【2021年版】国税専門官の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「国税専門官」とは

税金のスペシャリストとして、企業や個人に対し税金に関する指導・徴収・調査を行う。

国税専門官とは、国税庁や税務署に勤務し、税金のスペシャリストとして、税金に関する調査や指導を行う国家公務員です。

国税専門官の職種は、以下の3つに分かれます。

・個人や企業を訪問し、適正な税金の申告がされているか調査する「国税調査官」
・税金の催促や財産差し押さえなどの滞納処分を行う「国税徴収官」
・脱税を見つけ検察官に告発する「国税査察官」

国税専門官になるためには、「国税専門官採用試験」に合格することが必要です。

受験資格は「21歳以上30歳未満」であることと「大卒(見込み者含む)以上」の学歴であり、近年の合格倍率は4倍~6倍程度です。

採用後は研修を受け、各都道府県の税務署を中心に配属されますが、全国で12地域に分かれている国税局の地域内で3〜5年に1回転勤があります。

「国税専門官」の仕事紹介

国税専門官の仕事内容

税金に関する調査や徴収、指導などを担当する専門職員

国税専門官とは、税金に関する調査や指導を行う、専門職の国家公務員です。

おもに国税庁や税務署に勤務し、税金・法律・会計に対する知識を身につけた、税金のスペシャリストとして国の財政基盤を支えています。

国税専門官の種類は、大きく以下の3つに分かれます。

国税調査官

個人や企業を訪問し、適正な税金の申告がされているか調査する職員です。

納税者の申告が適正でないと判断した場合は、納税者に対してあらためて正しい納税のための指導を行います。

国税徴収官

滞納されている税金の催促や、財産差し押さえなどの処分を担当する職員です。

法律に基づき、必要があるときには、強制的に滞納者の物や住居などを調査できる権限を有しています。

国税査察官

脱税に関する調査や刑事告発を担当する職員で、通称「マルサ」と呼ばれます。

裁判所から許可状を得て、家宅捜査や差し押さえなどの強制捜査を実施し、不正を発見した場合は検察官に告発します。

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国税専門官になるには

国税専門官採用試験を受験し、合格を目指す

国税専門官になるには、年1回実施されている「国税専門官採用試験」を受け、合格する必要があります。

応募資格は「21歳以上30歳未満」という年齢制限と「大学を卒業した者及び大学を卒業する見込みの者、あるいは人事院が 同等の資格があると認める者」という学歴要件があります。

なかには30歳に達するまで複数回チャレンジする人や、いったん民間企業で働いてから初めて受験する人などもいます。

高卒(18歳)ですぐ税務署勤務を志望する人は国税専門官採用試験を受けられませんが、その代わりに「税務職員採用試験」を受けることが可能です。

試験合格後は研修も用意されている

国税専門官採用試験に合格しても、すぐに国税専門官になるわけではありません。

まずは各地方にある国税局に「財務事務官」として採用され、税務大学校などの機関で約4ヵ月の研修を受けます。

その後、配属先の税務署で3年間の実務経験、7ヵ月の研修を受けたのち、ようやく国税専門官として任命されます。

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国税専門官の学校・学費

学部は関係ないが大卒(見込み)の学歴が必要

国税専門官採用試験の受験資格は「21歳以上30歳未満」で「大学を卒業した者及び大学を卒業する見込みの者、あるいは人事院が 同等の資格があると認める者」となっています。

つまり、実質的には大学に進学し、最低でも卒業見込みの要件を満たしてから受験する試験となっています。

仕事上、税金や法律について詳しくなる必要があり、筆記試験でも問われる内容のため、法学部や経済学部出身者が多い傾向です。

しかし、理系学部からの採用実績もあるため、試験を突破できる知識さえあれば学歴・学部などは問われません。

数学の知識も必要になるため、大学受験で数学をほとんど勉強してこなかった人は、きちんと試験対策をしておく必要があります。

高卒者は「税務職員採用試験」を受験することが可能

国税局では大学生を対象としたインターンシップを開催しています。

国税専門官の仕事内容を体験しておくと、採用試験の面談に臨んだ際にも有利に自己PRができるでしょう。

なお、高校卒業後3年以内であれば、似た職種である「税務職員採用試験」の受験が可能であり、高卒からも税務署で国税専門官と同様の業務に就くことは可能です。

国税専門官の資格・試験の難易度

人手不足により、採用予定人数が増えている

国税専門官採用試験は、年に1回、毎年6月中旬からスタートします。

第1次試験は各国税局の管轄内にて、筆記の教養試験と専門試験が行われ、それに合格した人だけが第2次試験の人物試験と身体検査に進めます。

採用予定数は例年1200人前後で、試験の申込者数が16000~20000人ほど、最終的な合格者数は3000人前後となっています。

辞退者が出ることも見越して、採用予定数よりも多めの合格者数を出しています。

昨今では国税専門官の人手不足が深刻となっており、採用者を増やす動きが活発化しているため採用予定者数は増加傾向です。

合格倍率は下がり気味だが試験対策は念入りに

合格倍率は、その年の応募人数などによってばらつきがありますが、2016年の5.4倍から2020年の3.6倍までは、年々下降傾向となっています。

決して易しいわけではありませんが、他の公務員試験に比べると合格しやすい部類に入るでしょう。

ただし、筆記試験では会計学の専門的な知識が問われるため、合格するためには時間をかけてしっかりと準備する必要があります。

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国税専門官の給料・年収

一般行政職よりも1割ほど高めの給与体系が設定されている

国税専門官の給料は、国家公務員の給料を定めた俸給表のうち「税務職俸給表」に沿って支給されます。

税務職の俸給表は、その職務の特殊性や専門性から、事務を中心に手掛ける一般行政職よりも1割程度高く設定されています。

基本的に年功序列の世界であるため、長く働いて、ポストが上がるほど給料がアップします。

厚生労働省の「令和2年 賃金構造基本統計調査」をもとに計算すると、ボーナスも含めた手取り平均年収は570万円ほどと推定できます。

基本給のほか、諸手当として扶養手当、住居手当、通勤手当、期末手当・勤勉手当(ボーナス)の支給があり、休暇制度をはじめ福利厚生も多々揃っており、他の国家公務員と同様に待遇面は手厚いです。

勤務を続けるうちに昇進スピードに差が出てくる

国税専門官は、採用時は横並びでキャリアをスタートし、給料・収入も手当以外での大きな差はありません。

しかし、その後は日々の勤務評価や成績などによって、昇進スピードに違いが出てきます。

最終的に「税務署長」あるいは「国税局長」クラスになると年収1000万円以上も望めますが、そのポストに就ける人はほんのわずかであり、出世を望むのであれば、厳しい競争が待ち受けています。

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国税専門官の現状と将来性・今後の見通し

ハードワークだが、景気に左右されづらい安定性のある職種

税金は国の大きな収入源ですが、意図的にせよ、意図的でないにせよ、税金の滞納・脱税は決してなくならず、社会問題のひとつとなっています。

とくに最近では低所得者の納税率が著しく落ちており、税金納付の催促や滞納者の処分が急務となっています。

また高所得者であっても、できるだけ税金を支払いたくないと考える人は一定数おり、そんな人たちに対して、きちんと納税してもらえるように働きかけなくてはなりません。

脱税は景気の良し悪しに関わらず発生する問題であるため、今後も国税専門官の仕事の需要が減ることは考えにくいです。

また、高齢化社会を迎える日本では、相続税に関する脱税対策が急務となっており、国税専門官に期待される役割はますます大きなものになっています。

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国税専門官の就職先・活躍の場

基本的に採用された国税局の管轄内に配属される

国税専門官は、全国に12ある国税局ごとで採用が行われ、基本的にはその管轄内の税務署に配属されます。

たとえば「東京国税局」で採用された場合、管轄は東京都、千葉県、神奈川県、山梨県となり、このいずれかの税務署で働きます。

国税専門官は、大きく「国税調査官」「国税徴収官」「国税査察官」の3種類に分かれて働いていますが、キャリアの途中で別の仕事を担当する可能性はあります。

転勤・異動や海外赴任について

国税専門官は2~3年ほどでの異動がありますが、基本的に採用局管内に限り、東京からいきなり九州に配属になるといったことは通常ありません。

なお、意欲や適性、能力などによっては、海外勤務になることがあります。

これまでにはアメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、中国などに赴任実績があり、各国の税務事情の情報収集などを担当したり、領事館や国際機関などで勤務する人もいます。

国税専門官の1日

確定申告の時期は業務量が増えて多忙になる

国税専門官は、各職種によって1日のスケジュールが異なります。

ここでは、納税がきちんと行われているか、各企業に出向いて行う国税調査官の1日を紹介します。

8:30 出勤
9:00 朝礼
9:30 上司とミーティング
10:30 企業訪問・税務調査
12:00 昼休憩
13:00 税務調査の続き
15:00 税務調査終了
16:00 報告書作成
18:00 退勤

国税専門官のやりがい、楽しさ

正しい納税を促し、国を支える仕事ができる

税金は国の貴重な収入源であり、正しい納税は国民の義務でもあります。

しかし、悪意ある脱税や、知識不足からの納税の漏れや延滞など、世の中の税金に関するさまざまな問題は尽きることがありません。

税金の調査や徴収などに最前線で取り組む国税専門官は、そうした問題を解決するために重要な役割を担います。

納税者と向き合いながら、国を支えていく誇りや実感が味わえたときに、仕事のやりがいを感じます。

また、税金に関する法律は、毎年のように内容が変わることもあり、一般の人にとっては敬遠されがちです。

自分が相談に乗った相手から「説明を受けてよく理解ができた」などという言葉をかけられたときにも、仕事が楽しいと思えます。

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国税専門官のつらいこと、大変なこと

納税者からの嫌われ役になることもある

国税専門官の役割は、あらゆる納税者に正しく税金を収めてもらうために動くことです。

しかし、税金滞納者のなかには悪意ある脱税をしている人、ごまかして納税額を減らそうとする人、あるいは払いたくても払えないという人など、さまざまな人がいます。

あらゆる人の状況を理解しつつも、法律やルールに則って、適切な対応をとらなくてはなりません。

基本的には煙たがられる存在ですし、時には罵声を浴びせられることもあります。

ときには「自分は正しいことをしているはずなのに、なぜ嫌われ役になるのだろうか」と苦しい思いに包まれることもあるでしょう。

また、国税専門官の仕事では、法律や税制などに関する専門知識が必要であり、毎年のように実施される改正に合わせて、知識をアップデートしなくてはなりません。

とくに確定申告の時期は書類のチェックや納税者への指導などで多忙を極め、日常的な精神的ストレスに加え、業務量の多さに疲れてしまう人もいます。

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国税専門官に向いている人・適性

几帳面さがあり、使命感と責任感をもって人と向き合える人

国税専門官は、正しく納税が行われているかを細かくチェックするため、おおざっぱよりは几帳面な人のほうが適性があります。

ときには納税者が作成した資料や領収書などに目を光らせ、細かく数字やデータを見ていかなくてはならず、事務的な業務を苦にしない人に向いているといえるでしょう。

また、この仕事は納税者を中心に、人との関わりも非常に多いです。

初対面の人とでも上手にコミュニケーションをとれる人であれば望ましいですが、それ以上に大切なのは、使命感と責任感をもって相手と向き合えることです。

ときには嫌な態度をとる人、なんとかごまかそうとしたりするような人を相手にすることもあります。

そうした際には、毅然とした態度で相手と向き合える強い心が求められてきます。

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国税専門官志望動機・目指すきっかけ

税務や会計に関する専門知識を生かし、国のために働きたい

国税調査官の仕事は、法律や税務、会計学などと深く関わってくるため、学校でそのような分野を学んできた人が、知識を生かせる職業として国税専門官を目指すケースが目立ちます。

また、国税局をテーマにしたドラマや小説などの作品、『マルサの女』などの有名映画で国税専門官という仕事を知り、憧れからこの道を志す人も少なくありません。

このほか国家公務員のなかでも専門性が求められる職種であることや、安定感、待遇のよさなどがきっかけになっているケースも多いです。

国税専門官は、税金の知識を生かして国を支えるプロフェッショナルとしての活躍と、安定した働き方の両方を実現したい人に向いている職業といえるでしょう。

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国税専門官の雇用形態・働き方

女性の活躍も目立つ職種

国税専門官採用試験を経て採用された人は、国家公務員の身分となります。

採用後は、研修や配属、異動などすべてが平等に行われ、男女による仕事内容の差もありません。

なお、国税専門官採用人数のうち、男性の2分の1から3分の1程度は女性となっており、比較的女性の活躍が目立つ職種です。

研修での試験結果や仕事内容が評価されれば、女性でも出世を目指すことは可能ですし、産休・育休制度も充実しているため、子育てをしながら働き続けることも可能です。

国税専門官の勤務時間・休日・生活

時期や配属先、担当業務によっては多忙になることも

国税調査官は国家公務員であるため、1日の勤務時間は原則として7時間45分と決められています。

仕事がスムーズに終わったときは定時で上がることもできますが、国税専門官は日中、税の調査などで外に出ていることも多く、夕方以降に事務的な仕事を進める日もあります。

また、通称「マルサ」と呼ばれる国税査察官として配属されると、朝一で対象先の企業にガサ入れに行くこともあり、やや不規則な勤務スタイルとなります。

基本的に土日祝は休みですが、新年を迎えてからの確定申告の時期は毎年非常に多忙で、とくに国税調査官は、長時間の残業が発生することも少なくありません。

国税専門官は、時期や所属する部署、担当業務によって、忙しさに違いが出やすい職種です。

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国税専門官の求人・就職状況・需要

安定した需要があり、1回の試験で1000人以上が採用

国税調査官の採用試験は毎年行われており、1回の試験で1000人以上採用される場合が多いです。

地域によって募集人数は異なり、一般的には地方になるほど採用人数が少ないため、倍率も高くなる傾向が見られます。

この仕事では国の貴重な財源となる「税金の徴収」が重要なミッションになるため、景気に左右されにくく、今後も国税専門官の需要が大きく減ることは考えにくいです。

とくに近年は国税専門官が人手不足となっていることから、採用人数を増やす方向で試験が実施されています。

国税専門官の転職状況・未経験採用

30歳未満であれば転職は目指せる

新卒であろうと、転職であろうと、国税専門官を目指すのであれば「国税専門官採用試験」を受験し、合格して採用される必要があります。

この試験は「30歳未満」なら受けることができるため、たとえば一般企業にいったん就職して数年働いたあとでも、国税専門官へのキャリアチェンジを目指せます。

ただし、採用試験では会計などの専門知識も問われることから、試験対策の準備はしっかり行う必要があるでしょう。

面接では「なぜ、転職で国税専門官を目指せるのか」と聞かれる可能性が高いため、ハッキリと答えられるようにしておく必要があります。

働きながらの試験対策が難しい場合は、公務員試験に向けたスクールや予備校などに入って、しっかりと勉強をしてから採用試験に挑むのも手です。

国税専門官から税理士への転身

一定年数の税務署勤務を経験してから税理士になる人も

「国税専門官」から「税理士」に転身するのは、そう難しいことではありません。

というのも、国税専門官として税務署などに一定期間務めると、税理士試験が一部免除される「国税従事者の免除制度」があるからです。

具体的な内容は、以下の通りです。

・税務署に23年間勤務した場合:会計学、税法の全試験科目が免除
・税務署に10年以上勤務した場合:税法3科目が免除

そのため、国税専門官として引退をしてからや、国税専門官として10年ほど働いた後に残りの試験を受けて税理士になる人も少なくありません。

仕事内容としても、国税専門官として身につけた税金や会計の知識を税理士に役立てることは可能です。

そして、税理士になれば納税者が脱税をしないよう、正しい納税の仕方や時期、会計のポイントなどを伝えることができます。

国税専門官として指導や徴収に携わっていたのとはまったく異なる立場で、納税者に関わっていけることに魅力を感じる人が多いようです。

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