【2021年版】助産師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「助産師」とは

お産介助から妊娠・出産前後の心身ケアまで、女性の健康を総合的ににサポートする。

助産師は、妊娠や出産から出産後のケア、育児の指導まで、出産前後の女性を総合的にサポートする仕事です。

助産行為は、医師と助産師のみに許されているものであり、正常な経過の自然分娩であれば、助産師のみで出産を行うこともできます。

おもな勤務先は、総合病院の産婦人科やマタニティクリニック、助産院です。

助産師になるためには、その前段階として「看護師」の資格を取得する必要があります。

看護師になってから、さらに指定の養成期間で1年以上の教育と実習を行ったのちに助産師国家試験に合格することで、助産師の資格が与えられます。

近年では産婦人科の医師が減少しているため、助産師への期待が以前にも増して高まり、助産師を目指す人は増えてきています。

一方で、助産師の仕事は出産時間が読めないということから長時間でハードなものになりがちで、待遇の改善が求められています。

「助産師」の仕事紹介

助産師の仕事内容

お産の介助や妊産婦の心身のケアに携わる

助産師は、女性の妊娠や出産、また出産後の育児に関しての総合的なサポートを行う医療専門職です。

お産を介助するだけでなく、妊婦さんの体調管理や心のケア、ときには家庭環境や育児に関するカウンセリングにも関わるため、出産前後の女性にとっては心強い存在です。

助産行為は、法律で医師と助産師のみに認められているものであり、正常な分娩の介助であれば、助産所などにおいて助産師のみでも行えます。

ただし正常分娩が見込めない場合や異常を発見した場合には、速やかに医師の指示のもとで安全なお産が行えるように動きます。

ハードな仕事ですが、人の命の誕生を間近で見られる喜びと感動は、何物にも代えがたいものがあります。

幅広い知識を生かして女性の健康をサポートする

助産師は、性に関する知識を生かして思春期の女性の性の悩みや不妊治療に関する相談業務にも携わることがあります。

助産師の多くが病院や診療所に勤務していますが、人によっては自治体で行われる母親教室・父親教室の講師を務めたり、赤ちゃんの健康診断、お母さんからの授乳や育児に関する相談に対応したりすることもあります。

助産師は前提資格として「看護師」を取得しているため、幅広い専門的知識を発揮しながら、妊産婦を中心とする女性の健康を支えていきます。

関連記事助産師の仕事内容

助産師になるには

看護師の国家試験に合格したうえで、助産師国家試験への合格が必要

助産師として働くには、国家資格である「助産師免許」と「看護師免許」の両方の取得が必要です。

最終的に助産師を目指すためのルートとして、代表的なのは以下の2通りです。

(1)看護専門学校または看護系短大を卒業後、看護師国家試験に合格→さらに指定助産師養成校で1年以上の課程を修了して助産師国家試験を受験し、合格する
(2)看護師養成課程の中に「助産師養成カリキュラム」を備えた4年制の看護大学または看護専門学校で学び、看護師と助産師の国家試験を受験し、両方合格する

1のルートでは看護師の国家試験に合格してから、あらためて養成校で助産師の勉強をするため、多少ゆとりのある学生生活となるでしょう。

2のルートは大学在学中に助産師の国家試験受験資格まで得られるのがメリットですが、通常の看護師養成課程以上に多忙な日々を送ることになり、強い覚悟が求められます。

看護師として働き始めてから助産師を目指す人も

助産師は、看護師の資格を取得したうえで取得するものとなっているため、必ずしも全員が新卒で助産師を目指すわけではありません。

一度看護師として現場に出た人、看護師として何年も働きながら助産師への転身を考える人も多くいるため、新卒の時点で助産師の勉強をしていなくても、助産師を目指すことは十分に可能です。

なお、看護師は男女ともに活躍していますが、助産師になれるのは女性のみであるため、この点には注意が必要です。

関連記事助産師になるには? 必要な資格は?

助産師の学校・学費

どのようなルートで助産師を目指すかによって異なる

助産師になるために通うべき学校は、先に看護師になってからあらためて助産師を目指すか、それとも看護師と助産師の国家資格取得を同時に目指すかによって異なります。

先に看護師になる場合の学校としては、3年制の看護短大もしくは看護専門学校が考えられます。

看護師としての専門的な勉強をして看護師免許を取得し、そのあと助産師養成所(1~2年)に通うことで、助産師国家試験の受験資格が得られます。

一方、看護師と助産師を同時に目指す場合、4年制大学の看護学科や看護専門学校に入学後、助産師養成課程へ進むのが最短ルートです。

効率はよいように見えますが、看護師・助産師の両方の国家試験対策を同時に進めなくてはならず、非常にハードな生活となるでしょう。

大学院まで進学して助産師を目指す人も

看護師と助産師を同時に目指せるカリキュラムを置く大学や専門学校は数が限られているため、事前に調べておきましょう。

また、助産師養成課程は難易度がやや高めで、学内の選抜で選ばれた人だけが入れるなど、競争率が高くなる傾向です。

なお、現在では高学歴志向によって、大学院の博士前期課程で助産師の勉強ができる場も増えています。

大学院まで進めば少し時間的なゆとりはできますが、学費がたくさん必要になるなどデメリットもあるため、よく考えて進学先を選ぶとよいでしょう。

関連記事助産師になるための学校と学費(大学・専門学校)

助産師の資格・試験の難易度

在学中にきちんと勉強していれば合格できる

助産師として働くには「看護師」と「助産師」の2つの国家試験に合格し、それぞれの免許を取得することが必要です。

令和元年度の試験結果では、看護師国家試験の合格率は89.2%(うち新卒者94.7%)、助産師国家試験の合格率は99.4%(うち新卒者99.5%)となっています。

助産師国家試験だけのことを言えば、合格率は例年90%台で推移しており、高い数字を誇っています。

しかし、これは決して助産師になることが簡単だというわけではありません。

在学中の座学や実習の日々は非常に忙しく、レポート課題なども膨大にあるため、集中して勉学に励まないと卒業さえ危ぶまれます。

看護師国家試験が不合格だと助産師にはなれない

助産師国家試験は、基本的に落とすための試験ではないため、在学中に十分に勉強をしていれば合格できるでしょう。

ときには医師国家試験の問題のような難題が出題されることもありますが、それ以外の学校で習う基本部分を確実におさえていれば、まず不合格にはなりません。

看護師と助産師を同じタイミングで目指す場合、助産師国家試験に合格していても、看護師国家資格に不合格だと助産師の免許を受け取ることはできないため注意が必要です。

関連記事助産師国家試験の難易度・合格率

助産師の給料・年収

看護師よりもやや高めの給料が見込める場合が多い

助産師の平均年収は350万円~450万円ほどがボリュームゾーンと推定できます。

同じ医療系の専門職である看護師よりも、やや高めに設定されている職場が多く、年齢や勤続年数が増えるにつれて確実に昇給が望めます。

勤務先によっても給与水準が異なり、規模が大きな総合病院や大学病院では、リーダーや管理職になることで年収500万円~600万円以上を得ている人もいます。

地域のクリニックや助産院でも、昨今では産婦人科医の不足によって助産師のニーズが高まっており、よい待遇で雇用されるケースがあります。

待遇面は安定しているがハードワーク

お産に関わることの多い助産師は、365日24時間体制で、複数のスタッフが交代しながら働くことが多いです。

夜勤が入る日には「夜勤手当」が付くため、夜勤の回数が増えるほど、収入も跳ね上がりやすくなっています。

その他、勤務先によってはボーナスや住宅手当などの各種手当の支給があり、福利厚生が充実しています。

非正規雇用の場合も含め、助産師はよい給料・待遇で働けることが多いため、お金の面で大きく不自由することはほとんどないでしょう。

しかし、お産の件数が多い職場は忙しく、残業や夜勤も増えがちでハードワークです。

関連記事助産師の給料・年収

助産師の現状と将来性・今後の見通し

人類が存在する限り必要とされる職業

少子化が進み、昔に比べてお産の件数は大きく減少していますが、人間がいる限り、分娩・出産というニーズ自体はなくならないため、助産師の仕事が消えることはありません。

また、現状では需要に対し、第一線で活躍する助産師の数は足りていないといわれています。

独立開業する助産師は比較的多く存在しますが、病院勤務の助産師は不足しているところが多いため、これから助産師を目指す人にもチャンスは十分にあります。

とくに最近では晩婚化に伴う高齢出産の増加など、ハイリスク分娩の管理の必要性が高まっているため、それに対応できる知識・経験を備えた助産師のニーズが増しています。

また、近年では助産師免許に加え、ベビーマッサージやマタニティヨガ、アロマカウンセラーなどの民間資格を取得して、妊産婦や乳児に対しての多様なサービスを提供する助産師も増えています。

関連記事助産師の需要・現状と将来性

助産師の就職先・活躍の場

病院の産婦人科やクリニック、助産院が中心

助産師のおもな就職先は、大学病院や総合病院などの産科、産婦人科クリニック、助産院です。

このような場では、妊婦さんの定期健診や院内でのお産教室を担当したり、産気づいた妊婦さんの様子を見守り、タイミングを見てお産に入り、赤ちゃんが生まれるのを介助したりします。

お産の後にも、1ヵ月検診や母乳に関する相談や措置、育児相談などを受け、適切なアドバイスをします。

このほか、数はあまり多くありませんが、保健所や保健センターなどの場で地方公務員として働く助産師もいます。

仕事内容は、自治体で行われる母親教室・父親教室の講師、赤ちゃんの健康診断、お母さんからの授乳や育児に関する相談などが中心です。

また、助産師には医師や歯科医師と同様、開業することが許されているため、自ら助産院を開業したり、フリーランスの助産師として多様な仕事をする人もいます。

関連記事助産師の仕事先の種類・活躍の場

助産師の1日

お産に合わせて柔軟に行動することが求められる

病院に勤める助産師の勤務体系は、基本的にシフト制で「日勤」と「夜勤」があります。

毎日の決まった仕事はありますが、お産に関しては24時間のうち、いつスタートするかわからないことであり、細かな仕事の流れは日によって変わってきます。

ここでは、総合病院・産科勤務の助産師のある1日(日勤)を紹介します。

8:30 出勤・着替え
9:00 朝礼・申し送り
10:00 受け持ち業務
11:30 外来診察のサポート
14:00 昼休憩
15:45 病棟へ行き、妊婦と面談
16:30 産後の母親への指導
18:30 分娩へ
20:00 夜勤スタッフへ申し送り・退勤

関連記事助産師の1日のスケジュール・生活スタイル

助産師のやりがい、楽しさ

新しい命の誕生に何度も立ち会える喜び

助産師として働く最大のやりがいは、「出産」という新たな命が誕生する瞬間に立ち会えることです。

どのような出産であっても、新しい命が生まれる瞬間は感動的であり、そこに寄与できるのは助産師ならではの魅力です。

医師とは異なる立場で妊婦さんに寄り添い、信頼関係を築いていくことにやりがいを感じる助産師は多いですし、お母さんと一緒に赤ちゃんを迎えてあげられたときには、決して他人事ではない喜びを感じることでしょう。

また、赤ちゃんを産んだ後のお母さんたちとの交流を通じて、赤ちゃんの成長とともに、お母さんが母親として成長する姿を見守ることができるのも助産師として働くやりがいにつながります。

関連記事助産師のやりがい・楽しさ・魅力

助産師のつらいこと、大変なこと

命がけの出産現場に向き合い続ける苦労

分娩を取り扱う産科は、常にスピード勝負で多忙な日々を過ごします。

業務に慣れるまでは、厳しく仕事を叩きこまれるケースも少なくありません。

妊産婦が命がけで臨む分娩、生まれたての小さな命を預かりお世話をするプレッシャーなど、責任の重さを感じながら勉強を続けていくことなど、助産師特有の苦労がいくつもあります。

また、出産といって一般的なイメージされるのは「幸せなイベント」ですが、ときにはお腹の赤ちゃんや母体に危険が迫ることもあります。

残念ながら、死産など命を救えないケースもあり、そういった日には非常につらい気持ちになるものです。

ハードワークで大きなストレスを感じてしまう人も

助産師は医療職のなかでも非常に多忙になりがちな職業です。

夜勤が多く、不規則な勤務体系になるのは「看護師」も同様ですが、産科で働く助産師は、お産の時間や予定が読めず、さらに生活リズムが狂いやすいです。

体の疲れに加え、ミスが絶対に許されないストレスやプレッシャーを感じ続け、自分自身が心身の調子を崩してしまう人もなかにはいます。

関連記事助産師のつらいこと・大変なこと・苦労

助産師に向いている人・適性

思いやりの心をもち、人に寄り添えること

妊産婦の身体と心のケアを行い、サポートをする助産師は、さまざまな状況や環境のなかで出産に向き合います。

出産は十人十色であり、まったく同じ流れで進むことはありません。

不安を抱えるお母さんに安心感を与えるのが助産師の重要な役割であるため、相手に寄り添い、思いやる心は不可欠です。

人との関わりを大切にでき、一人ひとりに対して真摯に向き合える人に向いている仕事といえます。

体力があり、テキパキと行動できる人

助産師は、いつ妊産婦さんの陣痛が始まるか分からないため、どうしても不規則な時間の勤務になりがちです。

独立した助産院では、お産が何件も重なるとまともに休憩がとれなかったり、長時間勤務になったりすることもあります。

ですから、まずは体力があり、自分の健康管理をしっかりとできる人でないと務まりません。

また、出産は命がけで行われるものであり、ときには1秒を争う緊迫した現場に立ち会うこともあります。

素早い判断や行動が求められるため、テキパキと動くことを苦にしない人のほうが向いているでしょう。

関連記事助産師に向いている人・適性・必要なスキル

助産師志望動機・目指すきっかけ

命の誕生に向き合いたいという思いから

助産師になりたいと考える人は、子どもの頃に赤ちゃんの生まれる瞬間を見て感動を覚えたり、生命の誕生という神秘に魅了されたりして、この職を目指すケースが多いです。

医療職を志す人の多くが明確な志望動機をもっていますが、とくに助産師の場合、密接に妊産婦やその家族、新生児と関わるため、仕事内容に強い関心を抱いています。

助産師の専門性の高さや待遇のよさなどが理由のひとつになることもありますが、多くの場合、命が誕生する瞬間の驚きと感動が、助産師を目指す原点となるようです。

看護師からステップアップを目指す人も多い

助産師は、看護師の次のキャリアパスとして就く人も多い職業です。

看護師として働くなかで、さまざまな医療スタッフや患者さんらとの出会いを経験するうちに、産科で赤ちゃんの誕生に関わる仕事に惹かれるようになるケースは決して少なくありません。

看護師としての業務経験が長い人は、医療現場の実態をよりリアルに体感したうえで、助産師の重要性を感じて目指すケースが目立ちます。

関連記事助産師の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

助産師の雇用形態・働き方

正職員の募集が中心だが、夜勤専門助産師のニーズも

助産師の求人の多くを占めるのは正職員としての求人です。

正職員の場合、勤務先によっても違いはありますが、2交代制で「日勤」と「夜勤」の両方をこなすシフト制になっているところが多いです。

この場合、長くて16時間ほどの勤務となり、体力的にはハードですが、そのぶん夜勤手当が多くついたり研修制度が充実していたりと、手厚い待遇が用意されている職場も目立ちます。

3交替制の職場は2交替制より体力面での負担は少ないですが、求人がそこまで多くありません。

なかにはパートタイムの求人もありますが、その多くは夜勤専門助産師の募集で、16時くらいから翌日の10時くらいまでが勤務時間となります。

パートでも、助産師は比較的よい給料が設定されるため、生活のリズムが夜型でも構わないという場合は、夜勤パートもよいかもしれません。

関連記事助産師の働き方の種類・雇用形態

助産師の勤務時間・休日・生活

正規雇用の助産師は不規則な生活を送ることが多い

助産師の勤務時間は、総合病院などで2交替制の職場であれば「日勤(昼間の仕事)」と「当直(夕方から翌朝までの仕事)」があります。

3交替制の職場であれば「日勤(昼間の仕事)」「準夜(夕方から真夜中の仕事)」「深夜(真夜中から明朝までの仕事)」となっています。

どちらにしても、正職員として働く場合には、夜勤は避けられない場合が多いです。

助産院で働く場合は、基本的に開院時間に合わせた勤務となりますが、お産のある時には呼び出しがあったり、場合によっては泊り込むこともあります。

助産師の職場では、陣痛の来た妊婦さんを常に受け入れる体制を整えておかなければならないため、ある程度拘束時間が長くなるのは仕方がない面もあります。

ただし、パートの場合は「日勤のみ」や「夜勤のみ」、また勤務する曜日を選択できることが多く、正職員よりは時間の融通が利く働き方ができるでしょう。

関連記事助産師の勤務時間・休日・仕事は激務?

助産師の求人・就職状況・需要

助産師の有資格者は増えているが、まだ不足している

助産師の資格所持者は、年々数千人の単位で増えてきています。

それでも助産師の不足が解消されないのは、そもそも助産師の養成施設が少ないということもありますが、過重労働により、比較的早期で辞めてしまう助産師が多いからです。

陣痛はいつ来るかが予測できないため、とくに独立開業した助産院ではどうしても勤務が不規則になったり、休みが取れなかったりします。

病院勤務でも、限られた人数で職場を回しているところが多く、どうしても長時間労働になりがちでハードワークです。

助産師は女性だけがなれる職業であるため、自身の結婚・出産を機に離職する人、フルタイム勤務を辞める人もおり、なかなか十分な人員が揃わない職場もあるのが実情です。

助産師の転職状況・未経験採用

転職はよく計画を立ててから行動を

助産師は全国的に見ると人手不足であり、転職によって助産師になった人も積極的に採用されています。

異業種で働いていた人が未経験から助産師を目指してイチから勉強をはじめるケースもありますが、比較的よく見られるのは、もともと看護師としてのキャリアをもつ人が、助産師へのステップアップを目指すケースです。

いずれの場合でも、助産師になるには専門的な勉強が必要となるため、転職の際はお金と時間の両方の面で余裕をもった計画を立てておく必要があります。

最近では、より自然なかたちでの「お産」を望む人も増えており、病院などで実務経験を積んだベテラン助産師は、自分の助産院を独立開業することもあります。

助産師は、さまざまな境遇の妊産婦と関わるため、培ってきた社会人経験が生かせる場面は多々あるでしょう。