【2021年版】和菓子職人の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「和菓子職人」とは

食材の知識や和菓子作りの多様な技法を身につけ、さまざまな生菓子や干菓子を作る。

和菓子職人は、日本の伝統的な菓子である和菓子をつくる職業です。

和菓子は大きく「生菓子」と「干菓子」に分けられ、「蒸す」「焼く」「練る」などの技法を駆使して作られます。

こうした和菓子作りの技術を習得するだけではなく、和菓子に関する食材の知識も欠かせないため、一流の和菓子職人になるまでの道は険しく、長い修業期間を経る必要があります。

一人前になるまでは、肉体的、金銭的に厳しいものになるため、それを乗り越える覚悟が必要です。

和菓子職人になるには特別な免許や資格は必要ありません。

かつては中卒や高卒で直接和菓子店に弟子入りする人も多くいましたが、現在では和菓子作りについて学べる専門学校を卒業している人が多いです。

和菓子は茶道とともに発展してきた歴史を持つため、繊細な季節感をとても大切にし、芸術的な要素もあります。

そのため、和菓子職人には材料の品質や特性を見分ける力や手先の器用さとともに、美的感覚も要求されますし、日本の伝統文化の一翼を担っているという誇りを持つことも必要です。

「和菓子職人」の仕事紹介

和菓子職人の仕事内容

和菓子作りに関するさまざまな仕事を行う

和菓子を作り伝統を守る職人

和菓子職人は、日本の伝統的なお菓子を作る職人のことです。

伝統的な和菓子から斬新な感性を活かした創作和菓子まで、そのジャンルは多岐にわたります。

和菓子は大きく「生菓子」と「干菓子」に分けられ、「蒸す」「焼く」「練る」などの技法を駆使して作られます。

こうした和菓子作りの技術を習得するだけではなく、餡をつくるための小豆やいんげん豆などの豆類、上新粉や白玉粉といった粉類、果物など、和菓子に関する食材の知識も欠かせません。

また和菓子は茶道とともに発展してきたため、「わび・さび」を感じる芸術的要素や季節感など、日本ならではの価値観や文化を表現することも重要な要素となります。

目で見て美しく、食べておいしい和菓子を作り出すのが和菓子職人の仕事です。

和菓子職人のさまざまな仕事

和菓子職人のメイン業務はもちろん、和菓子を作ることです。

店頭に並べる商品だけでなく、お茶席用に予約があった菓子をひとつひとつていねいに仕上げます。

また和菓子職人は伝統的な和菓子を作るだけでなく、新しい和菓子を企画・考案することも仕事です。

季節に合わせた商品や、独自の表現力を生かして世界にひとつだけのオリジナルの和菓子を生み出します。

さらに和菓子店では、職人が自ら販売接客を担当することも珍しくありません。

そのほか予約分の配達や材料の仕入れ、経営に関する仕事などにも関わることがあります。

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和菓子職人になるには

和菓子店へ就職するか、製菓の専門学校で技術を学ぶ

和菓子職人に学校での学びは必要か?

和菓子職人になるには、和菓子店へ就職するか、製菓の専門学校で和菓子作りを学んでから就職するかの2つの方法があります。

かつては中卒や高卒で直接和菓子店に弟子入りする人も多かったようですが、現代ではまず専門学校へ進学し、知識と技術を身に付けてから就職する人が多いようです。

和菓子職人に学歴は必要ありませんが、希望の和菓子店に就職できたとしても、それから過酷で長い下積み生活が始まります。

学校で習ったことよりも、その店ごとのやり方や伝統技術が尊重されるため、一から覚えなければいけないことが多いのが現状です。

一人前になるには時間がかかる

和菓子は特別な技術で作られているため、一人前になるまでには長い時間がかかります。

すぐに手取り足取り和菓子作りを教えてもらえるわけではありません。

掃除や洗い物、配達などの雑用から入り、数ヶ月から数年勤めると、餡炊きなどの下準備を担当するのが一般的です。

見習い期間は店によってさまざまですが、さらに数ヶ月から数年後に、やっと和菓子作りに関わることができます。

新人のうちは餡(あん)を作ったり生地を練ったりする基本を繰り返し先輩から技術を教わりながら、何年もかけてようやく全ての工程を任せてもらえるようになります。

一人前になってからはその店の職人として勤め上げたり、さらに高待遇の店に転職したり、自分の店を出す夢を叶える人もいるなど、腕次第でキャリアアップを目指せるでしょう。

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和菓子職人の学校・学費

特別な学歴は必要ないが、製菓学校などで学ぶ人が多い

和菓子職人になるために特別な学歴は必要ありませんが、時間的・経済的に余裕があるのなら、まず専門学校で基礎を学びつつ、人脈をつくることもひとつの方法です。

専門学校では和菓子に限らず製菓の基礎から身につけることができますし、和菓子店や和菓子メーカーとのパイプがあり就職に有利な場合もあります。

また、教えてくれる先生によってさまざまな和菓子の技術や作り方があることを知ることができます。

もちろん高卒で和菓子の世界に飛び込む方法もありますが、専門学校で得た幅広い知識は後々きっと役に立つでしょう。

ただし、実際の現場では学校で習ったことよりも、その店ごとのやり方や伝統技術が尊重されるため、改めて勉強をする必要があります。

和菓子職人の資格・試験の難易度

製菓に関する資格があると有利

和菓子店や和菓子メーカーに就職するためには、とくに資格は必要ありません。

何より、その店や会社の伝統的な商品を昔からの味や見た目のまま再現すること、そしてその店や会社に合った新しい商品を開発することが重要です。

しかし、「製菓衛生師」「製菓製造技能士」といった製菓に関連する資格は、菓子作りの技術やでき上がった菓子の品質を証明するために重要な資格です。

菓子作りの技術やできあがった菓子の品質を証明することができるため、就職で有利になることもあります。

特に将来自分の店を持つ目標のある人、店長や工場長として責任ある立場に就こうとする人にとっては、持っておいて損のない資格だといえるでしょう。

和菓子職人の給料・年収

高額な給料をもらえることはほとんどない

見習いのうちは給料も低い

和菓子職人は就職しても、最初は見習いの立場になりますので、高額な給料をもらえることはほとんどありません

勤め先によってまちまちですが、初任給としては手取りで大体月に10万円ちょっと、中堅どころとなっても平均年収は300万から400万円といったところが一般的といわれています。

お金のことよりも「和菓子が心から好き」と思える人でなければ、続けるのは難しいかもしれません。

独立しお店が成功すれば高収入を得ることも夢ではありませんが、そのためには和菓子職人としての腕だけではなく、経営的な知識やセンスも必要とされます

将来独立・開業を目指す人は和菓子作りのスキルを身につけるだけでなく、経営やマーケティングなどさまざまな知識を身につけ準備を進めておくことが大切です。

勤務先によって給料に差がでることも

和菓子職人の給料や福利厚生は、勤務先の規模により異なります。

和菓子店は従業員10人以下の個人店が多く、見習いの際には給料がほとんど出ないようなところがあります。

また小さな店舗では、人手不足で有給を消化できなかったり、残業代やボーナスが支給されなかったりすることもあります。

一方、チェーン展開しているメーカーや企業では、初任給も若干高めであり、福利厚生が充実している傾向にあります。

どのような規模の店やメーカーに就職するかにかかわらず、こうした条件は働き始める前に確認するとよいでしょう。

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和菓子職人の現状と将来性・今後の見通し

時代に沿った新しい商品づくりが求められる

スイーツといえば洋菓子を思い浮かべる人も多いですが、近年、そのヘルシーさや芸術性の高さから、和菓子の価値が見直されつつあります。

特に和菓子に込められた豊かな芸術性や繊細な技術は、国内外問わず注目を集めており、外国人観光客からのニーズも増えています。

近年は、抹茶などの和の食材を使ったスイーツやドリンクを提供する、和をコンセプトとしたカフェも増えて人気を集めています。

和菓子は伝統的な定番商品だけでなく、季節や素材を生かしたオリジナル商品を生み出すことができるため、和菓子職人の腕次第で次々と活躍の場を広げていくことができます

こうした新しい営業形態は、伝統的な和菓子の道とは異なりますが、これからの新しい時代に沿った柔軟な商品を模索し作り出していくことも求められるでしょう。

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和菓子職人の就職先・活躍の場

和菓子店や和菓子メーカー

和菓子職人が活躍しているのは、和菓子店や和菓子を扱う菓子メーカーです。

和菓子店には、繊細な和菓子を一つ一つつくっているような個人店から、大釜で小豆を煮て機械を使い大量に和菓子を生産しているところまであります。

個人店の場合、多くは和菓子の製造から販売まで一手に引き受け、ときには自ら接客を担当することもあるでしょう。

和菓子を製造する工場の場合は、仕込みから仕上げまでひとりで担当するのではなく、製造工程ごと、または商品ごとに担当が分かれています。

自分がどんな和菓子をつくりたいかをあらかじめ考えておく必要があるでしょう。

ただし、和菓子職人もほかの料理系の職業と同様、見習いや弟子入り期間があり、和菓子を直接扱えるようになるまでには、何年もかかることもあります。

和菓子職人の1日

開店に合わせて朝早くから仕事をはじめる

和菓子店は、開店までに日持ちしない和菓子を製作しなければなりません。

そのため、朝早くから仕事を始める店が多いです。

しかし製造部が独立していたり、工場を設けているチェーン店や企業では、定時勤務やシフト制が取り入れられていることもあります。

繁忙期でなければ17:00前後に勤務終了となりますが、見習い職人は残って自主練習を行う人もいます。

<老舗和菓子店で働く和菓子職人の1日>

6:00 起床・ボイラーを点火
6:15 朝生(あさなま)づくり
7:30 朝食・開店準備
8:00 開店
8:30 中生(ちゅうなま)づくり
9:00 店舗が忙しくなれば接客・配達
12:00 昼食休憩
13:00 上生(じょうなま)菓子づくり
14:30 焼き菓子づくり
16:00 明日のための仕込み
17:00 勤務終了
18:00 夕食
19:00 新作和菓子の試作・研究
22:00 入浴・就寝

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和菓子職人のやりがい、楽しさ

お客さまに喜んでもらえる仕事

和菓子職人だけでなくサービス業に共通することですが、お客さまに喜んでもらうことが何よりの励みになります。

なかでも和菓子は店頭に並んでいるだけで目を引く美しさがあるため、お客さまの感嘆や喜びの顔を直接知ることができます。

自分が作った和菓子に感動してくれる表情を見たり、感謝の言葉をもらったりしたとき、この仕事に就いて良かったと感じることでしょう。

また、和食文化や日本の芸術が世界的に評価されている近年、和菓子を通じて日本古来の伝統文化を受け継ぎ、後世に伝えていくやりがいのある仕事でもあります。

日本の歴史や文化の知識を身につけながら、お菓子作りを通じて技術力や感性を磨くことができることも魅力といえるでしょう。

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和菓子職人のつらいこと、大変なこと

下積みが長く先行きの見えない仕事

和菓子職人として就職したとしても、数年間は下積みとして、掃除や洗い物、配達などの雑用や、食材の下処理といった「和菓子作り」以外の仕事がメインになります。

雑用も先輩和菓子職人の活躍を支える大切な仕事ですが、先輩が多くいればいつまでも雑用ばかりということも考えられます。

和菓子職人は「餡炊き3年、薪焚き5年」などといわれ、お店によってまちまちですが一人前になるまでには10年かかることもあります。

下積み期間は給料も低く、いつになったら自分自身が独り立ちできるか、先が見えない不安な状態が続き、この間に和菓子職人の道をあきらめてしまう人も多くいます。

こうした苦労を乗り越えた人だけが、和菓子職人として独り立ちできるのです。

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和菓子職人に向いている人・適性

和菓子に対する情熱と体力のある人

和菓子職人に必要なものとして挙げられるのは体力です。

重い調理器具や食材を扱うので体力がなくては務まりませんし、一日中立ちっぱなしとなる仕事なので、手先の器用さだけでなく足腰も丈夫でなければなりません。

そしてそんなハードな仕事であっても「自分の作ったものを人においしいと食べてもらいたい」という情熱が必要です。

和菓子職人は一人前になるまでの下積み期間が長く、体力勝負の仕事であるため挫折してしまう人も多いため、和菓子が大好きで極めたいという思いが強くなければ続きません。

和菓子に対する情熱を忘れなければ、努力も勉強も工夫も惜しまず、日々の仕事に励めることでしょう。

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和菓子職人志望動機・目指すきっかけ

和菓子を食べることや作ることが好き

和菓子職人の志望動機として多く見られるのは、「とにかく和菓子に目がない」「小さいころから和菓子を作るのが好きだった」といったものです。

家族や親せきが和菓子屋を経営していて、そのあとを継ぐために和菓子職人になったという人も少なくありません。

またなかには「和菓子の美しさに魅せられた」というような、見た目の美しさや芸術性に惹かれる人も多くいます。

他の人とは変わった志望動機がある場合、その点をアピールすることも大切です。

「貴店のこの商品が大好きで、自分も作る側に回ってみたい」など、商品への思い入れを志望動機としてアピールする人も多く見られ、こうしたしっかりと企業研究をした志望動機は目を引くでしょう。

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和菓子職人の雇用形態・働き方

見習いから正社員へなるケースも

大きな和菓子メーカーでない限り、和菓子職人がいきなり正社員として雇用されるのはかなりまれです。

特に個人経営の和菓子店では、見習いとしてアルバイトからはじめ、正社員へと登用される道が一般的です。

ただし将来的には正社員を目指す人が大半であることから、求人募集を見ても派遣社員やアルバイト・パートとしての和菓子職人の募集はほとんどありません。

個人の和菓子店は、家族経営的な規模で営業していることが多く、従業員も10人未満の小さなお店が大半です。

このような規模の職場では、たとえ正社員となり給料がアップしたとしても、充実した福利厚生は望めない場合も多いため注意が必要です。

和菓子職人の勤務時間・休日・生活

早朝勤務が多く長時間労働になりがち

和菓子職人の勤務時間や休日は勤め先によりまちまちです。

食品メーカーや和菓子の製造工場などでは、比較的決まった時間帯と休日で働けます。

店舗やメーカーによっては早朝からの出勤や、早番・遅番の2交代制にしているところも多く見受けられます。

一方で個人経営のお店の場合は、ひとりでさまざまな作業をこなさねばならず、長時間労働になりがちです。

生菓子は作り置きができないため、定番人気商品の在庫を切らさないことはもちろん、特別注文に合わせた制作も必要です。

とくに和菓子職人にとって、お盆やお彼岸、節句の時期、卒業シーズンは繁忙期です。

店舗によっては、学校行事やお祭りなど、得意先や地域の習慣により注文が殺到することもあり、そのような場合には、残業や休日出勤が続くということもあります。

和菓子職人の求人・就職状況・需要

求人自体は少なくないが挫折する人も多い

求人サイトなどを見ても、和菓子職人の求人自体は決して少なくはありません。

後継者が決まらず、和菓子店を閉店するという老舗もあるほどです。

和菓子職人が集まらない理由としては、労働条件が他の職種に比べあまりよくないということもありますが、即戦力となる応募者が少ないという理由もあります。

和菓子職人になりたいと思って勉強をはじめたり修業をはじめたりするものの、一人前になる前に挫折する人も多く、入れ替わりが激しいのが和菓子職人の世界です。

和菓子職人を目指す際には、どのような菓子をつくりたいのか、どのような店舗で働きたいのかをしっかりと考えた上で、厳しい修業期間を耐える覚悟を持たなくてはならないでしょう。

和菓子職人の転職状況・未経験採用

道半ばで転職してしまう人も少なくない

未経験から始めるには長い時間がかかる

まったくの未経験から和菓子職人を目指すことは非常に難しいです。

改めて一から専門学校で勉強するところからはじめるぐらいの意気込みが必要でしょう。

料理の世界では多いことですが、和菓子職人も一人前になるまでに時間がかかるため、途中で挫折し転職してしまう人も少なくありません。

製菓の専門学校を卒業し、あらかじめ調理師免許や製菓衛生士免許を取得している人は、別な調理の道も選ぶこともできてしまいます。

そのため、きつい和菓子職人の仕事を続けなくても、ほかのところで力を発揮しようと考え、転職を選ぶ人が多いのです。

特に近年は女性の和菓子職人も増えていますが、結婚や出産による環境の変化がネックになり、退職してしまう人が多いようです。

独学で和菓子職人になる道も

製菓学校などを卒業し、その後趣味で和菓子を作り続け、独学で職人になるという道もあります。

近年では、店舗を構え大々的に和菓子をつくるのではなく、数を絞って生産したり、注文を受けた分だけひとつひとつ手作りしたりするような形態の和菓子店も増えています。

またオンライン上でのみ販売するというところも増えてきており、SNSなどで情報を発信し、若い世代に受け入れられるような新しい和菓子を作っている人もいます。

これまでにように店舗を構え対面で売るのではなく、インターネットを利用することで、活躍の道は増えていくでしょう。

女性でも和菓子職人になれる?

女性の和菓子職人は増加傾向にある

かつて和菓子職人は圧倒的に男性の方が多い職業でしたが、近年、女性の和菓子職人が増加しています。

和菓子職人の仕事は男女の差がないので、女性でも十分に目指すことができます。

しかし一人前になるまでには8年~10年ほどかかるという厳しい世界で、20歳前後で入社してもプロとして認められるのは30歳前後です。

規模の大きな店舗や企業では育休制度や産休制度が整っていることが多く、結婚後も働きやすい環境だといえるでしょう。

一方で、人材不足や福利厚生が整っていない店舗では休みが取りづらくて辞めざるをえない場合もあるでしょう。

現在ではフリーランスでお菓子作りをしたり、女性同士で独立して店舗を経営したりするなど、女性の職人の増加によって新しい働き方も生まれてきています。

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