「ケアマネジャー」とは

要介護認定を受けた高齢者に対し、適切な支援を受けるための「ケアプラン」を作成する。
ケアマネジャーは正式名称を「介護支援専門員」と言い、介護保険制度に基づき、要介護認定を受けた高齢者に対して、ケアプランを作成する仕事です。
ケアプラン作成の他にも、要介護認定の申請代行や介護報酬の給付管理も行います。
ケアマネジャーになるには、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格することが必要です。
受験資格を得るためには、実務経験が必要なこともあり、介護福祉士として働く人が資格の取得を目指すケースが大半です。
合格率は20%ほどで、資格の取得も簡単ではありませんが、取得すれば他の介護職よりもよい待遇で働くことができます。
介護のサービスが多様化する中で、最適なケアプランを作成することができるケアマネジャーへの要望は高まっています。
「ケアマネジャー」の仕事紹介
ケアマネジャーの仕事内容
医療・介護・その他福祉の知識を活かして総合的に利用者を支援
ケアマネジャーとは、正式な名称は介護支援専門員と言い、利用者が介護保険を使用する際に、その利用者に合ったサービスをさまざまな視点から考え、ケアプランを作成する仕事です。
通称、ケアマネと省略して呼ばれることも多い職業です。
ケアプランを作る際に市区町村や医療機関、福祉施設と連携を行い、利用者の介護サービスを総合的にマネジメントする役割を持っています。
どの介護サービスが利用者にとって必要なのか、医療・介護などあらゆる角度から考えなければいけないため、幅広い知識が必要な職業です。
ケアマネジャーの就職先・活躍の場
施設ケアマネと居宅ケアマネに分かれる
ケアマネジャーの就職先は、主に特別養護老人ホームなどの施設と、居宅介護支援事業所で働く場合の大きく2つに分かれます。
施設で働くケアマネジャーは、施設ケアマネと呼ばれ、入居者のケアプラン作成を担います。
施設の場合、居宅介護支援事業所より多数の利用者を担当することが多いため、多くの経験を積むことができるというメリットがあります。
しかし、人手不足から夜勤や送迎業務、介護業務と兼務させられることもあります。
居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーは居宅ケアマネと呼ばれます。
利用者のケアプラン作成はもちろん、訪問看護や訪問介護、デイサービスなどの介護サービスの日程調整、連携を行います。
居宅ケアマネは日勤のみですので、生活リズムが整いやすい傾向があります。
ケアマネジャーの1日
ケアマネジャーの1日は、居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーで大きく異なります。
居宅ケアマネジャーは、利用者宅の訪問が主な仕事のため、フットワークの軽さが求められます。
施設ケアマネジャーの場合、ある程度施設のスケジュールなど決まった流れの中で仕事をします。
居宅介護支援事業所勤務のケアマネジャーの1日
ケアマネジャーになるには
ケアマネジャー資格の取得が必須
ケアマネジャーとして働くためには、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格が必要です。
ケアマネジャーは都道府県が行う試験で、受験資格は大きく2つあります。
- 医師、看護師、機能訓練士などの国家資格を有する業務を5年以上かつ、900日以上実務経験がある者
- 生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談専門員、介護福祉士、ヘルパーなどの業務で5年以上かつ、日数が900日以上の実務経験がある者です。
どちらの方法でも、長い実務経験が必ず必要です。
ケアマネジャーの学校・学費
5年以上の実務があれば学歴は不要
ケアマネジャーなるには、指定されている業務で5年以上かつ900日上の経験があれば、学歴などは関係なく受験可能です。
多くの人が働きながらケアマネジャー資格にチャレンジしています。
学歴は必要ないものの、独学や通信講座や専門学校で行う短期講座に通うなど、試験合格のためにさまざまな試験対策をする人が多いようです。
ケアマネジャーの資格・試験の難易度
介護系資格のなかで最も難易度が高い
ケアマネジャー試験は介護系資格のなかで最も難しい試験といわれています。
合格率は平均17%前後で、試験受験者の8割が不合格となります。
ケアマネジャー試験の難易度が高い理由として、2つが考えられます。
- 人数よりもその質を求められるようになり、試験が厳しくなった
- 働きながら受験する人が大半で試験勉強が間に合わない
試験を受けるのであれば余裕を持ったスケジュールで勉強しましょう。
ケアマネジャーの給料・年収
平均年収は330~420万円
ケアマネジャーの平均年収は、約330万円~420万円です。
さまざまな症例、難ケースなどを対応する仕事であるため、ケアマネジャーとして経験を積むほど、年収が上がる傾向にあります。
施設ケアマネと居宅ケアマネでは、夜勤がある施設で働くほうが、高収入の傾向があります。
夜勤で働く場合は生活リズムも変わりますので、どちらが働きやすいのかを考えて職場を選びましょう。
ケアマネジャーのやりがい、楽しさ
利用者と信頼が築けたときに喜びを感じる
ケアマネジャーは、最初に利用者やその家族と面談し、悩みや課題、困りごとを聞いてケアプランを作成します。
しかし、初めて会う相手には、人はなかなか本音で話せないものです。
何度も訪問し、少しずつ信頼関係を築き、ついに悩みを聞き出すことができたときに大きな喜びを感じるでしょう。
ケアマネジャーのつらいこと、大変なこと
根気強く利用者に関わることが大切
ケアマネジャーは、利用者やその家族の悩みを聞き取り、それらを解決をしてくれる医療機関、介護サービスと連携してケアプランを作成します。
医師、看護師、機能訓練士などの職種は、利用者の将来や家庭内全体を見てアドバイスをするため、ときには利用者の意にそぐわない提案もあるでしょう。
そんなときにも利用者に寄り添い、作成したケアプランを理解してもらえるように根気強く説明する必要があります。
ケアマネジャーに向いている人・適性
全体を通してみる広い視野が大事
ケアマネジャーは、悩んでいる、困っている人の役に立ちたい、サポートをしたいという気持ちを持つ人に向いています。
問題を広い視野で考え、ほかの職種の意見をケアプランに生かす必要があります。
ときには作成したケアプランに納得してもらえず、利用者に拒否されてしまうこともあります。
時間をかけて利用者に寄り添う忍耐力が大切です。
ケアマネジャー志望動機・目指すきっかけ
どんなケアマネジャーになりたいかを伝えよう
ケアマネジャー試験に合格し、免許が届いたらいよいよケアマネジャーとしての就職活動が始まります。
施設ケアマネ、居宅ケアマネともに、一般的に書類選考となりますので、志望動機を書いた履歴書、ケアマネジャー免許証のコピーなどの必要書類を郵送します。
まずは書類選考通過のために、どんなケアマネジャーになりたいのか、熱い思いを文章で伝えましょう。
選考が通過すれば面接へ進みます。基本的には1回で終わることが多いですが、企業によって複数回行うこともあります。
ここでも口頭で、志望動機や自己PRをしっかり伝えましょう。
施設や居宅によって業務が異なることもありますので、面接でも業務内容について確認しておきましょう。
ケアマネジャーの雇用形態・働き方
働き方はいろいろ
ケアマネジャーの雇用形態は、正社員が多いですが、それ以外にも契約社員、アルバイト、パートなど多岐に渡ります。
正社員として勤め、いずれ子どもが生まれたら子育てと両立しながらパートで働くというケアマネジャーも増えています。
アルバイト、パートの場合の平均時給は1,200円ほどで、ほかの介護職よりも高い傾向にあります。
超高齢社会を迎えるにあたり、施設や居宅の増加が考えられるため、どの雇用形態でもニーズは高まるといえるでしょう。
ケアマネジャーの勤務時間・休日・生活
施設はシフト制、居宅は日勤土日休み
施設ケアマネの場合、勤務時間はさまざまで、24時間体制の施設の場合は早番、中番、遅番と始業時間も日によって変わる可能性があります。
居宅ケアマネに場合は日勤のみで、土日祝休みが基本的に多いでしょう。
ただし、施設と異なり交代制ではないため、休みの日に面談のため出勤をすることもあります。
子育て中の方や生活リズムを重視する方は、居宅介護支援事業所を選ぶ人が多いようです。
自分がしたい仕事や、ライフスタイルに合った職場を選びましょう。
ケアマネジャーの求人・就職状況・需要
現在飽和状態だが、今後ニーズが高まる可能性も
現在は難易度が高いケアマネジャー試験ですが、以前のケアマネジャー試験の合格率は40%程度だったため、現在は飽和状態です。
しかし、年々ますます施設や居宅が増え続け、ケアマネジャーが活躍できる場所が増加していますので、近い将来ケアマネジャーが足りなくなると予想されています。
ただし、介護士の人手不足のため、ケアマネジャーをしながら介護業務も行う可能性はさらに高まると考えられています。
ケアマネジャーの転職状況・未経験採用
経験があれば施設・居宅ともに転職しやすい
ケアマネジャーの転職は、経験年数が有利になる職種であるため、実務経験があれば施設・居宅ともに転職しやすい職種です。
経験を増やすため、施設から居宅、居宅から施設へ転職する方も増えています。
一方、試験の合格率が低いため、企業の将来を担う若手のケアマネジャーは不足しています。
そのため、普段は経験者を募集しているが、未経験でも若手ケアマネジャー採用を行う企業が増加しています。
ケアマネジャーの現状と将来性・今後の見通し
少しずつケアマネジャーの需要は高まっている
飽和状態であるケアマネジャー採用ですが、超高齢社会に伴い需要が高まっていくと考えられます。
企業も次世代リーダーを育てるため、未経験や経験が浅い方向けの求人広告も目立つようになってきました。
若手はもちろん、経験があれば、何歳でも仕事ができるのがケアマネジャーの魅力です。