「イラストレーター」とは
依頼を受け、雑誌、書籍、ポスターなどに利用されるイラストやキャラクターの絵を描く。
イラストレーターは、依頼主の要望に応じてイラストを描く仕事です。
雑誌・書籍・ポスター・カタログ・パンフレットなどの印刷物上のイラストや、キャラクター作成などさまざまなものを描きます。
イラストレーターになるための決まったルートはありませんが、活躍するイラストレーターの多くは、美術系の大学や専門学校でデザインの基礎を学んでいます。
一般的な就職先は、広告制作会社や企業の広告部、デザイン事務所などとなります。
実績を重ねたのちに、フリーで働く人も多い職業です。
しかし、イラストを描くだけで生活をすることは簡単ではありません。
グラフィックデザイナーと兼業していたり、副業としてイラストを書いているイラストレーターが多いのが現状です。
「イラストレーター」の仕事紹介
イラストレーターの仕事内容
イラストやキャラクターの絵を描く
イラストレーターは、商品や雑誌・書籍・ポスターなどに使われる「イラスト」を描く仕事です。
画家とは違って、絵の内容は自分の描きたいことやモチーフではなく、クライアントや企画者からの要望が最優先されます。
イラストレーターはさまざまな絵を描きますが、なかには図版を専門にするテクニカルイラストレーターや、解剖図などに対応するメディカルイラストレーターなど、専門的な絵に特化して仕事をする人もいます。
雑誌や広告、ゲームなど、イラストを目にする場面は日常のあちこちにあり、さまざまな場所でイラストレーターが活躍しています。
しかし、絵で人の心を掴む華やかなイメージとはうらはらに、実力やセンスが問われる厳しい仕事でもあります。
イラストレーターの就職先・活躍の場
広告制作系の企業に勤務する人が多い
イラストレーターの多くは、制作部門を持つ広告代理店やデザイン事務所、制作プロダクションなどに所属して働いています。
これらの職場に就職した場合には、会社としてクライアントから発注を受けることがほとんどで、ときには自分の画風とは違うタッチで対応する場面も出てくるでしょう。
このほか、ゲーム業界で活躍するイラストレーターもいますが、その場合には絵が上手というだけでなく、ゲーム制作全般の基礎的な知識も求められることがあります。
すべてのイラストレーターが企業に勤務するわけではなく、フリーランスとして活動しているイラストレーターも多くいます。
イラストレーターの1日
時期によっても忙しさは変わってくる
イラストレーターの1日のスケジュールは、勤務先や働き方、また抱えている案件の内容や時期によっても大きく変わってきます。
締め切り前になると1日中パソコンの前でイラストを描くことも珍しくありませんが、ここでは、フリーランスで働くイラストレーターのある1日の過ごし方を紹介します。
09:00 起床
前日は夜遅くまで仕事をしていたため、ややゆっくり起きました。
10:00 メールチェック
クライアントからのメールが届いていれば素早く返信します。
10:30 修正作業
数日前に納品したイラストの微修正依頼が入ったため、作業を進めます。
13:00 休憩
リフレッシュも兼ねて、昼食をとりに出かけます。
14:00 イラスト描き
新規案件のイラスト作成に取り掛かります。
19:00 夕食
仕事がひと段落したところで食事をとります。
21:00 残務処理
残っていた仕事を片付け終わると、ネットサーフィンや映画を見るなど自由に過ごします。
イラストレーターになるには
美術系大学やデザイン専門学校で学ぶ人が多い
イラストレーターには、なるために特別な資格や学歴が必要ありません。
しかし、イラストの基礎知識を身につけたり、画力アップのための努力は不可欠となるため、美術系の大学やデザイン専門学校で学ぶ人が多く見られます。
このような学校にで絵やイラストについて専門的に学び、卒業後、広告制作会社や企業の広告部、デザイン事務所、ゲーム会社などに就職するのが一般的です。
もし学校でイラストの基礎を学ぶ機会がないとしても、仕事で使用する「Photoshop」や「Illustrator」などのソフトの必要最低限の知識・技術は習得しておく必要があるといえます。
確かなスキルや人脈、経験などがあれば、独立して仕事をすることも可能です。
イラストレーターの学校・学費
美術系大学は学費がやや高め
イラストレーターの仕事に直結することを学べるおもな学校としては、美術大学や一般大学の美術系学科、またデザイン系の専門学校が挙げられます。
トップレベルの美術系大学は人気が高く、入学も難しいため、美術予備校へ通って準備をする人が多くいます。
ま美術系の私立大学は一般の大学に比べると学費もやや高めとなっており、美術予備校の費用を合わせると大学卒業までに700万円を超える費用がかかってくることもあります。
このほか、民間のイラストスクールや講座を利用して、イラストの基礎を気軽に学ぶことも可能です。
大学や専門学校に比べると学べる内容に限りはありますが、費用をだいぶ抑えられることはメリットといえます。
イラストレーターの資格・試験の難易度
スキルアップのために資格を目指す人も
イラストレーターは、働くうえで特別に求められる資格はありません。
企業に応募する際に資格が条件になることもほとんどありませんが、絵を描くための基礎的な力や美的感覚・センスなどは問われると考えておいたほうがよいでしょう。
取得必須ではありませんが、イラストレーターの仕事に関連する民間資格としては「Photoshopクリエイター能力認定試験」「色彩検定」「CGクリエイター検定」などが挙げられます。
自身のスキルアップのために積極的にそれらの取得を目指す人もいます。
資格があることで就職・転職が大きく有利になることはめったにありませんが、身につけた知識や技術は業務にもおおいに生かせるでしょう。
イラストレーターの給料・年収
大きく稼げる人はごくわずか
イラストレーターとして、たくさんの収入を得ている人はそう多くありません。
フリーランスとなって1000万円を超える年収を稼いでいるイラストレーターも存在しますが、それは、多くの人に認知されているようなほんの一握りの人たちです。
実際には、かなりの数のイラストレーターがお金には苦労しており、他のアルバイトをしながら生活する人もいます。
企業勤めをするのであれば、会社から決まった給料が支払われるため、フリーランスよりも安定感はあるといえるでしょう。
一般的なデザイン制作会社に勤めた場合、年収300万円〜500万円程度を得ている人が多いようです。
イラストレーターのやりがい、楽しさ
個性と実力を存分に発揮していけること
イラストレーターのやりがいは、自分の書いたイラストで多くの人の心を動かしていけることです。
イラストへの賞賛はアマチュアでも得ることができますが、クライアントの意図を反映させ、そのニーズに応えることができるのは、プロのイラストレーターだからこそです。
「こういうイラストを描いてほしい」という要望をしっかりと形にし、自分の描いたイラストが世の中に出ていくことは、イラストレーターにとっての大きな喜びです。
個性が広く認知されると、自分のイラストでしかできない企画も担当することができるようになります。
そこまでの実績を積み重ねることができれば、世間からも有名なイラストレーターとして認知され、街中でも自分のイラストをたくさん目にできるようになるかもしれません。
イラストレーターのつらいこと、大変なこと
描いたイラストが認められないつらさ
イラストレーターは、基本的に自分の思いを自由に表現できる画家とは異なり、あくまでもビジネスとして、クライアントの要望に沿った絵を描く必要があります。
もちろん、絵には自分の個性やタッチが必ず表れてくるものですが、いくら美しい絵を描いたとしても、クライアントのニーズに応えられるものになっていなければ、その時点でボツにされてしまいます。
自分では「傑作!」と思った絵がなかなかクライアントに認められなかったり、何度も修正を求められたりしたときには、苦しさを感じるかもしれません。
また、スランプになったり発想が凝り固まってしまったりして、思うように作業が進まないときにも生みの苦しみを味わうことになるでしょう。
イラストレーターに向いている人・適性
さまざまな絵を描くことが大好きであること
イラストレーターに求められる能力はいくつも考えられますが、魅力的なイラストを描けるということは大前提です。
しかし、この仕事ではただ自分が好きな絵を描くだけではなく、クライアントに求められる絵を描く必要があります。
そのためにはデッサン力や色彩感覚、時流を読むセンスなど複数のスキルが必要になりますし、日々能力を高め、自分の絵で相手の期待に応えて喜んでもらうことを楽しめるかどうかが重要なポイントとなります。
絵に対しての探求心や向上心が強く、自分自身を磨き続けられるような人は、イラストレーターに向いているといえるでしょう。
イラストレーター志望動機・目指すきっかけ
絵を描きたい気持ちが一番
イラストレーターを目指していく人は、やはり「絵がを描くことが好き」という思いがきっかけとなっていることが多いようです。
子どもの頃に読んでいた漫画や、雑誌やアニメなどからイラストに興味を持って、自分でも絵を描くことが日常となり、それを職業にしたいと思うようになっていくようです。
なかには、まったく別の職業に就いたものの、絵を描くことが好きだという情熱が忘れられず、社会人となってからイラストレーターへの転身を目指すような人もいます。
イラストレーターは実力主義の厳しさがありますが、自分がとことん好きだと思えることを仕事にできる魅力的な面もあります。
イラストレーターの雇用形態・働き方
企業勤めの人とフリーランスで活動する人がいる
イラストレーターは企業に就職することもできますし、フリーランスでの活動も可能です。
企業に就職する場合は、正社員としてだけでなく契約社員やアルバイトなど、さまざまな働き方が選べます。
制作会社によっては必ずアルバイトからスタートし、スキルがつくと正社員へステップアップできるような体制をとっていることもあるようです。
フリーランスでの活動を選択した場合は自由度が大きい一方、セルフプロデュースの意識が求められます。
自分が手掛けたイラスト集を用意して営業活動をしたり、積極的に人脈づくりに取り組むといった意識も必要になるでしょう。
イラストレーターの勤務時間・休日・生活
締め切り前は残業時間が増えることも
イラストレーターの生活は、デザイン事務所などの会社に勤める場合と、フリーランスの場合とで大きく異なります。
会社勤めの場合は、一般的な会社員の生活と大きくは変わりません。
決められた時間に出社し、1日に7時間から8時間程度働いて定時が来れば退社する形となります。
ただし、イラストレーターのようなクリエイティブ職では、案件の内容や時期によって忙しさに波が出やすいことが特徴です。
締め切りが近づいてくると残業時間が増え、休日出勤を求められることもあるかもしれません。
フリーランスの場合は、その時々に抱えている案件の量や内容、種類によって仕事の進め方は変わってきますし、しっかりと休日を設ける人もいれば、クライアントのニーズ次第で24時間体制で仕事をしているような人もいます。
イラストレーターの求人・就職状況・需要
下積みから地道に経験を積む覚悟も
イラストレーターは、全体的に就職状況は厳しめとなっています。
美術大学やデザインの専門学校を出てさえいればイラストレーターとして就職できると思われることもありますが、実際にはこれらの学校を出たとしても、正社員としてスムーズに就職できている人はあまり多くありません。
イラストレーターは求人自体の数が多くなく、とりわけ条件の良い求人には、優秀な人材の応募がたくさん集まります。
この業界では学歴以上に、実務経験やスキルが重要視される傾向にあることから、まずはアシスタントとして下積み生活を経験したり、他のアルバイトをしながらイラストをたくさん描いて飛躍のチャンスを待つ、といった生活をしている人もたくさんいます。
イラストレーターの転職状況・未経験採用
転職して成功できるとは限らない
これまで別の仕事をしていた人が、昔から憧れていたイラストレーターになりたいと考え、転職を決めることもあるようです。
しかしながら、経験や実績がまったくない人がイラストレーターへ転職するのは、険しい道のりになると考えておいたほうがよいでしょう。
この仕事では、「絵を描く」というある種の特別なスキルが必要とされ、一般的なオフィスワークの経験やスキルは転職時にあまり役立たないこともあります。
まったくの未経験者でもアシスタントとして採用する事務所はあるものの、最初は下積み生活からになる可能性もあり、絵でしっかりと食べていけるイラストレーターになるのはとても大変なことです。
そして、過去にとらわれることなく、つねに進化し続ける必要があります。
イラストレーターの現状と将来性・今後の見通し
技術力を磨き、自分らしさも追い求める努力が必要
イラストレーターの仕事は実力主義の世界であるため、成功するのは簡単ではありませんが、時代を問わず需要のある仕事といえるでしょう。
ポスターからチラシ、雑誌、キャラクターなど、イラストレーターが描く絵は、私たちの身の回りにあふれています。
とくに現代ではデジタルでの表現方法が広がりを見せており、ゲーム関連や、Web上で公開されるイラストのニーズが高まっています。
オリジナリティあるイラストを描くことができ、ビジネスとしての視点をもって依頼主の要望にきちんと応えることができれば、少しずつ活躍のチャンスを得ることができるでしょう。