「音楽プロデューサー」とは

音楽制作全般の責任者として、アーティストの売り出し方や楽曲コンセプトなどを決定する。
音楽プロデューサーはCDをはじめとする音楽制作全般を指揮する総合的な責任者であり、アーティストのコンセプトや売り出し方の決定、プロモーション関連などの業務も担います。
音楽プロデューサーになるための王道は、音楽系の大学や専門学校を卒業後、音楽業界の企業へ就職しキャリアアップしていくパターン。
充分なセンスと実力を備えた人だけが到達できる職種だといえるでしょう。
超有名音楽プロデューサーの年収は10億円を超えることもありますが、一般的な音楽プロデューサーの平均年収は200万円〜500万円と、それほど高いものではありません。
さまざまな企業の音楽配信ビジネスへの参入やデジタルコンテンツの多様化などにより楽曲の数は増加傾向にあり、音楽プロデューサーの活躍の場は、今後ますます増えていくことが予想されます。
「音楽プロデューサー」の仕事紹介
音楽プロデューサーの仕事内容
音楽制作全般を指揮する総合責任者
音楽プロデューサーとは、音楽制作全般を指揮する総合的な責任者のことを言います。
総合的な制作責任者としての音楽プロデューサーの仕事で大きな比重を占めるのが、アーティストのイメージづけや音楽の方向性、宣伝活動の手段といった、コンセプトや売り出し方を決定することです。
アーティスト本人の意向をくんだ上で、所属するプロダクションの担当者や広告代理店のプロデューサーなどと協議を行い、活動の仕方などをつめていき、決定された売り出し方に基づいて次回に制作する楽曲の方向性を決め、楽曲が完成すると、プロモーション活動も行います。
アーティスト本人はもちろん、楽曲制作にかかわるミュージシャンや制作スタッフなどを総合的に束ね導いていく力が求められます。
音楽プロデューサーの就職先・活躍の場
経歴によって異なる
音楽プロデューサーは経歴によって雇用形態が異なる職種です。
レコード会社や音楽出版社、芸能プロダクションに就職する場合、AD、ディレクターを経て音楽プロデューサーに昇格する人がほとんどです。
音楽経験がある場合は、フリーランスや自身の会社を起こして音楽プロデューサーに転身する人もいます。
どちらの場合も打ち合わせで関係各社へ出向いたり、アーティストとともにレコーディングスタジオ、ライブ会場などへ出向いたりと、さまざまな場所を飛び回ることが多いようです。
音楽プロデューサーの1日
不規則になりがちな生活
音楽プロデューサーは、関わるアーティストや仕事内容によって一日のスケジュールが変わります。
そのため、規則的に働くことは少なく、毎日を臨機応変に過ごしています。
ここでは会社勤めの音楽プロデューサーの場合をご紹介します。
<会社員として働く音楽プロデューサーの1日>
10:00 出勤・自分が関わるアーティストに関するニュースをチェック
11:00 次の楽曲の方向性についての打ち合わせ
13:00 休憩
14:00 アーティストのジャケット写真撮影に立ち会う
16:00 帰社・アーティストのデモテープを聞く
18:00 TV収録の現場へ
22:00 撮影終了
音楽プロデューサーになるには
音楽業界の会社に就職してキャリアを積む
音楽プロデューサーになるための王道は、音楽系の大学や専門学校を卒業後、音楽業界の会社へ就職し、キャリアアップしていくパターンです。
新卒で採用される可能性がある職種は、レコード会社ならアシスタントディレクター、音楽出版社なら編集アシスタントやアシスタントデザイナー、アーティストが所属するプロダクションならマネージャーや営業職などです。
そこからディレクターやレコーディングエンジニア、アシスタントプロデューサーなどに昇格し、さらにキャリアを積んで、ようやく音楽プロデューサーに挑戦できるようになります。
現在ではアーティストの個性や音楽性が尊重されるようになり、有名アーティストやミュージシャンが自らプロデューサーを兼ねて活躍することも増えています。
音楽プロデューサーの学校・学費
音楽系の学校が有利
音楽プロデューサーを目指す場合、音楽大学や音楽系の専門学校で学ぶのが一般的です。
近年は大手のレコード会社でも学歴の条件を大卒や専門学校卒に絞らず、優れた人材を幅広く募集することが多くなりました。
しかし、2年間以上の専門の音楽教育を受けている人材の方が、やる気や知識の面でも評価が高いため、やはり学校は出ておいた方がいいといえるでしょう。
また、営業や出版など多方面から音楽プロデューサーになる道はあるため、音楽系の学校だけでなく、一般的な4年制大学卒でも音楽への熱意があれば就職が可能です。
音楽プロデューサーの給料・年収
力量によって大きな差が
世間に名の知られている有名音楽プロデューサーというと、自身がすでに有名人であり、音楽プロデューサーになる前から既に高収入の場合がほとんどです。
しかし、一般的な音楽プロデューサーはこうした所得とは無縁のようです。
まだ駆け出しの場合、無名のアーティストや新人中心に手がけるため、年収は200万円から500万円ほどといわれており、事務職と比べてもそれほど高いものではありません。
相場は1曲1万円から3万円、CDの制作費として50万から500万円程度といわれています。
音楽プロデューサーのやりがい、楽しさ
自分が発掘したアーティストがスターに
音楽プロデューサーは自信が見つけたアーティストのプロデュースを行うわけですが、売り出し方によって人気も左右されるため、どのような戦略を立てるかが非常に重要です。
アーティスト本人の才能と売り出し戦略が合致し、多くのファンを獲得することができれば、一躍スターの誕生となります。
しかし、スターになれるアーティストはほんの一握りであり、泣かず飛ばずのうちに辞めてしまう人も大勢いるのが現実です。
自分が発掘したアーティストがたくさんのファンに支持されることは、音楽プロデューサーにとって何よりの幸せです。
音楽プロデューサーのつらいこと、大変なこと
研鑽とプレッシャーの日々
音楽を何もないところから作り上げ、そのすべての責任を負うのが音楽プロデューサーという仕事です。
新しい曲を作り出すためには、日々研鑽を積み、音楽だけでなくトレンドや流行など常に新しい情報を仕入れなければなりません。
また自社内だけでなく、広告代理店やプロダクションからも多大な期待が寄せられるため、さまざまな方面からプレッシャーを感じ続けることになります。
こうしたプレッシャーを跳ねのけられる人だけが、音楽プロデューサーとして活躍できるのです。
音楽プロデューサーに向いている人・適性
音楽センスを身に付ける
音楽プロデューサーは、単に自分が演奏する場合と異なり「音楽を聴くのが好き」「楽器が弾ける」といったレベルではとうてい務まるものではありません。
音楽プロデューサーに必要不可欠な膨大な音楽に関する知識や技術は、もともと音楽が好きであることはもちろん、長年の下積み経験の中で徐々に培われていくものです。
音楽センスと音楽への情熱を持ち、長い下積みも耐えられる人だけが、音楽プロデューサーになれるといえるでしょう。
音楽プロデューサー志望動機・目指すきっかけ
自分の手でアーティストを世に送り出す
1つの曲をゼロから作り上げるのが音楽プロデューサーのメインの仕事です。
音楽プロデューサーという仕事が華々しく認知されている昨今、自分の作った楽曲や、自分が考えたイメージでアーティストを世に送り出したいという思いがきっかけになる人は多くいます。
また「自分は楽器ができないから、アーティストのサポート業務をしたい」「自分はアーティストにはなれなかったが、音楽を通して世間と関わりたい」という思いで音楽プロデューサーになる人も少なくありません。
音楽プロデューサーの雇用形態・働き方
会社勤めかフリーランスか
音楽プロデューサーになるためには、レコード会社や音楽出版社、アーティストを抱える芸能プロダクションに就職しなくてはなりません。
音楽プロデューサーとして活躍するためには下積みがあり、その際はアルバイトのような雇用形態もあり得ます。
しかし、経験と実力を身に付けるにつけ、正社員として認められるでしょう。
フリーランスの場合は、会社で経験と実力をつけ独立する人、もともと音楽経験がありはじめからフリーランスで活躍する人がいます。
音楽プロデューサーの勤務時間・休日・生活
スケジュール調整はしやすい
音楽業界は自由な風潮、さらに音楽プロデューサーともなるとエグゼクティブ職であるため、スケジュール調整や仕事の割り振りがしやすくなっています。
社員として勤める音楽プロデューサーの場合、基本的に平日は10時から19時勤務で土日の週休2日制というのが平均的でしょう。
フリーランスや独立して会社を経営している音楽プロデューサーは、普段は朝から晩まで忙しく働きまとめて休みを取る人、ゆったりと働きプライベートを大切にする人など、その生活は十人十色です。
音楽プロデューサーの求人・就職状況・需要
音楽プロデューサーの求人はほぼない
音楽プロデューサーを目指す人はます、レコード会社や音楽出版社、アーティストを抱える芸能プロダクションなどに入社するというのがほとんどのパターンです。
「音楽プロデューサー」としての求人はなく、アシスタントディレクター・ディレクターを経て、ようやく音楽プロデューサーへの昇格が可能になります。
コツコツと長年の下積みや勉強をこなし、経験と実力を着実に身に付けることが音楽プロデューサーへの近道だといえるでしょう。
音楽プロデューサーの転職状況・未経験採用
音楽経験を生かして
これまでほかの職種で働いてきた人が、音楽プロデューサーにキャリアアップすることは大変難しいでしょう。
ただし自身がアーティストやミュージシャン、人気作家として活躍していた場合や、すでに音楽業界において高い知名度を得ている場合は比較的簡単に転身できるでしょう。
また、すでに音楽プロデューサーとして活躍している人が、ヘッドハンティングのような形で他社に転職したり、フリーランスに転身したりすることはよく見られるパターンです。
音楽プロデューサーの現状と将来性・今後の見通し
時代の流れに沿った仕事を
音楽配信サービスという新しいビジネスモデルの台頭は、これまでの音楽の売り出し方を大幅に変えるとともに、新たな雇用の場を生み出しています。
海外とのやりとりが簡単になったこともあり、国内アーティストがアメリカなど海外でヒットするチャンスも増えています。
こうした変化を汲み、アーティストや楽曲の新しい売り出し方や時代の流れに沿った仕事をすることが求められています。
楽曲を制作する音楽プロデューサーの活躍の場は今後ますます増え、今後は女性の音楽プロデューサーも活躍していくことでしょう。