「パラリーガル」とは
弁護士の監督の下で、法律知識を生かしながら弁護士の多様な業務をサポートする。
パラリーガルとは、弁護士の指示・監督の下で法律業務を行う法律事務員をいいます。
パラリーガルは、特別な学歴や法律資格が必要ではなく、法律事務所等で働き、弁護士のアシスタントとして法律事務職につくことでなることができます。
仕事内容は、勤務先の規模や取扱い分野、方針によって大きく異なり、弁護士のスケジュール管理や来客対応といった秘書業務から、訴状や契約書のドラフト作成、契約書の翻訳、判例の検索といた法律事務まで幅広く行います。
給与は、秘書業務が中心の場合200〜350万円、法律事務を中心とする場合500〜600万円となります。
司法改革や法律サービスの迅速化などの社会的変化から、経験のある優秀なパラリーガルへのニーズは高まっており、転職などにも強く、長く働くことのできる専門職です。
「パラリーガル」の仕事紹介
パラリーガルの仕事内容
法律に関する事務に携わる専門事務職
パラリーガルとは、法律事務所等で弁護士の指示・監督の下、法律関連の事務業務を行う法律事務員のことで、近年専門事務職として注目されています。
パラリーガルとは一般に、弁護士の監督の下で法務に関する事務業務を行う「リーガルアシスタント」を意味することが多く、法律事務所や司法書士事務所における弁護士や法律家の秘書や法律事務職員、また一般企業の法務部の社員などを幅広く含んでいます。
仕事内容は、訴状や契約書のドラフト作成、契約書の翻訳、判例の検索といった法律事務をメインに行いますが、勤務先や付く法律家によっては、スケジュール管理や来客対応といった秘書業務や付随する一般事務まで幅広く対応することが求められる場合もあります。
パラリーガルの就職先・活躍の場
主な勤務先は法律系事務所など
パラリーガルは弁護士をはじめとする法律家について仕事をするアシスタント職ですので、主な勤務先には法律系の事務所が挙げられます。
弁護士事務所のほか、司法書士事務所、行政書士事務所、社会保険労務士事務所などでもパラリーガルとして法律事務に携わるケースがあります。
また最近では、一般企業の法務部や銀行、行政機関や政府機関などでの法律関係の部署で働くパラリーガルも増えつつあり、就職先の選択肢は広がる傾向にあります。
パラリーガルの1日
内勤ばかりでなく用事などで外出することもある
パラリーガルの1日は、雇用形態や勤務先の事務所によっても異なります。
9:00
出勤して、事務所内を掃除し、メールやFAXなどをチェックします。
9:30
担当している案件の進行状況について弁護士と打合せをし、確認や指示を得ます。
クライアントへの確認や連絡事項があれば、電話等で連絡します。
10:00
クライアントなどの来客の対応(お茶出しなど)、配布する資料の準備、議事録の作成などを行います。
その他、弁護士の指示に従い適宜さまざまな業務を行います。
12:00
昼休みは近隣のカフェなどでランチを取ります。
13:00
裁判所や法務局、郵便局や他事務所などの関係機関へ外出し、書類の提出や必要情報の照会などを行います。
15:00
弁護士からの指示で、訴状、答弁書、申立書等の書類について、書類に問題がないか、誤字脱字がないか、わかりにくい文章でないかなどを細かく最終チェックします。
また、担当する事件に関する文献や判例を調査し、弁護士に提出します。
18:00
翌日のスケジュールの確認などをし、メールチェックを行った後終業となります。
パラリーガルになるには
特別な資格は必要ない
パラリーガルは、特別な資格や学歴が必要な仕事ではありません。
ただし、専門的な知識を必要とする業務が主となるため、実務において、法律関係の知識がある方が仕事に取り組みやすい面があります。
パラリーガルは事務所によっては弁護士秘書も兼ねる場合があります。
弁護士秘書は法律関連の知識は求められませんので、未経験で法学部などの法律関係の学校出身でない場合は、まず弁護士秘書として法律事務所に勤務し、そののち経験を積んで徐々にパラリーガルとして法律事務の仕事を任せてもらうというケースも少なくありません。
パラリーガルの学校・学費
法律系の大学や専門学校出身者は有利
パラリーガルになるための特別な国家資格や専門の資格などは必要とされていません。
そのため、法学部以外の幅広い学部出身者や専門学校などの学歴の人でもチャレンジできる職種といえるでしょう。
一方で、パラリーガルとしての業務は弁護士秘書の業務から、より専門性の高い法律関連業務までさまざまであり、勤務先や付く弁護士によって求められるスキルも大きく異なっています。
たとえば、弁護士が1,2名の規模の大きくない法律事務所では、秘書業務をメインに携わることも少なくなく、秘書業務や一般事務をこなせる人材を求める傾向があります。
一方で、複数人の弁護士が在籍する規模の大きな弁護士事務所では、しっかりとパラリーガルの業務が区別されており、法律専門性の高い仕事を任せたいという求人も見られます。
そういった場合は、大学の法学部や、法科大学院卒業が有利になることもあるでしょう。
パラリーガルの資格・試験の難易度
スキルを認定する試験はある
パラリーガルには国家資格が存在しないため、特別な資格がを持っていなくても仕事をすることができます。
しかし、よりスキルの高いパラリーガルを育成することを目的として、パラリーガルのスキルを認定しようとする動きはあり、たとえば日本弁護士連合会の認定試験などがそれに該当します。
日本弁護士連合会では、年に一度、法律事務所や企業、行政団体に在職する法律事務職員向けに能力向上を促すことを目的として、能力認定試験を実施しています。
この試験は、経験5年程度の中堅職員を対象とした、国内の民事・家事等の法的手続きに関する専門知識や実務能力を計る認定試験です。
受験資格は、「出願時点で、法律事務所に勤務する事務職員、公務所又は企業その他の団体において弁護士の事務を補助する者。」とされています。
また、民間資格としてパラリーガルの資格を認定している団体もあります。
パラリーガルに必要な資格などはありませんが、このような認定試験などでスキルを把握したり、実力に応じてステップアップを図ることもできるようになっています。
パラリーガルの給料・年収
弁護士秘書よりパラリーガルの方が収入は高い
弁護士事務所においては、一般事務や弁護士秘書業務がメインの場合よりも、より専門性の高いスキルを求められる法律事務に携わるパラリーガルのほうが収入が高い傾向があります。
たとえば、小さな規模の法律事務所の場合、弁護士秘書としての待遇は、通常の民間企業の一般職と同等かそれ以下であることが多く、年収は200~350万程度といわれています。
一方、複数の弁護士が所属するような大きな規模の法律事務所で勤務するパラリーガルの場合、仕事内容には、契約書面の翻訳や和訳、法律や判例の調査、その他訴状等の作成などがあり、年収は600万円程度となる場合も少なくありません。
パラリーガルのやりがい、楽しさ
社会的意義の大きな、女性が活躍できる仕事
パラリーガルは、前面に立つ弁護士が仕事を進めやすいように、気配りや気遣いをもちながら秘書業務や法律事務を通して、主体的にサポートしていく能力が求められます。
そのため、細かな気配りと高い事務処理力といった自分の能力を発揮しながら多くの女性が活躍できる仕事となっています。
経験や勉強を積めばそれだけ専門性も上がり、貢献できる度合いも増していく点はやりがいの大きなポイントです。
また、正社員としての勤務はもちろん、結婚や出産後もアルバイト・パート・派遣社員など無理のない形で、女性が長く続けていきやすい仕事であることも魅力のひとつです。
パラリーガルのつらいこと、大変なこと
業務内容が幅広く、覚えることも多い
パラリーガルは、専門である法律関係の事務や調べもの、弁護士のサポートなどに加え、その他の庶務的業務など多岐にわたる業務をこなさなくてはならず、覚えることがたくさんあります。
ミスのできない裁判所等への提出書類の作成など、気を緩められない重要な業務も多く、また複数の案件の締切に追われることもあります。
一度に多くの業務を並行して進めなければならないことも多く、多忙な時期には多くの業務に追われ疲れ果ててしまうこともめずらしくありません。
パラリーガルに向いている人・適性
向上心やコミュニケーション力の高い人
法律事務所での業務は、人や企業間などの紛争に関係する仕事が多く、また仕事で対応する相手も、裁判所や他の法律系事務所といった、高い専門知識をもつ人となります。
そのため、通常の業務では日常生活では使うことのない専門用語や手続きが多く、それらを理解、習得するためにも日々法律知識や手続きに関する勉強が必要になります。
また、ルーチンでこなしていける書類ばかりではないため、継続的に勉強する姿勢が必要となります。
それと同時に、パラリーガルの仕事は、弁護士等のサポート役として秘書的役割も担います。
状況を的確に判断し、クライアントや他のスタッフと協力しながら進めていくためのコミュニケーション能力は欠かせないでしょう。
パラリーガル志望動機・目指すきっかけ
未経験から目指せる専門事務職
パラリーガルを目指す場合の志望動機としては、たとえば、未経験からでも勉強や経験を積むことによって専門事務職として、女性でも長く働くことができる職種であることが挙げられます。
また法律事務を通して、世の困っている人たちを間接的に救う手助けができる仕事であることもよく聞かれる志望動機といえます。
一般事務ではなく、より専門性の高いスキルや知識を持った専門職としてしっかり実力をつけていきたいと考える向上心の高い人が選ぶ事務職です。
パラリーガルの雇用形態・働き方
正社員からパート・アルバイトまで多様
パラリーガルは、さまざまな雇用形態で働くことができます。
正社員として法律事務所や企業の法務部、行政組織の関連部署内で勤務するパラリーガルもいれば、派遣社員やアルバイト・パートなどの雇用形態で法律事務所などに勤務するパラリーガルもいます。
地域や事務所によって、さまざまな雇用形態での求人が出ているため、フルタイムでしっかりと働くこともできれば、一方では女性が家事や育児をしながらパートタイムで仕事を続けるなど、選ぶ勤務先によって希望に合った働き方がしやすい職業だといえます。
いずれの雇用形態でも、パラリーガルの経験や関連知識がある人は有利になります。
パラリーガルの勤務時間・休日・生活
雇用形態によって勤務スタイルはいろいろ
パラリーガルとして正社員やフルタイムで働く場合の勤務時間や休日は、勤務先となる法律事務所や企業の就業時間・休日に準じます。
パート勤務の場合などは、大きな事務所で複数人のパラリーガルがいてシフト制勤務になっていたり、曜日ごとの出勤が契約で決まっていたりします。
フルタイムの勤務の場合は1日の実働は7.5時間~8時間程度、週休2日程度が基本となるでしょう。
ただし、アルバイト・パート、派遣社員として勤務する場合は、決められた日数や時間数で就労することになります。
パラリーガルの求人・就職状況・需要
近年認知が広がり注目されている
近年、ドラマや小説などでパラリーガルという職種が登場することが増え、パラリーガルという職業は世間に広く認知されつつあります。
求人に関しては、一般的に「パラリーガル」という職種で出される求人の場合は、弁護士が複数人いるような大手法律事務所などで、「弁護士秘書」や「一般事務職」とは分けて募集する場合が多くなっています。
その場合には、司法試験受験経験者やロースクール修了者、法学部卒業程度の法律知識などの基礎知識や、法律事務所での豊富な経験などが問われることも少なくありません。
パラリーガルの転職状況・未経験採用
未経験の場合は秘書や事務からステップアップを
法律に関する基礎知識や業界の経験などが重視されるパラリーガルですが、未経験の転職の場合でもキャリアを積むことで、最終的に専門性の高いパラリーガルをめざすことは可能です。
未経験からパラリーガルを目指したいという場合は、まずは法律事務所等での「弁護士秘書」、「一般事務」の職種での求人で、経験をそれほど問わないものにチャレンジして業界のルールや流れなどを知り、そののちパラリーガルへのステップアップを目指すことが現実的でしょう。
パラリーガルの現状と将来性・今後の見通し
経験豊富なパラリーガルの重要性は増している
日本では、アメリカのような専門職としてのパラリーガルの地位は確立しておらず、公的な資格などもまだないのが現状です。
一方で、実務の現場では、司法改革や弁護士ニーズの増加などからリーガルサービスの改善が問題となっています。
そういった中、弁護士の法律事務の質の向上や処理効率を高めるためにも、より専門的なスキルをもったパラリーガルへのニーズが高まっています。
また、パラリーガルとして就職した後に、行政書士や司法書士といった法律系の国家資格を取得し、より専門性の高い法律家を目指す人もいます。
パラリーガルとして働きながらロールクールや司法試験を目指し、パラリーガルから弁護士へとステップアップすることも夢ではありません。