【2021年版】保健師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「保健師」とは

企業、学校、保健所などに勤務し、病気の予防や健康増進のための指導とアドバイスを行う。

保健師とは、地域の人々や学校の生徒、会社の従業員などが健康に暮らせるようサポートする医療系の専門職です。

医師や看護師が病気やケガの「治療」に深く関わるのに対し、保健師はそれらの「予防」や「健康増進」のための役割を担っています。

「予防医学」の考え方が普及している現代では、保健師の重要性は以前にも増して高まっています。

保健師になるためには、まず前提として「看護師」の資格を取得し、さらに「保健師国家試験」に合格する必要があります。

おもな活躍の場は学校や企業、自治体などで、各職場において、健康診断や予防注射、健康相談、乳幼児の検診などの業務に携わります。

最近では高齢化にともない介護施設でのニーズも高まっており、活躍の場がさらに広がっています。

「保健師」の仕事紹介

保健師の仕事内容

人々が病気になるのを防ぐためのサポートをする

保健師とは、人々の病気の予防や健康増進・健康管理を目的として、保健指導や健康相談、日常生活支援などに携わる専門職です。

保健師助産師看護師法では「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」と定められています。

保健師は前提資格として看護師免許も保持していますが、看護師と大きく異なるのは、保健師は「病気を未然に防ぐため」の仕事をすることです。

保健師は、乳幼児から高齢者まであらゆる世代の人に対して、各々の健康状態や生活スタイルを確認しながら適切な食事や生活指導などを行い、その人が病気になるのを防ぐためにサポートします。

保健師が活躍できる領域と種類

保健師には多様な活躍の場があり、職場によっていくつかの種類に分かれています。

・民間企業で働く人を対象とする「産業保健師」
・学校の子どもたちや教職員を対象とする「学校保健師」
・保健所などの行政機関で働く「行政保健師」

職場の種類によって、保健師に求められる専門的知識に少し違いが出てきます。

たとえば産業保健師は、職場で発生しやすい健康上の問題やリスク、メンタルヘルスなどの知識を習得しなくてはなりません。

また行政保健師の場合、各地域における住民全般を対象とするため、さまざまな生活背景をもつ人や幅広い年代の人に対応できるスキルが求められます。

最近では、高齢化にともない介護施設などで活躍する保健師も増えています。

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保健師になるには

看護師国家試験と保健師国家試験の両方の合格が必要

保健師として働くには、国家資格である「保健師免許」と「看護師免許」の両方の取得が必要です。

一般的なルートのひとつは、高校卒業後に看護師養成課程のある短大か専門学校(3年)もしくは4年制大学に進学し、カリキュラムを修了して看護師国家試験を受験します。

看護師国家試験に合格後、あらためて保健師の養成課程がある養成所や学校へ1年間通い、保健師国家試験を受ける方法です。

また、最近では保健師と看護師の国家試験受験資格を同時に得られる4年制大学や専門学校が増えているため、そうした学校に通うのもよいでしょう。

看護師として働きながら保健師を目指す人も

保健師と看護師を同時に目指す場合、在学中に求められる勉強量は相当なものであり、強い覚悟が必要です。

決して楽な道ではないため、まずは看護師になって病院に就職し、働きながら保健師を目指す人も少なくありません。

保健師としての就職先は、企業や学校、また自治体の保健所などさまざまです。

自治体で働きたい場合には、各自治体の地方公務員試験を受けて採用される必要があります。

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保健師の学校・学費

どのルートを選択するかによって、通うべき学校が異なる

保健師になるために通うべき学校は、選択するルートによっても変わってきます。

ひとつは、看護師と保健師の国家試験受験資格を同時に取得できる4年制の大学もしくは専門学校です。

このルートを選択すれば、看護と公衆衛生の知識を同時に学べ、なおかつ最短ルートで保健師を目指せます。

しかし、同時にふたつの国家試験対策を並行しなくてはいけない苦労があり、学校によっては看護師と保健師をダブルで目指すカリキュラムを受講できるのは数名程度となっているため、ハードルはやや高めです。

最近は4年制大学の看護科を卒業後、大学院(前期課程)に2年通い、保健師の国家試験を受ける人も増えています。

ふたつめの選択肢としては、3年制の看護師養成学校(短大・専門学校)です。

その場合、まずは看護師国家試験に合格を目指し、あらためて保健師養成所に1年通います。

時間や学費は余分にかかりますが、落ち着いて保健師になる勉強がしたい人に向いています。

保健師の学校で学ぶこと

保健師になるには、看護学に関する専門知識に加え、保健師として必要な「保健福祉」や「公衆衛生」などの知識も習得しなくてはなりません。

保健師の養成カリキュラムでは実務実習もあり、基本的に保健所にて、地域住民の医療相談や検診、自宅介護者の家庭訪問などを経験します。

看護学生と同様、実習の日々は多忙になりますが、そこでの経験は就業後にも生きてきます。

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保健師の資格・試験の難易度

高い合格率の新卒に対し、既卒では大きく下がる

保健師の国家試験の難易度は、看護師国家試験に比べるとやや難易度が高めです。

保健師国家試験の合格率は年度によって上下しますが、だいたい85%以上で、90%を超えている時もあります。

一見、高い数字のように見えますが、そもそも保健師国家試験は全員が養成課程でしっかりと学び、国家試験に備えて十分な勉強をしたうえで受験しています。

それでも1割程度の人は不合格になっていることを考えると、決して楽観視できるわけではありません。

なお、新卒と既卒でも合格率に違いがあり、新卒はたいてい90%を超えるのに対し、既卒は50%以下の年度も見られます。

看護師国家試験に不合格だと保健師になれない

保健師国家試験を受験するうえで注意したいのは、前提として「看護師免許の取得」が条件となることです。

看護師と保健師を同時に目指せる大学などで学んでいる場合、たとえ保健師国家試験に合格しても、看護師国家試験が不合格であれば、最終合格とはなりません。

そうした点も踏まえて、自分に合う進学先を決定していく必要があります。

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保健師の給料・年収

勤務先の種類や地域、規模によっても収入に違いが出やすい

保健師は、行政保健師として地域の保健所などで働く人もいれば、産業保健師として民間企業で働く人などさまざまであり、それにより年収も変わってきます。

民間企業で働く場合は、一般的に大手企業になればなるほど高収入・高待遇が望め、平均年収500万円以上が得られるでしょう。

若手のうちはあまり基本給が高くなくても、ボーナスの支給額が大きかったり、昇進制度が明確であったりして、経験を積むごとに昇給が望めます。

職場によっては「保健師手当」を上乗せしているところもあります。

行政保健師は公務員としての俸給表が適用される

保健所などに勤務する行政保健師は地方公務員の身分になるため、各自治体が定める俸給表に沿った給料が支給されます。

自治体によって「医療職」や「一般行政職(事務職)」など、保健師の区分が異なります。

少数派ではありますが、国家公務員として省庁に勤務する保健師もいます。

公務員は基本的に年功序列であり、長く働くほど給料が上がります。

また各種手当や福利厚生などが充実しているため、安定した生活が送れるでしょう。

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保健師の現状と将来性・今後の見通し

高齢化・予防医学の観点から需要が拡大している

保健師は、昔から地域や社会における健康に関する知識の普及や、公衆衛生の向上に力を発揮してきました。

とくに現在の医療現場では、病気を未然に防ぐ「予防医学」の考え方が重視されるようになり、保健師の存在意義が見なおされています。

各企業や自治体でも積極的に検診が実施され、保健師による健康相談や指導の機会が増えています。

現代人の多様なライフスタイルで発生しうる健康上の問題やリスクの知識をもち、適切な指導ができる保健師が求められています。

また、高齢化社会が進むにつれて介護分野に携わる保健師も増えつつあります。

今後は老人介護施設等で入所者やその家族の心身両面のサポートを行う専門家としての、保健師のニーズが高まるかもしれません。

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保健師の就職先・活躍の場

自治体や企業、学校、介護現場でも活躍

保健師の活躍の場は、おもに自治体や企業、学校、介護施設などが挙げられます。

自治体で働く保健師は「行政保健師」といわれ、地方公務員として各地域の役所の健康福祉課や保健所を中心に働きます。

その地域の住民全員の健康を支援するため、乳児から老人まで幅広い年齢層に対応しますし、関わる内容も感染症や難病、心身の障がい、思春期、虐待、自殺防止など多岐にわたります。

一方、企業で働く保健師は「産業保健師」といわれ、産業医や人事部門と連携し、経営者や従業員全員の健康管理に携わります。

昨今は、うつ病など精神疾患への予防対策・メンタルヘルスが重視されており、心の健康を予防することも保健師の大事な役割です。

このほか、学校で教職員や子どものために働く保健師や、介護施設などで高齢者に対応する保健師もいます。

保健師の1日

各職場で対象者のニーズに合わせた1日を過ごす

保健師の勤務先は多岐にわたり、仕事の流れは勤務先によって異なります。

いずれの場でも、対象者となる人々の置かれている状況や立場に合わせた仕事の進め方をします。

必要に応じて病院など関連機関と連携したり、外出する機会もあります。

ここでは一例として、保健所に勤める保健師のある1日を紹介します。

8:00 出勤
8:15 朝礼
8:30 開庁
10:00 再検査が必要な人に連絡
11:30 外出・昼食
13:30 乳幼児訪問
15:30 自宅介護家庭を訪問
16:00 帰庁後、1歳半検診の手伝い
17:05 情報共有・報告
17:45 退勤

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保健師のやりがい、楽しさ

さまざまな人が健康的に生きていくための力になれること

保健師の役割は、人々が病気にならず、健康的に生きていくためのサポートをすることです。

保健師の指導やアドバイスを必要としている人はあらゆる場におり、対象者のライフスタイルや健康上の悩み、食生活などなどもさまざまです。

保健師は、一人ひとりの対象者に親身に向き合って、相手の問題や不安を解消していきます。

健康相談や指導を通じて、その人の健康に対する意識が高まったり、生活がよりよい方向に変わっていったと実感できたりしたときに、保健師としてのやりがいや充実感が得られます。

また、自治体などで地域住民に関わる保健師の場合、生活困窮者や介護家庭など、難しい事情を抱えるケースにも多々対応します。

自分の力で目の前の人を少しでも助けることができたときに、やりがいを感じることが多いでしょう。

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保健師のつらいこと、大変なこと

指導的立場となってさまざまな問題点に立ち向かうこと

保健師は、多くの人に対しての指導的役割を担うことが求められます。

たとえ新人であろうと、健康に関しての「頼れるアドバイザー」としての活躍が期待されますが、地域住民や人々が抱える問題やケースは千差万別であり、解決が難しいものも多々あります。

さらに、保健師の業務内容は幅広く、たとえば行政で働く場合、育児指導や予防注射、健康診断、母子家庭、高齢者介護などに対応します。

ときに人のプライベートに深く立ち入っていく必要もあり、信頼関係を築く難しさを感じることもあるでしょう。

加えて、一人ひとりの検査データや生活背景、医療知識などを統合分析し、判断していく力が必要になります。

相手と対話する力だけでなく、論理的思考力、分析力なども求められるところは、この仕事の大変な部分だといえるでしょう。

保健師に向いている人・適性

人の健康に貢献したい思いが強く、アドバイスが得意な人

多くの人々の健康を支え、心身ともに健やかで健康な社会づくりが大きな使命である保健師は、「人のために」という思いを行動のモチベーションにできる人に向いている仕事です。

また、赤ちゃんからお年寄り、働き盛りの人や要介護者、育児中のお母さんなどまで幅広い世代や立場の人と関わるため、親しみやすさや明るさを備えていることも大事です。

保健師の仕事でもっとも必要とされるのは「その人の現状を的確に察知し、先を読む力」といえます。

対象者と上手にコミュニケーションをとり、その人がどのような状況にあるのかを正しく判断して、しっかりと指導していかなくてはなりません。

指導的な役割を担う場面が多いため、人へのアドバイスが得意な人にも向いている仕事です。

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保健師志望動機・目指すきっかけ

人の健康に貢献できる専門的な仕事がしたい

保健師を目指す人は、医療や公衆衛生の専門家として、人々の健康に貢献できる仕事がしたいという思いがきっかけになることが多いようです。

もともと看護師志望だった人が、その先のキャリアとして保健師になる道もあると知ったときに、保健師の仕事の魅力を感じるようになったというケースもしばしばあります。

前職で看護師として働いていた人が、病気の患者さんのお世話をしながら「もっと他にできることはないだろうか」と考え、保健師に転身することもあります。

最近では「予防医学」の重要性が強く訴えかけられるようになっており、その点で専門家として貢献することで、人々の役に立ちたいという強い思いをもっている人が多いです。

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保健師の雇用形態・働き方

正社員雇用が中心だが、パートや派遣で働く人も

保健師は、行政保健師として働く人が全体の約7割を占めるといわれています。

その場合は各自治体に勤務する地方公務員の身分となり、都道府県や市町村の保健所や保健センターといった公的な施設に配置されます。

一方、民間企業で働く産業保健師は、各社の正社員として雇用されるケースが一般的です。

国家資格保有者として責任ある仕事を任されることから、正規雇用が中心となっていますが、健康診断などで業務量が増える時期には、単発で働けるパートや派遣社員の求人が出ることがあります。

どのような雇用形態であっても、保健師として働く以上は国家資格が必要であり、そのぶん待遇は安定しています。

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保健師の勤務時間・休日・生活

勤務先・勤務形態によって違いがある

保健師の勤務時間は、勤務先や配属先によって異なります。

保健所勤務の行政保健師であれば、各自治体の地方公務員の勤務時間に準じます。

日勤がほとんどで、土日祝日は休みになることが一般的ですが、住民の都合で、夕方や夜間、休日など通常の勤務時間外に家庭訪問しなければならないこともあります。

検診センターで働く場合も、平常時は日勤中心でそこまで多忙ではないですが、健康診断の時期は業務量が増え、残業時間が増えがちです。

企業で働く産業保健師であれば、各社の就業規則に沿って働きます。

行政勤務に比べると、急を要する事態や休日出勤などが発生しにくいですが、健康診断の時期や年度末などは忙しくなることがあります。

病院で働く場合には、看護師とは異なり、通常は夜勤がありません。

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保健師の求人・就職状況・需要

求人数は多くないため、志望先に合った十分な対策を

保育士は自治体や企業、病院、学校など幅広い活躍の場がありますが、求人数は決して多くありません。

この背景には、保健師の離職率の低さや、ひとつの施設あたりに所属する保健師の人数の少なさなどの理由があるといわれています。

代表的な活躍の場である自治体では、地方公務員としての安定性から、いったん勤務すると定年まで働き続ける人も比較的多く、新規採用がなかなか行われないケースが目立ちます。

ただ、昨今は介護業界でのニーズも増しており、介護施設や訪問看護ステーションなどでも保健師が活躍しています。

経験が浅いうちは多様な場に目を向けて、またパートやアルバイト、派遣社員などの形態まで含めて勤務先を探していく必要があるかもしれません。

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保健師の転職状況・未経験採用

資格取得のための時間や費用も考慮して転職計画を

保健師は離職率が低めの職種であり、転職希望者向けの求人はそこまで多くありません。

また、医療や看護の知識を備えた専門職であることから、転職するのはややハードルが高いです。

とくに保健師の場合、看護師と保健師の両方の国家試験に合格する必要があるため、それに必要な時間やお金も考慮して転職計画を立てましょう。

また、もし転職する場合は、年齢制限も視野に入れておくべきです。

募集年齢を「40歳未満」とするところが多いため、遅くても30代のうちに資格取得まで終えられるようにするほうがよいでしょう。

実務経験が求められる場合もあるため、正社員としての就職先がない場合は、派遣会社に登録し、派遣保健師として経験を積んでいくのもひとつの方法です。

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保健師と看護師の違い

国家資格の種類も仕事内容も異なる

保健師と看護師は、どちらも医療系の専門職ではありますが、さまざまな違いがあります。

まず、看護師として働くには「看護師免許」が、保健師として働くには「保健師免許」がそれぞれ必要です。

保健師免許を得るには看護師免許を取得していることが前提となっており、保健師は看護師の知識をもとに、さらに一歩踏み込んだ「健康」「病気の予防」「公衆衛生」等の知識を身につけていきます。

また、働く場や仕事内容にも違いがあります。

看護師はおもに医療機関に勤務し、医師の診察や治療の補助や病気やケガを抱える患者さんのケアに携わります。

一方、保健師が接するのは必ずしも病気の人とは限らず、健康な人に対して保健指導やアドバイスをする機会も多いです。

そのため、保健師は企業や保健所、学校など幅広い場で活躍しており、あらゆる人を対象とした健康管理に携わる可能性があります。

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