ミュージシャンの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「ミュージシャン」とは

ミュージシャンの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

ロック、ポップス、ジャズなど、おもに大衆音楽を演奏し、人々に喜びや感動を与える。

ミュージシャンとは、一般的に、楽器演奏や歌唱などの音楽活動を生業とする人のなかでも、とくにロックやポップス、ジャズなど「大衆音楽」の演奏家のことを意味します。

演奏する人だけでなく、「作曲家」「作詞家」「編曲家」などもミュージシャンと呼ばれることがあります。

ミュージシャンの仕事内容はさまざまです。

たとえばライブハウスやイベントなどでの演奏活動、レコーディングや楽曲リリース、テレビなどのメディア出演、あるいは音楽スクールの講師などを務める人もいます。

ミュージシャンに学歴や資格は必要ありませんが、高い演奏技術や音楽的なセンスはもちろん、業界での人脈なども必要になってきます。

基本的には個人で活動し、ヒット曲を多く生み出せるミュージシャンほど収入が増えますが、高収入を得続けるのは簡単ではありません。

どのような活動をし、どのように身を立てていきたいのか、自分自身の意思をきちんと持つことが大切です。

「ミュージシャン」の仕事紹介

ミュージシャンの仕事内容

ポップスやロックなどの大衆音楽の演奏や、音楽活動に携わる

ミュージシャンとは、世の中の人々に向けて楽器を演奏したり歌を歌ったりする人のことをいいます。

音楽活動を生業とする人のなかでも、とくにロックやポップス、ジャズなどの「大衆音楽の演奏家」のことをミュージシャンと呼ぶのが一般的です。

ミュージシャンに分類されるのは、おもに以下のような人たちです。

・歌手(歌い手)
・ギタリスト、ベーシスト、ドラマー、キーボーディスト
・シンガーソングライター
・作曲家
・作詞家
・編曲家
・スタジオミュージシャン
など

上記で挙げたように、自ら歌を歌ったり楽器演奏をしたりする人もいれば、曲作りやアレンジ(編曲)に携わるような人もいます。

また、一人(ソロ)で活動する人もいれば、バンドやグループで活動する人もおり、多様な活動形態があります。

仕事内容はミュージシャンによってさまざま

ミュージシャンの仕事内容や活動内容は多岐にわたります。

一例を挙げると、ライブハウスやイベントなどでの演奏をはじめ、楽曲のレコーディングやリリース、メディア出演、音楽スクールの講師などがあります。

基本的に、仕事の流れとして「決まったパターン」はなく、自身の決めた活動方針や依頼に合わせて働きます。

なお、ミュージシャンとしてある程度認められるようになると「事務所」に所属し、事務所のサポートを受けながら活動していく人も多いです。

関連記事ミュージシャンの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

ミュージシャンになるには

決まりきった方法がないからこそ、難しい

ミュージシャンは、メジャーデビューをしたり、本職として活躍し続けるための「これ」という決まりきった方法がありません。

ミュージシャンには資格も学歴も必要なく、ある意味では、広く開かれている職業です。

実際、もともと「ただの音楽好き」だと思っていた人が、突然テレビに出て演奏しているという可能性も十分あり得ます。

しかしながら、大ヒット曲を連発するような人気ミュージシャンになり、この仕事で生計を立てられる人はごくわずかです。

どれだけ努力しても、才能や時の運などの影響も絡み合って、思うように成功できない人もたくさんいることは、先に知っておく必要があるでしょう。

音楽の知識・技術を身につけ、積極的に活動する

ミュージシャンを目指すなら、まず最低限、音楽の知識や演奏技術、表現力を身につけることが必要といえます。

音楽を学べる場は、音楽大学や音楽専門学校、あるいは民間の音楽スクールまで多種多様ですし、市販の教材を活用しながら自力で学ぶことも可能です。

その後は、ライブハウスでの演奏活動を続けて地道にファンを増やしていったり、コンテストに応募したり、レコード会社にデモテープを送ったりといった行動が大切になってきます。

業界関係者の目に留まることが、デビューするための重要なきっかけのひとつとなります。

関連記事ミュージシャンになるには? どんなデビュー方法がある?

ミュージシャンの学校・学費

音大や音楽専門学校、音楽スクール、留学まで選択肢は豊富

ミュージシャンに学歴は一切関係ないといえますが、ミュージシャンを目指す若者の多くが、どこかの学校で音楽について勉強をしています。

音楽系の学校として代表的なのが、音楽大学、音楽専門学校、音楽スクールです。

このうち、音楽大学はクラシックの世界で生きる「音楽家」を目指す人も大勢集まっており、入学難易度は高めです。

一方、音楽専門学校では、とくにロックやポップス、ジャズなどのミュージシャン志望者向けの学科・コースを設置する学校が多く見られます。

ヴォーカルやギター、ベース、ドラムなど、各楽器ごとの演奏技術、また作曲や編曲などについても学ぶことができます。

このほか、演奏技術に関しては、民間の音楽スクールや独学で手軽に学ぶことも可能です。

人によっては海外留学をして、現地の音楽学校でミュージシャンとしての実力を磨いていくケースもあり、多様な学校選びの選択肢があります。

関連記事ミュージシャンになるためにはどんな学校に行けばいい?

ミュージシャンの給料・年収

おもな収入源は印税収入だが、経費もかかる

ミュージシャンの活動形態はさまざまで、また会社員のように企業に勤務する人はほとんど存在しません。

そのため、平均年収を出すのは非常に難しいのが実情です。

プロ(メジャーレーベル)のミュージシャンは、「レコード会社(レーベル)」「プロダクション(事務所)」「音楽出版社」の3つと契約を行い、それぞれとお金(給料)のやりとりが発生します。

ミュージシャンにとっての大きな収入源は「印税」であり、簡単にいえば、リリースした楽曲が売れれば売れるほど印税収入が増えます。

その他、ミュージシャンにはメディアやイベント出演料など、さまざまな収入源がありますが、活動をサポートしてくれるプロダクションに対しては手数料を支払います。

また、音楽出版社に対しても一定の著作権使用料の支払いが必要になるなど、経費がかかる部分も多く、プロになってもそれだけで食べていくのは簡単なことではありません。

長く人気を保ち続けられる人は限られている

ミュージシャンが苦労する点のひとつは、浮き沈みの激しい人気商売の世界に身を置くことです。

1曲大ヒットして一時的に何百万円、何千万円もの収入を得たとしても、音楽業界には才能のある優秀な若手が次々と新規参入してくるため、10年、20年とその人気を保てるとは限りません。

超有名ミュージシャンになれば億単位の年収が手にできるチャンスはありますが、一方では生活が厳しく、他のアルバイトをしながら何とか生活している人もいるのが現実です。

関連記事ミュージシャンの年収・収入はいくら? サポートミュージシャンやスタジオミュージシャンについても紹介

ミュージシャンの現状と将来性・今後の見通し

売れない時代に、どう自分を売り込んでいくか

娯楽の多様化や音楽ダウンロード配信、サブスクリプションサービスが一般的になったことによって、人気ミュージシャンであっても、かつてのように多くのセールスを上げるのは難しくなっています。

一方、IT技術の進歩によって「ボーカロイド」など新しい音楽の誕生や、SNSを活用したプロモーション活動の実現など、以前では成し遂げられなかったことが、できるようになっている面もあります。

時代がめまぐるしく変わり続ける現代社会では、ミュージシャンとして生きていくために、まず自分自身で「どのように地位を築き上げていくか?」と考えることが、ますます大事になっていくでしょう。

黙っていても売れる時代ではありませんから、メディアへの戦略的な露出や営業活動、時代に合った音楽表現など、これまで以上に売れるための工夫が必要となります。

関連記事ミュージシャンの需要・現状と将来性

ミュージシャンの就職先・活躍の場

活躍の仕方は人によってさまざま

ミュージシャンは、一般的な多くの職業のように、どこかの会社に勤めるわけではありません。

基本的には個人で仕事をしますが、メジャーで活動する場合には音楽事務所に所属し、そのサポートを受けながら活動をするのが一般的です。

ミュージシャンの演奏場所は、ライブハウスやアリーナ、ホール、イベント会場、レストランなどさまざまです。

演奏のパフォーマンスだけでなく、楽曲制作やレコーディング、リリース、テレビ出演、音楽講師業など、多様な活動をしながら生計を立てている人が多いです。

世間で「ミュージシャン」と言われる人であっても、その活動の仕方は人によってまったく異なります。

ミュージシャンの1日

毎日異なる動きをすることが多く、不規則な生活になりやすい

ミュージシャンの生活スタイルは、個々の活動方針や仕事内容によって大きく変動します。

日によってもまったく異なるスケジュールとなり、朝早くから仕事が入っている日もあれば、深夜に作業をして寝るのは明け方といったこともあります。

演奏活動をメインにしているミュージシャンの場合は、イベントやライブ出演の予定を軸にスケジュールを立て、その間で楽曲制作やリリースを行っています。

ここでは、かけだしミュージシャンのある1日の例を紹介します。

6:00 起床
8:00 アルバイト
12:00 昼休憩
17:00 スタジオでバンド練習
19:00 夕食
20:00 ライブハウスで演奏
21:00 反省会・打ち上げ
23:00 帰宅

関連記事ミュージシャンの1日

ミュージシャンのやりがい、楽しさ

音を通じて自分自身を表現し、人の心を動かすことができる

音楽には、聴くだけで気持ちが明るくなったり、ときには涙が出てきたりと、人の感情を左右するパワーがあります。

また「音楽は国境を越える」といった言葉もあるように、音楽は時代も場所も問わず、人々に影響を与え続けることができるものです。

それだけ大きなパワーを持つ音楽を創造できるのが、ミュージシャンとして生きていく大きなやりがいといえます。

自分自身の理想の世界を「音」で表現し、それに多くの人が喜んだり感動してくれたりする様子を見られた瞬間には、言葉では語り尽くせないほどの高揚感が得られるでしょう。

どこまでも終わりの見えない世界で、ひたすら自分の理想を追求し続けることに、やりがいを感じているミュージシャンも多くいます。

関連記事ミュージシャンのやりがい・楽しさ・魅力

ミュージシャンのつらいこと、大変なこと

自分が目指すものに向かって努力を続けること

日本では、毎年何百ものミュージシャンがメジャーデビューしているといわれますが、そのうち、何年も生き残れるのはほんのわずかです。

実際、あまり名前すら知られずにシーンを去っていくミュージシャンも大勢います。

もし「たくさんのお金を稼ぐこと」をミュージシャンの成功と考えるのであれば、それは非常に厳しい道のりだと覚悟しておく必要があります。

ミュージシャンは競争が厳しく、最初はお金が思うように稼げなくても、ひたすら自分自身が目指すものに向かって頑張り続ける、そんな努力と根性が必要です。

強い「信念」や「意思」がなくては、とても務まらない職業だといえるでしょう。

関連記事ミュージシャンのつらいこと・大変なこと・苦労

ミュージシャンに向いている人・適性

音楽を心底愛し、根気よく努力を続けられる人

華麗に音を奏でるミュージシャンは華やかに見えるものですが、その裏では地道な努力を重ねています。

演奏技術は一朝一夕で身に付くものではなく、時間をかけてコツコツと積み上げていかなければなりません。

また、音楽表現に絶対的な正解はないため、常に変化・進化を求め、理想のミュージシャン像を目指してレベルアップし続けようとする向上心が大切です。

売れない時代にも怠けたり腐ったりすることなく、自分自身に厳しくあり続けることは、ミュージシャンとして輝くために必要な要素だといえるでしょう。

また、音楽を心底愛しており、「音楽を通じて世の中に何かを伝えたい」と強く思えるかどうかも大切なポイントになってきます。

関連記事ミュージシャンに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介

ミュージシャン志望動機・目指すきっかけ

「音楽で生きていきたい」という強い思いが原動力に

ミュージシャン志望者の多くは、学生時代から音楽を聴いたり演奏したりすることが大好きです。

大好きな音楽に触れ続けるうちに、「音楽の世界で生きていきたい」「自分にしかできない表現を追求したい」といった思いが強くなり、本気でミュージシャンを目指していく人がたくさんいます。

憧れのミュージシャンがいて、その人のようになりたいという思いがきっかけになる人も少なくありません。

ミュージシャンは、ただ好きだからといってプロとして通用するほど甘い仕事ではありませんが、それでも「好き」という気持ちや情熱は、一流ミュージシャンなるために欠かせないものだといえるでしょう。

ミュージシャンの雇用形態・働き方

専業で生きていけるミュージシャンはわずか

ミュージシャンは、一般的な会社員のように、毎月会社から決まった給料をもらって生活するといった仕事ではありません。

事務所に所属してサポートを受けることはできますが、基本的には「自分の身ひとつ」で表現をし、お金を稼いでいくことになります。

音楽業界は非常に競争の厳しい世界であり、誰もが名を知るプロミュージシャンとなり、印税収入などによってお金持ちになれるのは、ミュージシャンとして活動する人のなかでもほんの一握りの人だけです。

音楽活動だけでは食べていけず、どこかで夢をあきらめる人も決して少なくありません。

ミュージシャンは自由な働き方ができる反面、生活の不安定さがどうしてもつきまといます。

こうした事情もあり、会社員をしながら兼業としてミュージシャンの活動をする人もいます。

関連記事ミュージシャンの働き方・雇用形態

ミュージシャンの勤務時間・休日・生活

活動内容やその日の仕事によって、仕事をする時間は変わる

一般的に、ミュージシャンの生活パターンに決まったものはありません。

ミュージシャンは、会社員のように決まった時間帯に出勤・退勤するといった仕事ではないからです。

日々の動きは、個々のミュージシャンがどのような活動をメインで行っているのかによって異なりますし、レコーディングをする日もあれば、ライブ会場で演奏する日もあるなど、毎日異なる動きをすることが多いです。

作曲やレコーディング作業に集中するために、何ヵ月も自宅とスタジオの往復を続けることもあれば、全国ツアーをするために飛行機や車などを使って各地を飛び回る日々が続くこともあります。

ただ、全体としていえるのは、ミュージシャンはどちらかといえば夜型の人が多いです。

不規則な生活をしている人もいますが、健康状態が悪くなれば音楽活動に支障が出るため、セルフマネジメントも大切です。

ミュージシャンの求人・就職状況・需要

人脈が重要になるが、オーディションでチャンスを掴む人も

ミュージシャンになれる可能性は、いつ、誰にでもあるといえます。

音楽業界の不況は続いていますが、音楽そのものに対する需要はいまだ衰えることはなく、毎年さまざまなミュージシャンが新しくデビューを果たしています。

ただし、ミュージシャンの場合、一般的な会社勤めの仕事のように、求人情報や採用情報がどこかに掲載されることは通常ありません。

スタジオミュージシャンのような仕事であっても、基本的には業界内での「ツテ」や「紹介」によって仕事が回ってくることが多く、それが新人ミュージシャンが安定して仕事をするのに苦労する点でもあります。

ミュージシャンとして活躍できるチャンスを広げるには、ライブハウスなどでの個人的な演奏活動のほか、レコード会社などが主催するオーディションを受けてみるのもよいでしょう。

新人発掘オーディションも通年を通して実施されており、各歌手や楽器の演奏者はもちろん、作曲や編曲など、幅広いジャンルでプロのミュージシャンを目指す人が応募できるものがあります。

オーディション情報はインターネットを活用して探すのが、最も効率的でしょう。

関連記事ミュージシャンの募集情報はどこで探せばいい?

スタジオミュージシャンとは

他のミュージシャンのレコーディング活動をサポートする

「スタジオミュージシャン」とは、自分以外のミュージシャンがレコーディングを行う際に、演奏によるサポートを専門とするミュージシャンのことを意味します。

ソロ歌手などが仕事相手になることが多く、基本的には他のミュージシャンのために演奏します。

ただし、スタジオミュージシャンの活動内容は人によって異なり、他者のサポートのほか、自身主体での演奏活動、あるいは作曲や編曲などまで手掛ける人もいます。

スタジオミュージシャンになる人は、先輩ミュージシャンとの子弟関係から独立したり、自分から音楽事務所に売り込みを行ったりして、仕事をすることが多いです。

演奏技術の高さはもちろん、人脈を構築する力も問われることになります。

関連記事スタジオミュージシャンの仕事内容・なり方