大道芸人の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「大道芸人」とは

大道芸人の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

さまざまな芸を見せて観客を喜ばせる

大道芸人は、さまざまな芸を見せて観客を喜ばせる仕事で「路上パフォーマー」「ストリートパフォーマー」とも呼ばれます。

大道芸とは、路上や街頭、イベント会場、テーマパーク内、または仮設小屋などで行われるさまざまな芸能のことです。

内容はバルーンアート、クラウン(ピエロ)、ジャグリング、パントマイム、舞踏、音楽、マジックなど多種多様で、これらを組み合わせて披露している人も多いです。

かつては観客からの投げ銭で生計を立てていましたが、現代ではイベントやテーマパークの主催者から出演料をもらって芸を披露することが増えてきています。

また、大道芸人のマネジメントや派遣を行う事務所に所属する人も増えてきており、近年は横浜や静岡などでは大きなイベントが定期的に開催され、職業としての認知度も高まってきています。

大道芸人になるためには、独学で芸を習得するほか、プロに弟子入りしたり、民間のスクール等で芸を習得したりする方法があります。

また、芸能の本場である欧米などに留学し、本格的に芸を学ぶ人も少なくありません。

ただし、ただ芸やパフォーマンスが上手なだけではなく、観客を巻き込んで喜ばせることができる人間的な魅力も必要な仕事です。

「大道芸人」の仕事紹介

大道芸人の仕事内容

鍛錬を重ねさまざまな芸を披露する

大道芸人は、路上や公園、イベント会場などで芸を披露することで収入を得る仕事です。

大道芸人の具体的な仕事としては、ジャグリング、クラウン(ピエロ)、パントマイム、アクロバット、バルーンアートなどがあげられます。

また、特殊な服装をして無言で歩き回るウォーキングアクト、彫像になりきるスタチューなど欧米発祥のもの、人集めの口上をする香具師芸、南京玉すだれといった日本伝統の芸もあります。

そのほかダンスや楽器の演奏など、路上パフォーマンスをする人すべてを含め大道芸人とする場合もあり、芸の種類は実にさまざまです。

全国各地では路上パフォーマーの資格制度を設けたり、自由に芸が披露できる場所を用意したりしており、観客から「投げ銭」をもらうことで収入を得ています。

そのほか、イベントに出演するなどして主催者から出演料をもらうという方法もあります。

ただし、公認制度や、各ライセンスは合格基準をオープンにしない場合が多く、芸人の実力や芸の種類は、かなり幅があるのが現状です。

そのため、大道芸の多くは、高い技術を身に付けるために毎日練習をしたり、新しい芸を習得したりすることも仕事のうちといえます。

とくにアクロバット芸などは失敗すれば大きな事故につながる可能性もあり、自分自身だけでなく観客を巻き込んでしまう危険性もあります。

日々芸と向き合い、鍛錬を重ねることで芸の成功率を高めていくことも大切です。

大道芸人になるには

芸を身に付けるにはさまざまな方法がある

大道芸人になるために、学歴や経験、年齢は問われません。

国内には大道芸を専門とする学校はないため、独学で芸を学ぶか、高校や大学のクラブ、社会人のクラブなどに入り学ぶ人が多いです。

またしっかりと基礎を身に付けたい場合は、プロの大道芸人に弟子入りしたり、専門のスクールや通信講座などで学んだりする人もいます。

ある程度の技量が身につくと、実際にステージに立ちながら修業をしていきます。

人を惹きつける魅力的な芸をするためには、一人での練習では限界があり、人前で実際に芸を披露する経験が必要です。

そのため一般からでもエントリーできるステージや、大道芸の大会に出演したり、プロの大道芸人の前座として出演したりして徐々に経験を積んでいきます。

そこで徐々に人気が出たり芸の力量が認められたりすると、イベント主催者から声がかかったり、大道芸人専門の事務所に所属したりすることもあります。

日本では欧米と違い、街中で許可なく芸を行うことを禁止している自治体がほとんどです。

そのため、大道芸人としてライセンスを取得したり、指定されたエリアや時間内で活動したりすることがほとんどです。

東京都の場合は、都が行う審査会に出場し合格した大道芸人には公共施設などを開放し、都民が芸術文化に触れる機会を積極的に提供する「ヘブンアーティスト」という制度があります。

自分が活動する地域でどのような制度があるかをしっかりと確認しておきましょう。

大道芸人の学校・学費

民間のスクールや通信講座などがある

日本には大道芸を専門に学べる高校や大学はありません。

ただし、大道芸のサークルがある学校はあり、さまざまな芸を身に付けたいという人たちが集まって切磋琢磨しています。

大道芸人になるために特別な学歴は必要ないため、高校生や大学生でありながらも、大道芸人として活躍している人も少なくありません。

大道芸を身に付けるためには特別学校に通う必要はないため、独学で勉強するという人も多く、既にプロとして活動している人から習ったり修業したりするという人もいます。

基礎をしっかりと身に付けたい場合や、1から大道芸人を目指す場合は、民間のスクールや通信講座を利用する方法があります。

大道芸人の給料・年収

出演回数や力量によって収入は異なる

大道芸人はそれぞれパフォーマンスの内容や技術などが違うため、平均年収を出すのが非常に難しいです。

実際に大道芸だけで生計を立てられるのはごく一部で、多くの芸人はアルバイトをしたり副業をしたりしているのが実情です。

基本的には個人事業主として働くため、事業所などからもらう給与ではなく、ステージをこなした分だけの収入です。

観客からの投げ銭のほか、イベント会場や商業施設のステージに呼ばれる場合は、出演料という形でギャラを受け取ります。

これは芸人の知名度や人気、技量によって非常にまちまちで、ステージ当たりの出演料も数千円から数十万円と大きな開きがあります。

とくに海外でのコンテストで入賞したり、テレビなどメディアに露出したりして高い人気を得たりしている人の場合は、1度のステージで高額なギャランティをもらうことができます。

また、海外のショーやカジノなどの大きなステージで芸を披露する機会も増えます。

一方で全く無名の大道芸人の場合は、1日複数回ステージをこなしても出演料が数千円ということもあり得ます。

これだけでは生計をたてられないため、アルバイトをしたり、別に仕事を持って休日などの余暇で大道芸を披露したりしているという人も非常に多いです。

ある程度の人気が出てくると、仕事の多さや移動の大変さから大道芸人専業となるパターンが多いようです。

大道芸人の現状と将来性・今後の見通し

活躍の場やチャンスが増えていく

歴史的に大道芸が盛んだった欧米では、大道芸も芸術や文化を担うアーティストとして地位を築いており、幅広い分野で活躍しています。

日本では古来より口上や南京玉すだれ、手品などの伝統的な大道芸はありましたが、明治時代に大道芸が禁止されたことによりその伝統が一気に断たれてしまいました。

しかし、近年では欧米から大道芸の文化が入ってきたことや、芸術文化振興の観点からも大道芸を認める動きが活発化してきており、大道芸人の活躍の場も増えてきています。

また、大道芸をきっかけにイベントやショーの演出、プロデュースなどに乗り出す人も増えてきており、よりさまざまな分野での活躍が期待されています。

大道芸人の1日

出演するスケジュールによって変わる

大道芸人の1日は、出演する仕事があるかどうかで変わります。

ここではあるイベントに出店しジャグリングを披露する大道芸人の1日の例をご紹介します。

8:30 起床・準備
イベントの集合時間に合わせて起床し、道具などを準備します。
10:00 会場に到着・打ち合わせ
会場に到着し、ステージや持ち時間、前後の出演者を確認します。
11:00 1回目の出演
30分ほどのステージをこなします。
客層にあわせて演目を適宜変え、お客さまを喜ばせます。
12:00 休憩
次の出演までは自由時間で、控室で休憩をとったり他の出演者と交流したりします。
13:00 他の出演者のパフォーマンスを見学
他の出演者がいるときは、どのようなステージ構成や内容なのかを見学し勉強します。
14:00 2回目の出演
午前と午後では客層が違うこともあるため、演目を変えて飽きさせないようにします。
15:00 帰宅
出演が終わると帰宅します。
16:00 道具の手入れ、反省など
パフォーマンスをする際に使う道具の手入は欠かせません。
盛り上がり具合見て反省をし、次のステージに活かします。
17:00 芸の練習
ジャグリングの練習は毎日必ず行います。

19:00 終了

大道芸人のやりがい、楽しさ

観客の歓声や笑顔がやりがいに

大道芸人の一番のやりがいは、観客に喜んでもらうことです。

パフォーマンスをして、大きな歓声があがったり、お客さまが笑顔になったりしてくれれば、大きなやりがいを感じます。

日本では、普段街中で大道芸を目にすることは少なく、日常の暮らしの中では見ることができないさまざまな芸をお客さまに知ってもらい、同じ時間を共有できることは大きな喜びです。

また、大道芸を披露するステージは毎回違い、一度として同じステージはありません。

お客さまに「感動した!」「今度は違うステージに出て欲しい」と声を掛けられることもあり、ステージを通して出会いやつながりを感じられることも、大道芸人としての醍醐味です。

大道芸人のつらいこと、大変なこと

仕事量が安定しない不安定な生活

仕事量が安定しない不安定な生活

大道芸人に向いている人・適性

人を笑わせたり喜ばせたりするのが好きな人

大道芸人に向いている人は、人を喜ばせたり笑わせたりするのが好きな人です。

もちろん、大道芸が好きであることは大前提ですが、大道芸人として芸を披露することは、お客さまがいなくてはできない仕事です。

また、大道芸はほかの芸とは違い、競技としての側面はあまりなく、観客を喜ばせ周囲を楽しませるためのものです。

芸に集中して周囲が見えなくなる人ではなく、常にお客さまを意識し、コミュニケーションを取りながら芸を披露できる人が大道芸人に向いているでしょう。

そのほか、大道芸人を続けていくためには常に新しい芸を身に付け、鍛錬を続けていく必要があるため、こつこつと努力を積み重ねられる人も向いています。

大道芸人志望動機・目指すきっかけ

実際に大道芸を見て興味を持った人が多い

大道芸人になるきっかけとして多いものは、自分自身が実際に大道芸人のパフォーマンスを見たり、動画を見たりしたことで大道芸に興味を持ったというものです。

大道芸人を見たことがきっかけで、自分自身もやってみたい、多くの人を喜ばせたいと思い、真似をして大道芸を始めたという人は多いです。

そのほか、親や友人など身近な人が大道芸をやっていたことがきっかけで、自分も一緒にやり始めたという人もいます。

本業にしようと思ったきっかけとしては、趣味で大道芸を披露しているうちにイベントに呼ばれるようになった、大道芸の収入が多くなってきたことで本格的に専念しよう志した人が多いです。

大道芸人の雇用形態・働き方

大半の人は個人事業主として働く

大道芸人の人は多くが個人事業主(フリーランス)として働いています。

活動する時間やパフォーマンスをする場所なども自由に決められますが、一方で収入は観客からの投げ銭やイベントの出演料のみで、収入は不安定です。

また、営業や経理などパフォーマンスをするために付帯するさまざまな仕事もすべて一人で行わなくてはなりません。

なかには、大道芸人などパフォーマー専門の所属事務所や、芸能事務所などに所属して活動する人もいます。

こうした場合は事務所が仕事と紹介してくれるため比較的安定した仕事が得られる反面、マネジメント料などを事務所にとられてしまうため、収入が減ってしまう可能性もあります。

大道芸人の勤務時間・休日・生活

ステージなどのスケジュールに合わせて働く

大道芸人の働き方は非常に流動的です。

基本的にはステージなどのパフォーマンスをする時間に合わせて働くため、毎日同じ決められた時間で働くという人はほとんどいません。

パフォーマンスをする内容や時間、地域が異なるため、芸人ひとりひとりがそれぞれ違うといってもいいでしょう。

ときには移動のために朝早くから動いたり、また夜のステージのため深夜まで働いたりすることもあります。

一方で、大道芸人は個人事業主であるため、働く時間や日数をある程度自分でコントロールすることができ、特定の曜日を休みにしたり、自分で働く時間を調整したりすることもできます。

大道芸人の求人・就職状況・需要

大道芸人という求人はない

大道芸人は基本的には自分が「大道芸人である」と名乗った日からなることができ、芸の力量や演目の内容に関わらず人前で披露さえすれば立派な芸人といえます。

ただし「大道芸人」という求人はほとんどなく、募集があるのは大道芸人が活動できるステージや場所です。

大道芸人に直接オファーが来るようになるには高度な技術や知名度が必要で、基本的には自分で情報を集め、積極的にステージに出演したり、営業をかけたりしなくてはなりません。

近年では、地域の人々に芸術に親しんでもらおうと大道芸人が活躍できる場所が増えてきていますし、さまざまなイベントに大道芸人が出演できるステージを設けていることも多いです。

これから活躍したいという人にはチャンスが増えてきているといえるでしょう。

大道芸人の転職状況・未経験採用

趣味が本業になる人も多い

大道芸人の多くは、はじめのうちは生計を立てることができず、アルバイトをしたり他に仕事を持ったりして活動するのが一般的です。

しかし、大道芸人として経験を積み観客を集められるようになると、仕事量が増えアルバイトや仕事に支障が出てき始めます。

またある程度の収入が見込めるようになり、アルバイトや仕事をしたりしなくても安定した生活が送れるようになります。

こうしたことでアルバイトや仕事を辞め、大道芸人専業として本格的に活躍する人が大半です。

学生時代や幼いうちからから活動をはじめ、まったくほかの仕事をせずに大道芸だけで活動しているという人は極めてまれな例でしょう。