「裁判官」とは

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裁判所において刑事・民事訴訟のあらゆる証拠を調べたうえで、法に照らして判決を下す。

裁判官は、全国各地の裁判所において、刑事訴訟や民事訴訟などの判決を下す仕事です。

裁判官は事前に提出された資料を読み込んでから裁判に臨みます。

裁判においては当事者や弁護士、検察官、証人などの話を聞き、証拠が妥当なものかを調べ、法に照らして判断を下します。

裁判官になるためには、司法試験に合格することが必要です。

合格後、司法修習の間に、裁判官の採用面接が行われます。

成績、人格などが判断され、裁判官になれるかどうかが決まります。

日本における裁判官の数は、先進国の中でかなり少ないと言われており、一人あたりの裁判官に対する仕事量は膨大なものとなっています。

一方で、裁判官の給与は、公務員の中では最も高い水準となっています。

「裁判官」の仕事紹介

裁判官の仕事内容

裁判における判決を言い渡す

裁判官は、裁判所で開かれる裁判を取り仕切り、判決を下す職業です。

裁判にあたっては、事前に提出された資料を読み込み、当事者や弁護士、検察官、証人などから話を聞き、証拠が妥当なものかを調べ上げ、法に照らし合わせて判断を下します。

裁判には大きくわけて「民事裁判」と「刑事裁判」の2種類があり、どちらを担当するかによって仕事内容は異なります。

民事裁判の場合は、原告(訴えた側)と被告(訴えられた側)との争いの間に立つ「調停者」としての役割が大きくなり、双方の言い分を考慮して判決を導き出します。

刑事裁判の場合、罪を犯したとして検察官に起訴された者(被告人)が、本当に罪を犯したのかどうか、また有罪の場合はどのような量刑が適切かを判断します。

また、民事・刑事裁判のほか、家庭裁判所における離婚調停などの「家事事件」や、非行少年の処遇を決定する「少年審判」も担当します。

裁判官の就職先・活躍の場

全国の裁判所に勤める

裁判官は、全国各地にある裁判所が勤務場所となります。

裁判所は東京にある最高裁判所をはじめとして、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所などがあります。

地方裁判所は原則47都道府県に1か所ずつあり、また本局以外に複数の支部・出張所を抱える地域もありますので、それらを合計した裁判所の総数は数百にのぼります。

また、自身の知見を深めるため、民間企業で働いたり、法律事務所で弁護士として活動したり、法務省などの省庁へ出向したり、海外のロースクールへ留学したりすることもあります。

裁判官の1日

裁判と並行してデスクワークをこなす

勤務先や担当によって多少異なりますが、裁判官は合議(3人の裁判官で審議する)の法廷と単独の法廷を合わせて週3回ほどの法廷を担当するケースが一般的です。

ここでは、刑事事件担当裁判官のスケジュールをご紹介します。

9:00 出勤
メールをチェックしたり、新しく届いた訴状に目を通します。

10:00 公判
覚せい剤使用事件の被告人に対し、判決を言い渡します。

12:00 休憩

13:00 公判
傷害事件の証人尋問を行います。

15:00 情報収集
判決文を書くため、資料課で過去の判例などを調べます。

18:00 帰宅

20:00 デスクワーク
自宅で判決文を書きます。

裁判官になるには

複数のハードルをクリアしなければならない

裁判官になるには、まず司法試験に合格することが第一歩です。

司法試験合格後は、1年間の司法修習を受けることになりますが、終盤には二次試験と呼ばれる修習成果を試す試験があり、これをパスしなければ修了とはなりません。

司法修習修了後に、裁判官・検察官・弁護士いずれかの道に進むことになりますが、裁判官に任官されるためにはさらに審査に通る必要があります。

審査には、司法試験・修習期間中の成績がとくに優秀であることが求められるほか、教官からの推薦状があると有利とされており、頭脳明晰かつ人格的にも優れていることが条件になるようです。

裁判官の学校・学費

多くは法科大学院に進学する

司法試験の受験資格を得るためには、2つのルートがあります。

1つは四年制大学の卒業後に、法科大学院(ロースクール)に合格し、法学部卒は2年、その他の学部卒は3年の勉強を経て修了する方法、もう1つは「司法試験予備試験」に合格する方法です。

司法試験予備試験は高卒以上の学歴であれば誰でも受験できますが、合格には3000~10000時間もの膨大な勉強量が必要とされており、長い準備期間を要しますので、法科大学院に進学するほうが一般的です。


(参考:https://studying.jp/shihou/about-more/yobishiken-time.html)

裁判官の資格・試験の難易度

何度も狭き門をくぐり抜けなければならない

法科大学院に進学すること自体もかなりの難関ですが、法科大学院で2年間ないし3年間みっちり法律について勉強した人であっても、司法試験の合格率は決して高くはありません。

東京大学や京都大学などの名門法科大学院卒業生であっても50%程度、地方大学院の多くで20%前後となっており、合格率一桁台の大学院も散見されます。

さらに、裁判官となれるのは、司法試験合格者のなかでも上位数%のきわめて優秀な成績を収めた人に限られますので、実質的な採用倍率は非常に高いといえます。


(参考:https://dot.asahi.com/dot/photoarticle/2017091400102.html?page=1)

裁判官の給料・年収

難しい仕事に見合った報酬が得られる

裁判官の給料は、「裁判官の報酬等に関する法律」で定められています。

初任給こそ月額23万円程度ですが、勤続年数とともに給料は上がっていき、30代で50万円前後、順調に昇格すれば40歳前後で年収1000万円の大台に乗るようです。

最高位である最高裁判所長官ともなると、報酬月額は205万円、年収にして2500万円弱に達しますが、これは公務員の中で最も高い給与水準です。

高い給料と安定した待遇が望めますが、大変な激務であることやプレッシャーの大きな仕事であるなど、厳しい面も多々あります。


(参考:https://kyuryobank.com/komuin/judge.html)

裁判官のやりがい、楽しさ

自らの信念に則って判決を下せる

裁判官の独立は憲法によって保障されており、裁判官はどこから干渉されることも、また圧力を受けることもなく、自身の良識に基づいて、法的判断を下すことができます。

これは誰からの指図も受けないという点で、民間企業などの他の仕事とは明確に異なっており、大きな責任が伴う一方で、非常にやりがいがある仕事といえます。

ただし、似たような事案の先例がないか、量刑や賠償額が相場に照らして不適当でないかといったように、過去の判例と齟齬が生じないようにする配慮は必要です。

裁判官のつらいこと、大変なこと

人の人生を左右する困難な仕事

裁判における判決は、多かれ少なかれ、裁判を受ける当事者の人生を左右する重大なものです。

また、自身の下した判決は、「判例」としてそれ以後の裁判の指標として用いられるため、社会的な責任も非常に大きいといえます。

民事裁判であれば、利害関係の対立する両者の落としどころをどう見出すか、刑事裁判であれば、証拠は本当に信用できるか、情状酌量の余地はないか、そもそも冤罪でないか、迷う局面は多々あります。

どちらの裁判を担当するにせよ、冷静な判断力や精神的強さが求められる非常に難しい仕事です。

裁判官に向いている人・適性

生涯にわたって勉強し続けられる人

裁判官になるためには、高校時代の受験勉強から数えれば、最短でも10年近い勉強時間が必要です。

また裁判官となった後も、民法や刑法などの六法はもちろん、担当事件に関係する種々の法律や関連知識、過去の判例、あるいは社会情勢など、非常に多くの事柄を勉強し続けなくてはなりません。

高等裁判所や地方裁判所などの裁判官は65歳、最高裁判所などでは70歳で定年となりますが、裁判官を辞するまでの長い期間、ほとんど生涯にわたって学び続けられる人が、裁判官に向いているでしょう。

裁判官志望動機・目指すきっかけ

社会正義のために働きたい人が多い

裁判官は、法曹のなかでもとくに品行方正かつ公平であることが求められるため、高い正義感と倫理観があり、社会正義を守りたいと考える高潔な人が目指す傾向にあるようです。

司法修習後に行われる審査の場においても、人格的に優れていることが任官のための条件とされています。

裁判官になるには、裁判官になりたいという意思に加え、主義主張や立場の異なる人を平等に裁く客観性、弱者に対する優しさ、社会に貢献したいという公共性など、メンタリティが重要になるでしょう。

裁判官の雇用形態・働き方

裁判官を辞めさせる制度も存在はしている

裁判官には、最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、判事、判事補、簡易裁判所判事などの各職位がありますが、これらをまとめて裁判官と呼んでいます。

このうちの最高裁判所長官、最高裁判所判事については、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民審査を受け、最高裁の裁判官としてふさわしいかどうか、国民に問われることになります。

罷免すべきという得票数が過半数に達すると失職することになりますが、最高裁裁判官の知名度は高いとはいえず、業務内容まで把握している国民は非常に限られるため、制度の形骸化が問題視されています。

裁判官の勤務時間・休日・生活

決まった勤務時間はないが、多くの裁判官は多忙

裁判官には他の公務員や民間の会社員のように、所定の勤務時間が定められているわけではありません。

極端にいえば、自身の担当する裁判が開廷している間だけ法廷にいさえすれば、残りの執務時間は自由です。

しかし、裁判官の下す判決は決して間違いの許されない重大なものであるため、事件の把握や判例の調査、判決文の作成など、それぞれの作業に長時間を費やすため、多忙になりがちです。

裁判のない土日であっても、そのようなデスクワークに追われて十分に休息を取れないケースは決して珍しくありません。

裁判官の求人・就職状況・需要

裁判官の人数は不足気味

日本では現在約3000人ほどの裁判官が働いていますが、その数は決して十分とはいえず、他の先進国と比較しても人口あたりの裁判官数は低い水準にあります。

このため、裁判官一人あたりの業務量が多くなっており、とくに案件数に対して裁判官の少ない地方では、それぞれの裁判官にかかる負担が非常に重くなってしまっています。

このような環境を是正するため、国は司法試験制度を改正し、法曹の人数増加に取り組んでいます。

これから裁判官を目指す人にとっては、チャンスが大きくなる可能性があるといえるでしょう。

裁判官の転職状況・未経験採用

裁判官に転職するケースはごく少数

数としては非常に少ないものの、弁護士から裁判官へ転職するルートもあります。

民事調停や家事調停において、裁判官と同じ権限をもった「非常勤裁判官」として、現職の弁護士が法廷での手続きを取り仕切るケースがあり、非常勤裁判官から常勤の裁判官へ任官される人もいます。

また、最高裁判所判事については、法曹資格の有無にかかわらず、法律の素養がある民間の学識経験者などが任官されるケースもありますが、こちらも決して多くはありません。

裁判官の現状と将来性・今後の見通し

仕事に対する熱意がないと続けられない

裁判員裁判が導入されるなど、裁判制度を取り巻く環境は徐々に変わりつつありますが、裁判が人の一生を左右する重大なものである点に変わりはなく、裁判官は精神的に強くないと務まりません。

また、一人で膨大な数の事件を抱えながら、日々法律や判例の勉強・分析を行う必要があり、体力的にもタフであることが求められます。

裁判官は社会秩序を保つためには不可欠の存在であり、また社会貢献度も非常に高い専門職ですが、仕事への強い熱意がなければ続けていくのは難しいでしょう。