水道局職員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「水道局職員」とは

安心安全な水を届けるための仕事

水道局の仕事は、安心安全な水を地域に提供することです。

私たちは誰もが皆蛇口をひねれば水を利用することができますが、これは各自治体にある水道局の職員が仕事をしているからです。

東京都の場合は、約1,350万人に水を提供するために約2万7,000キロメートルの水道管路や日量686万㎥の施設能力を有する浄水場を保有しています。

自治体や市町村によって規模は異なりますが、これらを管理・運営することが主な仕事で、お客様から料金収入を得る独立採算性をとっているところが他の企業と大きく異なる点です。

水道局の仕事は、事務系の仕事、技術系の仕事、料金系の仕事にわかれます。

事務系は、一般的な企業と同様に経理や経営、総務などの仕事を担います。

技術系は、いわゆる現場に出て働く仕事で、水道管の管理や工事に関わること、浄水場や配水場、電気設備などの管理や保守などを行います。

料金関係の仕事は、支払ってもらった水道料金の管理や、水道料金の支払いが滞っている人に対し、督促をしたり使用中止作業を行ったりします。

なお、水道局という名称は市区町村によって異なり、「水道課」「上下水道局」「水道企業団」などと呼ばれることもあります。

「水道局職員」の仕事紹介

水道局職員の仕事内容

水道に関わるあらゆる仕事を行う

水道局の仕事というと、水道や水道管に関わるものをイメージする人も多いですが、それだけでなく実に多種多様な仕事を行っています。

まずは、安定して水を供給するための、水道管の保守や取り換え工事、浄水場の保守などです。

水道は一定期間に一斉に整備されたところが多く、定期的に水道管を更新したり、浄水場の設備を見直したりしなくてはなりません。

こうした計画をたてたり、実際の工事を行ったりするもの水道局の仕事です。

とくに近年は災害対策を強化するところが多く、施設の耐震化だけでなく、災害発生時のためのマニュアルを配備し、いついかなるときでも安定した供給を止めない様さまざまな工夫をしています。

また、高品質で安全な水を提供するために、水質の調査研究を行うことも欠かせない仕事です。

より安く、より安全な水を提供できるよう、最新の知見や調査結果を踏まえながら専門に研究する仕事もあります。

そのほか、電気関係の仕事に就く人もいます。

水道局は自治体の仕事の中でもとくに電力を使う部署です。

太陽光発電や水力発電といった再生可能エネルギーを導入してエネルギーの効率化をはかったり、より省エネで環境に配慮したりしようと取り組んでいるところも多いです。

日本はとくに高品質で安定した水を供給できている国であるため、東京都などではその技術力やノウハウを活用し、海外の水道事業体に貢献するという仕事も行っています。

水道局職員になるには

地方公務員試験を受けて水道局に配属される

水道局の職員になるには、基本的に地方公務員試験を受け、水道局に配属される必要があります。

水道局の運営は主に市町村で行われているため、まずは市町村の職員となるのが一般的です。

ただし、神奈川県や千葉県など水道局を都道府県で運営している都市もあります。

この場合市町村職員と県職員とは採用区分が違い、組織も違うため異動はなく水道局に配属されることはありません。

公務員試験を受ける際には、水道局がどこで運営されているか注意が必要です。

水道局の職員は主に一般行政職として採用されますが、必ずしも水道局に配属になるとは限りません。

ただし機械職や電気職などの区分で採用された場合、水道局はこうした機械や電気を使うことが多いことから、配属される可能性はより高くなるでしょう。

まれに「水道職員」「専門職」などとして個別に採用される場合もあるため、これも確認しておくことが大切です。

その他の道としては、水道を運営する組織として独自採用を行っている水道企業団や事務組合に就職する方法があります。

水道企業団は「特別地方公共団体」で、複数の市町村が共同で水道の運営に関わっています。

こうした場所に就職すれば水道の仕事から異動することはほぼありませんが、地方公務員のように毎年定期採用があるとは限らず、採用人数も限られています。

企業団は自治体によって有無が異なるため、近隣に企業団がないか、採用はどのように行っているかを調べてみるとよいでしょう。

水道局職員の学校・学費

特別な学歴が求められることは少ない

地方公務員試験では、上級試験では大卒程度、中級試験は短大卒程度、初級試験は高卒程度の知識が必要です。

これらはあくまで難易度の目安にすぎず、学歴要件ではないため、学歴や出身校にとらわれず受験することができます。

ただし、一般行政職以外の専門職(機械職・電気職など)を受験する際には、学校での学びが必要であることもあるため、募集情報はしっかりと確認しておくことが必要です。

水道局の職員になるために特別な学びをしておく必要はありませんが、大学で水に関する研究をしていたり、都市環境やインフラなどについて学んでいたりした場合は、十分なアピール材料となるでしょう。

水道局職員の資格・試験の難易度

普通自動車免許を取得しておくとよい

水道に関する資格には、浄水に関するもの、管路に関するもの、水質調査に関するものなどさまざまあります。

仕事をする上では給水装置工事主任技術者、施工管理技士、環境計量士といった公的資格が求められることもありますが、採用試験を受ける段階でこうした資格はなくても問題ありません。

参考:給水装置工事主任技術者試験 公益財団法人給水工事技術振興財団

参考:建設管理センター

参考:環境計量士試験情報 一般社団法人日本環境測定分析協会

水道局に配属され、業務をする上で必要な資格や業務と関連のある資格に対しては、試験料の負担や研修・講座の参加費用などを支援してくれる場合が多いです。

ただし、採用の段階で普通自動車運転免許が求められることは多いです。

これは、水道局や浄水場などは役場とは離れた場所に配置されることが多く、現場に出て状況を確認したり調査を行ったりと外出する機会が多いためです。

水道局職員の給料・年収

地方公務員と同程度の給与

水道局職員の給与は、ほぼ地方公務員の給与と同様で、各自治体が定める給料表に則って支払われています。

市町村や都道府県の財政状況や規模にもよるところが大きいため給与に差はあり、一般的なサラリーマンと同程度からかなり高めのところまでさまざまです。

とくに都心部や政令指定都市では高めとなる傾向があり、大学卒、大学院卒などより学歴が高くなるにつれてそれだけ初任給も高くなります。

水道企業団などの場合も同様で、地方公務員とさほど変わりない給与形態をとっているところが多いです。

大阪広域水道企業団を例にみると、2020年度の初任給は、以下のようになっています。

大学卒程度(事務・技術)/210,000円程度(地域手当を含む。)
高校卒程度(事務・技術)/173,000円程度(地域手当を含む。)

なお、福利厚生も基本的には地方公務員と同様のものを受けられるため、各種休暇や手当に関しても充実しており、安定した環境のもとで働けるといえます、

地方公務員は年功序列で毎年昇級があるため、勤続していれば給与は徐々にアップしていきます。

また、昇級試験を受けるなどして役職がついたり、夜間対応をしたりすればより給与は上がります。

ただし、配属は適性や希望によって行われるため、必ずしも水道局で長く働けるとは限らないので注意が必要です。

水道局職員の現状と将来性・今後の見通し

水道事業にはさまざまな課題が

日本の給水人口は2010年をピークとして減少傾向にあり、一人当たりの水の使用量も減ってきています。

だからといって水道の設備を簡素化したり縮小したりすることはできないため、水道事業の収益も減少し続けており、収益を増やす工夫が必要です。

また、1970年代全国で一斉に配備された水道インフラが老朽化しつつあり、水道設備の更新に多額の費用が必要であるなど、国や自治体全体に関わる問題も抱えています。

一方で水道局の技術職員は高齢の人も多く、とくに小規模な自治体などでは技術継承が問題となっています。

これからの水道局職員にはさまざまな課題が突き付けられており、こうした問題に積極的に取り組み改善をしていくバイタリティのある人が求められていくでしょう。

水道局職員の就職先・活躍の場

市町村や都道府県、企業団など

水道局の職員は、地方公務員です。

基本的に水道の運営は、市町村や都道府県が行っています。

複数の市町村の水道事業を行ったり、市町村などに浄水を売ったりする企業団もありますが、いずれも職員は地方公務員です。

水道局の職員になる場合、自治体が実施する公務員試験を受けて合格し、水道局へ配属になるのが主なルートです。

採用方法や年齢制限などは各自治体で異なるため、公務員試験に関しては各自治体の採用情報を調べてみましょう。

なお大都市の水道局や企業団などでは定年まで水道局に勤めることができる場合もありますが、基本的には人事異動により配属となる場合が多く、必ずしも希望が通るとは限りません。

水道局職員の1日

業務内容によってスケジュールには違いがある

水道局職員の1日は、担当する仕事や勤務場所によっても大きく違いがあります。

一日中外で作業をする人もいれば、デスクワークばかりの人もいるなど、時間の使い方もさまざまです。

ここでは水道局の窓口で働く職員の1日を例にご紹介します。

8:30 始業 
きょうは給水検査があるため、その準備を他の職員とともに行います。
9:00 窓口開始
水道を新たに引くための申請に来た人のための対応をします。
給水申請書や掘削申請といった必要な書類や請求書の作成の仕方を教えます。
10:00 デスクワーク
市役所のように窓口が混みあうことはほとんどないため、合間に申請書のチェックや手続きなどを行います。
12:00 昼食・休憩
13:00 外出・給水検査
既に申請が通っている人に対し、給水の検査を行い、水道管や排水管の状態をチェックします。
16:00 デスクワーク
検査後は報告書を作成します。
17:15 終業

水道局職員のやりがい、楽しさ

人々の生活を陰から支える仕事

水道局職員のやりがいは、毎日安心安全な水を供給し人々の生活を支えていることです。

水道は毎日の暮らしに欠かすことのできないインフラ事業であり、水道局職員は自分の仕事が直接人の生活を支えていると実感できます。

もちろん災害時の対応や将来に向けての課題もありますが、水道という暮らしの重要な部分に携わっている誇りをもって働ける仕事でしょう。

また、インフラとして市町村や都道府県をあげての大きなプロジェクトに関わったり、市民対応をしたりとさまざまな業務内容があることも水道局の魅力のひとつです。

水道は現代社会においてはライフラインと認識され、普段あまり意識されたり評価されたりすることはありませんが、縁の下の力持ちとして大きな役割を果たしているのです。

水道局職員のつらいこと、大変なこと

急なトラブル対応

水道は生活に不可欠なものであるため、一度トラブルが起きれば速やかに対処しなくてはなりません。

とくに漏水や事故が起きたときや、災害時などで供給が止まってしまった場合は最悪命に係わる事態になりかねないため、迅速に対処する必要があります。

多くの自治体では夜間や休日などは民間企業に受付を委託するなどしていますが、自治体によっては休日や夜間でも呼び出されるところがあります。

また、水道は一般市民にとっては「あって当たり前のもの」であり、一度トラブルが起きると大きなクレームに発展したり、バッシングを浴びたりすることもあります。

こうした際には人々の暮らしを支えていることをプレッシャーに感じることも多いでしょう。

水道局職員に向いている人・適性

人や地域の役に立ちたい人

水道局職員に向いている人は、「人の役に立ちたい」「地域に貢献したい」という思いがある人です。

地方公務員の仕事はさまざまありますが、なかでも水道は人々の生活に欠かせないライフラインであり、毎日の生活を支えている実感を得られる仕事です。

世の中や人の役に立ちたいという気持ちが強い人、地域のために自分の力を生かしたい人には、向いているでしょう。

また、水道局の仕事は普段人の目に触れることはあまりなく、評価をされることも少ないです。

そのため、裏方やサポート役、縁の下の力持ちとして生活を支えていくことにやりがいを感じられるタイプの人にはおすすめです。

水道局職員志望動機・目指すきっかけ

インフラやライフラインを整備したい

水道局の志望動機で多いものは、インフラやライフラインに関わる仕事がしたかったというものです。

また、水道に関するトラブルや災害などにあい、水道の重要性を実感し、それにかかわる仕事がしたくなったと志望する人もいます。

ただし、公務員試験を受ける際には水道局に関することだけでなく、どうして地方公務員を目指すのか、といった本質的なことを聞かれることもあります。

地方公務員試験は学生から人気も高く、倍率も高めとなっているので、水道局の仕事に固執することなく、地方公務員としてどのように働きたいか、地域に貢献したいかということを考えておきましょう。

水道局職員の雇用形態・働き方

非常勤職員という働き方も

水道局の職員には、正規職員のほか、非正規雇用の臨時職員や非常勤職員もいます。

地方公務員試験を受けて水道局の正規職員を目指す場合、一般的に、上級・中級・初級の3区分にわかれます。

どの試験を受けて地方公務員になるかによって、就職後に就く役職や、昇進するスピードが異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

非正規雇用の場合は、会計年度職員といって1年ごとの契約となる場合が多く、正規職員に比べると短時間の勤務や曜日限定の勤務となることもあります。

非常勤職員の場合は各部局で採用が行われることがほとんどであるため、確実に水道局で働きたいという人にはよいかもしれません。

水道局職員の勤務時間・休日・生活

休日や夜間対応があることも

水道局職員の勤務時間は、地方公務員の勤務時間と原則同等です。

多くの自治体では1日7時間45分、週38時間45分勤務を設定していますが、業務の性質上、残業や休日出勤が発生する場合もあります。

急な漏水や事故、災害が起きて水の安定的な供給ができなくなった場合は、職員が総出で対応に当たります。

近年では夜間や休日の対応は民間に委託するなど、働き方改革をしているところもありますが、それでも担当部署によっては休日や夜間に呼び出しがかかることも珍しくありません。

また、地方公務員として働く上ではどうしても3月から4月の年度替わりの時期は忙しくなることが多いです。

水道局職員の求人・就職状況・需要

全体の求人数は減少傾向

水道局職員の採用は定期的に行われていますが、地方公務員の採用試験に合格した人の中から数名が配属されるケースが多く、人数はさほど多くありません。

特に一般行政職から水道局に配属される可能性はかなり低く、業務の性質上機械や電気、土木や化学といった専門職採用の人が配属される可能性が高いです。

水道企業団の採用も同様で、一般企業のような大規模な採用は行われておらず、若干名の募集としているところが大半です。

水道に従事する職員の数は年々減少傾向にあり、昭和55年には7万6000人あまりいた職員は、平成28年の調査で4万5000人ほどまで減っています。

今後も求人数が大幅に増加することは見込めないでしょう。

水道局職員の転職状況・未経験採用

公務員試験の社会人枠を受ける

地方公務員試験を受けて水道局に配属されることを目指す場合、年齢制限や学歴要件を満たしていれば、転職することも可能です。

市区町村や都道府県によって中途採用の要件は異なり、30代を一定の基準としているところが多いものの、近年は年齢制限が撤廃されているところも増えてきています。

水道局に配属されることを目指すには、電機や機械などに関わる資格を持ち、水道事業でも社会人経験を生かすことができるなどとアピールする必要があります。

水道企業団の場合は、事務系・技術系など各部門で採用を行っていることが多いですが、基本的には新卒採用が中心で、欠員が発生したときのみなど不定期での募集となることが多いです。