【2021年版】社会保険労務士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「社会保険労務士」とは

社会保険に関する専門家として、書類作成や企業の人事、労務、給与計算等に携わる。

社会保険労務士とは、社会保険関係や企業の人事、労務に関する法的な知識をもつ専門家です。

企業の人事部に勤務するか、独立開業して企業の顧問として働く人が多いです。

社会保険労務士が扱う主要な法律の種類は「労働基準法」「雇用保険法」「健康保険法」「労働契約法」「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」などがあります。

社会保険労務士は、これらに関する専門的知識を生かして、企業の人事や労務関連のサポートおよびコンサルティングや、個人からの年金や労働に関する相談に対応します。

社会保険労務士になるためには、社会保険労務士の国家試験に合格したうえで、所定の講習修了もしくは一定の実務経験を積む必要があります。

雇用や年金、保険といった重要課題の専門家である社会保険労務士に期待される役割は大きいですが、昨今では資格取得者が増えていることもあり、より高いレベルで専門性を磨く努力をし、コンサルティング能力を備えた人材が生き残っていけるでしょう。

「社会保険労務士」の仕事紹介

社会保険労務士の仕事内容

社会保険や労働に関する法律の専門家

社会保険労務士とは、「社会保険」や「労働」に関する法律の専門知識をもつ人のことです。

また国家資格の名称でもあり、有資格者だけが社会保険労務士としての業務をおこなうことができます。

社会保険労務士が専門とするおもな法律には「労働基準法」「労災保険法」「雇用保険法」「健康保険法」「労働契約法」「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」などがあります。

世の企業は、こうした法律を正しく取り扱いながら事業を営む必要がありますが、内容が専門的なうえ、頻繁に法改正が行われていることもあって手続きは非常に煩雑です。

そこで、社会保険労務士は自らの専門的知識を生かし、企業が法律にのっとって雇用を適切に管理できるようサポートしていきます。

企業の総務部や人事部で働く人もいる

社会保険労務士事務所で働く社会保険労務士は、お客さまとなる企業に対して、人事労務関連のコンサルティングやアドバイス、また手続きの代行業務などを担当します。

法人相手の業務が多いですが、人によっては個人の年金に関する相談対応もおこなっています。

事務所に勤務する以外では、一般企業に就職して総務部や人事部で活躍する社会保険労務士もいます。

この場合は、社会保険労務士の資格を生かして自社の人事労務関連業務を手掛けていくことになります。

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社会保険労務士になるには

難関の国家試験突破を最初の目標に

社会保険労務士になるには、社会保険労務士の国家試験に合格する必要があります。

この試験は「学歴」「実務経験」「その他の国家試験合格」のいずれかの要件を満たした人だけが受験できます。

学歴に関していえば、基本的には「大学・短期大学・高等専門学校」のいずれかを卒業することが条件となります。

学部・学科の制限はありませんが、法学に関して学んでおくと国家試験対策としても役立ちます。

試験の合格率は、2017年以降は6%台の低い水準で、難関資格のひとつとして位置づけられています。

国家試験合格後のキャリアパス

社会保険労務士国家試験に合格しても、すぐに社会保険労務士として働けるわけではありません。

2年以上の実務経験を積むか、指定の講習を修了し「全国社会保険労務士連合会」の社会保険労務士名簿に登録することで、ようやく実務をスタートできます。

資格取得後は「社会保険労務士事務所」への就職を希望する人が多いですが、求人があまり多くないため、資格を生かして一般企業の総務部や人事部、コンサルティング会社で働く人もいます。

事務所や企業で経験を積み、独立開業する人も少なくありません。

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社会保険労務士の学校・学費

大学などとは別で資格対策スクールに通う人も

社会保険労務士を目指すには、社会保険労務士の国家資格を取得することが最初のステップとなります。

国家資格を得る方法はいくつかありますが、最もスタンダードといえるのは国家試験を受験して、合格を目指す方法です。

社会保険労務士の国家試験は「大学・短大・高専卒以上」の学歴があれば受験可能で、在学中であっても学校によっては取得単位数次第で受験資格が得られます。

さらに、専修学校卒の人では2年以上在学し通算授業時間が1700時間以上あること、専門学校卒の人では「専門士」「高度専門士」の称号が付与されていることによって、受験可能です。

学部・学科などは問われませんが、法律の勉強をしておくと国家試験の試験内容とも関連性が高く、やや有利になるでしょう。

ただし、社会保険労務士試験は難易度が高いため、大学などとは別で、資格取得のための民間スクールに通っている人が多いです。

スクールによっては通信講座も用意されており、自分に合うスタイルで勉強することが可能です。

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社会保険労務士の資格・試験の難易度

難関といわれる国家試験の一種

社会保険労務士は、社会保険労務士国家試験に合格すると取得できる国家資格です。

「業務独占資格」といわれる種類の資格であり、社会保険労務士の資格取得者にしかできない業務範囲が定められています。

社会保険労務士試験の合格率は年度によって多少のばらつきがありますが、近年は6%台で推移しています。

受験資格を得た人しか受験できない試験であることを考えても、難関国家試験の部類に入るといえます。

試験合格のために必要な勉強時間は?

社会保険労務士を独学で勉強する場合、合格するために必要な勉強時間は「1000時間程度」といわれています。

ただし、この資格試験はすでに社会人となった人が企業で働きながら勉強することも多いです。

資格対策スクールに通って効率的に試験対策を行っている人もいますが、一度目の受験では合格ができず、数年かけて何度も挑戦している人もいます。

難しい資格ではありますが、社会保険労務士は近年人気が高まっており、資格取得者が増えています。

地域によっては就職先がほとんど見つからないというケースもあるため、資格取得後のキャリアプランまでよくイメージしてから挑戦することをおすすめします。

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社会保険労務士の給料・年収

勤務先や働き方によってばらつきがある

社会保険労務士の給料・収入は、勤務先となる企業や事務所によって、また独立している人であれば個々で大きく異なってきます。

厚生労働省の調査結果(令和元年度賃金構造基本統計調査)では、社会保険労務士の平均年収は44.7歳で486万円となっています。

ただし、社会保険労務士の活躍の場は社会保険労務士事務所のほか、法律事務所、一般企業の総務部や人事部、コンサルティング会社など多岐にわたります。

勤務先や経験、求められるスキルによって収入には差が出てくるでしょう。

独立・開業後の収入はその人の活躍しだい

待遇面に関していえば、大手企業の総務部や人事部で働く場合は非常に充実している可能性が高いでしょう。

ただし、社会保険労務士事務所や法律事務所は、従業員が数人〜数十人程度と、やや小規模の事務所が多く、福利厚生は大手企業ほど整っていないケースもあります。

社会保険労務士は独立・開業を目指す人も多いですが、その場合の収入は、個人の実績・能力などによって大きく左右されます。

たておばコンサルティング業界に進出してよい顧客を獲得したり、テレビ出演や書籍の出版などで名が売れてきたりすることで、年収1000万円以上を得ている人もいます。

一方、思うように顧客が獲得できないと、企業勤めの社会保険労務士よりも大きく収入が下がる可能性もあります。

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社会保険労務士の現状と将来性・今後の見通し

需要はあるが、資格取得者が増えて競争は激化

現代の日本では、労働者の雇用問題のほか、年金・保険に関するさまざまな話題がニュースで取り上げられることが増え、それらの専門家である社会保険労務士という職業に興味をもつ人が増えています。

保険制度や年金制度に関するスペシャリストとして、とくにコンサルティング関連の需要が高まっているようです。

社会保険労務士の国家資格を得て手に職をつけ、将来的には独立して自分の事務所を構えたいという思いで、この職を志望する人も少なくありません。

しかし、人気資格ゆえに資格保有者数が毎年1000人前後のペースで増加しており、今後はさらなる競争の激化が予想されます。

すでに地域によっては社会保険労務士が飽和状態ともいわれるため、「資格取得=生涯安泰」ではないことはよく理解しておくべきでしょう。

社会保険労務士として活躍するために

社会保険労務士として成功するためには、スキルを磨き、専門分野を勉強し続けなくてはなりません。

また、IT技術がどんどん発展していくなかで、今後は書類作成や手続き代行といった「AIが代替可能な業務」ではなく、労務や保険に関する複雑なケースへの対応が社会保険労務士には期待されています。

「労務・保険分野の専門家」であることはもちろん、高度なコンサルティング能力を身につけ、顧客の多様なニーズにきめ細やかに対応していくスキルがより強く求められるでしょう。

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社会保険労務士の就職先・活躍の場

専門の事務所に勤めるか、企業内で資格を生かすか

社会保険労務士の代表的な就職先としては、まず全国の社会保険労務士事務所や法律事務所が挙げられます。

こうした専門事務所では、顧客となる法人および個人からの労務や保険関連の相談にのったり、アドバイスをおこなったりすることが中心業務となります。

コンサルティング会社に勤務し、同様の仕事をしている人もいます。

次に挙げられるのが、企業の総務部や人事部で、この場合は各社の「従業員(社員)」の立場になり、社会保険労務士の資格や知識を生かして自社のための仕事をします。

具体的には、従業員の給料や健康保険料の計算、福利厚生のしくみづくりなどに携わることが多いです。

すべての企業内に社会保険労務士の資格保有者がいるとは限りませんが、資格をもっていると優先的に採用されることもあります。

独立・開業する人も多数

上記のように、どこかの事務所や企業に雇用される人のほか、独立して自分の事務所を開業する人も少なくありません。

この場合、自らは社会保険労務士でありながら経営者の立場にもなるため、自分の考えや意向を重視した事業展開が可能です。

ただし、労務や年金関連の法律は非常に複雑であるため、実務経験がないまま独立するのは難しいといわれています。

そのため現実的には、企業などで社会保険労務士として働いたのちに独立、という流れをたどる人が多いです。

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社会保険労務士の1日

事務所に勤務する場合には顧客との面談などでの外出も多め

社会保険労務士の働き方は、社会保険労務士事務所やコンサルティング会社に勤務する場合と、企業の総務部などに勤務する場合とで変わってきます。

前者であれば、顧客となる法人・個人の顧客との面談やコンサルティング業務、デスクワークなどが中心です。

一方、後者であれば、部門内で分業しながら自社のための仕事を進めていきます。

ここでは、社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士のある1日を紹介します。

8:30 出社
9:00 各種書類の作成・提出
12:00 休憩
13:30 顧問先を訪問
16:00 デスクワーク(書類作成など)
18:00 退社

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社会保険労務士のやりがい、楽しさ

専門知識を生かし、あらゆる労働者や企業の手助けができる

社会保険労務士が取り扱う保険や年金、労務といった分野は、業界や業種、そして法人や個人を問わず、働く人すべてに関係する内容です。

つまり、社会保険労務士は自身の仕事を通して、あらゆる労働者の手助けができるということになります。

日本にはさまざまな種類の社会保険や年金があり、労働者にとって非常に大切な制度であるにもかかわらず、その内容はよくわからないまま加入している人も少なくありません。

また、企業に対しては法律に基づいた人事労務のアドバイスやコンサルティングをおこなうことで、企業の健全な事業経営や発展を支えていくこともできます。

社会保険労務士としての専門性を存分に発揮し、人々が安心して働ける世の中をつくることにやりがいを見出している人が多いです。

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社会保険労務士のつらいこと、大変なこと

法改正が多く、常に勉強し続けなくてはならない

社会保険労務士の業務内容に関わる法律の種類は多数ありますが、それらは複雑な内容も多いうえに、社会の変化などによって頻繁に法改正がおこなわれています。

とくに日本では経済情勢や少子高齢化などの影響により、労務関連の法改正が多く、めまぐるしく変わる法律にしっかりと追いついていかなければいけない大変さがあります。

保険や労務関連の内容に関しては、社会保険労務士が「知らない、よくわからない」では済まされないため、誰よりも早く情報を入手して正しい内容を理解しなくてはなりません。

また、ちょっとの間違いでも大きなトラブルにつながりかねない問題を取り扱うため、常に緊張感があります。

社会保険労務士になってからも、毎日自主的に勉強を続けられる人でなければ、この仕事は務まらないでしょう。

関連記事社会保険労務士のつらいこと・大変なこと・苦労

社会保険労務士に向いている人・適性

事務作業を丁寧にこつこつと続けられる人

社会保険労務士の業務では、労務や社会保険に関連する書類作成や内容確認、また月々の健康保険料や年金支給額の計算など、デスクワークも多々あります。

それらの業務は複雑なうえに正確性が要求されるもので、高い事務処理能力や集中力が必要になります。

法律はもちろんですが数字を扱うことも多いため、細かな作業を苦にせず、地味な作業でも飽きずに取り組めるタイプの人に向いているといえます。

企業の経営に興味がある人

社会保険労務士の仕事は、企業経営とも密接に結びついています。

ときには、その企業の就業規則の作成や賃金制度の設計、福利厚生のしくみの考案にも力を貸すことがあり「企業とは何か」を理解していないと、なかなか仕事が進みません。

経営者の立場でなくても、企業経営そのものに少なからず興味がある人のほうが、仕事に対して前向きに取り組みやすいでしょう。

また、労務関連や年金・保険関連の社会問題に関心をもてることも大事です。

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社会保険労務士志望動機・目指すきっかけ

働き方や労働問題への関心、企業の人事・労務を支えたい思い

社会保険労務士を目指すきっかけとしてよく聞かれるのは、「働き方」や「労働問題」への興味関心です。

「サービス残業」「派遣切り」「ブラック企業」といった労働問題に関するキーワードは、いまや多くの人が一般的にイメージできる言葉として根付いています。

このような「働き方」に関するさまざまな問題に自分なりの意見や考えをもち、そうした分野の専門知識を習得して活躍したいという思いから、社会保険労務士を目指す人が増えているようです。

また、労働者が安心して働ける環境づくりに貢献できること、企業の正しい人事・労務のサポートができることに魅力を感じて、社会保険労務士を目指していく人もいます。

社会保険労務士の雇用形態・働き方

事務所や企業で勤務したのち、独立を目指す人も

社会保険労務士の国家資格を取得した人は、まず社会保険労務士事務所や企業に就職して働くケースが多いです。

その専門性の高さから正社員として雇用されるのが一般的ですが、パートや派遣などの求人も見られます。

いずれの雇用形態であっても、社会保険労務士の業務を手掛けるのであれば国家資格が求められるため、比較的よい待遇で働ける可能性が高いです。

こうした場で実務経験を積んだのちは、そのまま各所でキャリアアップしていく人がいる一方、独立して自分で社会保険労務士事務所の開業を目指す人もいます。

しかし、多くの社会保険労務士事務所があるなかで、そこに割り込んで新規に契約を勝ち取ることは簡単ではありません。

独立して成功するためには、専門知識を有しているだけでなく、高いマーケティングスキルやコンサルティングスキル、顧客の心を掴む営業力などを兼ね備えておく必要があります

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社会保険労務士の勤務時間・休日・生活

1年の間に忙しい時期が何度かある

社会保険労務士事務所に勤務する社会保険労務士の場合、企業や個人のお客さまが抱える労務や保険、年金関連の相談に対応することがメイン業務です。

したがってお客さまの都合に合わせて働きますが、基本的には日勤で、夜遅い時間に動くことはあまり多くありません。

一方、企業の人事部や総務部で働く場合は、各社が定める就業規則に沿って働きます。

なお、社会保険労務士の仕事では、関わる業務の特性上、集中して忙しくなる時期が1年間に何度かあります。

繁忙期として筆頭に挙げられるのが、労働保険の年度更新手続きと社会保険の算定基礎届提出が重なる6月~7月で、この期間は膨大な事務作業量に追われます。

また、新入社員の入社が多い4月、年末調整の時期である12月も、場合によっては多忙な日々を送ることになるでしょう。

それ以外の通常期には、トラブルがなければ定時で上がれることもあります。

関連記事社会保険労務士の勤務時間・休日

社会保険労務士の求人・就職状況・需要

事務所の求人数は限られているため、一般企業からキャリアをスタートする道も

社会保険労務士事務所の大半は規模が小さめで、資格保有者が2~3名程度、なかには代表の1名だけで運営しているところもあります。

こうした事務所では、求人は欠員が出た際の補充などに限定されるため、なかなかよいタイミングで就職できない場合があります。

このため、社会保険労務士の最初のキャリアとしては、一般企業の総務部や人事部まで視野を広げて考えていく人が多いです。

企業の総務部や人事部では「従業員の健康保険の手続き」や「福利厚生のしくみ作り」など、労務や人事に関する深い専門知識が求められる業務がたくさんあります。

こうした業務を経験していると、将来的に専門の社会保険労務士事務所への転職を希望する際にも、キャリアが評価されて優遇される可能性も高いです。

その他の就職先としては、企業経営のサポートに特化した業務を行うコンサルティング会社なども挙げられます。

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社会保険労務士の転職状況・未経験採用

転職者にとっても挑戦しやすいが、採用数は決して多くない

長引く不景気の影響もあり、手に職をつけることができて、景気に左右されづらい社会保険労務士の資格の人気は高まっています。

また、社会保険労務士が取り扱う「労務」や「年金・保険」といったテーマは、すでに働いている人にとって身近なものであり、いったん社会に出てからこの仕事に興味をもつ人も多いようです。

社会保険労務士の国家試験合格者の年齢構成をみると、30歳代と40歳代が最も多くなっており、50代以上で合格している人も決して少なくありません。

転職者が挑戦しやすい資格(職業)といえますが、資格保有者数に対して十分な求人数があるとは言い難く、いざ働ける場を探すのは難しい場合があります。

資格を得ただけではなかなか採用されづらくなっているため、過去の職務経験やスキルを社会保険労務士としての仕事でどう生かすか、といった点も含めて転職活動をしていくほうがよいでしょう。

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