「ステノキャプショナー」とは

タイピングの高度なスキルを駆使し、テレビ番組などの字幕打ち込みを行う専門職。
ステノキャプショナーは、テレビ番組などで流れる字幕打ち込みを行う専門職です。
字幕入力専用のキーボードを用い、放送中の番組を視聴しながら、出演者の発言やナレーションをリアルタイムで字幕化するといった作業を迅速かつ正確に行うプロフェッショナルとして活躍します。
特殊なテクニックが求められることから、民間の養成講座やスクールで技術を身につけ、字幕制作会社や速記事務所へ就職する人が多いようです。
給料は月給だと15~20万円前後ですが、パートとして働く人も多く、時給だと1000円前後が相場となっています。
まだ認知度があまり高い職業ではありませんが、今後は医療や福祉などの領域でも「音声の字幕化」が必要とされ、ステノキャプショナーの活躍の場が広がるのではないかと考えられています。
「ステノキャプショナー」の仕事紹介
ステノキャプショナーの仕事内容
ステノキャプショナーという職業は、いわゆる字幕打ち込みの専門職です。
地上デジタル放送には、リモコン操作ひとつで放送中の番組を字幕つきで見ることができるシステムがあります。
これは映画の字幕のように事前に制作しておくものではなく、放送中の番組を視聴しながら出演者の発言やナレーションをリアルタイムで字幕化することで成り立っています。
この作業を迅速にかつ正確に行うプロフェッショナルこそが、ステノキャプショナーなのです。
作業は字幕入力専用のキーボードを使って行っており、タイピングのスキルや音声を正確に聞きとれる耳の良さなどさまざまな能力が必要となります。
聴覚に障がいがある人や耳が遠いお年寄りにとって字幕はテレビの内容を把握するために欠かせないものであり、ステノキャプショナーはこのような人々の生活をサポートする大切な役割を担っています。
ステノキャプショナーになるには
ステノキャプショナーの仕事をする上でとくに必要な資格というのはありません。
しかし、この仕事は音声を聞きながら非常に速いスピードでタイピングするテクニックが求められるので、タイピングや速記の勉強をしてからこの道をめざす人が多いようです。
独学でも不可能ではないのかもしれませんが、実際の仕事においては字幕入力用の特殊なキーボードを使用することになるので、「自宅のパソコンでブラインドタッチの練習をする」というような練習方法は実践的ではありません。
民間の養成講座やスクールではステノキャプショナーが使用している特殊なキーボードを使ったトレーニングをすることもできるので、このような講座に通い修了の際に就職先を紹介してもらうというのが就職への近道となるでしょう。
ステノキャプショナーの給料・年収
ステノキャプショナーの収入は、月給だと15〜20万円前後、時給だと1000円前後になることが多いようです。
ステノキャプショナーは音声を聞きながら高速でタイピングをするという専門性の高い仕事をしている一方で、国家資格や免許を必要とする職業ではないので、特別に待遇が良いというわけではありません。
収入に関しては「一般的な事務職に比べると少し高い」くらいの差だと考えておくほうが無難です。
また、この業界は正規雇用以外の非正規雇用の採用が多いという現状があります。
ボーナスや住宅手当、扶養手当等をもらえないことも珍しくないので、求人情報を見る際には雇用形態や収入についてしっかりチェックしておいたほうがよいでしょう。
ステノキャプショナーに向いている人・適性
大量の文字を高速でタイピングするステノキャプショナーには、言うまでもなく集中力が不可欠です。
生放送中の番組の音声を字幕化するという責任重大な役割を担っているわけですから、「ボーっとして聞き漏らしてしまった」「疲れて打ち間違えてしまった」というミスは許されません。
ひとつのことに長時間集中することができ、正確な作業を積み重ねることができるような真面目な性格の人に向いている職業です。
さらに、ステノキャプショナーには高い国語力があることが大切です。
同音異義語を的確に漢字変換できること、専門用語を正しく表記できることが求められるので、日頃から本や新聞をよく読んでいて豊富な語彙を身につけている人のほうが活躍することができるでしょう。
ステノキャプショナーの勤務時間・休日・生活
ステノキャプショナーは、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい職業のひとつです。
テレビの番組は事前に放送プログラムが決まっているものなので、どの時間帯のどの番組を担当するかを選ぶことでシフトを柔軟に組み替えやすいのです。
たとえば「朝早く出勤して午後には仕事を終えたい」「夜型なので夜勤中心の働き方をしたい」「土日は必ず休みたい」など、個人のさまざまなニーズに合わせて働くことができます。
また、室内での作業がメインとなるため外回りや出張もありませんし、放送時間が延長するということはめったにないので残業も少ない傾向にあります。
仕事と主婦業と両立させたいという人やデスクワーク希望の人にとっては、理想的な職場といえるかもしれません。
ステノキャプショナーの求人・就職状況・需要
ステノキャプショナーの主な就職先は、字幕制作会社や速記事務所となります。
「テレビの字幕を担当するのであれば放送局に就職するのではないか」と思う人もいるかもしれませんが、このような字幕化の作業は放送局から外部の専門企業に委託されるのが一般的なので、放送局に直接採用されるというわけではありません。
字幕制作会社や速記事務所における雇用形態については、どちらかというと正規雇用以外に契約社員やパートなどの非正規雇用も多く、働いている人の割合は女性が多いという傾向があるようです。
ステノキャプショナーは専門性の高い仕事なので、タイピングのトレーニングを徹底的に行い豊富な実務経験を積んでおけば、一度退職しても再就職をしやすいことから、子育てや介護をしている主婦からも人気を集めています。
ステノキャプショナーの現状と将来性・今後の見通し
ステノキャプショナーは、今の世の中ではまだそれほど認知度が高くない職業です。
しかし、このような「音声の字幕化」の仕事は、これからの時代にさらに必要とされるものだと考えられます。
たとえば、この技術がもっと発展することで「市役所での相談コーナー」「病院の診察」「市民講座」などさまざまな場所で音声を字幕化してコミュニケーションをとることが可能になります。
これは障がいのある人やお年寄りはもちろんのこと、速いスピードの日本語の会話が聞き取れない外国人にとっても、非常に役に立つ技術となるのではないでしょうか。
まだまだ新しい仕事なだけに今後は未知数ですから、ステノキャプショナーは可能性のある職業といってもよいでしょう。