【2021年版】機能訓練指導員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「機能訓練指導員」とは

介護施設や病院で機能訓練を行う

機能訓練指導員とは、介護施設や病院で機能訓練指導を専門的に行うスタッフのことです。

機能訓練とは、身体的機能の改善や現状の能力の維持、減退の防止を目的としている訓練で、ケガ・病気・加齢などで支援が必要になった人に対して行うものです。

一人ひとり身体の状態に合わせた訓練やリハビリを行い、健康で自立した生活を送れるようにサポートしていきます。

介護保険法に決められた職種の一つで、デイサービス(通所介護施設)やショートステイ(短期入所生活介護施設)、特別養護老人ホームでは、施設に1人以上配置するように義務化されています。

なお、「機能訓練指導員」という国家資格はなく、あくまでも職種のひとつですが、機能訓練指導員という職種に就くためには以下の資格が必要です。

・看護師または准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・柔道整復士
・あん摩マッサージ指圧師
・鍼灸師

これら8つの国家資格からいずれかを取得することで、機能訓練指導員の仕事をすることができます。

これらを取得するには、数年間、専門の学校や養成所に通い、国家試験に合格することが必要で、それぞれ学んでいるスキルや知識に違いがあることから、仕事内容に若干の違いがあります。

「機能訓練指導員」の仕事紹介

機能訓練指導員の仕事内容

それぞれの利用者の状態にあった機能訓練を考え実施する

機能訓練指導員は、施設の利用者や患者の状態を見極め、適切な機能訓練を行い、自立した生活が送れるようサポートしていくことが主な役割です。

仕事の流れとしては、まず利用者の身体機能を確認し、どのような生活をしているのかを把握していることから始まります。

家族の話も聞きながら、どのような訓練が必要なのかを考え、機能訓練表を作成します。

計画通りに機能訓練を行い、3ヶ月ごとに経過や状態を踏まえ、再度計画を見直します。

機能訓練の具体的な内容としては、歩行訓練や筋力トレーニング、簡単なレクリエーションなどです。

利用者に合った車いすなど介護用品の選択、家族や介護スタッフに対する助言や提案なども行います。

また、機能訓練指導員はさまざまな国家資格を持っているため、その知識を生かして働く人も多いです。

看護師であれば、医学的な知見から病気やケガの処置、心のケアなども行いますし、理学療法士であれば、より専門的な運動療法や物理療法を行うことができます。

作業療法士は食事や入浴、歩行や着席などより生活に密着したリハビリを得意としていますし、言語聴覚士は言語訓練や嚥下障害への対応を得意としています。

柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師は身体の痛みなどのさまざまな症状をやわらげ、より身体機能を向上させる手助けができます。

このようにそれぞれの得意分野を生かしながら、利用者の身体機能の改善に取り組んでいます。

機能訓練指導員になるには

いずれかの国家資格を取得する

機能訓練指導員という資格はなく、特別な研修も必要ありません。

ただし、機能訓練指導員として働くには以下の資格が必要で、これらのうち一つでも取得していれば働くことが可能です。

・看護師または准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師
・鍼灸師

これらの資格はすべて国家資格であり、医療や介護を学べる大学や専門学校で数年勉強し、試験に合格する必要があります。

夜間の大学や専門学校もあるため、これらの資格を取得し転職でなる人も少なくありません。

機能訓練指導員は、介護や医療などのさまざまな施設で需要があり、就職先は多岐に渡るため、就職の際は、自分がどのような人を対象として働きたいかをあらかじめ考えておくとよいでしょう。

就職後はスタッフとして働きながら経験を積み、主任や施設長となる道と、独立開業する道があります。

主任や施設長になると、人材育成をしたり経営管理をしたりと役割や責任は増えますが、キャリアアップや給料アップも望めます。

独立開業する場合は、経営のスキルも求められます。

一方で、デイサービス(通所介護施設)やショートステイ(短期入所生活介護施設)では機能訓練指導員を1人以上配置するよう義務化されているため、機能訓練指導員を自分で補うことができます。

介護業界全体が人手不足といわれるなか、経験を生かし独立開業するというキャリアアップも夢ではありません。

機能訓練指導員の学校・学費

介護や医療が学べる学校に進学する

機能訓練指導員になるには、いくつかの国家資格の中からいずれかを所有する必要があります。

高校卒業後に正看護師を目指す場合は、専門学校に3年通うか、4年制大学に通います。

理学療法士や作業療法士になるための道は、文科省または都道府県知事に認可された専門学校(3年制または4年制)、または4年制大学に行くことです。

それぞれ国家試験に合格する必要があるため、ただ学校を卒業するだけでは資格を取得できないことを知っておきましょう。

この際、医学、保健学や看護学などの医療系の学部が併設されている学校だと、現場でどのように関わるのかを知るのに役立ちます。

なお平成30年から認められた鍼灸師の場合は、鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設で半年以上実務経験を積む必要があります。

機能訓練指導員の資格・試験の難易度

学校で勉強し国家資格合格を目指す

それぞれ国家資格を取得するには、大学や専門学校で単位を履修し、国家試験に合格する必要があります。

看護師の場合、試験の合格率は非常に高く例年90%前後です。

参考:公益社団法人日本看護協会

理学療法士の場合は、社会でのニーズに伴い、理学療法士国家試験の受験者が増えているため、合格率は近年7~8割程度で推移しています。

参考:公益社団法人日本理学療法士協会

言語聴覚士の試験の合格率は、近年60%前後で推移しており、理学療法士や作業療法士の合格率と比べると低いです。

参考:一般社団法人日本言語聴覚士協会

柔道整復師の国家試験は必修問題と一般問題に分かれており、必修問題は8割以上、一般問題は6割以上正解で合格という基準があり、例年70%前後で推移しています。

参考:公益社団法人日本柔道整復師協会

あん摩マッサージ指圧師国家試験は筆記試験のみで実技試験はなく、合格率はほぼ毎年80%を超えています。

参考:厚生労働省

鍼灸師の場合、針灸の施術を行うためには、「はり師国家試験」「きゅう師国家試験」のそれぞれに合格して免許を取得しなければいけません。

参考:厚生労働省
合格率は年度によって変動がありますが、どちらも60%~80%程度の間を推移します。

これらは国家試験であるため決して簡単ではありませんが、大学や専門学校でしっかりと勉強すれば合格できる難易度といえるでしょう。

ただし、既卒になると合格率はぐっと下がるため、在学中にしっかりと学習し、一回で合格できるのを目指すのがもっとも効率がよいでしょう。

機能訓練指導員の給料・年収

資格手当があり高めの設定

厚生労働省が発表した介護従事者処遇状況等調査結果によると、令和2年度の「理学療法士、作業療法士、 言語聴覚士又は機能訓練指導員」の給料は364,040円でした。

同調査によると、2009年から機能訓練指導員の平均給与額は34万円前後をキープしており、平成30年の調査では平均年収が354,730円だったため、9,310円アップしています。

なお一般的な介護職員の平均年収は325,550円です。

勤務先によって給料は多少異なり、勤続年数や役職の有無によっても違いがありますが、一般的に給料が低いと言われる介護業界で働く場合も、資格手当などで比較的高い給料を期待することができるでしょう。

一般的には病院のリハビリ職の方が給料は高めに設定されることが多いですが、近年は介護業界も人手不足が深刻となり、給料面でも改善がみられているようです。

しかし、夜勤などの手当がある一般の看護師や介護職に比べて、機能訓練指導員は日勤が大半であり、資格手当以外の給料アップが少ないということは知っておきましょう。

また、機能訓練指導員に必要な国家資格はどれも簡単に取れるものではなく、持っている人も決して多くはないため、より高い給料で良い人材を採用したいという施設側の意向もあります。

ただし、持っている資格によっても多少給料に違いがある場合があります。

より高度だとされている看護師や理学療法士だとやや高め、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師はやや低めという傾向にあります。

機能訓練指導員の現状と将来性・今後の見通し

需要が増える中で活躍の場も増える

高齢化が進む中で、政府はとくに「要介護状態を予防するための支援」に力を入れています。

介護予防は、65歳以上の高齢者が「要介護状態になることを極力遅らせること」または「要介護状態になるのを未然に防ぐこと」としています。

さらに、「すでに介護が必要な場合は、状態が悪化しないよう努め、改善を図ること」も目的とされています。

機能訓練指導員は、すでに広く活躍している介護や医療分野だけでなく、介護予防の現場でも非常にニーズが高く、ますます活躍の場が増えていくと考えられます

対象となる資格を持っていたり、これから取得を目指す人にとっては、さまざまな場所で活躍できる資格職として選択肢のひとつとなっていくでしょう。

機能訓練指導員の就職先・活躍の場

介護施設と医療施設

機能訓練指導員の活躍の場は、主に介護施設と医療施設です。

介護施設では、施設を利用している人や介護施設に住んでいる人を対象とし、一人一人とじっくり向き合って仕事をすることができます。

介護スタッフや家族に対して助言や提案をしたり、施設で行われるイベントやレクリエーションなどをサポートしたりします。

なお、デイサービス(通所介護施設)、ショートステイ(短期入所生活介護施設)特別養護老人ホームでは1人以上の機能訓練指導員の配置が義務付けられています。

護療養型医療施設、病院併設型リハビリステーション、介護老人保健施設、病院などの医療施設では、もともと医師や看護師が配置されているため、より医療的なケアが中心です。

機能訓練指導員の1日

勤務先のスケジュールに合わせて働く

機能訓練指導員の1日は、勤務先によって多少違いはありますが、たいていの場合は利用者や患者のいる時間帯に働くため、日勤で残業は少なめです。

ここではデイサービスで働く機能訓練指導員の一例を紹介します。

8:00 出勤
8:30 利用者の送迎のサポート
利用者を一人一人出迎え、変わりはないかを確認します。
9:30 バイタルチェック
利用者の心身の状態をスタッフと共にチェックします。
10:00 機能訓練
利用者一人一人に合った機能訓練プログラムを実施していきます。
訓練をしながら、身体の状態や生活能力を見極めていきます。
11:30 体操など
体操や歌など、利用者全体で行うプログラムもあります。
13:00 休憩
利用者の食事が終わると交代で休憩をとります。
14:00 レクリエーション
簡単なゲームなどを通し、身体を動かす楽しさを伝えます。
15:30 送迎
利用者が帰宅しはじめるので、お見送りをします。
16:00 書類作成など
計画書の作成や事務処理などデスクワークを行います。
他職種とのカンファレンスや利用者家族と面談などが入ることもあります。
17:30 勤務終了

機能訓練指導員のやりがい、楽しさ

利用者の身体機能の改善

機能訓練指導員の仕事は、歩行訓練や筋力トレーニングなど、利用者の症状に合わせた訓練をすることです。

訓練やリハビリというと大変なイメージがありますが、本人の希望や趣味嗜好を取り入れた楽しいレクリエーションなども訓練のうちです。

利用者が楽しんで参加してくれたり「リハビリが楽しい」と言ってもらえたりすると、大きな喜びを感じます。

また、結果が目に見えやすい仕事のため、これまで歩行ができなかった人が杖で歩けるようになったり、要介護度が改善したりなど、身体機能が向上したときの感動はひとしおです。

自分のサポートによって、利用者の身体をよりよくしていけるところは、この仕事の大きな魅力です。

機能訓練指導員のつらいこと、大変なこと

利用者とのコミュニケーションが難しい

介護施設や医療施設を利用する人の多くは、身体機能を高めより生活を向上させたいという人が大半です。

一方で、職員に対して不平不満を持ったり、リハビリに意欲を示さなかったりする人もいます。

なかには暴力や暴言を吐いたり、訓練をボイコットしたりするような人も少なくありません。

利用者も自分の身体がうまく動かないことにストレスを抱えていることも多いですが、こうしたことを繰り返せば仕事のモチベーションを失ってしまうでしょう。

利用者一人一人に対し適切な訓練を考えるのが仕事ではありますが、コミュニケーションがうまくとれなかったり、訓練にやる気を見せてくれなかったりする場合には、非常につらい思いをすることもあります。

機能訓練指導員に向いている人・適性

コミュニケーション能力がある人

歩行訓練や身体マッサージ、筋力トレーニングなどをサポートするには、コミュニケーション能力が欠かせません。

機能訓練指導員が行う訓練やリハビリは、単独で進めるのではなく、利用者本人、そして介護スタッフや家族に対してもアドバイスや指導を行い、協力しながら行うものです。

チームワークがとれなければ、期待される効果が得られず利用者の機能回復は見込めないため、周囲のスタッフや利用者の家族としっかりコミュニケーションをとり、信頼関係を築けることは必須です。

また、利用者の心身をよく観察して状態を見極めたり、一人一人の身体の状態に合わせた訓練計画や介護用品の選定を行ったりするため、利用者の小さな変化や気持ちの変化にも気付ける人が向いているでしょう。

機能訓練指導員志望動機・目指すきっかけ

仕事をする中で興味関心が広がった

機能訓練指導員は、看護師や理学療法士といった専門的な知識や技術を持つ人のため、資格を取得し働くなかで機能訓練指導員を目指すことが多くなっています。

看護師として働くうちに退院後の生活にもっと寄り添いたいと思うようになった、介護の仕事をするうちにリハビリの指導に関心を持ったといった理由です。

そのため、はじめから機能訓練指導員という職種を目指すという人は少ないです。

なかには「たまたま資格を持っていたため、機能訓練指導員として配置された」という人も少なくありません。

介護や医療を志した理由としては、家族がデイサービスなどの施設で機能訓練を受けたりリハビリを受けたりしたことがきっかけというものが多いです。

機能訓練指導員の雇用形態・働き方

正社員が多いが短時間勤務もある

機能訓練指導員は正社員の雇用形態が多いです。

これは施設に配置しなければならない人員が決まっていることや、利用者とコミュニケーションを図ることが大切な仕事であること、機能訓練指導員は国家資格を取得した人材であることなどが一因です。

ただし、フルタイムではなくパートタイムなど短時間の勤務ができる施設もあり、もともと看護師や介護士のように夜勤をすることはほぼないため、家事や育児などとも両立しやすいといえるでしょう。

パートや短時間勤務の場合、機能訓練指導員は一般的な介護職よりも時給が高めに設定されており、経験者はもちろん、未経験者でも働きながら少しずつ仕事を覚えていくことができます。

機能訓練指導員の勤務時間・休日・生活

基本的には平日の日勤

機能訓練指導員は、勤務する介護施設や医療施設に合わせた勤務時間です。

たいていの介護施設や病院では、8:00~18:00くらいを目処としており、訓練やリハビリを夜間に行うことはないため、基本的には日勤です。

介護士や看護師のような夜勤はありません。

休日は施設によって異なり、土日が完全に休みというところが多いです。

これは機能訓練指導員が1名しか配置されていないことが多く、機能訓練指導員がいなければ訓練が行えないため、平日日勤としている施設が大半だからです。

ただし、土曜または祝日は開院、施設によっては365日利用者を受け入れしているところもあり、機能訓練指導員が複数いる場合は、交代で平日が休みになったり土日に出勤となったりすることもあります。

機能訓練指導員の求人・就職状況・需要

ニーズは年々高まりつつある

日本は高齢化が加速しており、2030年には人口の1/3が高齢者になるといわれています。

今後も少子高齢化に歯止めがかからなければ、自分一人では生活できない高齢者や、施設を利用する高齢者が続々と増えていくと考えられ、それをケアしたりサポートしたりする人はますます増えていきます。

そのなかで、身体機能を向上させる機能訓練指導員の役割は非常に大きくなっています。

今後も機能訓練指導員の需要は増え続け、求人も多くなっていくと予想されます。

とくに介護業界は慢性的な人手不足であり、現在もなり手がいないといわれ続けていることから、より専門的な視点から利用者の身体機能回復に寄与できる機能訓練指導員の求人はさらに増えていくでしょう。

機能訓練指導員の転職状況・未経験採用

転職で機能訓練指導員になる人が多い

機能訓練指導員は、看護師をはじめとした医療系の国家資格を生かして働く仕事です。

そのため、国家資格をもって働くなかで機能訓練指導員に興味を持ち転職をする人は非常に多いです。

所定の国家資格さえ取得していればすぐに転職ができますし、前職の経験をそのまま生かすことができるため、業界が人手不足であることもあり比較的転職は容易です。

未経験歓迎としている求人も多いですし、働き始めてから指導を受けたり研修会に参加したりしてスキルアップしていくことは可能です。

国家資格を持たない未経験からの転職の場合は、医療系専門学校などへ通い、資格を取得するところからはじめます。

あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、鍼灸師は最短2年で資格の取得が可能です。

機能訓練指導員と柔道整復師の違い

訓練をするかか治療をするかの違い

機能訓練指導員は、利用者の身体機能向上を目指すのに対し、柔道整復師は、人間の治癒力を利用して骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などを治療する伝統的な医術による施術を行う仕事です。

大きな違いとしては、機能訓練指導員は訓練やリハビリが中心ですが、柔道整復師はさまざまな要因に対する治療が目的であることがあげられます。

柔道整復師には目で見る「視診」と、患部に触れる「触診」によって損傷の状態を見極め「医療類似行為」を行いますが、機能訓練指導員は基本的に治療は行いません。

なかにはリハビリテーション施設や老人ホームに勤務し、身体機能の訓練を行ったり、高齢者同士のコミュニケーションのサポートをしたりする柔道整復師もいます。

機能訓練指導員の研修会とは

就業後に研修がある場合も

機能訓練指導員には、就業後に研修が課せられる場合があります。

機能訓練の質を向上させるための知識や技術の習得、実践方法などが主な内容で、機能訓練指導員のスキルアップのために、各自治体や団体が開催しています。

研修の内容はさまざまですが、機能訓練の具体的な事例や他の施設での取り組み、仕事の進め方や書類の作成などを学ぶこともあります。

ただ仕事の質を向上させるだけでなく、機能訓練指導員としての役割や視点を見直す機会にもなるでしょう。

こうした研修の時間や料金はさまざまで、自費で受けるものや施設側が負担してくれるもの、就業後に行われるものや仕事を休んで参加するものなどがあります。

もし機会があれば積極的に受講してみるとよいでしょう。