官僚の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「官僚」とは

官僚の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

中央省庁に勤務する国家公務員。国の法律や予算に基づき具体的な政策を考え、実務を行う。

「官僚」という言葉は法律で明確に定義されていませんが、一般的には「国家の政策決定に影響力を持つ国家公務員」のことを指して使われます。

官僚の多くは「三権分立」で成り立つ日本の政治構造のうち、行政権を持つ内閣の下に位置する「中央省庁」に勤務します。

通称「キャリア」とも呼ばれる官僚になるためには、公務員採用試験のなかでも難易度の高い「国家公務員採用総合職試験」を受けて合格し、官庁訪問を経て、各省庁に採用される必要があります。

30歳の平均年収は500万円程度ですが、役職が上がれば上がるほど給料もアップし、官僚の最高職位となる「事務次官」まで出世していくと年収3000万円を超すともいわれています。

安定した身分が保証され、日本を動かしていく華やかなイメージが先行しがちな職業ですが、昨今の官僚批判や厳しい出世競争、連日のハードワークなど大変な面も多々あります。

「官僚」の仕事紹介

官僚の仕事内容

中央省庁で国家運営のための幅広い業務を担当する

官僚とは、法律で明確に定義されている言葉ではありません。

一般的には、立法・司法・行政の「三権分立」で成り立つ日本の政治構造のうち、行政権を持つ内閣の下に位置する「中央省庁で働く国家公務員」のことを指して使われます。

官僚の役割は、国会で決められた法律や予算に基づいて、国の重要課題に取り組んでいくことですが、各省庁によって具体的な仕事内容は異なります。

たとえば「財務省」では国の予算づくりや税制の企画立案を、「厚生労働省」では国民の健康や職の安全についての管理を、「外務省」では諸外国との外交活動を、それぞれ担っています。

国家公務員のキャリアとノンキャリア

選挙で選ばれた政治家たちが集まり、法律を定めるのは「立法府」である国会です。

一方、そこで決まった法律を実行するための具体的実務を行うのが「行政府」である中央省庁で働く官僚の役割です。

官僚は、日本の行く末を左右する仕事に携わるため、高度な知識と責任感がなければ務まりません。

なお、国家公務員は「キャリア」や「ノンキャリア」と分類されることがありますが、通常、前者は「国家公務員採用総合職試験」を受験して採用された人、後者は「国家公務員採用一般職試験」を受験して採用された人を指します。

キャリアは各プロジェクトで中心的な役割を担い、一般的にはこちらが「官僚」と呼ばれます。

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官僚になるには

国家公務員試験を突破し、希望省庁からの内定を得る

官僚とは、一般的には「国家の政策決定に影響力をもつ国家公務員」を意味しており、官僚になるためには「国家公務員採用総合職試験」を受けて合格し、各省庁に採用される必要があります。

国家公務員採用総合職試験は「院卒者試験」と「大卒程度試験」の区分で行われており、それぞれで年齢や学歴などの受験資格が設けられています。

試験は筆記試験と面接試験の2段階選抜で実施され、双方を突破すると「最終合格者」となります。

最終合格者になっても内定が得られるわけではなく、入庁を希望する省庁への「官庁訪問」を行って個別に面接を受けることにより、ようやく採用の可否が決定されます。

高卒者が総合職試験に合格するのは非常に難しい

高卒の学歴をもつ人は、国家公務員一般職試験もしくは専門職試験の「高卒者試験」の区分を受験することで、国家公務員を目指すことが可能です。

ただし、このルートで採用された場合は、通常は官僚とは呼ばれず「ノンキャリア」とみなされます。

総合職の大卒程度試験は「21歳以上30歳未満」であれば学歴関係なく受験できるため、高卒者がキャリアを目指すことも物理的には可能ですが、現実として、高卒からキャリア官僚になるのは厳しいと考えておいたほうがよいでしょう。

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官僚の学校・学費

官僚を目指すのなら高い学歴が必要

官僚になるための国家公務員採用総合職試験は「大卒程度試験」と「院卒者試験」の2つの区分で実施されています。

応募資格として、大卒程度試験は「21歳以上30歳未満」であること、院卒者試験は「30歳未満で大学院修了もしくは大学院修了見込み」が条件となります。

学校名で受験が制限されることはありませんが、実際に官僚として採用されているのは東京大学や京都大学をはじめとした難関の国立大学や、有名私立大学の出身者がほとんどです。

国家公務員採用総合職試験は、数ある公務員試験のなかでも難関であり、突破するには高い学力レベルが求められます。

できるだけ早いうちから継続的に勉強し、確かな基礎学力を身につけておくことは必須といえます。

省庁によって採用試験の募集区分が異なる

国家公務員採用総合職試験は、行政、政治・国際、法律、経済、工学、物理化学、農業科学・水産など、いくつかの「区分」から選んで受験します。

出身学部に制限はないものの、省庁によって採用区分が異なっており、たとえば法務省の民事局は行政、政治・国際、法律、経済が対象、環境省の理工系は工学、物理化学・物理・地球科学、科学・生物・薬学を採用対象にしています。

一方、外務省や法務省などは全区分が対象です。

採用予定人数もかなりのばらつきがあるため、希望の省庁がある程度決まっている人は大学選びの参考にするとよいでしょう。

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官僚の資格・試験の難易度

官僚志望者むけの試験は「大卒程度試験」と「院卒者試験」がある

官僚を目指す人が受験する国家公務員採用総合職試験は、「大卒程度試験」と「院卒者試験」の2つがあります。

大卒程度試験に学歴要件はありませんが、大卒レベルの内容となっていることから、実際に受験するのは大卒者(あるいは卒業見込み者)がほとんどです。

なお、総合職試験は、かつての「国家公務員1種試験」と同等のものであり、数ある公務員試験のなかでも難易度が非常に高めです。

実際に官僚になっているのは難関大学出身者が多いことをみても、学生の頃から培ってきた基礎学力が合否に大きく影響すると考えられます。

合格倍率(申込者に占める最終合格者の割合)は年度によって多少上下しますが、大卒程度試験は13~15倍前後、院卒者試験は4~6倍前後で推移しています。

また、この試験を突破しても、その後の官庁訪問で内定を得られなければ官僚になれないため、実際の採用倍率はさらに高いものとなります。

官僚の給料・年収

出世レースを勝ち抜けば高収入を手にできる

官僚といわれる国家公務員総合職の給料は、人事院が定める「行政職俸給表(一)」に沿って支給されています。

この俸給表は、勤続年数や職務成果によって徐々に昇給していくことが特徴的です。

30歳の平均年収は500万円程度となっており、とび抜けて高給とはいえませんが、長く勤務して順調に出世し、官僚の最高職位となる「事務次官」ともなれば、年収は3000万円を超すといわれています。

しかしながら、官僚世界の出世競争は想像を絶する厳しさであり、全員が特別に高収入を得ているわけではありません。

「平成31年 国家公務員給与等実態調査」によると、総合職が分類される行政職俸給表(一)の給与平均は約41万円で、ボーナスを加えた平均年収は約676万円と推定できます。

国家公務員としての充実した福利厚生

国家公務員である官僚には、扶養手当や住居手当など、生活面で役立つさまざまな手当が適用されます。

また、官僚に転勤はつきものですが、広域的な異動を行うと距離などに応じた手当も支給されますし、寒冷地で働く場合にも別途手当が出ます。

さらに「宿舎」と呼ばれる社宅のような制度もあるため、住居や生活面で大きな不安を抱えずに済むでしょう。

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官僚の現状と将来性・今後の見通し

仕事は激務で厳しいが、国を背負う重要な使命を担う

「キャリア官僚」というと、エリート中のエリートで、安定した待遇の下で働けるといったよいイメージが抱かれがちです。

しかし、近年は国家公務員の給料が削減されたり、世間の風当たりが強くなっていたりして、官僚をはじめとする国家公務員を取り巻く状況は、決して安泰とばかりはいえません。

とくに官僚は、公務員のなかでも将来の幹部候補として大きく期待されていることから、ハードワークになりがちです。

連日の長時間残業や熾烈な出世競争を苦にして、プレッシャーやストレスを抱え、早期に民間企業へ転職するなど、別の道に進む人もいます。

それでも、官僚は日本という国をよい方向へ導くために必要不可欠な存在です。

国や日本国民全体のために働くという国家公務員本来の使命をよく理解し、プロフェッショナルとしての自覚や熱意をもつ人材が求められています。

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官僚の就職先・活躍の場

中央省庁を中心に、異動で地方に勤務することもある

官僚の活躍の場は、国の行政機関である中央省庁です。

2020年時点の中央省庁は「1府11省2庁」となっており、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、復興庁、国家公安委員会(警察庁)を指しています。

各省庁の建物は東京・霞が関に集約されていますが、地方にも出先機関があり、若手の官僚は1~3年という短めのスパンで、各省庁の関係部署間での異動を繰り返すことが一般的です。

このため、勤務地は霞が関に限るわけではなく、それまでまったく縁がなかった地域で働く可能性もあります。

また、近年では国際的に活躍できる官僚を育成するために留学制度が拡充される傾向にあり、毎年100人を超える官僚が同制度を利用し、海外での勉強に励んでいます。

官僚の1日

若手の官僚はとくにハードな毎日を送る

官僚の毎日は激務です。

とくに新人や若手の頃は多忙になりやすく、連日、早朝から深夜までの長時間勤務となり、睡眠も満足に取れないまま働く日が続くこともあります。

時期によっては、自宅に戻らずオフィスで数時間仮眠を取っただけで、また仕事を再開する日もあります。

ここでは、若手官僚のある1日(国会会期中以外)の動きを紹介します。

8:30 登庁・メールチェック
9:00 報道情報のチェック
9:00 報道機関用の応答例を幹部に提出
12:00 休憩
13:00 予算案に関する資料作成
16:00 議員立法に関して担当局と打ち合わせ
19:00 デスクワーク
21:00 退庁

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官僚のやりがい、楽しさ

国家を動かす大きな仕事に取り組める

官僚が手掛ける仕事の多くは、法律案や予算案の立案をはじめ、何十億円、何百億円単位もの金額を動かすスケールの大きなものです。

また、大企業のビジネスマンや専門機関の研究者など、各分野のトップを走るプロフェッショナルたちとタッグを組んで、国家規模のプロジェクトに携わることもあります。

官僚になれば、官僚にしかできない、高い専門性を必要とする国を背負った大事業に携わることができ、そこに計り知れないやりがいを感じている人が多くいます。

担う責任は重く、プレッシャーを感じることも多々ありますが、国家公務員としての安定性や、社会的に高い評価を受けながら働くことができるのも魅力です。

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官僚のつらいこと、大変なこと

激務やプレッシャーに耐えうる体力と精神力が求められる

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官僚に向いている人・適性

バランス感覚に優れた調整力のある人

官僚には、国全体のために働く責任感や使命感が求められます。

また、官僚の手掛ける仕事は規模が大きく、関係者の数も膨大になるため、それらの利害関係を調整することも官僚にとっての大事な役割です。

また、交渉相手は政治家や業界団体のトップなど一筋縄ではいかない人たちばかりであるため、優れた交渉能力や、ひとつのことだけに捉われないバランス感覚、そして忍耐力などを備えた人は、官僚に向いているでしょう。

官僚が身を置く世界において、円滑にものごとを進めるためには、自我を殺して仕事に徹しなくてはならない場面も多いです。

このため、自分のこだわりが強かったり、オリジナリティや個性を存分に発揮して自由に働きたいといったタイプの人は、官僚にはあまり向いていないと考えられます。

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官僚志望動機・目指すきっかけ

官庁訪問では具体的な志望動機が重要になる

官僚になることは、幼少の頃から必死で勉強に励んできた人たちにとって、ひとつの大きな目標になりやすく、霞が関の本省で働くことに憧れを抱く人は少なくありません。

「国力を高めるための仕事がしたい」「広い視野をもって国や地域を活性化させるために活躍したい」など、人によってさまざまな志望動機を抱いています。

なお、国家公務員総合職、つまり官僚としての内定を得るためには、官庁訪問によって自分の適性や資質を認められる必要があります。

官庁訪問はいくつかのクールに分けて実施され、その都度志望動機などを問われることになります。

各省庁の業務内容に関連付けた明確な志望動機を述べることが重要とされているため、志望先の省庁で何をしたいのか、具体性をもった言葉で語れるように準備しておきましょう。

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官僚の雇用形態・働き方

官僚は出世すると役職が上がっていく

国家公務員総合職採用試験を経て、いわゆる官僚になった人は、勤続年数や職務成績に応じて徐々に昇進していきます。

省庁では「課長」「審議官」「部長」「局長」「事務次官」という役職名があり、出世競争に勝ち続ければ順にランクアップしていきます。

局長クラス以上の役職者になると、通称「高級官僚」と呼ばれるようになります。

高級の名を冠する通り、局長で年収2000万円、事務次官で年収3000万円を超える収入が望めるようになり、優秀な官僚のなかでもエリートと認識されます。

ただし、高級官僚にまで登り詰められる人は決して多くありません。

なお、近年では女性の官僚が増加傾向にあり、局長クラスの女性も複数名誕生しています。

官僚の勤務時間・休日・生活

時期によっては連日の長時間残業が続く

官僚は国家公務員であるため、勤務時間は他の公務員と同様、基本的に8:30~17:15で、1日あたり7時間45分勤務と定められています。

しかしながら、この時間内で仕事がおさまることはほぼありません。

夜遅くまで残業に追われる日がほとんどで、とくに国会会期中や予算編成時期はきわめて多忙となり、日付が変わってからタクシーで帰宅する日が続くこともあります。

もちろん部署にもよりますが、官僚の世界全体として、長時間勤務が常態化している状況が問題になっています。

昨今では、この問題を改善するために出勤時間の繰り上げ、フレックスタイム制の導入、テレワークの実施促進など、さまざまな施策が実施されています。

とはいえ、根本的に業務量が膨大であるため、なかなか大きな改善は見られない状況のようです。

ワークライフバランスをとるために

官僚が激務であるのは間違いありませんが、それでも日によって、時期によっては、比較的落ち着いているタイミングもあります。

また、若手の頃は支局へ異動したり、関係機関に出向する機会も多くあり、そうした場では中央省庁よりも早く帰れることもあるようです。

普段からストレスを抱えがちな官僚だからこそ、自分で上手に息抜きをすることも重要です。

幸いにも官僚の福利厚生は手厚く、プライベートを充実させるための休暇制度や手当などの制度は整っています。

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官僚の求人・就職状況・需要

国家公務員の数は徐々に削減傾向

高齢化にともなう医療費の増大、労働人口の減少による税収減などを背景として、日本の財政は厳しい状況が続いています。

こうしたなか、国家機関における人件費の抑制が重要課題となっており、国家公務員の数は徐々に削減されていく動きが進んでいます。

今後についても「新規増員は厳に抑制する」という方針が発表されているため、求人数が大幅に増加することは考えにくいのが実情です。

少子化によって学生数が減少しているとはいえ、これから官僚を目指していく若者にとって、官僚への道のりは決して楽ではないと考えておいたほうがよいでしょう。

難関とされる国家公務員採用総合職試験を受けるのであれば、今後も十分な勉強と試験準備が不可欠です。

官僚の転職状況・未経験採用

受験要件さえ満たせば採用試験の受験は可能

官僚になるための国家公務員採用総合職試験では「30歳」を上限とする年齢制限が設けられており、また院卒者試験では大学院卒の学歴も必要です。

この条件を満たせば、いったんは民間企業に就職した人などでも受験することは可能です。

ただし、同試験は膨大な勉強量が求められる難関試験であり、勉強だけに集中できる学生でも、合格できる人は限られています。

働きながら十分な勉強時間を確保することは容易ではない、と覚悟しておかなくてはなりません。

また、試験を突破したあとに実施される官庁訪問では、「なぜ民間企業から国家公務員を目指すことにしたのか」厳しく問われると考えられます。

転職の動機が明確でなければ内定を得るのは難しいため、前職の経験や習得したスキルなどとも絡めながら、官僚として実現したいことを具体的に語ることが大切です。

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官僚の「キャリア」と「ノンキャリア」の違い

総合職試験を受験して採用された「キャリア」が官僚と呼ばれる

国家公務員には「キャリア」と「ノンキャリア」がありますが、どちらも法的に定義されているものではありません。

両者は、採用された国家公務員試験の種類によって区別されるのが一般的で、キャリアは「国家公務員採用総合職試験」を、ノンキャリアは「国家公務員採用一般職試験」を経由して採用された人を指しています。

どちらも新人時代の仕事内容に違いはほぼありませんが、何年か経つと、キャリアは国家政策に関わるプロジェクトで中心的な役割を担い、将来の幹部を目指していきます。

こちらがいわゆる「官僚」です。

一方、ノンキャリアは法律の執行や定例的な業務を中心に手掛け、官僚とは呼ばれないことが多いです。

キャリアの昇進スピードは速く、とび抜けて優秀な人材は「審議官」や「局長」、そして各府省における最高地位である「事務次官」に抜擢されます。

キャリアが受験する総合職試験は非常に難易度が高いこともあり、東京大学や京都大学を筆頭に、日本の有名大学の出身者が多くいます。

ただし、ノンキャリアでも課長クラスまでは出世できますし、実力が認められればさらに上を目指すことも可能です。

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官僚の役職・階級

独自の階級で成り立っている組織

各省庁は、基本的に大臣を筆頭に、以下のような階級構造となっています。

・大臣
・副大臣
・大臣政務官
・事務次官
・局長、官房長
・審議官
・課長

このうち、大臣政務官以上は国会議員が任命されるため、事務次官から課長までが官僚の階級となります。

国家公務員採用総合職試験を経て各省に配属された新人官僚は、一般官僚として実務に携わります。

経験を積むうちに係長や課長補佐、企画官といった役職が与えられ、実務を実質的にマネジメントする課長クラスまでは自動的に出世できるとされています。

ただし、課長になるまでには20年ほどかかり、その先にも厳しい出世競争が待ち受けています。

課長のひとつ上の階級が審議官で、局長の代理を務めるのがおもな役割です。

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高級官僚とは

官僚のなかでも出世を重ねたトップ層の人のこと

官僚が働く各省庁では、役位による独自の階級構造があります。

階級が下のほうから課長、審議官、局長・官房長、事務次官、大臣政務官、副大臣、大臣となっており、このうち「局長」以上が「高級官僚」と呼ばれます。

省内にはいくつかの「局」と人事や予算管理、会計監査や国会との調整役を務める「大臣官房」が設置され、それらの長を務めるのが局長・官房長です。

なお、大臣政務官以上は基本的に国会議員が任命されるため、国家公務員である官僚のトップは「事務次官」です。

事務次官は省内における事務方のトップで、大臣まであがることのない案件は事務次官が意思決定することも多いです。

高級官僚と呼ばれる局長・官房長や事務次官も、国家公務員である以上、基本的にはほかの官僚と同じ待遇です。

ただし、一般の官僚よりも政府に近い立場となり、官僚のなかでもエリート中のエリートとみなされています。

多くの官僚は課長までは自動的に昇進できますが、それより上を目指すのは簡単ではなく、高級官僚になれば年収2000万円ほどに達する人も出てきます。

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