「花屋」とは

生花店で切り花、観葉植物、鉢花を販売する。仕入れから花の管理、手入れまで幅広く行う。
花屋とは、切り花を中心に販売する商店のことで「生花店」とも呼ばれます。
とても華やかに見える人気の仕事ですが、朝早くから市場へ花を仕入れに出かけ、花の鮮度を保つための「水揚げ」や「水替え」など、地道な作業もたくさん。
実店舗での対面販売が中心になるものの、最近ではインターネットで注文を受け付け、お客さまの家まで配達を行うオンラインショップも増えています。
花屋になるのに特別な資格は必要ありません。大学や専門学校などの園芸科では、草花の幅広い知識を身につけることができますし、技術やノウハウ中心に学べる専門学校や養成学校もあります。
季節によって売上(収入)の変動が大きい仕事なので、仕事を長く続けるためには、まず花が大好きであることが必須と言えます。
「花屋」の仕事紹介
花屋の仕事内容
仕事内容が多岐にわたり、多い
花屋は、主に生花店や園芸店で、花の買い付け、販売、製作、接客などを行います。
まず販売用の花を仕入、水揚げ、水替え、鉢物メンテナンスなどを行います。
そして、お客様が購入したくなるような店頭ディスプレイを行い、花束やアレンジなどの商品製作を行いつつ、接客をこなします。
他にも掃除を行い、繁忙期には配達業務も兼務するなど作業量が多いのが花屋の特徴です
近年では、ネット通販専門の花屋も存在します。
花屋によっては、結婚式場や葬儀場と提携し、装花を製作するところや、店舗やイベント会場に出向き、現場で装花を行うところもあります。
街の花屋から大型フラワーショップ、式場提携の花屋など、その規模により、業務範囲は異なります。
ただ全体的な傾向として、仕事は多岐にわたり、体力勝負の作業が多いです。
花屋で働くには、花を愛する気持ちときびきび体を動かせることが必要でしょう。
花屋の就職先・活躍の場
花屋、ネット専門店などで働く
花屋を目指したい人は、花屋さんへ就職する人が多いです。
一言で花屋といっても、個人経営の町の花屋から、全国展開する花屋までその規模は様々です。
全国展開する花屋は、店舗での個人向け販売は勿論、冠婚葬祭、イベント装花も行っており、業務範囲が広いでしょう。
企業によっては、花をコンセプトにしたカフェやショップなど異業種へ進出を行うところもあります。
ブライダルやイベント装花を行いたくて、花屋を目指すのであれば、幅広い事業に取り組む会社への就職を目指しましょう。
最近は店舗をもつ花屋がネットでも花を販売するほか、ネット専業の花屋も存在します。
花屋の1日
朝早く夜まで大忙しな仕事
花屋は朝早くから夜遅くまで大忙しなのが特徴で、1日のスケジュールは働く花屋の規模や、立地によっても異なります。
たとえばオフィス街の花屋では働く人に合わせて平日が忙しく、土日は休みのこともありますが、ショッピングモールなどの花屋では逆に土日が繁忙期です。
また都心の繁華街や夜の店の近くにある花屋では、夕方から深夜までオープンしている店が多いので、働く時間帯や繁忙期も異なります。
<オフィス街の花屋の1日>
5:00 市場へ仕入れ
7:00 仕入れた花の手入れをして開店準備
9:30 開店したら来店したお客さまの接客
13:00 昼食
14:00 接客をしながら花の手入れを行う
18:00 ネット注文の発送業務
19:00 閉店後に経理処理やスタッフミーティング
20:00 勤務終了
花屋になるには
学歴不問のところが多い
多くの花屋で、特別な学歴、資格は不要というところが多く、なりたいという方はチャレンジしやすい業界です。
現在働いている人も、未経験からアルバイトとして、働き、そのまま社員になったという人も多いです。
植物知識習得を目指し、農業大学や園芸課で学ぶ人もいれば、より技術的なノウハウを習得するため専門学校へ通う人もいます。
また花屋の歴史が古い欧州などに留学し、修行を行うフラワーデザイナーもいます。
しかし、この業界は実践のなかでこそ、身につく技術、知識が多いものです。
花屋を目指したい人は、まずアルバイトでも業界に飛び込んでいきましょう。
花屋の学校・学費
多くの専門学校が存在
花屋として働くために、行かなくてはいけない学校や取得すべき資格はありません。
一部の大手企業を除けば、学歴は問われなく、高卒程度でよいとされています。
しかし、将来的に独立したい、より専門的な知識を習得したい場合は、専門学校に通うのもいいでしょう。
専門学校は園芸デザイン科、フラワーショップ専攻などの名称で開設されています。
多くが2年制で、フラワーアレンジメントの方法など技術中心に学びます。
ほかには、店舗運営やギフトラッピングなどより実用的な授業もあります。
費用は年間100万程度で、別途花材費が20~30万円かかります。
花屋の資格・試験の難易度
自動車運転免許は必須
花屋は、前述の通り、特別な資格がなくてもなれる職業です。
ただし、自動車運転免許は、花の仕入れや配達があるため、業務上必要で、アルバイトでも求められることがあります。
ほかには花束づくりに役立つ資格として、フラワーデザイナーの資格や国家資格のフラワー装飾技能士があります。
フラワー装飾技能士の合格率は3級8割、2級7割、1級5割です。
他の国家資格と比較して、範囲度は高くなく、独学も可能です。
ただし、実技試験の練習は、花屋で働いていない未経験者が独学で行おうとすると大変かもしれません。
専門学校に通うほか、通信教育で学ぶほうが効率的に取得可能でしょう。
花屋の給料・年収
給料は高くない
朝早くから、夜遅くまで働く花屋ですが、年収は他と比べ高くありません。
正社員であれば、年収350万円~400万円です。
アルバイトの場合、東京都で時給800~1000円、地方では750円以下というのが相場です。
経験とともに、時給はアップすることもありますが、大幅なものは期待できません。
花屋は業界傾向として、利益がでにくいといわれます。
花屋は在庫である花をたくさん仕入れ、店頭に並べておく必要があります。
しかし、花は食料品でないため、売上に波があり、売れ残ることもあります。
花の鮮度は短く、値下げをしていかなくてはならないため、利益がでにくいのです。
そのため、ある程度経験を積んだ人は、独立し、自分の店を開業しようとするようです。
成功すれば社員として花屋に勤めるより、年収はアップします。
しかし、固定客がつくまでは、仕入れなどの費用が先行し、赤字が続くことも珍しくはありません。
花屋のやりがい、楽しさ
たくさんの想いを花に込める
花屋で花を買う時は、母の日やプロポーズなど特別な日が多いです。
また結婚式などの装花も1生に1回の晴れ舞台を彩る大切なものです。
花屋の仕事は、人々が花に込める想いに触れる機会が多いです。
お客様のニーズを引き出しながら、季節の花、好きな花、花言葉の意味を考えながら、花束やアレンジメントを作ります。
お客様に花束を渡すときに、ありがとうと言ってもらえると、その先にある人の笑顔も想像でき、幸せな気分になれます。
また、花は鮮度を保つために、手をかける必要があります。
手をかけたぶんだけ、お客様から鮮度をほめられ、よい状態の花束が製作ができ、やりがいを感じます。
美しい花に包まれて生活が出来るのも、花好きには魅力です。
花屋のつらいこと、大変なこと
体力勝負の仕事
花屋というと優雅で華やかなイメージがありますが、実際の仕事は体力勝負です。
バケツの水換え、配達など力仕事が一日の大半を閉めます。
また基本的に接客も製作も立ちっぱなしなので、腰や足の痛みも日常茶飯事です。
加えて花屋は、水を多く使用するので、手荒れも職業病です。
仕事も朝から晩まで、繁忙期には深夜や休日まで仕事ということもあり、肉体的につらいと感じる人が多いです。
加えて、花は生物なので、鮮度管理が難しく大変です。
時に花の手入れのために残業や休日出勤することもあります。
花屋に向いている人・適性
花が好きという気持ちが大切
花屋の仕事は、肉体的にも大変で、朝から晩まで働く過酷な仕事です。
それでいて年収は決して高いとはいえません。
そのため、漠然とした憧れ、綺麗なものに囲まれたいというだけでは、長く続けるのは難しいでしょう。
花が大好き、花屋になりたいという熱意の強い人が向いています。
ほかには、季節感覚や色彩感覚に優れていて、楽しめる人であれば、花屋の仕事を長く続けられるでしょう。
また花屋は肉体的にハードな仕事です。
健康に自信があり、体力仕事に抵抗がないというのも大切な適性です。
花屋志望動機・目指すきっかけ
憧れだけで目指すのは危険
花屋は花に囲まれて優雅なイメージがあります。
最近はカルチャースクールなどでもフラワーアレンジメントの講座があり、漠然と楽しそうというイメージから、花屋を志望する人が多いです。
しかし実際の花屋の仕事は肉体労働も多く、勤務時間も長く、年収も高くないと憧れだけでは、長く続けるのは難しい仕事です。
そのため、花屋側も単なる憧れだけで志望し、短期で辞められることを危惧しています。
より説得力のある志望動機をはなすためにも、まずはアルバイトでも業界を知ることが大切でしょう。
花屋の雇用形態・働き方
繁忙期には非正規採用も増加
花屋の雇用形態には、正社員のほか非正規雇用も多いです。
なかでもアルバイトは店側にとって、店の忙しさにあわせシフトを調整でき、人件費も抑制できるため、多い雇用形態です。
花に囲まれて働く魅力は強く、学生から主婦まで幅広く働いています。
アルバイトの場合、特別な資格は必要ありませんが、配達があるため、運転免許を必須とするところが多いです。
花屋は、季節により売上の差が大きく、母の日やクリスマスなどのイベント前には、期間限定でアルバイトを採用することが多いです。
短期ながら、花の手入れや接客に関わることができます。
花屋の正社員募集は少なく、まずはアルバイトで経験を積み、正社員を目指す人も多いです。
花屋の勤務時間・休日・生活
繁忙期は深夜や休日出勤もある
社員の場合は、1日8時間程度の勤務時間です。
多くの花屋は土日祝も営業しているため、シフト勤務が多くなります。
繁忙期には、注文量が増加するため、深夜、休日出勤の増加など、休みにくいことも多いです。
アルバイトの場合は1日4時間~8時間程度で、週に2日~5日程度の勤務です。
自営の場合は、最初はスタッフを雇う余裕もないため、1人で早朝から深夜まで働く必要があります。
花の手入れがあるため、休日とはいえ、休みたいときに休めるとは限りません。
花屋の求人・就職状況・需要
正社員の求人は少ない
花屋は家族経営や小規模経営なところが多く、正社員の求人数は少ないです。
対して、アルバイトの求人は、比較的多く、特に繁忙期前などに増加します。
全国展開する花屋の場合、正社員採用もありますが、求人は専門学校にいき、一般に公開されてないことも多いです。
経験重視の業界のため、まずはアルバイトで業界にはいり、正社員を目指すのが近道でしょう。
アルバイトでも経験が長くなれば、接客のほか、花の手入れや花束製作などの実務を任せらえるケースもあります。
また求人は花屋が行っていても、職務内容は配送ドライバー、配送センターでの募集の場合があります。
花屋で接客し、アレンジメントを作りたいという人は注意しましょう。
花屋の転職状況・未経験採用
まずはアルバイトからスタート
花屋には特別な資格も学歴も不要なところが多いです。
そのため、転職をしようと思えば、チャレンジしやすい業界です。
ただ正社員求人は少なく、アルバイトの求人が多いです。
経験がものをいう業界なので、まずはアルバイトで掃除や接客からスタートし、正社員を目指すのがよいでしょう。
また他の志望者と差別化を図るために、専門学校に通い、花の知識を身につけ、フラワー装飾技能士などの資格を取得するのもよいでしょう。
一般的には即戦力となる経験者が優遇されますが、花屋のなかには、他店の癖がついてないなどの理由で未経験者が歓迎されることもあります。
自分でお店を開こうとする場合、開業資金が必要なほか、黒字化までは厳しい経営になります。
花屋の現状と将来性・今後の見通し
ネット型花屋が伸びている
花屋と一言でいっても、街の花屋から大手花屋、ネット専門店まで多種多様です。
最近は、ネット注文がその利便性の高さから浸透してきています。
今後もネット注文は増加することが予測され、店舗を持たなくても、全国の顧客を相手にできるため、ネット通販を上手に活用することが生き残りには必要でしょう。
花屋の扱う花は、食料品とは違い、生活必需品ではありません。
そのため花屋の売上は、景気に左右されやすく、将来性を考えた時、楽観視するのは危険でしょう。
就職先をみるときは、他と特色があり、花を売れる仕組みを常に考えているような花屋を選ぶとよいでしょう。