華道家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「華道家」とは

華道家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

季節に応じた花を花器や花瓶などに美しく生けたり、花を使って空間全体を演出する。

華道家は、季節に応じた花を花器や花瓶などに美しく生けたり、花を使って空間全体を演出したりする仕事です。「フラワーアーティスト」や「いけばな作家」と呼ばれることもあります。華道には「流派」というものがあり、華道花として活動するには各流派に入門して5~10年ほど修行を積み技術や作法を身につけ、師範の免許を取ることが必要です。

その後、講師となったり作品展を開催したりと活躍の方法はさまざまですが、収入には波が出やすく、創作活動だけで生計を立てられるのはほんの一握りの華道家のみのようです。

華道は日本を代表する伝統芸能のひとつであり、古くから受け継がれてきた確かな技術や知識の習得は不可欠です。

一方、近年では外国人向けのワークショップや華道教室など、新しい形で華道を広めていく工夫も必要になると考えられています。

「華道家」の仕事紹介

華道家の仕事内容

季節に応じた花などをふさわしい花器や花瓶などに飾る場所に合わせて美しく生けたり、花を使って空間全体を演出したりするのが華道家の仕事です。

華道家はフラワーアーティスト、いけばな作家と呼ばれることもあります。

自身が芸術家として作品を展覧会等に出品したり、ホテルのロビーや旅館・料亭の床の間、学校などから依頼を受けて花を生けに出向きます。

また、華道教室の師範やカルチャースクールの講師として、花の生け方や礼儀作法などの技術を教えるなどして、日本の伝統文化を伝えるという役目を果たしています。

コンサート会場や公共施設などのたくさんの人の目に触れる場所に花を飾り、目を楽しませることができるのは華道家の大きな魅力であるといえます。

また、実績を重ねると、テレビや雑誌の取材を受けたり、イベントへ招待されたりといったメディア露出をすることもあります。

日本の伝統芸術である華道には、数多くの流派が存在します。有名な流派として池坊(いけのぼう)、草月流、日本古流などがあり、流派によって花の生け方はさまざまでそれぞれ免状も異なります。

華道家になるには

華道家として活動していく最低条件として、いずれかの流派に入門し、弟子として5~10年ほど修行を積んで技術や作法を身につけ、師範の免許を取ることが必要です。

そうしてはじめて、一人前となり、自分の教室を持ったり、スクールで講師を行ったり、作品展を開催したりなど華道家として活動することが可能になります。

華道と一口にいっても30以上の流派があるともいわれており、それぞれで生け方が異なるので、自分の好みのところを選ぶようにしましょう。

ちなみに免状は華道を学べる専門学校でも取得を目指せます。

専門学校で学ぶことができる流派は限られていますが通うメリットとして短期間で免状が資格できるということが挙げられます。

また国家資格であるフラワー装飾技能士など他の資格取得も目指せるので創作活動や職業選択の幅が広がり、花を扱うことを多角的にとらえられるといえるでしょう。

華道家の給料・年収

華道家は活動の仕方によって収入がまちまちであるため、平均的な年収を算出することは極めて困難です。

華道教室や専門学校、その他生花店やブライダル会社などに正職員として勤務している場合は一般的なサラリーマンと同程度の収入があることも多いです。

しかし、非常勤での勤務やフリーランスで依頼を受けた際に賃金が発生するというような働き方だと時給や日給での計算になるため、月に数万円程度の収入にしかならないという場合もあります。

自身で華道教室を開いている場合は月謝収入が主になるため、抱える弟子の数で変動します。

当然、華道家として名を挙げれば多くの弟子が集まり、月謝収入も上がります。

またほんの一握りではありますが、名のある華道家はメディアに露出する機会も出てくるためその際のギャラなども併せると年収1億円以上にもなるようです。

華道家として有名になるにはコンクールでの受賞が近道といえます。受賞を重ねると実力が広く一般に知れ渡り、講演依頼や生け花の依頼などが増えてくると考えていいでしょう。

華道家の現状と将来性・今後の見通し

着物を着る機会や和室が減っていく現代において華道や茶道などを習いたいと考える人が減少の一途を辿っているのが現実です。

その一方で日本の文化に興味を示す、外国人は増加傾向にあり、華道を含む伝統芸能を体験したいという声も多く上がっています。

今後は外国人向けのワークショップや華道教室の需要が高まっていくでしょう。

それに伴い、国内でも日本文化の素晴らしさを再認しようとする向きも高まっているため、一定以上の華道技術を持つ人材が活躍できる場が多様化していくと考えられます。

いずれにしても何百年もの間、脈々と受け継がれた華道の文化が衰退していくことは考えにくく、時流に合わせてより発展していくものと思われます。

華道家を志願している人においては確かな技術、知識の習得を目指すのはもちろんのこと、時代の流れや諸外国の文化にも目を向け、柔軟かつクリエイティブな思考を持ち華道の発展に寄与していく気概を持つことが望まれます。

華道家に向いている人・適性

華道家はその名の通り花が好きな人に向いている職業です。四季折々の花の特性を理解し、知識として頭に入れ、創作に生かしていくことは花を愛でる心がなければ難しいでしょう。

しかし花に関して深い理解と知識があるだけでは華道家として十分であるとはいえません。

花をいかに美しく飾るかという美的センスに優れていることも大切な条件になってきます。

したがって花はもちろん美しいものを追い求める姿勢も重要であるといえます。

センスを磨くためには華道を極めながらもさまざまな文化に興味を持ち、吸収しようとする好奇心が必須です。

そして手を動かして物を創る、クリエイティブなことを好むことも華道家として必要な適性であるといえます。

また、華道家は師範や講師として弟子や生徒に華道を教えたり、作品を依頼してきた人の意図を汲み取りながら創作したりと意外に人と対話する場面が多い職業でもあります。

そのためコミュニケーション能力の高さも必要です。

師範や講師としては和服での活動となるため、和装にも興味を持っておくとよいでしょう。

華道家の勤務時間・休日・生活

華道家としての活動の仕方は人によってさまざまです。

何らかの企業に正職員として従事している場合はいわゆるフルタイム勤務であり、一般的な会社員とほぼ同様の生活を送ることになるでしょう。

非常勤やフリーランスで勤務している場合は担当の時間や依頼があった時に出向するという形であるため、日によって生活がまちまちですが、その分、自身の創作活動に多くの時間が割けるという利点もあります。

自身で華道教室を開いている場合はレッスン以外の時間で花材を仕入れたり、生徒や弟子と交流の時間を持ったりと自営ならではの忙しさがあるようです。

どのような勤務形態であっても華道家である以上は自身の技術を高めたり、感性を磨いたりするために休日を割くことになるでしょう。

華道家の求人・就職状況・需要

多くの華道家が創作活動だけでは生計が立てられないのが正直なところです。

そのためほとんどの華道家が華道教室や専門学校、カルチャースクールに勤務したり、開講したりなど講師としての顔を持っています。

講師業は比較的安定した月収を得ることができる上、非常勤での勤務だと創作活動に十分な時間を充てることも可能です。

自分で教室を開く場合、生徒数等で収入は変動しがちですがライフスタイルに応じた働き方ができるという利点もあります。

しかし、講師を含め、華道家としての求人は決して多くありません。

生花店や花材専門店に就職して知識や技術を生かす他、フラワーアレンジメント等の花に関連する資格も併せて持ちながらブライダル業界で活躍するという選択肢もありますが、少し華道からは離れてしまう印象が拭えません。

ただ長い目で見た場合、創作活動の肥やしになると捉えることができるでしょう。