【2021年版】司書の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「司書」とは

学校・自治体の図書館に勤務する職員。本の管理や施設運営に携わり、快適な空間をつくる。

図書館司書とは、公立図書館や小中高の学校の図書室や大学の図書館にて、本を管理し、図書館のさまざまなサービスを担当する職員のことです。

具体的な業務内容は、本の貸出や返却の対応、本の購入・管理、配架、読書相談、イベント開催、展示コーナーの設置など、多岐にわたります。

司書として採用されるには、「司書」の資格を取得していることが条件となっていることがほとんどです。

大学や短大で司書取得に必要な科目を履修する、あるいは司書講習を受講するなどによって、司書資格を取得することができます。

小中高の学校で司書として勤務するためには、司書の資格に加えて「司書教諭」の資格も必要です。

しかし、これらの資格を取得しても、臨時職員や派遣社員、アルバイトとしての募集がほとんどで、正社員の採用はあまりないのが現状です。

「司書」の仕事紹介

司書の仕事内容

図書館運営の専門スタッフとして活躍する

司書は一般的に「図書館司書」と呼ばれ、地域の公立図書館や大学の図書館などで、本の管理や利用者対応などを専門的に行う職員のことを指します。

パートなど非正規雇用で図書館で働く職員は無資格である場合も多いですが、図書館の質を高めるためには、本や図書館に関する専門知識を有する司書の存在が欠かせません。

日々新しい書籍が刊行されるなか、司書は図書館の蔵書として価値があるものを選定し、発注をかけています。

書籍は一般書から学術書まで多様なジャンルがありますし、図書館を利用する人は老若男女幅広いため、さまざまな本の知識なくしてはできない仕事だといえるでしょう。

図書館の仕事は他にもさまざま

司書の仕事は、上記のほかにも書架の整理や広報活動、イベント企画・運営、図書館資料の情報を提供する「リファレンスサービス」など多岐にわたります。

利用者にとって、図書館がより多くの人にとって使いやすい空間となること、そして図書館の文化的・教育的な価値を高めていくことも、司書の大事な役割の一部です。

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司書になるには

図書館司書の資格取得を目指す

司書として働くには、まず、基本的に「図書館司書」の資格を取得する必要があります。

無資格でも図書館で働ける可能性はありますが、その場合は基本的にパートなど非正規での採用です。

図書館司書の資格取得方法としては、以下の3つが挙げられます。

1.大学や短大で司書養成科目の単位を修得する
2.大学、短大、高等専門学校卒業後に司書講習を受ける
3.高校卒業後に司書補講習を受けて「司書補」となり、3年以上の実務経験を積み司書講習を受講する

司書の採用数はあまり多くない

図書館司書の資格を取得していれば、多くの図書館が出している司書の求人に応募できます。

しかし、司書は採用人数そのものが決して多くないため、必ずしもよいタイミングで採用試験を受けられるとは限りません。

また、正規雇用の求人はとくに少なく、嘱託職員や臨時職員、アルバイトやパートなどの非正規で働く人が目立ちます。

まずは非正規として勤務し、経験を積みながら正規雇用を目指す人も多いです。

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司書の学校・学費

大学や短大に進学しておくと司書資格を取得しやすい

司書を目指すのに必要な最低条件は、高校を卒業していることです。

ただし、高卒の場合はまず「司書補」になってから司書を目指す[ub]ことになるため、やや時間が必要です。

高専卒の場合はすぐに司書講習から受けることが可能ですが、仕事をしながら資格取得を目指すと1年以上の時間がかかることが多いです。

一方、[ub]大学や短大に進んだ場合は司書養成科目の単位を修得すればよいため、学校で興味がある分野の勉強をしながら、並行して司書の資格取得を目指せます。

文部科学省によると、平成30年度の4月1日現在「司書養成科目」を開講している大学・短大は全国に203校あります。

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司書の資格・試験の難易度

所定の講座を受けて資格取得を目指す

図書館司書の資格は、決められた講座を受講することによって取得できます。

試験形式ではないため、難易度としては易しめの部類といえるかもしれません。

ただし、通常の学校の講義と並行して養成科目をとれば、学生生活は多忙になりますし、社会人になってから通信講座を受ける場合も、スケジュールを立てて継続的に受講していかねばなりません。

なお、図書館司書と類似する資格に「図書館司書補」や「司書教諭」があります。

図書館司書補は、司書ほど専門的な知識を有さない資格ですが、司書補を経て司書になる人もいます。

司書教諭は、学校の図書室に勤める上で必要な資格です。

通信で図書館司書の資格を取る方法

通信課程で図書館司書の資格が取得できるのは、大学や短大を卒業している場合です。

学部や学科は問われないため、目指しやすいといえるでしょう。

ただ、基本的には自宅で自由に学べる通信講座であってもスクーリングや単位認定の試験は実地で行われるため、その日程は空けておかなくてはなりません。

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司書の給料・年収

地方公務員として働く正規職員は待遇が安定

図書館司書の平均年収は、200万円~450万円ほどがボリュームゾーンとされています。

公立図書館の司書として働く場合は地方公務員の扱いになり、安定した収入が見込めますし、福利厚生も他の公務員と同様に充実しています。

また、大学図書館の待遇は地方公務員と同等か、それ以上によいところもあります。

ただし、司書の仕事では経験を積んでも極端に高収入を得るのが難しく、それでいて、やや高度な専門性が求められる傾向にあるため、仕事と収入が見合わないと感じる人もいるようです。

非正規雇用の場合の給料・年収

図書館司書は、実際には非正規雇用で働く人が大半を占める職種です。

臨時職員やパートなど非正規で雇用される場合、給料は「時給制」もしくは「日給制」となります。

1日に8時間程度働く場合でも、日給は8,000円~9,000円ほどが相場とされます。

正規雇用と比較すると給料は低めですが、非正規であれば司書の資格がなくても働ける場合があり、就職先の選択肢は広がります。

司書を目指す人が経験を積む目的で、あえて非正規として働くケースはしばしば見られます。

関連記事司書の給料・年収はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説

司書の現状と将来性・今後の見通し

一定の需要はあるものの正規採用が増えづらい現実

司書の今後の見通しはあまり明るくありません。

図書館自体はつぶれることはほぼないといってよく、安定した職場ですが、司書の働き方にフォーカスを当ててみれば、不安定な非正規雇用と、業務を外部へアウトソーシングする流れが加速しています。

もちろん、図書館の意義が再度検討されて司書の専門性についての理解が進めば、今後は司書の待遇が改善されることもあるでしょう。

しかし、現状では図書館司書をとりまく状況は厳しいため、「司書になりたい!」という強い思いがあっても、なかなかそれを叶えられないまま、仕方なく別の仕事に就く人も多いです。

どうしても司書を目指したければ、非正規雇用まで視野を広げてみるか、学校図書館に勤務する「司書教諭」や「学校司書」を目指す道などを模索してみるのもおすすめです。

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司書の就職先・活躍の場

図書館にはいくつかの種類がある

司書の就職先といって、多くの人が真っ先に思い浮かぶのが各自治体にある公立図書館でしょう。

たいていの場合、図書館の数は自治体の規模に比例していて、大きな都市ほど数多く図書館を有しています。

地域住民を中心に、子どもからお年寄りまで、さまざまな人が自治体の図書館を利用します。

自治体のほかには、各学校の図書室や図書館も、代表的な司書の勤務先です。

また、あまり知られていないですが民間が運営する図書館もあり、その場合の運営母体は企業であったり調査会社であったりとさまざまです。

民間の図書館で扱う書籍は一定の分野に特化していることが多いため、その分野に関連する高い専門性が必要とされます。

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司書の1日

開館から閉館まで、さまざまな業務にあたる

司書の1日は、図書館の開館とともに始まり、閉館とともに終わります。

図書館によって開館時間や閉館時間、休館日が異なり、スタッフでシフトを組んで勤務にあたっています。

ここでは、公立図書館に勤務する司書の1日について紹介します。

8:00 朝礼での業務連絡と開館準備
9:00 開館後、カウンターでの貸出・返却手続きを行う
10:00 新着資料の受入手続きや図書の修繕作業
11:30 昼食休憩
12:30 カウンター業務を行う
14:00 イベントの企画会議に参加
17:00 閉館
17:30 残務処理後、退勤

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司書のやりがい、楽しさ

多種多様な本に囲まれて過ごせること

図書館司書のやりがいは、なんといっても大好きな本と一日中向き合えることです。

これまで知らなかった新しい本との出会いも多いですし、本を通じて老若男女を問わず、たくさんの来館者と交流できるのも大きな魅力でしょう。

自分の知識をもって本探しのサポートができたときには達成感があり、また、利用者から感謝の言葉をもらえると喜びもひとしおです。

ちなみに、司書は図書館内で決められた業務を淡々とこなすイメージを抱かれがちですが、ときにはアイデアを発揮して、読み聞かせイベントなどを企画することもあります。

図書館を、より魅力的な場として活用してもらうために力を尽くすことにやりがいを感じている司書も多くいます。

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司書のつらいこと、大変なこと

専門性が求められる割に待遇が恵まれていない場合も

図書館司書にとってつらい業務のひとつに挙げられるのが、マナーの悪い利用者への対応です。

適切に利用してくれない人を放置していれば、他の利用者に不快な思いを与えたり、大きなクレームに発展することもあったりするため、対応力が問われます。

図書館はさまざまな人が利用するからこそ、一人ひとりに満足してもらえるサービスを提供する難しさを感じることがあるでしょう。

また、図書館司書は専門性が求められているにも関わらず、現状ではあまり待遇に恵まれない職場が多いです。

しっかりと勉強をして資格を取得したにも関わらず、非正規でしか働けない人も少なくありません。

そのため、司書の仕事を続けていきたいとは思っても、なかなか気持ちの折り合いがつかないと感じてしまう人もいます。

司書に向いている人・適性

本が好きなこと以外の要素も必要

司書に向いている人の特徴として、まず大前提として本が好きな人であることが挙げられます。

図書館で扱う本のジャンルは幅広いため、知的好奇心があり、向学心に富んでいることが大切です。

だからといって、ただ頭でっかちな人は求められていません。

図書館は老若男女を問わず、さまざまな人が利用するため、多くの人と前向きにコミュニケーションをとれることも大事な要素です。

本は好きだけれど人は嫌いといったタイプの人だと、司書の仕事はあまり向いていないかもしれません。

また、大量の本を管理するためには、整理整頓がきっちりできる性格が望ましいといえます。

修復作業といった細かな業務も本を傷めないように行う必要性があるため、手先の器用さや根気強さも求められます。

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司書志望動機・目指すきっかけ

短大、大学在籍中の学生は目指しやすい

司書を目指す人の志望動機で多いのは、「本に関わる仕事をしたいから」「読書が好きだから」といったものです。

一般の書店は売れ筋をメインにそろえなければなりませんが、図書館であればそうした縛りもなく、多様な本を扱えるため、その点も大きな魅力といえるでしょう。

また、通っている大学や短大で司書の養成講座がとれることを知り、気軽な気持ちで司書に挑戦してみようと思ったというパターンも少なからずあります。

在学中に講座をとる分にはお金が一切かからないため、受講のハードルは低めです。

卒業後、実際に司書として働いてはいなくても、養成講座は受講したという学生は比較的多くいます。

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司書の雇用形態・働き方

一部の正規職員を除いて非正規雇用も多数

図書館司書の雇用形態については、有識者の間で以前から問題視されています。

すぐれた専門性や知識を求められる職業であるにも関わらず、近年、臨時職員やパートなど、非正規雇用に偏重した採用が常態化しているからです。

司書の存在が軽んじられたことにより、多くの図書館では質の低下が起きています。

また、最近では司書の一部の業務をアウトソーシングする傾向も顕著です。

司書資格を持っていても正規職員になれず、不安定な非正規雇用でしか働けない人が多いのが現状です。

正規雇用がまったくないわけではありませんが、採用数は非常に少ないため、就職は簡単ではないことは認識しておいたほうがよいでしょう。

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司書の勤務時間・休日・生活

残業はあまり多くなく落ち着いて働ける

司書としてフルタイムで働く場合、通常は図書館の開館時間に合わせて勤務します。

最近では、10:00~20:00くらいで開館する図書館が多く、複数の司書が交代で、1日に8時間ほど働くケースが多いです。

図書館は広く開かれた施設であるため、土日祝日も開館しています。

必ずしも週末に休みをとれるわけではなく、平日休みが中心となる場合があります。

来館者が多い日はやや忙しくなりますが、残業はほとんどありませんし、日々の仕事内容も大きくは変わらないため、仕事に慣れれば落ち着いて働けるでしょう。

プライベートとの両立もしやすいため、結婚・出産後にパートなどの形でこの仕事を長く続けている人もいます。

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司書の求人・就職状況・需要

欠員が出ないと新規採用は行われにくい

図書館司書として、新規採用が行われるケースは非常に少ないです。

書店と異なり、図書館は新しく開館されることがめったになく、退職などにより欠員が出たところを埋める目的で募集がかかることがほとんどだからです。

また、司書の採用は非正規雇用が中心となっており、正規雇用で働けるチャンスはあまり多くありません。

規模の小さな図書館であれば、まったく正規職員がいないケースもあるほどです。

逆に規模の大きな図書館であれば、複数の正規の司書がいます。

ちょうど希望するタイミングで欠員が出るとは限らないため、ある程度じっくりと、求人をこまめに探していく必要があるでしょう。

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司書の転職状況・未経験採用

募集が極端に少なく、高倍率を突破する必要あり

新卒にしろ転職にしろ、司書はそもそもの募集が極端に少ないのが実情です。

この仕事を本気で目指すのであれば、高倍率を勝ち残れるだけのアピール材料が必要です。

とくに正規採用を転職によって目指すのは相当厳しいことを念頭に置いておきましょう。

図書館に対する予算が見直されるようなことがあれば状況が好転するかもしれませんが、現状では、未経験から司書に転職するのは厳しいです。

「本に関われる仕事」という観点で司書を考えるのであれば、場合によっては図書館司書と似た要素のある仕事、たとえば「書店員」などを検討することも考えたほうがよいかもしれません。

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司書教諭の仕事内容・なるには

教諭として学校の図書館で専門的な業務を担う

司書教諭とは、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に勤務し、「学校図書館の専門的職務を担う教員」のことを意味します。

司書教諭は「学校図書館法」という法律に定められた職種で、学級数が合計12学級以上の学校に設置が義務付けられています。

司書教諭のおもな仕事内容は、下記の通りです。

・学校内での図書館資料の選択・収集・提供
・子どもの読書活動に対する指導
・学校図書館の利用指導計画の立案

学校に通う子どもたちが正しく図書館を活用でき、本に親しめるように働くのが、司書教諭の役割です。

司書教諭になるには

司書教諭になるには、まず小学校、中学校、高等学校または特別支援学校の教諭の免許状を取得します。

そのうえで、「司書教諭講習」を受講して司書教諭の資格を取得し、教諭として採用される必要があります。

司書教諭は教諭、つまり学校の先生の立場となるため、本が好きなことに加えて、教育者の一人として子どもの成長に貢献したいという思いが求められます。

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司書補とは

司書の業務を補佐する職種

「司書補」とは、「図書館法」という法律にのっとって、図書館で図書を専門的に扱う職種のことを意味します。

司書とも似た名称ですが、司書補は「補」という字が表す通り、司書の業務を補佐する役割を担います。

ただし、実際の業務内容は、司書と司書補で大きく変わるわけではありません。

司書補も図書館での貸出・返却業務や書架の整理、レファレンスサービスなどに従事します。

司書補は高卒からでも目指せる

司書と司書補の大きな違いのひとつは、資格を取得するために求められる学歴です。

司書補の場合、高校を卒業後、あるいは高等専門学校第三学年を修了後に「司書補の講習」を受けることで、資格取得が可能です。

その後、2年以上司書補として実務経験を積めば司書になるための司書講習を受けられます。(ただし、司書となる資格は司書補としての経験年数が3年以上必要です)

司書補の場合、大学や短大に通わなくてもなることができ、さらに、その先には司書を目指せるということです。

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司書講習とは

司書の資格を得るために受講する講習のこと

「司書講習」とは、司書の資格を取得するために受講する講習のことを意味しています。

毎年7月〜9月にかけて全国9つほどの大学で実施されています。

司書講習の受講資格は、下記の通りです。

・大学に2年以上在学(短大卒業者含む)し、62単位以上を修得しているか、高等専門学校を卒業していること
・2年以上司書補(国立国会図書館または大学もしくは高等専門学校の附属図書館の職員で司書補に相当するものも含む)として勤務した経験があること

司書講習で学ぶこと

司書講習では、大きく分けて「図書館サービス」「情報サービス」「図書館概論」について勉強します。

リファレンスサービスなど、図書館司書の仕事に必須の知識ばかりなので、この講習はいざ現場に出てからも役立つでしょう。

また、図書館がどのような役割を果たすものなのかや、目指すべき図書館サービスのあり方についても学びます。

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