【2021年版】市役所職員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「市役所職員」とは

市役所に勤務する公務員。事務業務や土木・電気など技術系業務を行い、市民生活を支える。

市役所職員の仕事は、産業振興、防災・防犯対策、福祉・教育の充実など市民生活の基礎を整え、管理することです。

身分は「地方公務員」であり、原則的に、難易度別に区分された各自治体の「市役所職員採用試験」を受けて合格することで、市役所職員として働けます。

公務員として安定した働き方ができることや、市民の生活に身近な立場で働けることなどから人気がある仕事です。

しかし、近年は財政の厳しさから職員数の削減が進む一方、地方分権の進展で職員の仕事は増え、個々の職員の負担は増大傾向にあります。

これからの市役所職員には、地域貢献に対する強い情熱に加えて、地域の課題解決から効率的な業務推進に向けた職場改革まで取り組んでいくような行動力、発想力なども求められています。

「市役所職員」の仕事紹介

市役所職員の仕事内容

行政の立場から市民の暮らしをサポートする

地方公務員として働く市役所職員の仕事は幅広く、地域住民の人たちが快適な日常生活を送れるように、市民に対してあらゆる面でのサポートをおこなっています。

市役所職員の仕事は、大きく「事務系」と「技術系」の2種類に分けられます。

「事務系」の職員であれば、たとえば戸籍や住民票の手続きなどの窓口業務、社会福祉に関する相談対応、企業誘致活動などの産業振興などに携わります。

「技術系」職員の場合は、道路工事の設計・現場管理や、都市計画の立案サポートなど、各分野の専門知識・技術を生かして働きます。

事務系職員は3年〜4年程度の周期でさまざまな部署を異動していきますが、技術系職員は自らの知識・スキルが生かせる部署のなかで専門的に働きます。

市民と触れ合う機会も多い

市役所職員の業務は配属先によって異なりますが、いずれも、市民生活の維持になくてはならないものです。

また、職員は「市」と「市民」を結ぶ窓口の役割を担い、市民から直接、意見や要望、困りごとを聞く機会も多くあります。

市民の考えを誠意をもって受け止めたうえで、市としての立場や考えをわかりやすく説明していくことも、市役所職員の重要な役割です。

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市役所職員になるには

各自治体で独自に実施される市役所採用試験を受ける

市役所職員になるには、各自治体が実施する「市役所職員採用試験」を受けて合格し、採用される必要があります。

自治体によって異なる者の、試験の難易度ごとに、大学卒業程度の「上級」、短大卒業程度の「中級」、高校卒業程度の「初級」といった形に分けられて実施されることが多いです。

また、職種は「事務系(一般行政職)」と「技術系(技術職)」の2つに分けられます。

事務系の募集は比較的多いですが、技術系は年度によって募集がなかったり、非常に少なかったりすることもあります。

特殊な区分で採用試験を行う自治体も

上記のほかにも、社会人を対象とした採用試験や、一般的な教養試験の代わりにSPI試験を課すなどの「特別枠」を設けている自治体もあります。

また、「資格免許職」といって、専門的な資格・免許を取得している職員の採用試験も行われます。

資格免許職の例としては、看護師、臨床心理士、保育士、栄養士などが挙げられます。

市役所職員とはいっても、どの区分で応募するかによって、採用後に携わる業務内容などに違いが出てくるため、事前によく確認しておきましょう。

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市役所職員の学校・学費

基本的には学歴不問で応募できる

市役所職員採用試験は、「大学卒業程度」や「高校卒業程度」などの区分がありますが、それらはあくまで試験の難易度を表すものであり、学歴要件ではありません。

そのため、たとえ高卒者であっても、年齢などの受験資格さえ満たしていれば大学卒業程度の試験を受けることは可能です。

ただし、「技術系」の職員や「資格免許職」などを目指す場合には、その職種に関する専門知識や資格を保有していることが受験資格となっている場合もあります。

どのような仕事をしたいかによって、通うべき学校は変わってきます。

採用数が多い「事務系」の職員は、多様な学校や学部の出身者がいます。

ただ、採用試験では法律や経済に関する問題が多く出題されることから「法学部」や「経済学部」などで学んでいれば、多少有利になるかもしれません。

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市役所職員の資格・試験の難易度

自治体によっても試験の倍率には差が出る

市役所職員採用試験の採用倍率は、各自治体におけるその年の募集人数と応募者数によって常に変動しています。

各市のホームページで過去の試験結果が公表されている場合が多いため、自分が希望する試験区分の倍率はチェックしておくとよいでしょう。

なお、市役所職員を目指すにあたっては、資格免許職など一部の職種を除けば、特別な資格や免許を持っていなくても応募可能です。

全体として、最近の職員採用試験では「人物重視」の選考がおこなわれる傾向があり、市役所職員としてふさわしい人柄であるかどうかや、仕事に対する熱意や目標なども厳しく問われます。

筆記試験対策に加えて面接対策にも力を入れましょう。

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市役所職員の給料・年収

自治体ごとに給料表が定められる

市役所職員の給料は、各市における民間企業の実態に合わせて定められる「給料表」を基に支給されます。

ほぼ同じキャリアの市役所職員でも、勤務する自治体によって年収に100万円以上の差が出ることもあります。

加えて、「大学卒業程度」や「高校卒業程度」などの試験区分によっても給料には差があります。

平成31年の地方公務員給与実態調査によると、地方公務員一般行政職の平均年齢は42.1歳で、平均給料月額は317,775円です。

税金などを差し引いた手取りの平均月収は、20代〜30代では18万円~25万円程度になることが多いでしょう。

基本的には年功序列で収入が上がる

公務員全般にいえることですが、基本的には年功序列の給与体系で、勤続年数が上がれば収入もアップしていきます。

一般企業のように、自分の勤務成績に応じて給料が大きく変動することはまずありませんが、安定した収入は約束されています。

ボーナス(勤勉手当・期末手当)は必ず支給されていますし、その他の各種手当も充実しています。

特別に高い収入は見込めなくても、休暇制度などの福利厚生の内容も含めて、おおむね満足している職員が多いようです。

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市役所職員の現状と将来性・今後の見通し

職員一人ひとりの発想力や創意工夫が求められる

地方分権の進展にともない、地域の課題は地方自治体によって解決されることが求められるようになり、近年では市役所においても「自主性」が必要とされています。

市役所職員には地域が抱える課題の解決策を見出す発想力や、増える仕事を効率的にさばくための創意工夫が求められています。

税収減少により厳しい現状の自治体も多いですが、なかには「地域の暮らしやすさ」や「子育て支援への取り組み」などを大々的にアピールし、移住者を増やすことに成功している自治体もあります。

これからの市役所職員は、与えられた仕事に誠実に向き合うことはもちろん、「自らの手で新しい時代の市役所をつくっていく」という強い意識を持って働くことが必須といえるでしょう。

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市役所職員の就職先・活躍の場

採用された市役所でキャリアを積む

市役所職員の採用試験は各市役所でおこなわれており、職員として採用されてからは、基本的には採用された市役所内にてキャリアを積んでいくことになります。

市役所にはいくつもの「課」があり、事務系職員は3~4年ほどで異動をし、技術系職員は個々の専門分野に関わるさまざまな仕事に携わります。

なお、司書、栄養士、看護師などの「資格免許職」と呼ばれる区分で採用された職員の場合は、勤務場所は市役所とは限りません。

たとえば司書であれば市内の図書館に配属されたり、栄養士であれば市内の福祉保健センターなどに配属されたりすることも考えられます。

公務員の種類によっては遠方への転勤の可能性もありますが、市役所職員の場合、そのようなことはありません。

市役所職員の1日

市役所の開庁時間に合わせて勤務をする

市役所の開庁時間は「平日の8:30~17:15」としている場合が多く、基本的に勤務時間もそれに準じたものとなります。

普段は定時退庁できる部署であっても、窓口に多くの市民が来るなど繁忙期には残業が続いてしまう場合もあります。

ここでは、ある市役所の「まちづくり推進課」で働く職員の1日を紹介します。

8:15 登庁
9:00 部署内で業務の進行状況などを打ち合わせ
10:00 デスクワーク
会議用資料作成や窓口対応など。
12:00 昼食
13:00 打ち合わせ
業者を交えて、地域イベントに関する打ち合わせを進めます。
15:00 デスクワーク
再び資料作成や窓口対応など。
18:00 地域で行われる会議に出席
20:00 退庁
この日は会議の報告書作成のために残業をしました。

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市役所職員のやりがい、楽しさ

市民と関わりながら地域社会をつくっていく仕事

市役所職員は、市民と深く関わり合いながら、より魅力的な地域社会をつくっていく職業です。

街が今後どのように発展していくかの展望を持ちながら、それに向けて日々仕事に取り組んでいます。

多様な業務を経験しながら「街づくりに参加している実感」を得られることは、市役所職員の大きなやりがいになっているようです。

また、市役所職員は、公務員のなかでも市民と直に接する機会が多いです。

市民の声を聞き入れ、安心したり喜んだりする姿を直接見られることに仕事の楽しさを感じる職員もいます。

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市役所職員のつらいこと、大変なこと

イメージとは異なる仕事の厳しさを感じる人も

市役所職員は「定時に帰れて給料も高い」といったイメージを抱かれることが多いですが、いざ配属されると、そのイメージと実態のギャップに苦しむ人もいます。

部署によっては日常的に残業が発生していたり、日頃は定時に帰れる部署であっても繁忙期には残業が続いたりすることも珍しくありません。

最近では人員削減が進んでいることから、職員一人当たりの仕事量は増加傾向にある状況です。

また、採用区分によっては数年単位で異動があるため、新しい仕事を覚えたり、勉強をしたりすることも大変です。

市役所職員は決して楽な仕事ではありませんが、一般的な「安定」のイメージゆえに、仕事のつらさを訴えたくてもなかなか理解されないこともあるかもしれません。

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市役所職員に向いている人・適性

親しみやすく、コツコツまじめに仕事に取り組める人

市役所は市民の生活を支える場であり、そこで働く職員は「市を代表する顔」です。

また、市役所に訪れる市民は困りごとや悩みを抱えている人も多く、もし職員の対応が悪ければクレームの原因にもつながりかねません。

市民と直接コミュニケーションをとる機会が多いため、「親しみやすさ」を持っていることは重要なポイントです。

また、市役所職員の仕事は、基本的に窓口対応や事務手続きなどルーティンワークも多いです。

定められたルールに沿って、一つひとつの仕事をコツコツと真面目に続けていけるタイプの人が、市役所職員には向いています。

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市役所職員志望動機・目指すきっかけ

「自分の生まれた地域に貢献したい」と考える人が多い

市役所職員採用試験を受験する人は、その市の出身者であるケースが多く、「自分が生まれ育った地域に貢献したい」という思いを抱いています。

自分が働く市への愛着や強い思い入れを持っていることは、市役所職員として活躍していくためには欠かせないポイントといえるでしょう。

育った地域以外の市に応募する場合には、自治体独自の取り組み内容に魅力を感じたり、ほかの市にはないユニークな地域性に魅力を感じたりしている人が多いようです。

実際に志望動機を考えていく際には、同時に「市全体を今後どのように発展させていきたいと考えているのか」についても思いを巡らせられるとよいでしょう。

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市役所職員の雇用形態・働き方

ワークライフバランスがとりやすく、女性職員も多数

地域社会に貢献でき、長く安定して働ける市役所職員は女性にも人気の職業です。

一般的な市役所職員採用試験を受けて配属される市役所職員は、正規雇用の常勤として働く人が多くいます。

男性だけでなく、女性も多く活躍しています。

有給休暇や出産・育児休暇、介護休暇、短時間勤務などの各種制度が整っており、結婚後も働き続けやすい職業だといえるでしょう。

市役所職員の場合、一部の公務員のように遠方への転勤もないため、地域に根差して仕事を続けやすいです。

ワークライフバランスの取りやすさに魅力を感じて、長く働き続ける人は多くいます。

市役所職員の勤務時間・休日・生活

基本的には日勤、土日・祝日・年末年始が休み

市役所職員の勤務時間は、役所の開庁時間にあわせて8:30~17:30くらいになるのが一般的です。

残業状況や仕事の忙しさは、配属先の部署や担当業務などによっても変わってきます。

基本的に定時で上がれる部署がある一方、残業が比較的多い部署もあります。

休日関していえば、通常は「土日・祝日・年末年始」が休みです。

ただし、たとえば「まちづくり」や「地域観光」にかかわる部署に配属された場合は、土日に開催される地域イベントなどに参加が必要なこともあります。

もし休日出勤をした場合にも手当や代休取得が可能です。

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市役所職員の求人・就職状況・需要

採用人数は増減するものの安定した需要がある

日本全国で地方公務員として働く人の数は、令和2年4月1日現在276万2,020人で、近年はほぼ横ばいで推移しています。

この数字には、市役所職員以外の地方公務員も含まれていますが、市役所では市民の生活をサポートしていくうえで、一定の職員数の確保は必須です。

毎年、定年退職をする職員もいるため、安定した需要がある仕事といえます。

しかしながら、日本では人口減少や地方財政悪化などの問題も出ており、市役所職員の採用数が今後大きく増えることは考えにくいです。

市役所職員の採用試験は自治体によっては高倍率になるため、油断せずに十分な対策をして臨む必要があります。

市役所職員の転職状況・未経験採用

社会人経験者を対象とした採用試験も実施

市役所職員採用試験は、最近では多くの自治体で、転職者向けの「社会人採用試験」や「民間企業等職務経験者採用試験」などの受験区分が用意されるようになりました。

募集条件は市によってさまざまで、たとえば事務系であれば「3年〜5年以上の勤務経験」が求められたり、技術系であれば「専門分野での特定資格」などが要件になったりするケースもあります。

これらは職務経験が求められる分、一般の採用試験に比べて年齢制限の上限は高めに設定されることが多いです。

転職者が応募できるチャンスは増えているため、詳しく情報を調べてみるとよいでしょう。

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市役所職員と県庁職員の違い

提供する行政サービスの範囲に違いがある

市役所職員と県庁職員は、どちらも「地方公務員」の身分であることは共通しています。

ただ、両者の役割の違いとして、以下のようなことが挙げられます。

・市役所職員:地域住民の日常生活に必要な行政サービスを提供する(戸籍・住民登録や各種証明書の発行、まちづくり、防災管理、福祉や教育に関する相談対応など)

・県庁職員:市区町村レベルでは対応が難しいケースや、国と市区町村間の橋渡しなど、広域にまたがる行政サービスを提供する

県庁では、市区町村をまたいだ総合開発計画や、県全体での義務教育や社会福祉の維持などに関わっていきます。

わかりやすくいうと、市役所職員よりも県庁職員のほうが、より大きな範囲での行政サービスを提供します。

採用試験に関しても、市役所職員と県庁職員は、それぞれ別の種類の試験が実施されます。

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