「バス運転手」とは

大型第二種自動車運転免許を持ち、路線バスや観光バスを目的地まで安全に運転する。
バス運転手は、地域住民の足となる路線バスなどの「乗合バス」や、観光ツアーや修学旅行などに使われる「貸切バス」に人を乗せて、目的地へと運ぶ仕事です。
バス運転手は大きく分けると、都道府県や市町村が運営する公営バスの運転手と、民間のバス会社に勤める運転手の2種類がいます。
学歴はさほど重視されないものの、バスを運転するには大型第二種自動車運転免許の取得が必須となります。
バス運転手にとって最も重要なのは安全運転をすることですが、加えてお客さまに対する心遣いやマナー、接客態度なども重視されます。
最近では人材不足により、未経験者を積極的に採用するバス会社も増えているといわれます。
しかし、バス会社は全国にたくさんあるため、会社によってだいぶ労働環境は異なるようです。
「バス運転手」の仕事紹介
バス運転手の仕事内容
バスを運転してお客さまを運ぶ仕事
バス運転手は、バスを運転し、お客さまを目的地へ運ぶ仕事です。
多くの乗客の命を預かるため、いつも安全運転を心がけることはもちろん、お客さまに対する気配りやマナーなども大切な仕事です。
また、バス運転手の仕事は、バスを運転することだけではありません。
乗務前後の車両点検など、自分が運転するバスの状態をチェックし、問題がないか管理する車両の知識も求められます。
また、運転中でも、車内で具合の悪くなった方がいたり、トラブルが起きたりした場合は臨機応変に対応しなくてはなりません。
バスを運転するだけでなく、お客さまのことを常に気遣いながら、お客さまの安全を守る立場としての活躍が求められています。
バス運転手になるには
大型第二種自動車運転免許が必要
バス運転手は、一般的な乗用車とはまったく異なる大きさのバスを運転するため、特別な運転技術が必要です。
バスを運転するためには「大型第二種自動車運転免許」です。
この免許を取得するためには、「普通自動車運転免許か大型一種自動車運転免許、もしくは大型特殊自動車免許を取得し、通算3年以上の期間が経っていること」が必須です。
大型二種運転免許は就職後に取得可能な会社も多いですが、就職・転職の条件として普通免許の所持は必須としている場合が多いようです。
普通免許を取得した後、バス会社に就職するのが一般的なルートです。
バス運転手の学校・学費
学歴はそれほど問われない
バス運転手の多くは、バス会社に勤めています。
採用の試験内容はそれぞれ異なりますが、筆記試験や実技試験、身体検査などがほとんどです。
学歴はさほど問われることはなく、高卒以上が条件となっていることが多いようです。
しかし、高卒で入社した場合は、すぐに大型第二種自動車運転免許を取得することができないため、事務や運転手見習いをしながら運転手デビューを待つのが一般的なようです。
公営バスの場合は基本的に地方公務員として働くため、この場合はほかの公務員と同じように公務員試験を受けることになります。
バス運転手の資格・試験の難易度
合格率は10%ほどの狭き門
バスの運転手として働くには、「大型二種自動車運転免許」が必要です。
試験科目は「適性試験(視力、色彩能力、深視力、聴力、運動能力)」「学科試験」「技能試験」の3種類ありますが、総合した合格率はわずか10%ほどという狭き門です。
バス運転手は、乗客の命を預かる仕事なだけに、その合格ラインはかなり厳しいものになっています。
とくに一回目の試験で合格する確率は極めて低く、何度もチャレンジしてやっと合格するという人が多いようです。
バス運転手の給料・年収
給料は高くはない
バス運転手の給料は、平均年収450万円程度といわれています。
年齢や経験によっても異なりますが、20代のうちは年収200万円台後半~300万円台になる人がほとんどのようです。
観光バスの場合は繁忙期と閑散期が発生し、閑散期には給与が下がってしまうということもあるようです。
公営バスの運転手として地方公務員になれば、手当などは安定していますが、近年では民間委託の公営バスが増えているため、高給をのぞむことはできません。
仕事内容がきついわりに給料が安いため、他の職業に転職する人も多いのが現状です。
バス運転手の現状と将来性・今後の見通し
労働環境の改善が見込まれる
バス運転手の人手不足や高齢化が大きな課題となっています。
AIによる自動運転なども開発されつつありますが、実用化にはまだ時間がかかるのが実情です。
そんな中、バス運転手に対するきつい・給料が安いといったイメージを払拭すべく、働きやすい環境を整えたり、待遇を改善したりするバス会社も増えています。
また、バス運転手は男性中心の仕事でしたが、長く働ける仕事であるため女性の採用も徐々にですが増えています。
これからバス運転手を目指す人にとってはチャンスといえるでしょう。
バス運転手の就職先・活躍の場
全国のバス会社や公営バスに就職する
バス運転手の活躍の場は、全国にある民間のバス会社や、都道府県や市町村が運営する公営バスに運転手として入社することです。
バスには、路線バスなどの「乗合バス」と、観光バスなどの「貸切バス」の2種類があります。
乗合バスは地域住民の足として決められたルートを運転し、貸切バスは旅行などさまざまな目的で利用され、ときには長距離を運転することもあります。
同じバスを運転する仕事でもまったく内容が異なるので、バス運転手を目指す場合はどちらで働きたいかを考えておくとよいでしょう。
バス運転手の1日
基本的にはシフト勤務
路線バスの場合、早番、遅番、夜番の3交代制で働くことが一般的で、その日の勤務スケジュールに基づき、1時間半〜2時間程度の運転と小休憩を繰り返します。
観光ツアーなどを担当する貸切バスの運転手になると、旅程によって勤務時間が変わります。
日帰りで仕事をする場合もあれば、遠方へ出かけて泊まりとなることもあります。
<路線バス運転手のある1日(早番)>
4:30 出勤
5:00 車両点検
05:15 始業点呼
6:00 乗務開始
8:30 休憩
12:30 昼食
14:30 運行
18:30 乗務終了
19:00 入庫・終業点呼
バス運転手のやりがい、楽しさ
大きなバスを自分で運転できる
大型バスの運転は、この仕事に就くことを目指して、しっかりと努力をした人だけができるもことです。
バス自体が好きだったり、大きな車を運転することに憧れがあったりする人にとって、バスを自分の手で運転することは、それだけで大きな喜びを感じられるでしょう。
また、バスは基本的には一人で乗務するため、他人と働く煩わしさがあまりありません。
一般的な会社員であれば、人間関係に気を遣うことも多いですが、バス運転手はそうした煩わしさが少ない仕事といえます。
バス運転手のつらいこと、大変なこと
不規則な勤務がきついと感じることも
バスは、土日祝日も、朝も夜も関係なく運行しています。
そのため、バス運転手は勤務や休みが不規則になりがちです。
観光バス運転手の場合は、土日祝日をはじめ、ゴールデンウィークや年末年始など、繁忙期には休むのが難しいこともあります。
早朝勤務や夜勤に加え勤務時間の長さや拘束時間の長さもあり、年齢を重ねるときついと感じることも多いでしょう。
また、乗務中はほとんど気を抜く暇がなく常にダイヤや安全運転を意識して仕事をするため、神経をかなりすり減らす仕事でもあります。
バス運転手に向いている人・適性
「お客さまのため」に働ける人
バス運転手は、お客さまとの関わりも多い仕事です。
路線バスであれば、子どもからお年寄りまでたくさんの人が乗りますし、観光用の貸切バスの場合は、旅行を楽しみにされているお客さまばかりです。
運転手は、挨拶やアナウンスなど、お客さまが快適にバスを利用できるよう心がけなくてはなりません。
「運転が好き」「バスを動かしたい」という気持ちはもちろん大切ですが、それだけでなく「お客さまのために働きたい」という思いを持っている人にこそ向いている仕事だといえます。
バス運転手志望動機・目指すきっかけ
「バスを運転したい」という強い思い
バス運転手の志望動機の多くは、「子どものころからバスが好きで、大きなバスを動かす運転手に憧れていた」というものです。
バスの運転手になるには、「バス運転手になりたい」という熱意は欠かせません。
しかし、それでは仕事を続けていけないのも事実です。
バスの運転技術や知識だけでなく、しっかりと接客サービスができなければ、バスの運転手にはなれません。
お客さまのために「どんなバス運転手になりたいか」をしっかりと話せるようになっておきましょう。
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バス運転手の雇用形態・働き方
多くはバス会社の正社員
バス運転手は、バス会社に就職し、正社員として働いている人がほとんどです。
公営バスの場合は地方公務員として、ほかの公務員と同じような条件で働きます。
そのほかには、企業に「運転手」として専門職で採用されたり、バスの運転手が登録する派遣会社から派遣されたりして仕事をする場合もありますが、これはまれなケースです。
会社によっては、嘱託社員として数年働き、勤務態度などに問題がないと認められた後、正社員に登用されるという場合もあるようです。
バス運転手の勤務時間・休日・生活
会社や乗務するバスによって異なる
バス運転手の勤務時間は、勤めるバス会社や、どのようなバスに乗るかによって大きく異なります。
路線バスであれば始発から最終までのダイヤが細かく決められているため、運転手はそれに合わせてシフト勤務を行います。
多くの会社では3~4交代制で、始発から午前中、日中、午後から終車までといった区分で別れており、その日のスケジュールによって乗務します。
貸切バス運転手の場合は、バス会社によって異なりますが、1日の実働7時間30分~8時間程度のシフト制となっているところが多いようです。
バス運転手の求人・就職状況・需要
安定した需要がある仕事
バスは、人々にとって欠かせない移動手段となっています。
バス運転手の需要は多く、安定して求人がある仕事と言えます。
また、近年は運転手の高齢化による人材不足がバス業界の課題となっています
ベテラン運転手が次々と引退し、若手の育成が急務となっているのです。
バスの運転は特別な技術を要するため、誰もがすぐにできる仕事ではありません。
だからこそ、バス会社では若手を積極的に採用し、自社でしっかりと育てていく傾向が強くなっているようです。
バス運転手の転職状況・未経験採用
未経験の採用も積極的に行われている
まったくの未経験や、大型二種免許を持っていなくても応募が可能なバス会社も少なくありません。
実際、バス業界で働く人の9割近くが転職からの中途採用とも言われ、大勢の未経験者が入社後に大型二種免許を取得し、バス運転手としてデビューしています。
近年では、人手不足のため未経験での転職も積極的に採用する傾向にあり、熱意があれば、未経験からバス運転手になることは十分に可能だといえます。
ただし、未経験で応募可能な場合でも、普通自動車免許は必須とされることが多いため注意が必要です。