【2021年版】通関士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「通関士」とは

貿易業務に必要となる専門的な手続きを代行し、物のスムーズな輸出・輸入を支える。

通関士は、さまざまな「モノ」を輸出、輸入するときに必要な税関での手続きを代行する専門家です。

通関書類を作成し、通関手続きを商社やメーカーなどの輸出入業者に代わって行います。

税関から許可が下りなかったりトラブルが生じたりした場合の交渉をするのも、通関士の仕事の一部です。

通関士のおもな勤務先は運送会社、海運会社、倉庫会社などの税関への手続きを代行する通関業者ですが、商社やメーカーの貿易部門に勤務する人もいます。

通関士として働くには通関士試験に合格し、国家資格を取得しなくてはなりません。

受験資格に年齢や学歴などの制限はとくにありませんが、合格率は約10%の難関資格です。

グローバル化が進み貿易量が増えていることから、通関士の需要は増しています。

「通関士」の仕事紹介

通関士の仕事内容

貿易業務に必要な通関手続きを行う

通関士は、モノの輸出・輸入(貿易)に必要な「通関手続き」のスペシャリストです。

通関の流れは複雑で、さらに専門知識を要するため、商社やメーカーなどの企業に代わって、通関士が必要な書類作成や手続きを進めます。

島国である日本にとって、貿易は経済を活発化させたり、日常生活を豊かにしたりするために非常に重要なものです。

通関士の存在がなくして、私たちの生活は成り立たないといっても過言ではないでしょう。

具体的な通関士の業務内容

通関士の業務内容は、大きく「通関書類作成」「通関手続き」「不服申し立て」に分けられます。

通関書類作成は、依頼者の代理で通関に必要な書類を作るすることです。

通関手続きのためには、「輸出申告書」「輸入(納税)申告書」「仕入書(インボイス)」など、いくつもの専門的な書類が必要です。

記入内容に間違いがないよう、正しく書類を仕上げます。

通関手続きは、輸入・輸出に関係する取引書面のチェックを行い、また対象物が規制や法令に違反していないかや、関税・消費税などを徴収すべきかなどの判断をします。

不服申し立ては、もし税関での手続きで不許可が出た場合に、輸出入業者の代わりに主張や陳述をすることです。

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通関士になるには

通関士の国家資格取得を目指す

通関士として働くには、国家資格である通関士の資格取得が必要です。

通関士国家試験は学歴や年齢などの制限がありませんが、合格率は毎年わずか10%前後であり、資格スクール・予備校で学ぶなど専門的な勉強が必要です。

なお、5年以上通関業務に携わっていると所定の科目が免除となるため、働きながら資格を得る人も多いです。

少しでも早く現場で活躍したいのであれば、大学や高校などを卒業後、通関業者へ就職し、現場経験を積みながら資格取得を目指すのがよいでしょう。

資格取得はあくまでもキャリアの第一歩

通関士は専門的な知識が求められる職種であり、現場で身につくことも多々あります。

いくら国家資格を取得しても、実務経験を積まないと即戦力として業務に携われないこともあります。

通関士を目指すうえで年齢制限はありませんが、キャリアパスを考えていくと、できるだけ早いうちに現場に入り、通関業務に携わる経験を積んでいくとよいでしょう。

なお、通関士の有資格者は女性も多くおり、性別関係なく働けます。

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通関士の学校・学費

大卒の学歴を有する人が多い

通関士の資格取得を目指すにあたって、学歴は関係ありません。

ただ、実際に活躍している通関士は大卒以上の学歴を有しているケースが多いようです。

法学部などで法律知識も身につけていると、就職してから役立つことがあるでしょう。

難関といわれる通関士試験に合格するために、大学などとは別の予備校やスクールに通って試験対策をする人もいます。

講座によって異なりますが、10万円~25万円ほどの費用が必要なものが多いです。

自主学習が得意な人であれば、通信講座を活用し、費用を抑えて学ぶことも可能です。

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通関士の資格・試験の難易度

関税に関する専門的な知識が必要で、合格率は低め

通関士の資格は、貿易関連で唯一の国家資格です。

年に1回の試験が実施され、この試験に合格すると通関士の国家資格が得られます。

通関士の国家試験では、関税に関する専門的な知識が求められます。

試験内容は、大きく分けると「通関業法」「関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法」「通関書類の作成要領その他通関手続きの実務 」の3科目で構成されています。

各条文を丸暗記する必要もあり、時間をとって勉強しなくてはなりません。

合格率は毎年10%ほどと決して高くなく、難易度は高めの資格といえます。

実務経験があると一部科目が免除

通関士試験では、通関業務に5年以上、あるいは15年以上携わることによって、それぞれ一部の科目が免除されます。

こうした事情もあり、通関士試験は通関従業者として働きながら受験する人が多いことが特徴です。

実務経験あれば、通関業務に関する学びの理解度も深まるでしょう。

一方、仕事があまりに忙しくなると、なかなか勉強に時間が割けない苦労を感じる人もいます。

通関士試験にパスするためには、計画的な試験勉強を続けることが非常に大切になってきます。

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通関士の給料・年収

給料に通関士の資格手当がつく会社も

通関士の平均年収は400万円~500万円ほどがボリュームゾーンと考えられます。

民間企業に勤める会社員の平均年収と大きくは変わらないと考えておいてよいでしょう。

ただ、通関士の勤務先は、通関業者や商社、倉庫会社、メーカーなど多岐にわたり、企業の規模もさまざまです。

大手の上場企業で働く場合は給与水準が高めで、ベテランになると年収800万円~1000万円ほどが見込めることもあります。

キャリアを重ねると収入アップが望める

なお、この仕事では通関士の国家資格を持っていると資格手当が月に1万円ほどつくことが多く、また、役職者になれば役職手当も上乗せされて収入アップが望めます。

通関士の需要は高まっているため、できるだけ早く資格を得てキャリアアップを目指すことが、収入や待遇面での優遇にもつながっていくでしょう。

難易度の高い業務にも対応できる専門性のある人材は、転職時などにも高く評価され、待遇面で優遇されることがあります。

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通関士の現状と将来性・今後の見通し

広く深い専門知識を持つ人材が求められている

島国である日本では、諸外国と盛んに貿易が行われており、その専門的な手続き部分を担う通関士の存在は必要不可欠なものとなっています。

国際貨物を扱うために、世界情勢や時事問題にも敏感であることが望まれます。

身につけるべきことが多く、頭を使う大変な仕事ですが、向学心の強い人であれば活躍できるフィールドは大きく広がっていくでしょう。

メーカーや商社など一般企業では、貿易のプロフェッショナルとして他部門からの質問や相談を受ける機会も多くあります。

通関業者が増加し、通関士のニーズも増している

通関業者には、最低でも1名の専任通関士を配置することが義務付けられています。

アジアとの貿易量の増加にあわせて通関業者の数も増えているため、通関士の需要はさらに高まっていくものと予想されます。

まだまだ人材不足の職種であるため、通関士の資格を取得すれば、よい待遇で働ける可能性は十分にあるといえるでしょう。

しかし、専門的な知識が求められる難しい仕事に携わるため、一人前になるには現場に出てからもそれなりの年数がかかります。

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通関士の就職先・活躍の場

通関業者を中心に、船会社、航空会社、商社などでも活躍

通関士は基本的に「通関業者」といわれる企業で勤務します。

貿易は「空路」と「海路」があり、通関士は航空と船舶の領域で、輸入あるいは輸出に関わる業務を担当します。

通関業法により、通関業者は営業所ごとに通関士を配置する義務があるため、通関業者での通関士のニーズは非常に大きなものとなっています。

このほか、通関士の資格を生かして仕事ができる勤務先は、船会社、航空会社、倉庫会社、商社などです。

また、海外との取引が多い一部のメーカーで、自社内に貿易部門を設置する場合にも、通関士の需要があります。

このような企業において通関士の資格を持つ人は「審査役」として重宝されています。

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通関士の1日

税関の開庁時間に合せて動くことが多い

通関業者で働く通関士は、依頼を受けている案件に応じて、通関手続きに必要な書類作成を中心とした仕事を進めます。

また、日によっては税関へ出向いて書類提出をしたり、税関の現物検査に立ち会ったりします。

8:00 出社
税関の開庁時間は8時30分。30分前には出勤し、メールチェックや当日の申告書を再確認。
8:15 ミーティング
通関従業者も交えながら、提出書類の変更の有無や税関検査の段取りを確認。
8:30 開庁以降
税関への輸入・輸出申告を、専用ソフトを用いて実施。
申告後、税関へ赴いて書類を提出。また、税関の現物検査で検査場へ出向き、税関職員へ応対します。
13:00 申告書類作成
休憩をはさみ、午後は翌日の申告書類作成を行います。
17:15 閉庁
税関の閉庁時間になると、明日の仕事の確認をします。
18:00 退社
案件が立て込んでいる日は残業をすることも。

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通関士のやりがい、楽しさ

貿易の場で不可欠な存在として活躍できる

輸入や輸出をする会社は、必ず税関手続きを行わなくてはなりません。

専門的な知識が求められる税関手続きの際には通関業者に依頼が舞い込み、こうした場で通関士は活躍できます。

通関士は貿易に関する唯一の国家資格として、世間からも高く評価されているのです。

通関士はお客さまの不利にならないよう、統計品目番号と税率を決めて税関への申告を担当し、ときには商品にかかる税率を安くするように考えていきます。

過去の事例や法律、規則、商品の情報などを参考にして、通関士は税関職員と交渉し、こちらの意見が通った場合にはお客さまからも喜んでもらえます。

専門的なスキルを持って活躍し、お客さまや社会のために貢献できることは、この仕事の大きなやりがいです。

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通関士のつらいこと、大変なこと

ミスなく専門的な仕事を進めていくこと

通関士は専門職であり、他の人が対応できない難しい通関手続きにもプロとして向き合わなくてはなりません。

もし自分が担当した税関の手続きにミスが生じた場合には、勤務先にマイナス点がつけられ、この点数が一定までくると、通関業者として営業停止処分が下される可能性があります。

それだけ、通関士の審査には慎重さが求められます。

経験によって覚えられることも多々ありますが、高い集中力と責任感が求められるのは、この仕事の大変な一面だといえるでしょう。

正しく業務を進めていくために、国家資格を取得し、実務に携わるようになってからも、日々勉強をして知識習得に努めることが大切です。

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通関士に向いている人・適性

事務作業が得意で、国際情勢や多彩な商品に興味をもてる人

通関士は、さまざまな商品の通関手続きを行います。

そのため、扱う商品に関する知識や興味をもつことが重視されますし、貿易の法律や税金の知識も不可欠です。

世界中の商品を扱うことから、国際取引に興味があり、ある程度は国際情勢を把握している人に向いている仕事といえます。

海外に興味を持ち、英語に関する苦手意識がない人が望まれます。

また、この仕事では複雑な書類を作成することも多いため、分析能力があり、事務作業が得意な人に向いています。

コツコツとした地味な業務にも真剣に取り組めること、ミスなく物事を進める力などをもっている人も、通関士の適性があるといえるでしょう。

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通関士志望動機・目指すきっかけ

語学力と貿易の専門知識を生かして働きたい

通関士は日本の貿易には欠かせない存在であり、貿易の手続きに関する専門知識を駆使して活躍することができる専門職です。

「国際的な仕事がしたい」「語学力を生かしたい」という思いでこの仕事を目指す人もいますし、「国家資格を自分の強みにして働きたい」と考える人もいます。

海外との関わりがあり、通関士にしかできない業務も多くあるなど、プロフェッショナルとして活躍できる点に魅力を感じる人も少なくありません。

しかし、通関士の国家資格を得るのは簡単なことではないですし、実際に就職してからも勉強すべきこと、学ぶべきことがあふれています。

簡単な気持ちでは務まらない難しい仕事なので、自分なりに強い思いをもって、通関士を目指していくことが大切です。

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通関士の雇用形態・働き方

まずは通関従業者として働きながら経験を積む人も

通関業者には、各営業所に通関士を1人以上設置しなければならないことが義務付けられています。

責任ある難しい業務に携わることから、通関士は有資格者が正社員として採用されているケースがほとんどです。

しかし、契約社員やパート採用で通関業者に所属し、正社員の補佐役などのかたちで通関の実務に携わりながら、通関士の国家資格取得を目指せる会社もあります。

通関士の国家試験は合格率が低く、一度で合格できるとは限りません。

そのため、まずは現場に入り、働きながら資格取得を目指す道を考える人も多いです。

通関従業者として経験を積んだことは、資格取得後にも大きな財産となるのは間違いありません。

通関士の勤務時間・休日・生活

税関の開庁時間に合わせて働くことが多い

通関士の勤務時間は、基本的に税関の開庁時間に準じたものとなります。

税関の開庁時間は8:30から17:15であり、通関士はその30分程度前に出勤することが多いです。

休日は、基本的に税関同様、土・日・祝日となりますが、貿易量が多くなり、審査が多く重なるときなどは休日出勤をしなくてはならない場合があります。

また、航空貿易を担当する場合は、平日休みになるケースも見られます。

通関士は審査の納期を自分で決められないため、ある程度の残業が必要になると考えておいたほうがよいでしょう。

自分の仕事は順調に進めていたつもりでも、クライアントから通関書類が届くのが遅れたりなど、外部要因で残業せざるを得ない日もあります。

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通関士の求人・就職状況・需要

需要は安定しており、活躍の場も広い

通関士の主要な活躍の場となる通関業者は、大手企業から中小企業まで、全国に1,000社近くあります。

貿易は日本にとって不可欠なことであり、また通関業の営業所には最低1人は通関士を設置しなければならない決まりがあるため、通関士の需要は引き続き安定しているものと考えられます。

なお、商社・メーカーなど貿易に関する業務を扱う会社で、通関士の資格を生かすことも可能です。

大手企業は就職のハードルが高めですが、努力次第で就職先を見つけることは可能でしょう。

実務経験のある有資格者が歓迎されやすいのは確かですが、新卒の場合は通関部門での業務を経験しながら、通関士資格の取得を目指せる会社もあります。

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通関士の転職状況・未経験採用

有資格者や貿易実務経験者が優遇されやすい

通関士は人材不足の傾向にあるため、中途採用で求人が出されることも多いです。

しかし、未経験者がすぐに即戦力として通用するとは限りません。

通関士の資格を取得していない場合には、まずは通関従業者(通関士資格は持っていないが、通関書類の作成に携わる人)として実務経験を積んでいき、資格取得を目指していくケースが現実的といえます。

資格がなく通関士としての業務経験もなければ、転職しやすいのは30代前半までと考えておいたほうがよいでしょう。

一方、通関業務や貿易業務に関連してきた人は優遇されやすく、40代ぐらいまでは採用の可能性が十分にあり、会社によっては管理職として迎え入れられることもあります。

通関士の場合、有資格者かそうでないかで、転職ハードルも大きく変わってきます。

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通関士試験は独学で合格できる?

完全に未経験からの独学での勉強は難しい

通関士試験を受けるにあたって、必ず通わなくてはならない学校はありません。

したがって、どのような人でも独学で受験し、合格を目指すことは可能です。

しかし、通関士試験は難易度が高く、軽い気持ちで挑戦できるようなものではありません。

貿易に関する専門用語や法律なども覚える必要がありますが、まったく貿易に触れたことがない人が、一から市販のテキストや参考書を読んで理解するだけでも大変なことでしょう。

できるだけ費用を抑えて効率的に学習したいと考える場合には、ポイントがわかりやすくまとめられ、一定の学習ペースを示してくれる通信講座を活用するのもひとつの方法です。

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