【2021年版】高校教師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「高校教師」とは

高校で専門教科の教育を行うとともに、生徒一人ひとりが社会に出るための手助けを行う。

高校教師は、高校に通う生徒に対して、各専門教科や生活面の指導をおこないます。

高校の授業は中学と比べると難しさが格段に上がるため、教師自身も日々勉強し、専門知識を磨いておかなければなりません。

また、高校生活は今後の人生を左右する時期であるため、生徒一人ひとりの将来の希望や考え方を尊重し、進路指導や就職相談にのることも重要な業務の一部です。

その他、テストの準備や、部活動の顧問、学園祭の準備など、仕事の内容は多岐に渡ります。

高校教師になるためには、教職課程のある学校で教職課程を修了し、高校教諭の免許状を取得したのちに教員採用試験に合格することが必要です。

高校教諭の免許は教科別になっているため、どの科目を教えたいのか事前に決めておく必要があります。

採用倍率は小中学校よりも高めで、とくに地方における採用は厳しいものとなっています。

「高校教師」の仕事紹介

高校教師の仕事内容

教科指導以外にも多様な業務を担う

高校教師の仕事は、小学校や中学校など他の教諭と同じように幅広く、業務量も多いです。

最も代表的な業務といえるのは担当教科の指導です。

高校で指導する科目は、英語、数学、物理、化学、政治、経済、倫理など中学校よりも細分化されているため、教師にも、より高い専門性が求められます。

加えて、クラス担任であれば日々のホームルームやクラス運営、部活動の顧問になれば練習のサポートや試合の引率なども重要な業務です。

また、高校教師は「校務分掌」といって、学校に関するさまざまな役割を分担しています。

たとえば教務や総務、学校行事の企画・準備、保護者団体との交渉役、同窓会の調整役などの業務もおこないます。

生徒指導や進路指導も重要業務

ここまで挙げたようなさまざまな業務のほか、高校教師には、生徒一人ひとりの気持ちや状況、将来に対する希望を正確に把握し、適切な助言や指導をすることが求められます。

高校卒業後の進路は、大学や短大、専門学校への進学、あるいは就職など生徒によって異なります。

高校教師は、生徒の意見を尊重しつつも教師の立場で親身に相談にのったり、アドバイスをしていったりして、生徒が自分らしく生きていけるようになるためのサポートをします。

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高校教師になるには

大学や大学院で教員免許状を取得する

高校教師になるには、大学や大学院を卒業して高校教諭免許状を取得する必要があります。

高校卒業後、教職課程のある大学で所定の単位を修め、卒業することで教員免許が取得可能です。

高校教師の免許は4年制大学で取得できる「一種免許状」と、大学院で取得できる「専修免許状」があります。

どちらも職務内容に違いが出るわけではありませんが、より専門的な学びを深めたい人は大学院まで進みます。

なお、高校教師の免許状の特徴は、小学校や中学校教諭の免許状とは異なり、国語、数学、公民、工芸、保健体育といった教科別になっていることです。

どの科目を教えたいのか事前に決めておき、その免許を取得できる大学・学部を選択する必要があります。

教員採用試験を受験する

大学や大学院で高校教師の免許を取得したら、次は教員採用試験を受験し、合格を目指す必要があります。

公立高校の試験は都道府県や市町村が実施し、筆記試験や面接試験などをパスした人のなかから採用者が決定されます。

一方、私立高校の場合は各学校が独自に採用試験を実施しますが、必ずしも公募されるとは限りません。

たとえば、私立中学高等学校協会が実施する適性検査を受け、学校の側からスカウトが来るのを待つ方法や、私立高校の教員志望者と高校をマッチングするサービスを利用して採用情報を探す方法などがあります。

各高校に採用されると、教師としてのキャリアを歩み出すことが可能です。

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高校教師の学校・学費

希望する科目の免許状が取得できる大学へ進学

高校教師は、小・中学校よりも高度で専門的なカリキュラムを扱うこともあり、短大では免許状が取得できません。

高校教員の免許状を取りたいのであれば、教職課程のある大学、もしくは大学院に進学することが必要です。

高校の教員免許を取れる大学・学部は文部科学省によって定められているため、事前に確認しておきましょう。

また、指導したい科目を事前に決めて、その免許状が取得可能な学校を選ぶことも重要です。

学費は国公立の大学であれば卒業までに合計250万円前後、一方、私立大学では年間の授業料だけで100万円以上かかるところが多いです。

なお、出身大学名や偏差値については、公立高校の教師を目指すうえではさほど重視されませんが、私立高校ではブランド力を維持する目的などで、一定の基準を設けている場合もあります。

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高校教師の資格・試験の難易度

採用試験の受験者は既卒者の割合が大きい

公立高校の教師を目指すために受験する「教員採用候補者試験」は、公務員試験の「地方上級レベル」程度といわれ、決して容易に合格できるものではありません。

受験者の7割ほどは複数回挑戦している既卒者で、一度で合格できなかった場合、臨時教員として働きながら正規雇用を目指す人が多いのが実情です。

採用倍率はやや低下傾向とはいわれるものの、7倍ほどを推移しており、十分な対策をしなければ合格は難しいでしょう。

私立学校の場合は、各学校が独自に採用試験を実施しているため、学校によって就職試験の難易度はまったく異なります。

各学校の採用基準を事前に調べておきましょう。

地方にいくほど倍率が高くなる傾向

公立高校の教員採用試験は、首都圏に比べて地方ほど採用倍率が高くなる傾向が見受けられます。

採用人数が少ない割に、応募者が集まりやすい自治体では10倍に近いところもあるため、事前に志望先の倍率を調べておくとよいでしょう。

また、倍率は受験する科目によっても大きく異なり、教員免許状授与件数の多い校種・教科、また採用者数の少ない校種・教科は、倍率が高くなりやすいです。

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高校教師の給料・年収

平均年収は高めだが公立高校では残業代がつかない

公立高校で働く高校教師は地方公務員の身分となり、各地方自治体の給与体系が適用されます。

基本的には年功序列で、年齢が上がり、勤務年数が増えれば自然と昇給します。

平均年収は700万円ほどとなっており、民間会社員の平均年収と比べても高めの収入が見込めます。

また、他の公務員と同様に各種手当やボーナスの支給もありますが、教員の場合、残業手当に関しては、あらかじめ基本給に月給の4%ほどの金額が上乗せされているのみで、いくら長時間残業しても残業手当はつきません。

休日出勤手当も出ないため、精力的に活動する部活の顧問になると「割に合わない」と感じる人もいます。

ただし、公務員として安定した身分が約束されるのは、公立高校教師の魅力といえるでしょう。

学年主任や管理職になることでも、特別な手当が支給されます。

私立高校は学校ごとに給与体系が異なる

私立高校教師は、各学校が定める給与体系と待遇の下で働きます。

学校によっては、同じ地域の公立高校教師の平均年収よりも高額な年収が望めますが、私立の場合は経営状況にも左右されます。

指導実績が豊富で生徒や保護者からの評判もよい教師だと、非常によい待遇で雇用されることもあります。

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高校教師の現状と将来性・今後の見通し

個々の教師の人間性と質がますます問われる時代に

高校へ進学する生徒が増えた現代において、高校教師は一定の需要がある職業といえます。

しかしながら、地域によっては少子化が進むにつれて廃校となる高校も出ており、決して安泰とはいえなくなっているのが実情です。

とはいえ、高校教師はいったん正職員として就職すれば、安定した雇用環境で働きやすく、定年まで仕事を続ける人もめずらしくありません。

なるまでの道のりは楽なものではありませんが、いざ高校教師になれば、日々の仕事を通じて管理職などキャリアアップを目指すことも可能です。

高校では、不登校やいじめ、将来への不安感など、思春期ならではの悩みを抱える学生も多いですし、不安定な時代のなかで、保護者や世間が教師を見る目も厳しくなっています。

とくに地方の高校や私立学校は、生き残りをかけてさまざまな工夫を凝らしており、今後はより魅力ある教師が求められ、個々の教師の人間性が問われていく時代になっていくことでしょう。

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高校教師の就職先・活躍の場

公立高校と私立高校のどちらかで働く

高校は、大きく分けると公立高校と私立高校の2種類があります。

公立高校は都道府県や市町村が管理・運営する高校で、そこで採用された教師は、地方公務員の身分になります。

毎年、教育委員会の決定の下で人事異動が発表され、数年に一度は別の高校へ異動になります。

一方、私立高校は独自の学校法人によって運営されている学校で、学校ごとに教育方針やカリキュラムが異なり、校風もさまざまです。

中高一貫校となっている学校も多く、私立高校の教師は10年以上にわたって同じ学校で働き続ける人もめずらしくありません。

なお、公立学校・私立学校ともに日中に授業がおこなわれる「昼間制」の学校が多いですが、なかには生徒が卒業に必要な単位を自分で組み立てていく「定時制」の学校もあります。

定時制高校では、多様なバックグラウンドの生徒が通うことが多いため、高校教師は一人ひとりの生徒に適した対応をすることが求められます。

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高校教師の1日

朝早くから夜まで長時間勤務になる人も多い

高校教師の1日は、朝が早いことが特徴です。

朝は生徒が来る前に出勤するため、早ければ7時には学校に到着します。

夕方までは授業や部活動の指導をおこない、その後は職員会議や残務処理があるため、忙しい日は夜遅くまで仕事をすることもあります。

ここでは、高校教師のある1日の流れを紹介します。

7:30 出勤
出勤し、生活指導として正門の前に立ちます。
8:15 職員会議
職員室で伝達事項の確認を行います。
8:20 ホームルーム
8:30 午前の授業
12:25 給食
職員室で給食を食べます。
13:10 五限目
14:10 採点・電話対応
授業で回収した小テストの採点や、保護者からの電話に対応します。
16:00 職員会議
17:30 授業準備・デスクワーク
たまっている事務仕事を処理します。
19:30 退勤

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高校教師のやりがい、楽しさ

未来ある子どもの成長に貢献できる喜び

高校教師のやりがいの最たるものは、未来に向けてはばたこうとしている生徒たちを見守り、成長に貢献できることだといえます。

15歳から18歳にあたる高校時代は、ちょうど「自分」というものを作っていく重要なタイミングで、進路選択においても重要な時期です。

この頃の教育が子どもの考え方や将来を大きく左右することもあり得ます。

高校教師の責任は非常に重大で、一人ひとりの生徒と向き合う難しさを実感することばかりですが、その分、やりがいもひとしおです。

生徒が自分の目標を定め、その達成のために成長していく様子を間近で見る喜びを味わえます。

また、担当する授業に関しても教育内容が高度化するため、生徒のやる気を引き出す工夫をしたり、教えがいを感じられたりする場面も多いです。

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高校教師のつらいこと、大変なこと

激務に追われながら、難しい問題を一手に引き受ける

高校教師は非常に忙しくなりがちです。

授業に関わる準備はもちろんのこと、部活動の顧問や教務、総務、外部団体との交渉や調整など、学校運営に関する業務も多くこなさなくてはなりません。

恒常的に残業や休日出勤が発生しがちですが、公立高校の学校教師の場合、時間数に応じて残業手当が出ることはありません。

生徒が休みの夏休みなども仕事はたっぷりあり、なかなか落ち着いて休めない教師もいます。

それに加えて、学級内でのいじめ、学級崩壊などの難しい問題に直面したり、保護者からのクレームが増えたりすると、精神的なプレッシャーが重くのしかかります。

こうした苦労に耐え切れず、離職してしまう人もいるのが現実です。

高校教師は、常に一人ひとりの生徒と深く誠実に向き合いつつも、膨大な業務を速やかにこなしていく高いスキルが求められる大変な仕事です。

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高校教師に向いている人・適性

常に生徒と本気で向き合う覚悟をもてる人

教師にとって最も大切なのは「生徒を思いやる心」です。

教師はただ生徒に勉強を教えるだけではなく、人生の先輩としての姿を見せたり、生徒の悩みや不安に寄り添ったり、人として生徒と一緒に成長していく存在です。

高校生の集団を相手に信頼を勝ち得なければならない点で、高い人間性や指導力、観察力などが求められます。

もちろん教師にもさまざまな性格の人がいますが、まずは生徒と本気で向き合う覚悟をもてる人であれば、高校教師に向いているといえます。

また、教師の仕事では思うように事が進まずストレスが溜まる場面も多く、並大抵の精神力ではなかなか務まりません。

逆境にも耐えられる強い心や、よりよい教師になるためにどうすればよいのかを考え続けられることも、高校教師の大事な適性のひとつです。

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高校教師志望動機・目指すきっかけ

自身の高校生活がきっかけになる人も

高校教師を志望する人は、自身の高校生活に思い入れがある場合が多いです。

たとえば高校時代の担任に大きな影響を受けたり、全力で打ち込んだ部活動の顧問に支えられたりしたことが将来の夢につながり、自分も高校生によい影響を与えたいと思うようになった、といった具合です。

あるいは、逆に高校時代にあまりよい思い出がなかったために、未来ある高校生の可能性を引き出したいと考えて、高校教師を目指す人もいます。

教師のなかでも、あえて高校教師を目指す理由としては、より専門的で高度な学習の指導に携わりたいと考えるケースや、大人に近づいていく時期の子どもと関わりたいといったケースが多いようです。

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高校教師の雇用形態・働き方

正規雇用の教師のほか、非正規雇用で働く教師も多数

高校教師の雇用形態として、最も代表的といえるのは正規職員です。

一般企業でいえれば正社員のようなもので、常勤のフルタイム勤務をし、待遇面では最も恵まれている形です。

しかし、教育の現場では、非正規雇用で働く教師も決して少なくありません。

公立高校における非正規雇用の教師は「臨時的任用職員」と呼ばれ、大きく「常勤」と「非常勤」の2種類に分かれます。

常勤講師は、産休や育休をとった職員の穴埋めなどを目的とし、まとまった期間で契約して働く人、一方、非常勤講師は授業単位で働く人のことです。

教師不足が叫ばれる現代において、臨時的任用職員は貴重な存在です。

ただし、正規職員に比べて待遇は恵まれていないため、臨時で働きながら正規雇用を目指している人も多くいます。

高校教師の勤務時間・休日・生活

仕事に夢中になるほどプライベートな時間の確保が難しい

高校教師は、生徒たちが学校にいる時間帯はもちろん、その前後の時間帯にも仕事をしています。

このため、朝は早くなりがちで、さらに夕方以降も定時に上がれることはほとんどなく、残業が恒常化しています。

部活動の顧問になると、練習や大会などで、休日出勤をしなければならない場合もあります。

しかし、公立高校では残業手当や休日出勤手当がつかないため、教師の負担は、精神的な意味でも大きなものとなりがちです。

近年では、教師の労働状況を改善させるための対策も進んでいるものの、そもそもの業務量が多いため、どうしても忙しい毎日になりがちです。

生徒のことを思って一生懸命になろうとすればするほど授業準備などにも時間がかかり、休日まで仕事をしている教師も少なくありません。

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高校教師の求人・就職状況・需要

小学校や中学校の教師に比べると競争が厳しい

近年、教師全体として人手不足が深刻になっています。

その背景には、教師をとりまく長時間労働の実態が明らかになり、民間への就職を志望する若者が増えていることなどが挙げられます。

大学で教職課程を終え、教員免許状を持っている人自体は多く、潜在的な担い手はいるものの、実際に教師をしている人は限られているのが実情です。

ただし、小学校や中学校の教師に比べると、高校教師の採用試験の倍率はやや高くなりがちです。

自治体や科目によっては10倍ほどの採用倍率になることもめずらしくないため、十分な対策をしなければ合格は難しいです。

この先は、少子化の影響で高校教師の採用数は減少傾向に向かうと見られているため、さらに競争が厳しくなるかもしれません。

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高校教師の転職状況・未経験採用

民間での経験を生かして高校教師に転職する人も

高校教師は、高校の教員免許状を取得していさえすれば、社会人になってからの転職でも目指せる職業です。

近年では人手不足が叫ばれているため、異業種や異職種からの転職であっても、強い熱意があれば採用される可能性は十分にあります。

高校教師には、洞察力や観察力、管理能力、行動力、コミュニケーション力など多様なスキルが求められるため、民間企業で得た経験やスキルを教師として生かすことも可能といえます。

ただし、公立高校の教員採用候補者試験は倍率が高めで、何年も試験にチャレンジする人もいるほどです。

とくに転職希望者の場合は、教師になるための金銭的・時間的な計画をきちんと立てて、準備することが大切です。

年齢制限は、公立の場合は自治体によって異なりますし、私立では学校ごとに異なるため、事前に調べておきましょう。

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高校教師と中学校教師の違い

義務教育と、自主的に通う学校では大きな違いがある

高校教師と中学校教師は、同じ「教師」に分類される仕事でも、求められる役割などには大きな違いがあります。

高校と中学校の最もわかりやすい違いは、中学校が義務教育であるのに対し、高校は義務教育ではなく、あくまでも生徒が自主的に通う学校であることです。

このため、高校教師は生徒の自主性を意識しながら接し、もし問題を起こした生徒がいれば、相応の処置(謹慎指導・退学処分など)を取ることも可能です。

高校ごとに特色は異なるものの、大学進学に向けての学力向上のための指導をしたり、多様な価値観やスキルを身につけるための訓練などをおこなうことが、高校教師の大事な役割のひとつです。

一方、中学校教師は義務教育の教育課程のなかで、子どもたちに自立して生きていくための基本的な学力や、社会のルールなどを丁寧に指導します。

中学生は、まだ小学生の延長といった雰囲気もあり、教師は子どもが知力・体力などをのびのびと育めるように支援します。

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