも珍しくなく、早朝からの長時間移動や、重い機材を担いでの移動を強いられるケースも少なくありません。

また屋外での作業は、夏は暑く冬は寒く、さらに雨や風といった天候によっても、作業の困難さやスケジュールが大きく左右されます。

そうして苦労して取得したデータを精査、分析して測量図を作成しなければなりませんが、作業にミスは許されず、高い集中力を保ち続けることが必要となります。

近年は、機材のハイテク化が進み、作業効率はよくなっていますが、その一方で扱うデータ量も非常に大きくなっています。

処理や解析にかかる作業量も年々増しているため、デスクワーク量が増えているのも大変なところです。

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測量士に向いている人・適性

手先の器用さと計算能力を兼ね備えている人

測量士の仕事には絶対の正確さが必要であり、非常に高い精度も求められるため、コツコツした作業も手を抜かずに反復できる、真面目で辛抱強い性格の人が向いているでしょう。

測量業務は精緻な作業の連続ですので、は計測機器を長時間のあいだ正確に操作し続けられる手先の器用さも求められます。

また土木測量においては、工事の着工から竣工に至るまで、当初の計画通りに建物が構築されているか、繰り返し計算しなければなりませんので、三角関数などの計算が得意な人が向いています。

加えて、現場によっては重い機材を背負って山を歩かないといけないケースもありますので、体力も必要とされる場面も多いです。

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測量士志望動機・目指すきっかけ

希望する業務によって動機はさまざまにわかれる

測量士の最も一般的な業務である土木測量は、道路や橋、ダムといった、規模の大きな公共事業に深い関わりをもっています。

そうした大きな仕事に憧れ、人々への影響力のある仕事をしたい、何十年とこの世に残る仕事に携わりたいという希望を抱いて、測量士を目指す場合もあります。

また、幼い頃から地図を見るのが好きで、自分も地図を作りたいと測量士を目指すケースや、光学機器などの最先端技術が好きで、それが測量士を目指すきっかけになる人もいるようです。

測量士は、他の職業と比べると専門性の高い、業務内容や役割がはっきりとした仕事です。

「測量士でなければならない理由」と併せて、どのような業務を手掛けたいかということも、できるだけ具体的に話せるようにしておきましょう。

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測量士の雇用形態・働き方

他の資格と併用して独立するケースも

測量士の多くは測量会社に正社員として勤務しますが、なかには独立して測量事務所を開業する人もいます。

測量士の行う3つの業務、「土木測量」「地図測量」「地積測量」のうち、前者2種類は、建設会社の子会社や地図作成専門会社が行うことが大半で、独立しても仕事が得られる見込はほぼありません。

しかし地積測量業務は、全国どこでも需要がある上、土地家屋調査士や行政書士などの資格と併せれば十分な仕事量を得られる可能性があります。

独立するならば、他の資格取得を目指し、地積測量を専門にするのがよいでしょう。

また数としては少ないものの、地方公務員として働いたり、農林水産省や国土交通省、国土地理院に勤務し、国家公務員として働いたりする人もいます。

測量士の勤務時間・休日・生活

外での作業とデスクワークをこなすため残業時間は多くなりがち

測量の仕事は明るいうちでないとできないため、遅くとも夕方までには屋外での測量作業を終わらせなくてはならず、勤務は朝が早くなりやすい傾向にあります。

測量業務と測量図作成の両方を行わねばなりませんが、測量業務は日中に行うため、デスクワークできるのは基本的に夕方以降になってしまいます。

そこから膨大なデータを処理し、さまざまな計算を駆使して図面を作成しなければならない関係上、残業時間はどうしても多くなってしまう傾向にあります。

また、公共事業関係の仕事は、官公庁の予算の都合から年度末に集中するために、1月~3月は特に忙しくなるようで、場合によっては休日返上で働かないといけないときもあるようです。

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測量士の求人・就職状況・需要

経験者や有資格者は優遇される傾向に

測量業務は全国に需要があるため、測量士の求人もエリアを問わず多数あります。

若年世代のなり手が減少傾向であることから、就職先を見つけることはさほど難しくありません。

求人情報の中からは、まだ測量士の資格を取得していなくても就職できる企業もみつけられるでしょう。

そうした企業では、測量補助など助手としての仕事から初めて、実務経験を積むかたわら資格取得を目指すことが一般的です。

測量士は「必置資格」と呼ばれ、測量事業を手掛ける企業は、事務所ごとに1名以上の資格保有者を在籍させることが法律で義務付けられています。

このため、どこの測量会社も測量士の求人には積極的であり、資格保有者や測量士補資格をもっている人も歓迎される風潮にあります。

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測量士の転職状況・未経験採用

隣接する業界からの転職者も多くみられる

測量作業のあとには必ず土木工事が実施されるため、測量士と工事業者の仕事は非常に密接な関係にあり、業界を超えて転職する人は少なくありません

建設業界に属する企業、特に土木工事を行う会社は、自社で測量業務を行う場合もあるため、そういった業務の担当者が測量事務所に移籍するケースは多く見られます。

不動産業界でもその業務上、地積測量図を目にする機会は少なくありませんので、その中で測量士の業務に関心を持ち、勉強して測量士となる場合もあります。

また不動産業界に属する専門職の土地家屋調査士は、その業務内容が測量士とかなり近似していますので、行える業務の幅を増やすべく、測量士の資格取得を目指すこともあるようです。

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