「バーテンダー」とは

多様な技術を使ったカクテルなどのお酒を作り、バーでの快適な空間を演出する。
バーテンダーの仕事は、バーでカクテルなどのお酒を作ることです。
カクテルと一言で言ってもその数は数千種類あると言われ、作成方法も、「シェイク」「ビルド」「ステア」「ブレンド」「フロート」などさまざまです。
また、お酒をつくるだけではなく、接客、調理、発注、清掃なども行います。
バーテンダーになるためには、下積みをしながら実務を通じて、知識と経験を磨くことが必要です。
特に資格が必要な仕事ではありませんが、一定のスキルがあることを証明する、日本バーテンダー協会(NBA)のNBA検定試験制度があります。
夕方から深夜、明け方にかけての仕事となるため、生活は夜型になり、体力的に厳しい仕事ですが、経験を重ね、自分の店を持つ人も多くいます。
「バーテンダー」の仕事紹介
バーテンダーの仕事内容
カクテルづくりのプロ
バーテンダーの仕事は、バーカウンターでお酒を作ることです。
シェイカーを振る姿ばかりがクローズアップされがちですが、一口にお酒をつくるといってもとても奥が深い仕事なのです。
カクテルの種類は数千種類に及ぶとも言われ、決められたレシピでつくるものから、オリジナルでレシピを編み出すものまでさまざまです。
使うお酒の種類や分量によって味が変わるので、バーテンダー一人ひとりがこだわって味を作り出しています。
こうしたカクテルづくりには、お酒をブレンドする技術が必要です。
シェイカーの振り方、ステアの仕方、ミキサーのかけ方、グラスの注ぎ方など、一見簡単そうに見えますが、長年の経験と技術が必要とされる仕事です。
そのほか、カクテルづくりに必要なお酒の在庫管理や発注などの雑務もこなします。
バーテンダーの就職先・活躍の場
飲食店やホテルのバーカウンターがメイン
バーテンダーの主な活躍の場は、バーカウンターのある飲食店がメインですが、バーにもさまざまな種類があります。
個人が経営している飲食店の場合は、カジュアルな雰囲気から格調の高いお店までさまざまです。
老舗のお店で修業し、独立するというバーテンダーも多いです。
ホテル内にあるバーでもバーテンダーが活躍しています。ホテルのお客様をおもてなしするため、格調高い雰囲気で、技術の高いバーテンダーが多いです。
そのほか、レストランやパブ、イベント会場などで働く人や、経験を積み独立開業したり、本場海外で活躍したりする人もいます。
バーテンダーの1日
店舗の営業時間外にやるべき業務もたくさん
バーテンダーの仕事は、だいたい夕方頃からスタートします。
出勤時間はお店によって異なりますが、バーは夜の18時以降にオープンするケースが多いので、バーテンダーの出勤時間は早くても15時や16時以降になることが多いでしょう。
開店準備や閉店後の片付けなど、店舗の営業時間外でやるべき業務が多くあり、バーテンダーの勤務時間は長くなりがちです。
<街の小規模なバーで働くバーテンダーの1日>
13:00 起床
15:00 髪型など身だしなみをととのえて出発
16:00 出勤後はユニフォームに着替えて開店準備
18:00 開店
20:00 ピークの時間帯を迎える
23:30 落ち着いた時間を見計らって小休憩
2:00 閉店
3:00 カクテル作りの練習
5:30 退勤
7:30 お酒の勉強をしてから就寝
バーテンダーになるには
誰でも未経験からのスタート
バーテンダーになるために、必要な学歴や資格はありません。
バーテンダーになるには、調理やホテルの専門学校などバーテンダーの勉強ができる学校で知識を学び、その後飲食店で働くか、バイトなどで直接働きながら経験を積むかの2種類があります。
どちらの場合も、未経験からのスタートが可能です。
誰でもチャレンジしやすい仕事ではありますが、バーテンダーとして一人前になるには長い下積みが必要となり、厳しい修行も耐えられる情熱が必要となります。
バーテンダーの学校・学費
知識を得るためには専門学校がおすすめ
バーテンダーに特化した専門学校はありませんが、ホテルサービスや飲食サービス系の専門学校では、バーテンダーに特化したコースがある場合もあります。
バーテンダーの技術のほか、お酒の作り方や接客のマナーなど知識を習得することができ、あらかじめ基礎を学んでおきたいという人にはおすすめです。
そのほか、社会人向けにバーテンダーの短期講座や講習を行っていることもあります。
バーテンダーが直接指導してくれるので、本場の技術や知識を得ることができます。
バーテンダーの資格・試験の難易度
民間資格がいくつかある
バーテンダーの資格には、一般社団法人日本バーテンダー協会が主催する民間資格があります。
20歳以上の人が受験できる「バーテンダー呼称・技能認定試験」。
バーテンダーの資格には、一般社団法人日本バーテンダー協会が主催する民間資格があります。に在籍し、サービス業に7年以上従事した者が受験できる「インターナショナル・バーテンダー呼称・技能認定試験」。
さらに25年以上サービス業に従事した者が受験できるN.B.A.認定マイスターバーテンダー称号証書」があります。
バーテンダーは資格がなくても働くことはできますが、資格があるとより就職や面接の際に有利になるでしょう。
バーテンダーの給料・年収
雇用形態やお店によってさまざま
バーテンダーの給料は、雇用形態や雇用されているお店によって大きく変わります。
個人経営のバーで働く場合は、通常の飲食店と同程度の給料がボリュームゾーンとなります。
月給16万~22万円くらいが相場で、平均年収は300万円~400万円と言われています。
バイトなど、下積み期間はもっと給料が低くなります。
ただし、固定ファンがつき人気が出れば歩合で給料が支払われることもあり、実力や人気次第で給与がアップする可能性はあります。
バーテンダーのやりがい、楽しさ
多くの人と知り合う機会がある
バーテンダーの最大の魅力は、多くのお客さまにお酒を提供できるということです。
お店に来るお客さまは毎日変わるので、その人その人にあったお酒を作る楽しみがあります。
さらに、ホテルや老舗のバーなどで働いた場合、普段は接することのできない人にお酒を提供する場合もあります。
お酒を交わすうちにお客さまと意気投合し、休みの日に遊びに行くようになったり、新しい仕事のチャンスが増えたりと、仕事場が貴重な人脈づくりの場になる可能性もあります。
バーテンダーのつらいこと、大変なこと
昼夜逆転の生活で健康維持が大変
バーテンダーの仕事は夜。
どうしても昼夜逆転の生活になってしまいがちです。
他の友人や家族と生活時間が合わせることが難しいのが実情です。
昼夜逆転の生活を続けていると、生活リズムが乱れがちで、健康維持が大変な仕事でもあります。
仕事中は立ちっぱなしなので、肩こりや腰痛に悩む人も多いです。
また、下積みのときはグラスを洗ったり、食材の準備を手伝ったりすることからはじめ、先輩の仕事を見ながら技術を覚えていきます。
一人前に仕事ができるようになるまで時間がかかることも大変なことの1つです。
バーテンダーに向いている人・適性
お酒が好きできめ細やかな対応ができる人
まずは自分自身お酒が好きでなければ、バーテンダーは務まりません。
お酒の勉強のためにさまざまなお酒を飲んだり、他のバーに行ってみたりということも、お酒が好きな人なら楽しみながらできるでしょう。
ただし、お酒が好きなだけではバーテンダーにはなれません。
お客さまにお酒を提供し、心地よく過ごしてもらうのがバーテンダーの仕事です。
どんなお酒を提供してほしいのか希望を聞き出すのも大切な役割です。
また、どんな会話をしてほしいのか、してほしくないのかなどを判断しなければなりません。
人をじっくり観察し、一人ひとりに対応できる力を持った人が向いているでしょう。
バーテンダー志望動機・目指すきっかけ
「お酒が好き」だけでは弱い
バーテンダーになりたい理由として「お酒が好き」というものが多くあげられます。
しかしこれだけでは、面接の際には思いが伝わりにくいです。
自分がなぜバーテンダーを目指したのか、どんなバーテンダーになりたいのかなど、具体的に説明しなくてはなりません。
「お酒を友達にすすめたら喜んでもらえてうれしかった」
「行きつけのバーのバーテンダーさんにもらったカクテルの味が忘れられない」
など些細なことでも構わないので、自分なりのエピソードを加えて説明できるようにしましょう。
バーテンダーの雇用形態・働き方
お店によって雇用形態や働き方はさまざま
バーテンダーの雇用形態は、バイト、契約社員、社員とさまざまです。
下積みの場合は、まずはバイトとして採用される場合がほとんどです。
バーテンダーとして一人前になっても、個人経営の飲食店の場合、正社員で雇用してくれるところは少なく、正社員だとしても福利厚生がなかったり、昇級がなかったりするところもあります。
正社員として雇用を目指す場合は、ホテルや老舗店などのバーテンダーを目指すことをおすすめします。
バーテンダーの勤務時間・休日・生活
雇用されたお店によって異なる
バーテンダーの勤務時間は、雇用されたお店によって変わります。
主に夕方出勤し、明け方にお店が終わり退勤するというパターンが多いですが、勤務するお店の営業時間によっては、早番、遅番のシフトで働く場合もあります。
休日もお店によって、定休日により週休2日の場合、週1日の場合、定休日が無くシフト制の場合などさまざまです。
特に金土日の夜は混みあうことが多いので、お店が定休日の場合以外は休みを取ることはなかなか難しくなります。
バーテンダーの求人・就職状況・需要
都市部では多くの需要が
バーテンダーは、一般的な企業のように大人数での採用は行われていないため、一つ一つの求人は狭き門となります。
しかし、飲食店は無数にあり、バーテンダーの需要も多くあります。
特に都市部の繁華街では飲食店が集中するため、バーテンダーの求人も定期的にありますが、ほとんどはバイトからのスタートとなります。
近年では、飲食店だけでなく、クラブやイベント会場、結婚式場などでバーテンダーを配置するところも多く、活躍の場は広がってきています。
バーテンダーの転職状況・未経験採用
未経験可の求人もある
バーテンダーは、バイトからはじめて一人前になることが多い仕事です。
バイト求人のなかには「未経験可」の募集もあるので、積極的に応募してみましょう。
ただし、未経験の場合は、バーテンダーとは直接関係のない掃除などの雑務から始める場合もあるので、長期的な修業を視野に入れた覚悟が必要です。
バーテンダーの経験がなくても、飲食店で働いていたり、お酒の知識が豊富であったりすれば、それを生かして働くことができますので、面接などでアピールしてみましょう。
バーテンダーの現状と将来性・今後の見通し
女性バーテンダーの活躍がめざましい
バーテンダーは男性の仕事と考えられていましたが、現在は女性のバーテンダーも増えてきています。
女性が一人でも気軽に入ることのできるお店などが増え、バーに通う女性も増えていることから、女性バーテンダーのニーズは今後増えていくと予想されます。
ただ、安くておいしいカクテルやチューハイが市販されるようになり、居酒屋でもさまざまなお酒を飲めるようになりました。
バーテンダーの仕事がなくなることはありませんが、「手軽に安く飲みたい」人と「お店でじっくり飲みたい」人とが二極化され、競争がますます激しくなっていくと考えられます。