玩具メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「玩具メーカー社員」とは

玩具メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

おもちゃを企画、製造し販売する仕事

玩具メーカーは、おもちゃ製品を企画、製造し販売する仕事です。

すべてのおもちゃづくりは企画を行うことからはじまり、マーケティングや調査を重ねながら、実際に制作をしていきます。

玩具メーカー社員は、このように企画・開発・営業など各部門に所属する人がそれぞれの仕事を行い、協力しておもちゃづくりをしています。

おもちゃを購入するのは小さな子どもやその親であるため、「どんなおもちゃが欲しいか?」「どんなおもちゃで遊ばせたいか?」などのアイデアを元に、製品を企画することが大切です。

テレビ番組やゲーム、漫画雑誌とコラボレーションしたり、子ども世代の流行を捕らえたりするなど、子どもの感性を踏まえながら開発をすすめます。

仕様やデザインが決定すると、工場などで製作を行い、商業施設やおもちゃ店などの販売店や卸業者を通じて販売されます。

近年は海外でおもちゃを販売したり、スマートフォンやタブレットと連動して動く高性能なおもちゃを開発したりなど、各メーカーは独自の戦略を行わなくてはならなくなりました。

さらに純粋な玩具メーカーだけでなく、家電メーカーや文房具メーカー、食品メーカーなどもおもちゃ業界に参入してきており、業界での競争が激しくなっています。

「玩具メーカー社員」の仕事紹介

玩具メーカー社員の仕事内容

商品企画・生産・営業がメイン

玩具メーカーの仕事は、おもちゃを作り販売することです。

近年、パソコンやスマートフォン、タブレットが一般的となり、需要は押されつつありますが、昔ながらのブロックや人形などのおもちゃがなくなることはありません。

少子化がすすむなかでも、子どもに良質なおもちゃを与えたいという親世代は多く、人気玩具メーカーの商品は一定の支持があり、売上も大きくなっています。

玩具メーカーの主な仕事内容としては「商品企画」「生産」「営業」などがあります。

商品企画は、子どもから大人まで多くの人に手に取ってもらえるような商品のアイデアを出し、製品化につなげることです。

どのようなおもちゃが人気を集めているのかを調査し、新製品を企画立案、販売してどれだけの売り上げを見込めるかなどを考えます。

製品化が決まると、工場で生産を行います。

生産にはただ人や機械を配置すればいいというわけではなく、材料の調達や技術の指導、スケジュール管理などの仕事も重要です。

そして営業は、商品を販売してくれるおもちゃ店や商業施設などを見つけ、自社の製品を多くの店舗で置いてもらうための仕事をします。

そのほかには、一般的な企業と同様に人事や総務、経理などの庶務的な仕事をする部署もあります。

玩具メーカー特有の仕事としては、そのほかにブランドビジネスなどの戦略を考えたり、品質管理やアフターサービスを行ったりする仕事を行うところもあります。

玩具メーカー社員になるには

新卒採用のほか中途採用も行われる

玩具メーカーの多くは新卒採用を行っており、募集人数は数名から2,30名程度です。

どれだけ大手で名の知れた企業だとしても、一般的な企業と同様に百名単位で採用が行われることはなく、人気がある企業では採用倍率が高くなりがちです。

採用の際には、大きく分けて企画開発、マーケティング、営業などの事務系と、技術開発、設計技術、生産技術、安全品質などの技術系に分かれています。

基本的にはこのどちらかを選択して試験を受けますが「総合職」という形で一括採用が行われ、適性次第では、全職種に配属される可能性があるという企業もあります。

多くの玩具メーカーでは、特別な学歴や資格が求められることはなく、応募条件を満たしていれば、誰にでもチャンスがあります。

なお、中小規模のメーカーではこうした定期採用はなく、経験者を不定期に採用するところも多いです。

転職で玩具メーカーに就職する際は、基本的に営業、開発、事務など職種別に求人が出されていることが多く、経験者が優遇されます。

多くの玩具メーカーでは人員の増員や事業拡大などにより不定期で中途採用の求人が出されており、とくに営業職やマーケティングなどの職種で求人が目立ちます。

大手の玩具メーカーでは新卒採用と同様に狭き門となるため、中途採用を希望するのであればこまめにホームページなどをチェックし、情報を集めておくとよいでしょう。

玩具メーカー社員の学校・学費

文系・理系どちらでも採用のチャンスがある

玩具メーカーが新卒採用を行う場合、学歴は「大卒以上」を対象としている場合と、「高等専門学校卒・専門卒以上」を対象としている場合があります。

基本的に中途採用も同様としていることが多いですが、新卒の場合は文系理系問わず一括採用が行われ、入社後に適性や希望を踏まえて配属が決まります。

大学や専門学校でどのような学びをしていても、採用の時点で大きく合否を左右することはあまりないでしょう。

一方で、デザイナー職など玩具開発のなかでも特殊な仕事を行う場合は、プロダクトデザインやインダストリアルデザインなどを専門に学んだ人が対象とされるケースが一般的です。

玩具メーカー社員の資格・試験の難易度

就職の段階で特別な資格は必要ない

玩具メーカーへ就職するうえで、特別な資格が求められることはなく、応募の際の要件を満たしていれば誰にでも採用のチャンスはあります。

ただし、自分をアピールする材料としてはいくつか有利な資格があります。

玩具メーカーのなかには、海外へも販路を広げたり、海外に向上を持ったりとグローバルな展開をしているところも増えてきました。

英語をはじめとする語学力の資格があれば、自己アピールに加え海外で活躍できるチャンスを得られるかもしれません。

また研究開発などの職種の場合、理工系学部で機械・電気・化学・建築などを学んで資格を取得していると、高い専門性を持っていることのアピールにつながります。

玩具メーカー社員の給料・年収

大手玩具メーカーは高めの給料

玩具メーカーの平均年収は、大手の場合800~1000万円を超えることもありますが、中小規模のメーカーの場合は400万円~600万円程度と大きな差があります。

平均すると500~600万円ほどがボリュームゾーンとなり、一般的なサラリーマンの給与と比べると若干高めであるといえます。

玩具メーカーはさまざまな規模の会社があり、小さいところでは給与がかなり低く抑えられているところもあるため、一概に給与が高いとは言い切れません。

誰もが名前を知る大企業の場合は安定した収入が見込めますが、それだけに学生からの人気も高く、採用の倍率も非常に高くなっています。

玩具メーカーの新卒初任給は、18万~23万円程度が相場で、2020年度のタカラトミーの採用情報を例にすると、以下のようになっています。

・短大卒/専門卒:182,886円~
・高専本科卒:192,906円
・大学卒/高専専科卒:212,946円
・大学院卒:227,642円

多くの企業では大学卒や専門学校卒を対象として採用を行っており、学歴によって多少の差があります。

基本給以外には、通勤手当、時間外手当、家族手当、住宅手当などの諸手当などが支給され、昇給は年に1回、賞与は夏と冬で年に2回されるところが多いです。

そのほか、社会保険制度や年金などの各種福利厚生も整えられているところが大半です。

玩具メーカー社員の現状と将来性・今後の見通し

時代の流れや流行を取り入れたおもちゃ作り

2019年度の日本玩具市場規模は約8100億円でした。

これは国内家庭用ゲーム市場規模約4368億円と比べても2倍近くとなっており、おもちゃの需要はこの先もあり続けると考えられるでしょう。

ただし、玩具メーカーの大きな懸念として少子化があげられます。

どうしてもおもちゃの売れる数自体が減っていってしまうため、近年では大人向けのハイクオリティなおもちゃを開発するところも多いです。

また、ソーシャルゲームやYouTubeなどが台頭するにつれて、これらに対抗するためにこれまでにないおもちゃで魅力を惹きる必要があります。

近年では学校教育と結び付けたプログラミングのおもちゃやタブレット型のおもちゃが人気を集めており、時代の流れや流行を取り入れながら商品開発をしていくことが求められます。

玩具メーカー社員の就職先・活躍の場

企業によって主力商品やターゲットに違いが

玩具メーカーは、グループ企業を抱えるような大手企業から、社員が数十名程度の中小企業までさまざまで、制作しているおもちゃにも違いがあります。

幅広い年齢層に対してさまざまなおもちゃを作っているメーカーもあれば、乳幼児に特化したおもちゃを作っているメーカー、カードゲームなど特定のおもちゃを作っているメーカーもあります。

特に近年では大人向け商品に力を入れるところが多く、高価格帯の商品や、シニア層向けにラインナップを拡大するメーカーも多いです。

それぞれ主力とする商品は違いますが、たいていの場合仕事内容に大きな違いはなく、商品企画から生産、営業などの仕事を担います。

玩具メーカー社員の1日

担当する業務によって異なる

玩具メーカー社員のスケジュールは、担当する業務によって異なりますが、一例として営業職の1日をご紹介します。

営業はただ販路を拡大するだけでなく、販売店を回りながらお客さまの声を聞き、商品開発に生かす役割もあります。

8:30 出社
メールチェックやミーティングを行います。
10:00 打ち合わせ
新商品を売り出すにあたり、どのように広報を行うかや、販売店での展開のしかたなどを話し合います。
12:00 休憩
13:00 店舗訪問
既に自社の商品をおいている商業施設やおもちゃ店をまわり、新商品の案内や売り場展開などについて話します。
16:00 デスクワーク
帰社したあとは、店舗でのヒアリング結果や売れ行きなどを資料にまとめ今後に生かします。
18:00 帰社

玩具メーカー社員のやりがい、楽しさ

子どもに笑顔を与える仕事

玩具メーカーのやりがいは、子どもに笑顔を与える仕事であるという点です。

商品を開発する際にも、販売する際にも、まず考えるのは「子どもが楽しんでくれるか」「子どもに夢を与えられるか」です。

自分が面白いと思ったり、手掛けたりしたものが、多くの子どもの元に届き、笑顔をつくっているのを見るのは非常に嬉しいでしょう。

また、子ども向けの商品を多く扱うメーカーでは、親世代の声も非常に重視しています。

30代から40代の中堅世代の声が取り上げられることも多く、とくに母親の観点として女性の声が採用されることも多いです。

若手から中堅、女性でも大いに活躍できる土壌ができているというのは、玩具メーカーの魅力でしょう。

玩具メーカー社員のつらいこと、大変なこと

次々に新しい商品を作り出すこと

次々に新しい商品を作り出すこと

玩具メーカー社員に向いている人・適性

流行や新しいものに興味がある人

玩具メーカー社員に向いている人は、流行に敏感で新しいものが好きな人です。

おもちゃには流行があり、アニメや漫画、海外からの影響により一大ブームを巻き起こしたおもちゃは数多くあります。

こうしたヒット商品を開発するには、流行に敏感で新しいものをどんどん取り入れようという興味関心が必要です。

また、クリエイティブな発想や他の人にはできない柔軟な発想ができる人もこの仕事には欠かせません。

近年はスマートフォンやタブレットが普及し、幼いころからデジタルコンテンツに触れている子どもが多いため、こうしたものに負けないよう新たな発想が求められます。

これまでにない奇抜な発想を形にできる人はおおいに活躍できるでしょう。

玩具メーカー社員志望動機・目指すきっかけ

おもちゃ製造に関わりたいという思い

玩具メーカーを目指すきっかけで多いものは、おもちゃや子ども向け商品が好き、実際にそのメーカーの商品で遊んだことがあるという純粋な思いです。

思い出のおもちゃを作ったメーカーや、今でも好きなおもちゃを作っているメーカーで働きたいという人は珍しくありません。

おもちゃはいつの時代も需要があり、定期的に新商品を開発していること、安定した経営をしている企業が多いことから、玩具メーカーを志望する人もいます。

玩具メーカーを志望する際には「どうしてこのメーカーを選んだのか」「どうして玩具メーカーなのか」ということをしっかりと考えておきましょう。

世の中にはさまざまなメーカーがあり、それぞれ独自のものづくりをしていますが、そのなかでなぜ玩具メーカーを選んだのかは、面接でもよく問われるところです。

おもちゃを使って遊んだ経験や、思い出のおもちゃがあるといったエピソードを加えて話せるようにしておきましょう。

また玩具メーカーには大手企業から中小企業まであり、それぞれ作っている商品や販売の仕方は大きく異なります。

そのメーカーの強みやポリシーを理解し、自分ならではの志望動機を作り出すことが大切です。

また、業界の状況や同業他社について問われることも多いため、企業研究をしっかりとし、自分なりの考えや意見を持っておくことも必要でしょう。

玩具メーカー社員の雇用形態・働き方

多くは正社員として雇用

玩具メーカーの採用は正社員が中心で、パートやアルバイトなどの採用はさほど活発には行われていません

もちろん採用が全くないわけではありませんが、他業種のように積極的に採用しているところは少なく、中途採用でも正社員を中心に募集がなされています。

アルバイトやパートで人員を補うというよりも、退職者が出た際には同等レベルの人材を中途採用で募集するという考えの企業が多いようです。

大手企業では学生向けにインターンシップを行っていることも多いため、雇用形態や働き方で気になることがあれば、積極的に利用してみるとよいでしょう。

玩具メーカー社員の勤務時間・休日・生活

無理のない働き方ができる

玩具メーカーの勤務時間は、おおよそ8:30~18:00程度に設定されています。

生産の現場で働く場合は、工場の稼働時間により始業時間が若干早めになる傾向があります。

おもちゃの販売というとクリスマスが思い浮かびますが、クリスマスに向けた商品開発は夏場には山場を迎えており、逆に夏場発売される商品は冬に開発を進めています。

こうした商品発売に合わせた繁忙期はあるものの、日付がかわるまで残業をしたり、休日出勤したりというケースはあまりみられないようです。

子ども向けの商品をつくっていることから、親世代の働き方を重要視し無理のない働き方をする企業が多いことも理由としてあげられます。

玩具メーカー社員の求人・就職状況・需要

人気は高いが求人はそれほど多くない

玩具メーカーの新卒採用人数は、大手でも20~30人程度とされ、一般的な企業と比べると少なめです。

中小規模の場合は新卒採用を行っていても人数が若干名、また定期的な採用を行っていないことも珍しくありません。

一方、玩具メーカーは私たちの身近な企業であり、実際にメーカーのおもちゃに親しんだことがある人も多いことから、志望する学生は非常に多いです。

文系・理系問わずに採用のチャンスがあることから、競争倍率も例年高めとなっています。

玩具メーカーを志望する際には、名の知れた大手企業だけでなく、中小規模の企業や地元企業など、幅広い視野で志望先を検討する必要があるでしょう。

玩具メーカー社員の転職状況・未経験採用

中途採用は職種別の採用が多い

玩具メーカーの中途採用は営業、開発、事務など職種別の募集が多く、前職で同様の業務に就いていた人が対象となることが多いです。

まったくの未経験から採用されることは難しいかもしれません。

また、新卒採用の人数が少ないため、中途採用も同様に求人が少なめです。

営業や事務などは比較的多く見られますが、研究職や企画開発となるとなかなか求人が出ないこともあります。

特定の職種に応募したい場合は、長い目で求人を待つことも必要でしょう。

なお、玩具メーカーは他業界と比べるとアルバイトやパートを積極的に採用しているところが少なく、こうした勤務を経て正社員を目指すという道もあまり一般的ではありません