【2021年版】司法書士とは? 仕事・なり方・年収・資格などを解説

「司法書士」とは

不動産登記や商業登記など、各分野の法律に関する書類作成や法律上の手続きを代行する。

司法書士は、個人や企業などの依頼により、法律に関する書類作成や法律上の手続きを代行する専門家です。

不動産売買や相続の際の不動産登記手続きや、会社設立時の商業登記手続きのほか、簡易裁判で訴訟代理業務を行う裁判事務、成年後見業務、供託業務、帰化申請など、さまざまな業務を担当します。

司法書士になる一般的な方法は、国家試験である「司法書士試験」に合格することです。

司法書士試験は年齢や学歴の制限なく誰でも受験することができますが、難易度は高く、合格率は例年3%ほどです。

合格し、所定の研修や修了考査を終えると、多くの人は司法書士事務所に勤務します。

経験を積むと独立を目指せる職業ですが、司法書士の登録者数は増加傾向が続いているため、自らの得意分野をつくり、差別化することが必要です。

「司法書士」の仕事紹介

司法書士の仕事内容

裁判所や法務局への法的な手続きを代行する

司法書士とは、個人や企業からの依頼を受け、法律に関するさまざまな書類作成や法律上の手続きを代行する専門家です。

代表的な業務としては、不動産売買や相続の際の不動産登記手続きや、会社設立時の商業登記手続きが挙げられます。

それ以外にも、簡易裁判で訴訟代理業務を行う裁判事務、成年後見業務、供託業務、帰化申請など、法律に関するさまざまな仕事を行っています。

このような手続きは、一般人には正確な理解が難しいものが多いため、司法書士は法律の知識を存分に発揮して、依頼者のニーズに応えていきます。

司法書士の隣接資格

司法書士と似た職業に「行政書士」があり、どちらも法律に関連する書類を作成するという点では共通しています。

しかし、司法書士がおもに裁判所や法務局に提出する書類を作成するのに対し、行政書士は行政機関(国や都道府県、市町村など)に提出する書類を作成する違いがあります。

その他の士業として「弁護士」や「税理士」もありますが、それぞれ役割や業務範囲が異なり、それぞれ資格や専門知識を生かして活躍しています。

なかには、こうした隣接資格を「ダブルライセンス」として取得し、仕事の幅を広げていく人もいます。

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司法書士になるには

司法書士試験への合格を目指す

司法書士になるには、まず国家試験である「司法書士試験」を突破する必要があります。

司法書士試験は年齢や学歴の制限なく誰でも受験できるものですが、難易度は高く、相当量の勉強が必要です。

そのため、大学に進学して法律を学びながら計画的に試験勉強をしたり、民間の資格系スクール・予備校で試験対策をしてから、試験に臨む人が多くなっています。

司法書士試験に合格すると、新人研修を3ヵ月程度受け、修了考査に合格することで全国の司法書士会のいずれかに登録可能です。

それからは司法書士事務所を中心に、勤務先を探して働きはじめるのが一般的なルートとなっています。

資格取得後のキャリアパス

司法書士試験に合格する以外の道として、「裁判所事務官」や「検察事務官」を10年以上務め、法務大臣の認定を得ることで、司法書士の資格を得る方法が存在します。

ただし、こちらの道も簡単なものではなく、なるまでに時間がかかるため、学生から司法書士を目指す人は国家試験合格を目指すケースが多いです。

なお、資格取得者のなかには企業の法務部などに勤めて、会社員として、司法書士の知識を生かす人もいます。

実務経験を積めば独立開業の道も開けてきますが、近年は司法書士数が増加し続けていることから、自分の強みや得意分野をつくる努力が必要でしょう。

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司法書士の学校・学費

試験に学歴要件はないが、大学で法学を勉強しておくとやや有利

司法書士試験には学歴などの受験要件がないため、誰でも受けることが可能です。

高い学歴も必要ありませんが、難関の試験であることから、多くの人は大学に進学してから合格を目指します。

文系・理系も問われないものの、大学で法学をしっかりと学んでおくと、法律に関する素養があるぶん、試験勉強の理解がスムーズでしょう。

ただし、学歴や学部に関係なく、資格取得のためのスクールや予備校に通って、集中的に受験対策をする人が多いです。

社会人として働きながらでも、あるいは大学生がダブルスクールでも学べるように、週末や夜間に授業を開講しているスクールも多数あります。

通信教育で学ぶことも可能ですが、自分の生活スタイルや性格に合う勉強方法を見つけて、より効果的な勉強をしていくことが合格への近道です。

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司法書士の資格・試験の難易度

国家試験では幅広い法律の専門的知識が問われる

司法書士は国家資格であり、有資格者のみが行える「独占業務」が定められています。

司法書士が手掛ける土地や建物の不動産登記、法人の商業登記、相続手続き、成年後見制度手続きなどでは専門的な法律の知識が不可欠であるため、国家試験でも幅広い法律知識が問われます。

司法書士試験の難易度は高く、合格率は毎年3%前後です。

年に一度の試験ですが、何年も受け続けて合格を目指す人も少なくありません。

国家試験合格のために必要な勉強量

司法書士試験合格のために必要な勉強時間は、法律に対する基礎知識があるかどうかでも変わってきますが、およそ1400〜2000時間といわれています。

同じ法曹系資格の「行政書士」が500時間~800時間程度といわれていることからも、難易度の高さがわかるでしょう。

独学であっても、きちんとポイントを押さえて勉強すれば合格は目指せますが、民間の資格予備校やスクールに通い、専門的な対策授業を受ける人が多いです。

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司法書士の給料・年収

独立開業後に成功すれば高収入が目指せる

司法書士試験は合格率が低いですが、これは合格者が出過ぎないように、難易度の調整がなされていることも一因としてあります。

そうして資格保有者の希少性を保っているがゆえ、司法書士の給料・収入は全体的に高水準です。

司法書士全体の平均年収は400万円~600万円程度がボリュームゾーンとされますが、独立開業して事業が軌道にのれば、さらに高額の収入を得ることも可能です。

一般的には、資格取得から数年ほどの若手司法書士は司法書士事務所に勤務し、その後、独立を目指すケースが多くなっています。

司法書士の待遇、収入アップのポイント

司法書士は、個人の経験や専門性が問われる仕事であるため、新人時代の給料は一般の会社員と大差ありません。

ただし、大きな企業や事務所ほど給与水準は高めで、福利厚生も充実している傾向が見られます。

個人経営の小さな事務所では、ほとんど福利厚生が期待できない場合もあり、勤務先によって待遇差が出やすい職業といえます。

司法書士として収入アップを目指すのであれば、いかに専門性を高めていき、難易度の高い案件を手掛けられるようになるかがポイントです。

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司法書士の現状と将来性・今後の見通し

業務範囲が拡大し、専門的知識を生かした活躍ができる

「士業」と呼ばれる専門職のなかには、試験の難易度の割に、十分な仕事がなく、継続的に安定して働くのが難しいとされるものもあります。

しかし、司法書士は有資格者の数と仕事量のバランスがとれており、試験合格に払った努力に見合うだけの社会的価値・経済的メリットがあるといえるでしょう。

司法書士事務所での求人数も多いため、資格取得後に経験を積んでいける場を見つけるのはそう難しくありません。

また、近年では司法書士法の改正を受け、研修を受けた「認定司法書士」は、簡易訴訟手続きなどを行えるようになりました。

法律関係の業務も取り扱えるようになり、司法書士の業務範囲は拡大しています。

今後は高齢化が進むにつれ、遺言や相続に関する業務や、成年後見業務の依頼が増えていくと予想されており、司法書士の需要はますます高まっていくでしょう。

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司法書士の就職先・活躍の場

司法書士事務所を中心に活躍するが、業務内容の幅は広がっている

司法書士の就職先として代表的なのは、司法書士事務所です。

経験とスキルを積んだ後には独立し、自分の司法書士事務所を開業することもできます。

このほか一般企業に就職し、法務部などの法律関係を取り扱う部署で働く人や、弁護士事務所に勤める人もいます。

もともと事務手続きを専門に手掛けてきた司法書士ですが、近年では制度改正によって、債務整理や借金の過払い金請求といった法律業務も手掛けられるようになったため、活躍の場は拡がっています。

なお、司法書士の資格は国内のみで適用されるものであって、海外で仕事をする場合には、その国の資格を取得することが必要です。

司法書士の1日

事務所での作業のほか、法務局や裁判所に出向くことも多い

司法書士は、法務局や裁判所に出向いたり、銀行での不動産取引に立ち会ったりと、外出する機会が多い仕事です。

とくに日中には外にいる時間が長くなりますが、朝や夕方以降には事務所で書類作成などのデスクワークを行っています。

ここでは、司法書士事務所で働く司法書士の1日の例を紹介します。

8:30 出勤・アポイント調整
9:00 事務所内ミーティング
10:30 金融機関にて不動産取引の立ち会い
12:00 昼食休憩
13:00 法務局訪問
16:00 帰社・顧客面談
18:00 退社

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司法書士のやりがい、楽しさ

依頼者から法律の専門家として信頼されること

法的な書類作成などの実務作業を手掛ける司法書士は、依頼者と顔を合わせる機会が多く、相手のニーズを直に感じ取りながら仕事を進めることができます。

相続関係など数ヵ月におよぶ案件も少なくないため、少しずつ依頼者と信頼関係を築き、相手が自分を信頼して任せてくれるようになったと感じられたときに、やりがいを感じます。

勉強を続けて知識を深めていけば、より多くの人の、多様な依頼に対応できるようになります。

法律の専門家として、人々の助けになりたい人にとっては、やりがいを感じやすいでしょう。

また、司法書士は求人数が多く、独立しやすい資格であるために、自分の希望の働き方に応じて実力を発揮できる機会に恵まれているのも魅力です。

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司法書士のつらいこと、大変なこと

間違いやミスが許されない、緊張感のある業務が多い

司法書士が手掛ける書類は、裁判所や法務局などへ提出するものが中心であり、間違いやミスがあってはいけません。

複雑な法律が絡み合う内容の案件も多く発生しますが、顧客の信頼を失わないために、常に注意深く仕事を進めていくことが求められます。

「完璧にこなして当然」とみなされる司法書士の仕事には、常に重いプレッシャーがつきまといます。

また、司法書士は業務範囲が広く、また多くの依頼が舞い込む事務所に勤務すると、非常に忙しくなりがちです。

自分で事務所を経営している場合には、経理作業や営業活動まで行わなければならないため、なかなか気が休まるときがありません。

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司法書士に向いている人・適性

法律の勉強が好きで、地味な作業を苦にしない人

司法書士の「書士」とは「書類を作成する人」という意味をもつ言葉で、その言葉の通り、司法書士の仕事は、難解な書類と向き合う地道な作業の繰り返しです。

法律に照らし合わせながら、一つひとつ間違いのないように細かな書類を作成しなければなりません。

顧客から信頼されて仕事を受けている以上、決して失敗は許されないため、地味な作業でも集中力を持って続けられる几帳面な性格の人が司法書士に向いているでしょう。

業務に関連する法律知識を徹底的に身につけていくことを苦にしないことも重要です。

また、独立するならば仕事を得るための営業活動や人脈も重要になってくるため、人とのコミュニケーションが得意である人のほうが望ましいです。

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司法書士志望動機・目指すきっかけ

法律関係の職業を探すなかで興味をもつケースが多い

司法書士を目指すきっかけとして多いのは、大学の法学部出身者など、勉強してきた法律の知識を生かせる仕事がしたいという思いです。

士業といわれる職種は、司法書士以外にも「弁護士」や「行政書士」などさまざまあります。

そのなかで司法書士は比較的需要が安定しており、それでいて独立開業も視野に入れられること、また弁護士に比べれば目指しやすいことなどが魅力と感じて、志望する人が多いようです。

司法書士になる人は、最初から独立願望が強く、将来は自分の事務所を開きたいと考えているケースもよくあります。

他の士業とダブルライセンスを取得し、より専門性を高め、仕事の幅を広げていこうとする人もいます。

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司法書士の雇用形態・働き方

雇われて働く人と、独立・開業する人に分かれる

司法書士試験に合格して資格取得できた人は、まず司法書士事務所や企業などに勤めて経験を積んでいきます。

その後は、引き続き司法書士事務所などで勤務し続ける人と、独立・開業する人に分かれます。

独立すると、自分一人でこなさなければならない業務が増え、さまざまな責任を自分で負わなくてはなりませんが、そのぶん多くの収入を手にできたり、自由に事業展開したりできるのが魅力です。

一方、雇われのままキャリアを重ねていく人も決して少なくありません。

司法書士は正規雇用が多いですが、家庭の事情や個人の意向などから、あえて派遣社員として期間を限定して働いたり、アルバイト・パートとして資格を生かしている人もいます。

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司法書士の勤務時間・休日・生活

独立開業後はやや不規則な生活になることも

司法書士事務所で働く司法書士の勤務時間は、各事務所の営業時間によりますが、朝から夕方にかけてが一般的です。

司法書士の仕事は法務局や裁判所との関連性が高く、それらの機関の営業時間に合わせて仕事をするため、極端に朝が早くなったり、夜が遅くなったりするケースはまれです。

土日祝日は基本的に休みであり、特別に業務が立て込んでいる日以外は落ち着いて休めるでしょう。

ただし、独立開業した司法書士の場合は、雇われの司法書士よりも不規則な勤務スタイルになることがあります。

基本的に司法書士は顧客から多くの依頼を受けて、案件の数をこなせばこなすほど、収入が上がります。

独立していると自己裁量で仕事を進められますが、自分の負担も大きくなり、勤務時間は長くなる傾向にあります。

また、顧客の都合で土日祝日に打ち合わせが入るケースもあり、休日も不規則になりがちです。

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司法書士の求人・就職状況・需要

司法書士事務所を中心に、有資格者の求人数は豊富

司法書士の一般的な就職先は、司法書士事務所です。

日本各地にさまざまな司法書士事務所があり、そこには数百人のスタッフを抱える大手もあれば、少人数で運営している個人経営のところもあります。

特定の分野に強みをもつ事務所や、総合的に案件を手掛ける事務所など、代表司法書士の経営理念や営業方針に違いがあり、また職員の待遇面なども千差万別です。

あまり求人数は多くありませんが、一般企業でも司法書士の有資格者が採用されることがあります。

その場合は法務部を中心に所属し、契約書のチェックや顧問弁護士との協議・商業登記・株主総会の運営・社員へのコンプライアンス指導などに携わることが多いです。

司法書士試験は合格率が低いため、新規の資格取得者が限られており、まだまだ人手が求められています。

経験を積むと独立する人もいることから、各事務所は定期的にスタッフを補充する必要もあり、求人数は都市部を中心に豊富です。

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司法書士の転職状況・未経験採用

30代以降の転職も可能、資格取得を目指す人も歓迎される

司法書士試験の合格者の平均年齢は30代後半となっており、社会人として働きながら勉強を続け、合格を目指す人は決して少なくありません。

ほかの職業と比べると、司法書士はやや遅咲きでも活躍することが可能で、資格さえ取得できれば、多少年齢が高くても転職しやすいといえます。

資格があれば、未経験者の採用に積極的な司法書士事務所は多数あり、就職先を見つけるのに苦労することは少ないでしょう。

年齢が若めであれば、将来的に司法書士合格を目指して勉強中の人を「補助者」として採用する事務所もあります。

一方、ある程度の実務経験がある有資格者であれば、さらに転職しやすいのも司法書士の特徴です。

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司法書士と行政書士の違い

手掛ける法的な書類の種類や書類の提出先に違いがある

司法書士と行政書士は、どちらも法律に関する専門知識をもち、顧客から依頼を受けて法的な書類作成を担当する専門職です。

それぞれ別の国家試験が行われており、各国家資格を取得して活躍します。

両者のわかりやすい違いは手掛ける書類の提出先で、司法書士は法務局や裁判所への提出書類を、行政書士は国や都道府県、市町村といった行政機関への提出書類を作成します。

書類の種類としても、司法書士がおもに作るのは不動産登記、商業登記、訴状・告発状ですが、行政書士は各種許認可の申請書類や権利義務・事実関係の証明書類が中心です。

ただ、相続関係や会社設立など、一部の書類に関しては、どちらも手掛けることがあり、線引きがやや曖昧な面があります。

近年では、顧客からの依頼にワンストップで対応できるようにするため、両方の資格を取得した「ダブルライセンス」で活躍する人も増えています。

国家試験の難易度としては、司法書士のほうが格段に上とされています。

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