照明デザイナーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「照明デザイナー」とは

照明デザイナーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

住宅や店舗の照明、イルミネーションなど、あらゆる場の空間の光を演出する。

照明デザイナーは、照明によって、さまざまな空間の「光」を演出する人のことです。

おもに住宅や店舗の照明、建築物のライトアップ、イルミネーションなどに携わり、その場の雰囲気やコンセプトに応じた適切な照明手法と光源、照明器具を選び、照明設計を企画します。

照明デザイナーとして働くには、芸術系・美術系の大学や専門学校で照明デザインを学んだのち、照明器具メーカーや照明デザイン事務所に就職する流れが一般的です。

ただ、日本における照明デザイナーはまだ発展途上の職業であり、「インテリアデザイナー」や「建築士」などの関連業務と兼務するかたちで、照明デザインの仕事をする人も少なくありません。

テーマパークやランドマーク、街路樹など、街のさまざまな場所で照明による演出が行われています。

現代はLED照明の普及もあり、業界そのものの今後のさらなる発展が期待されます。

「照明デザイナー」の仕事紹介

照明デザイナーの仕事内容

光を使ってあらゆる空間を演出する

照明デザイナーとは、住居や店舗をはじめとする建築物や、広場やテーマパークなどのさまざまな空間を、照明の「光」によって演出する人のことです。

演劇など舞台芸術の世界でも照明専門のスタッフが活躍していますが、一般的な「照明デザイナー」は、おもにインテリアや建築の分野、環境照明と呼ばれる分野で活躍する人のことをいいます。

照明デザイナーがクライアントから依頼を受けると、まずは空間のコンセプトや目的を把握し、照明の効果や演出をプランニングします。

新しい建築物の照明を担当する場合には、設計段階から携わることも多いです。

インテリアや建築との関わりが強い仕事

環境照明を専門とする照明デザイナーは比較的歴史の新しい職業とされており、インテリアや建築の分野と深く関連しています。

実際、照明デザイナーは、勤務先によっては「インテリアデザイナー」や「建築士」が兼務するケースもしばしば見られます。

ただし、最近では照明デザインを専門に手掛ける事務所も増えつつあり、一般的な住宅や店舗にとどまらず、都市計画など大規模なプロジェクトに携わる照明デザイナーもいます。

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照明デザイナーになるには

インテリアや建築業界を目指す道が一般的

日本における照明デザイナーの歴史はまだまだ浅く、照明デザイナーになるための道筋も確立されているわけではありません。

主要な活躍の場はインテリア・建築業界であることから、インテリア照明のデザインに関わりたいのであればインテリア業界を、建築・都市照明に携わりたいなら建築業界を目指すのが一般的です。

照明デザイナーに就くための必須の資格制度はなく、必ず通わなくてはならない学校もありません。

ただし、美術系の大学や専門学校で空間デザインやインテリアデザイン系の勉強をしておくと、実務に役立つ基礎的知識・スキルが身につきます。

他の職種と兼務する照明デザイナーも

学校を卒業した照明デザイナーは、照明器具メーカーや照明デザイン事務所へ就職する人が多いですが、いずれの場でも「照明デザイナー」専任での募集は多くありません。

インテリア系の会社に「空間デザイナー」や「インテリアコーディネーター」などとして就職し、同時に照明デザインを手がけていく、といったケースがしばしば見られます。

また、「建築士」として働きながら照明デザインも手掛けるなど、多様な働き方をする人がいます。

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照明デザイナーの学校・学費

空間デザインや建築を学べる学校が有利

照明デザイナーになるために必ず通わなければならない学校はありません。

ただし、大学や専門学校などで事前に照明デザインに関連する基本的な知識・スキルを習得していれば、就職の際に有利となる可能性が高いです。

照明デザイナーを目指す人におすすめの学校は、空間デザインやプロダクトデザイン、インテリアデザインなどを学べる美術系の大学や専門学校です。

近年では、手軽な民間スクールでも空間デザインやインテリアについて学べるところもあります。

いずれの学校・スクールでも、照明デザインに特化したカリキュラムを設置している学校は少なく、空間デザインの一つの分野として「光」を学ぶことになるでしょう。

建築分野を専門にしたい場合には、建築学部・学科に進学して「建築士」の資格を取得しておく道も考えられます。

照明デザイナーの資格・試験の難易度

取得必須ではないが、スキルを証明できる資格がある

照明デザイナーになるために、取得が必須となる資格はありません。

ただし、照明デザインの実務を行うにあたって必要とされるスキルを証明する民間の資格がいくつかあります。

現状では照明デザイナーの求人数はあまり多くないため、関連する資格を取得していれば、就職・転職を有利に進められる可能性があります。

たとえば、照明学会が実施する「照明コンサルタント」や、その上級資格である「照明士」は、照明の専門知識を有し、スペシャリストであることを示せます。

日本ライティングコーディネート協会が認定する「ライティングコーディネーター」も、照明の知識を評価するには適しています。

このほか「建築士」「インテリアコーディネーター」「インテリアデザイナー」といった建築・インテリア関連の資格も、関連性が高いものといえるでしょう。

照明デザイナーの給料・年収

他に兼務する仕事の経験・キャリアによっても差が出る

厚生労働省の令和2年度賃金構造基本統計調査によれば、照明デザイナーの平均年収は、39.2歳で461万円ほどとなっています。

照明デザイナーという職業は、近年少しずつ認知度が高まっているものの、「照明デザイン業務のみ」を専門とする人の数はまだ多いとはいえません。

実際にはインテリアや建築系の企業に勤務し、他の仕事を兼務する人が多いようです。

そのため、他に携わる仕事の経験・キャリアなどによっても収入に差が出ると考えられます。

照明デザイナーのキャリアパスと収入アップ

多くの職場では、新人はアシスタントからスタートし、先輩の下で働きながら徐々にステップアップを目指します。

初任給に関しては、大卒の場合で月給20万円~25万円、専門学校卒の場合で18万円~23万円くらいが相場です。

その後はできる仕事が増えることで昇給が期待でき、「建築士」などの資格を取得することでも別途手当がつくなど優遇されるケースがあります。

民間資格である「照明コンサルタント」や「照明士」を取得し、ライティングを総合的に企画・立案する立場になれば、大きな収入アップも期待できるでしょう。

建築・インテリア領域で豊富な経験を積んだ照明デザイナーは独立し、自分の事務所を立ち上げて、さらに大きく活躍する人もいます。

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照明デザイナーの現状と将来性・今後の見通し

照明デザインの専門家のニーズはさらに増すものと予想

LED照明の普及により発展が見込まれる照明業界ですが、「照明デザイナー」という職種そのものはまだまだ発展途上です。

専属の照明デザイナーがおらず、「建築士」や「インテリアデザイナー」などが兼務するかたちで、照明デザインの企画・設計をしているケースもあるのが実情です。

しかし、新しいビルや商業施設の建設、都市開発などの際に、効果的で印象的な照明デザインを取り入れたいというニーズは増しています。

最近ではプロジェクションマッピングやデザタルサイネージとは一線を画した「メディアファサード」と呼ばれる外壁の照明演出など、新しい技術も登場しています。

芸術的なセンスと照明に関する深い知識を持ち合わせ、デザインの美しさで人々に感動を与える照明デザイナーが求められる機会は、さらに増えていくでしょう。

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照明デザイナーの就職先・活躍の場

インテリアや建築の分野で活躍する人が多い

照明デザイナーの多くは、照明器具メーカーや照明施工会社、照明デザイン事務所などに勤務して経験を積みます。

照明デザインを専門に扱う事務所も徐々に増えつつあるものの、一般的には照明関連のメーカーや施工会社内のひとつの部署・チームとして、照明デザインの仕事をする人が多いようです。

住居やオフィスなどの身近な建築物から、商業施設や公共施設などの大型建築、あるいは街の広場やアミューズメントパークのイルミネーションなどまで、照明デザイナーが手がける空間は多岐に渡ります。

人によっては「建築士」や「インテリアデザイナー」など、別の職種で働いている人が兼任するかたちで照明デザイナーをしていることがあります。

照明デザイナーの1日

案件の内容・進捗状況によって1日の流れは変わる

照明デザイナーは、クライアントとの打ち合わせで外出することもあれば、黙々とパソコンに向かって図面や提案書などを作成することもあります。

照明デザインは建築工事との関わりも深いため、工事の進行状況によっては自分の動きも変わり、流動的なスケジュールを送ります。

ここでは、照明デザイン事務所に勤務する照明デザイナーのある1日を紹介します。

8:30 出社・メールチェック
9:00 プレゼン資料作成
10:30 チームミーティング
12:00 休憩
13:00 図面作成
15:00 クライアント先で打ち合わせ
17:00 デスクワーク・資料作成
18:30 退社

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照明デザイナーのやりがい、楽しさ

形のない光を演出して人々に感動を与える

照明デザイナーは「光」を巧みに操りながら、心地よい空間を生み出していきます。

照明デザインが施されるのは、住居や店舗、オフィスをはじめ、街のイルミネーションや大規模なライトアップなど、人々が身近に感じる場所であることがほとんどです。

自分の手がけた照明デザインが多くの人の目に触れ、感動や心地よさを与えることができたとき、照明デザイナーとしての喜びや達成感を味わうことになります。

また、自身の感性と発想で光の空間をゼロからプロデュースできることは、照明デザイナーにとっての喜びです。

時代が進むにつれ照明デザインへの注目度も高まっているため、今後活躍の場が広がるであろうことも、この仕事の魅力といえるでしょう。

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照明デザイナーのつらいこと、大変なこと

正解のない空間づくりに携わること

正解のない空間づくりに携わること

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照明デザイナーに向いている人・適性

照明や光、空間を演出することに興味がある

照明デザイナーの仕事は、建築やインテリアと関連性があります。

住宅や店舗の照明、街のイルミネーションや建築物のライトアップなどに目を惹かれ、光で空間を演出することに魅力を感じる人は照明デザイナーに向いているといえます。

また、照明デザイナーの仕事では、単に美しいものをつくるだけでなく、デザインによって得られる集客力や宣伝効果を考慮する必要があります。

普段からさまざまな人の意見や要望を聞くことができる人、周囲の人と協力しながら物事を進めていける能力を持っている人は活躍が期待しやすいでしょう。

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照明デザイナー志望動機・目指すきっかけ

照明によって多くの人に感動を与えたい

照明デザイナーを目指すきっかけとして多いのは、照明が作り出す「光」の美しさに魅了され、光をデザインする仕事に興味を持ったというものです。

最近では街のイルミネーションなどの大規模な照明だけでなく、住居や店舗、レストランやカフェといった身近なスペースにも光を使ったお洒落な演出が施されています。

照明の光は場所を心地よい空間に変化させたり、人々に驚きや感動を与えたりする力を持っています。

自分が作り出す光のデザインでたくさんの人に喜びを与えたいという気持ちを持って、照明デザイナーを志す人が増えているようです。

照明デザイナーの雇用形態・働き方

企業の正社員として働く人が多い

照明デザイナーの多くは、正社員として照明器具メーカーや照明デザイン事務所などの企業に勤務しています。

大手企業であれば新卒採用を実施している会社も多く、空間デザインに携わった経験があれば、中小規模の会社でも正社員として採用される可能性は高いでしょう。

ただし、実際には「照明デザイナー」という職種ではなく、「インテリアコーディネーター」や「空間デザイナー」として採用されることも多いです。

採用後、各部署やチームにおいて建築・インテリア関係の仕事をしながら、照明デザインの業務にも携わるというケースが多いようです。

未経験者の場合は、最初はアルバイトや契約社員として採用され、先輩のアシスタント的な業務から徐々に難しい仕事を任されていくこともあります。

照明デザイナーの勤務時間・休日・生活

担当案件によって忙しさや働く時間にも違いが出てくる

正社員として建築やインテリア関連の企業で働く照明デザイナーは、1日8時間程度の勤務、土日祝日が休日となるケースが一般的です。

ただし、案件の進捗によって企画書の作成に追われたり、現場に出る時間が長くなったりと、変則的な勤務になることも珍しくありません。

また、クライアントの営業時間や休業日に合わせて動かなくてはならない場合もあり、プロジェクトによっては深夜の作業や休日出勤が発生することも考えられます。

担当する現場が近場ばかりとは限らず、場合によっては遠方へ出張することもあるなど、時期によっては多忙になりやすい仕事です。

照明デザイナーの求人・就職状況・需要

照明デザイナー自体の求人数は多くない

ひと昔前の建築・インテリア関連の現場では、照明デザインはさほど重視せず、既存の照明器具を設置するだけで完工するのが一般的でした。

しかしながら、最近では照明デザインにこだわった建築ニーズが徐々に高まっており、専任の照明デザイナーが活躍できる場が増えつつあります。

とはいえ、現状では「インテリアデザイナー」や「建築士」が照明デザインを手がけている場合がほとんどです。

照明デザイナーとしての活躍を目指すには、学校などで照明や空間デザインを専門的に学んでおくほうが有利になるでしょう。

まずは別の職種で建築やインテリアの仕事を経験し、その先に照明デザインの領域を究めていく道も考えられます。

照明デザイナーの転職状況・未経験採用

即戦力になる人材が歓迎される

照明デザイナーは最近になって認知度が高まってきた職業のため、転職者向けの求人数もそれほど多くありません。

おもに募集をかけているのは照明器具メーカーや照明デザイン事務所などですが、欠員補充を目的とする求人が多く、採用人数は1名から若干名というケースがほとんどです。

また、照明デザイナーは専門性の高い仕事で、即戦力になれる人材が歓迎されやすくなっています。

未経験者が応募できる求人もゼロではないものの、建築・インテリア関連の職務経験が豊富であったり、図面作成のための「CAD」などのソフトを扱えるスキルを持っていると優遇されることが多いでしょう。