【2021年版】法務の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「法務」とは

企業が事業を展開する際に必要な、法律にまつわる仕事を担う法律のプロフェッショナル。

法務は、契約書の作成や著作権の管理、訴訟や裁判といったトラブル処理など、企業や公的な機関などの組織におけるさまざまな法的業務を手掛ける仕事です

主な仕事としては、契約書の作成や著作権の管理、消費者や取引先とのトラブルの仲介、コンプライアンス(法令遵守)の体制作りなどがあります。

法律に関する豊富な知識が必要であり、論理的な思考力や高いコミュニケーション能力が求められる仕事でもあります。

大手や外資系企業では、法務が非常に重要視され、法務部に多くのスタッフを配置しているケースが目立つ一方、中小企業の場合、法務部は数人程度でほかの部の一セクションになっていることもあります。

法務の給料はほかの職種と大きな差はありませんが、専門性を評価する外資系企業においては高収入となることが多くあります。

近年ではインターネットの発展に伴い、企業の内情や消費者対応について情報を拡散されることが大きなトラブルにつながるケースが急増しています。

法務スタッフは、これからの時代さらに社会的に重要な役割を果たすと考えられます。

「法務」の仕事紹介

法務の仕事内容

法的な側面から企業の事業運営を支えていく

法律関係のあらゆる業務を担う

企業や団体が事業を展開する上では、この国の最も重要なルールである法律を遵守しなければなりません。

組織内における法律関係のあらゆる業務を担うのが、法務の役割です。

主な仕事としては、契約書の作成やチェック、取引の合法性の確認、特許や著作権の管理、消費者や取引先とのトラブルにおける仲介などがあります。

また、最近では「コンプライアンス(「法令遵守)」という言葉が広く知られるようになり、
法律の大切さを説き、社員に高い「企業倫理」を植え付けることも、法務担当者の業務のひとつです。

法務の業務内容は多種多様

法務の仕事のなかで最も代表的なのは、売買契約やサービス契約、業務委託契約、業務請負契約など、各種契約に関する業務です。

また商品であれば「商標登録」や「意匠」、技術であれば「特許」など、自社の事業に関する「知的財産権」を管理することも、法務担当者の仕事に含まれます。

そのほか、事業を運営していくなかでは、自社商品を購入したり、サービスを利用したりした消費者とトラブルに発展するケースもあります。

示談交渉や訴訟対応、裁判などによって事態の解決を図ることも、法務の重要な仕事です。

さらに近年は、SNSの普及によって、不祥事は即、企業の信頼失墜と利益の喪失につながるようになりました。

こうしたことを防ぐため、社員に対する研修を実施したり、社内ルールを明文化したり、また法律に関する相談を請け負うことも、法律の専門家である法務スタッフの重要な仕事です。

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法務になるには

学生時代から法律を勉強しておくことが必要

法務部のある大企業の採用試験を受ける

法務になるためには、法務部を社内に設置している企業の採用試験を受けて合格することが必要です。

規模の小さな企業の場合、社内に法務部があるところはまれで、代わりに外部の弁護士事務所と顧問契約していたり、社長自らが手掛けていたりするケースがほとんどです。

法務になるなら、上場企業やその傘下のグループ企業など、ある程度大きな会社への就職を目指さなくてはならないでしょう。

多くの場合、4年制大学卒以上の学歴が必要になるところが大半です。

なお、新卒入社の社員については、人事部から希望を聞かれる機会はあるものの、基本的に自身で配属先を決めることはできません。

学生の段階から準備しておいたほうがよい

法務スタッフは弁護士などと異なり、特定の資格や学歴がなければ就くことができない職種ではありません。

しかし、組織内で担う役割が法律関係に特化している以上、法律に精通している人が採用に有利なのは間違いありません。

実際に法務部で働いている人の多くは、法学部出身者です。

法務として働きたいなら、必ずしも法学部でなくても構いませんが、法律については学生のうちから勉強しておくべきでしょう。

弁護士や司法書士などの資格を目指して勉強することは、法務になるために非常に役に立ちます。

全く未経験の状態から法務への就職を目指すのであれば、就職前・就職後に関わらず、法律に関して相当量の勉強をし続ける必要があると覚悟しておかねばなりません。

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法務の学校・学費

法律を学べる大学で勉強する

法務として働くために絶対に法学部を卒業しておかなくてはならないわけではありませんが、業務を行っていくうえで法律知識は必須です。

就職時点である程度法律を学んでいないと、そもそも法務担当者としての適性があるかないかわかりませんし、業務上も支障をきたします。

配属先を決める人事部側としても、法律知識ゼロの人をいきなり法務部配属にはしないでしょう。

法学部以外であっても、4年制大学の卒業生であれば、法科大学院、あるいは法務研究科を設置している大学院に進学し、法律を専門的に学ぶ道もあります。

また、弁護士や司法書士など、法律関係の資格取得を目指すという方法もあり、法務として企業で働いている人の中には司法試験の受験経験者も少なくありません。

法務の資格・試験の難易度

国家資格取得は非常に難しい

国家資格よりまずは民間資格取得を目指す

最も有用なのは、弁護士や検事、裁判官になるための「法曹資格」です。

メーカーなどの技術系企業の場合は、特許を扱う「弁理士」の資格も非常に有効です。

「司法書士」や「行政書士」など、法律事務系の資格も便利ですし、「通関士」など貿易事務系の資格が役に立つ企業も多いでしょう。

こうした国家資格があれば、もちろん取得できれば社内で優遇されますが、取得難易度は非常に高く、働きながら合格することは至難の業です。

また、こうした資格を持つ人はそれらの資格を直接生かせる仕事につくことが多く、法務に就く人はまれです。

資格取得を目指すのであれば、まずは「ビジネス実務法務検定」などの民間資格から始めるのがよいでしょう。

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定は、ビジネスで必要とされる実践的な法律を学び、その知識を証明する資格です。

もともとこの資格は企業のニーズに応える形で創立された試験であり、就職・転職の際には非常に評価されやすい資格です。

近年では、推奨する企業も増えつつあり、法務を目指したい人やキャリアアップしたい人には最適な資格といえるでしょう。

内容は民法・商法(会社法)などがメインであるため、仕事をする上ではさまざまな場面で役立ちますし、法務に関わる業務に特化した、実践的な部分を集中的に学ぶことができます。

難易度は定められた級によって差がありますが、最も高度な知識を問われる1級の合格率はわずか1割程度しかありませんので、しっかりとした対策が必要です。

法務の給料・年収

一般的な社員と大きな差はない

資格次第で待遇がよくなることも

法務の仕事をしている人の給料や年収は、基本的には他の職種の人と大きな差はありません。

企業の規模や経営状態に応じて平均年収は異なりますが、中小企業の場合は年収400万円ほど、大手企業の場合は年収600万円ほどが目安となるでしょう。

法務と他の職種と給料に差が出ない理由としては、専門性が高い仕事とはいってもあくまでも企業や団体の社員として働いているので、賃金体系も他の社員と同じになるという事情があるのです。

ただし、企業によっては弁護士や司法書士などの資格を取得している人や、ビジネス実務法務検定などの検定合格者に資格手当を支給するケースもあり、この場合は他の職種よりも手当分収入が増えます。

外資系企業の場合は能力に応じて高収入になることが多く、年収1000万円以上を稼いでいる人もいるようです。

外資系の企業だと高収入を目指せる

法務の経験者のなかには、外資系の企業に転職する人もいます。

金融やIT関連などをはじめとした外資系の企業では一般的に給料が高く、能力に応じて年収1000万円ほどの収入を得ることもできます。

また、消費者とのトラブルや訴訟が多い国で商品を販売する企業にとっては優秀な法務スタッフを雇うことが経営のリスクを減らすことに直結します。

能力の高い法務スタッフを高収入で雇用することに積極的なケースも多く、「自分の能力を思いきり試してみたい」という人にとっては、外資系企業で仕事をするというのもひとつの選択肢でしょう。

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法務の現状と将来性・今後の見通し

情報化社会で法務の役割が増加傾向にある

近年ではIT化の波が進行し、SNSなどのインターネットを通じて、個人が気軽に情報を発信できる社会になりました。

これに伴い、企業の内情が暴露されたり、消費者対応についての情報が拡散されたり、根も葉もない誹謗中傷に晒されたりと、企業が抱えるリスクは増大しています。

「アルバイトが顧客情報を漏らした」「事実と異なる誇大な広告をしてしまった」などの事態が発生した際、対処を誤れば、企業は大きく利益や信用を損ない、ときに取り返しのつかないダメージを負うこともあります。

こうした時代の流れを受け、さまざまなトラブルに対処できるよう組織内に法律に精通したスタッフを置いておきたいと考える企業は増えており、今後さらに法務の需要は増してくると予想されます。

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法務の就職先・活躍の場

大企業と中小企業で業務内容は若干異なる

法務の仕事は、幅広い企業や組織で必要とされています。

法務担当者の仕事は、企業規模によってかなり異なります。

中小企業の場合、法務部は数人程度の小所帯であることが多く、「法務課」などの名称でほかの部の一セクションになっていたり、なかには社長自ら法務担当を兼務していたりすることもあります。

その一方、大手企業や外資系企業では、法務が非常に重要視され、法務部に多くのスタッフを配置しているケースが目立ちます。

法務部社員の仕事も、商事法務担当や訴訟法務担当など、一人一人に個別に役割分担がなされています。

なお、近年は法務体制の強化を推進する企業が増えているため、法務を手掛けたい人にとっては、チャンスが拡大している状況にあるといえるでしょう。

法務の1日

社内で大量のデスクワークに追われる

法務は、契約書のチェックや法律相談、社内勉強会の準備などがおもな仕事であり、日々のスケジュールの大半は事務作業です。

他部署との打ち合わせなどもこなしつつ、自席で大量のデスクワークをこなします。

とくに契約締結前には、深夜まで長時間残業に追われることも珍しくありません。

<メーカーで働く法務の1日>

8:00 出社、法務相談へのメール回答
8:30 部内ミーティング、情報共有
9:00 法務相談の受ける
10:00 契約書の作成
12:00 昼食休憩
13:00 リーガルチェック
15:00 役員会議の出席
16:00 コンプライアンス勉強会の資料作成
19:00 退社

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法務のやりがい、楽しさ

適法と違法の境界をつく

法務スタッフは、法的な観点に基づき、さまざまな案件を推し進めるのか、撤退するのかといった判断をしなければなりません。

持ち込まれた案件が明らかに合法、あるいは違法なら選択に迷うことはありませんが、少しでも怪しい点があるたびにストップをかけていたのでは、企業活動にとってマイナスになってしまいます。

企業の利益が最大化するように、適法と違法の境界線をついていくことが法務スタッフの仕事の醍醐味であり、また専門職としてのやりがいでもあります。

また、専門知識を駆使して、ほかの社員にはできない仕事を手掛けられることも、法務のやりがいです。

完璧な契約書が完成したときや、グレーな契約をどうにか修正して契約までこぎつけられたときなどは、法務ならではの達成感が味わえる瞬間といえるでしょう。

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法務のつらいこと、大変なこと

社内からの理解が得られにくい仕事

法務部は、社内で「守り」を手掛けることの多い部署であり、意見が衝突することもしばしばあります。

契約書の適法性を確認していく「リーガルチェック」と呼ばれる作業は、ひとつずつていねいに文言を確認していかなければならないため、作業完了までには相応の時間を要します。

一方、営業サイドは、チャンスを逃さないために一刻も早く契約を締結したい立場にありますので、しばしば法務スタッフとは対立することになります。

ときには人間関係がこじれて仕事が嫌になったり、自身の仕事に意義を見いだせなくなって、辞めてしまう人もいます。

また、修正事項などを指摘する際、その専門性の高さから理解してもらうための説明に困難が伴うことも、法務という仕事の大変な点です。

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法務に向いている人・適性

法律に興味関心があり、モラルがある人

法律やモラルに関心のある人

法務に向いているのは、なんといっても法律に対する関心が強く、「法律を使った仕事がしたい」という意思が明確な人です。

法務は企業のなかでもかなり特殊なポジションであり、人によって向き不向きがはっきりと分かれるため、日常生活のなかでも論理的な人が向いている傾向にあります。

法務は、クレーム処理や訴訟対応など、どちらかというと「後ろ向き」の仕事が多く、法的に正しい解決を図るという、仕事内容そのものに興味をもてないと難しい仕事です。

しっかりと法律を勉強するなどして、学生時代のうちに自身の適性をしっかりと見極めることが不可欠となるでしょう。

また、法務はコンプライアンス教育をすることも多いため、自分自身がモラルや倫理観をしっかりと持っていることが大切です。

社会の一員であることを常に意識し、自分よりも全体の利益を優先できる人、ルールを守ることを重視できるタイプの人は、法務向きといえるでしょう。

法令順守と企業利益のバランスを取れる人

法務は企業の内部に属する人間ですので、社員として企業の利益を最優先させなくてはならない立場にあります。

その一方で、行き過ぎた営業を止めたりして無用なトラブルを回避する、企業活動のブレーキとしての役割も担っています。

法律の境界とビジネスチャンス、その双方を天秤にかけてリスクマネジメントし、企業のために最適な判断を下せるバランス感覚に優れた人が、法務スタッフに向いているといえるでしょう。

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法務志望動機・目指すきっかけ

法律を学んだことが志望するきっかけに

法学部は多くの4年制大学に設けられており、文系学生にとっては一般的な進学先です。

大学で法律について学習し強い関心を持った人が、法律に関する専門知識を活かした仕事をしたいと法務を目指すことが多いようです。

逆にいうと、法律を勉強したことのない人が法務を志望するケースはほぼなく、志望したとしても、企業側が採用するケースは見られません。

また弁護士を志望して勉強していた人が、司法試験を断念し企業に就職するという道を選ぶケースもあります。

長い時間をかけ、努力して身につけた法律知識を生かせる仕事がしたいと、気持ちを切り替えて就職活動に挑むケースがよく見られます。

そうした人は既に法律について相当量の知識を有していますので、就職の際も有利になることが多いようです。

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法務の雇用形態・働き方

資格を取得して転職や独立する道も

法務として働く際には、正社員として採用されます。

企業の根幹にかかわる部分であり、専門的な知識を生かして働くため、アルバイトや契約社員などが仕事をすることはほぼありません

法務スタッフの中には、正社員として企業に勤めながら法律を勉強し、司法試験に合格する人もいます。

弁護士の資格があれば、勤めていた先を退職して弁護士事務所に転職したり、独立して事務所を開いたりすることができます。

企業の中で働いていた経験を活かして、企業の顧問弁護士になる人も少なくないようです。

独立すれば、企業勤めより困難が伴うかもしれませんが、そのリスクに見合った、サラリーマン時代を遥かに超える高給を得られる可能性もあります。

法務の勤務時間・休日・生活

企業によっては勤務時間が長引くこともある

法務の業務内容は企業によって大きく異なりますが、なかには過酷な職場になるケースもあります。

BtoBと呼ばれる企業間取引が多い企業の場合、締結する契約数自体が多く、それに伴って人手のかかる契約書チェックの業務量が膨大になります。

また海外企業との取引が多い場合、内容を確認する前にまず外国語で書かれた契約書の和訳作業に追われることになります。

こうした業務量に見合った法務部の人員が確保できていない場合、一人で何人分もの仕事量をこなさなければなりませんが、法務部は他の部署よりもこうした事態に陥りやすい傾向があるようです。

法務の求人・就職状況・需要

法務スタッフの需要は増加傾向

法務スタッフが取り扱う契約や取引に関する業務は、社会情勢や景気に左右されにくい一面があり、また業種や組織の規模なども関係ないため、安定的な需要が見込まれます。

加えて、昨今では企業のコンプライアンス遵守が重要視されるようになり、法務部を設置する企業は増加し続けています。

転職市場はかなり活況であり、実務経験のある即戦力者については、かなりの好待遇で採用されるケースも頻繁に見られます。

弁護士資格保有者が一般企業の法務部で会社員として働く、いわゆる「インハウスローヤー」も年々増えています。

法務専門部署のある企業は全体の7割に達したという調査結果もあり、今後ますます法務スタッフの求人数は増え、担うべき役割は大きくなっていくでしょう。

法務の転職状況・未経験採用

経験者は転職市場で引く手あまた

すでに別の企業で法務スタッフとして働いている人が、環境を変えて別の業務を手掛けるため、あるいは給料などの待遇面を改善させるために、別の企業の法務に転職するケースも珍しくありません。

法務スタッフの仕事内容は専門性が高いため、他の事務系の職種に比べると転職や再就職に強いといわれています。

実務経験があり、既に必要な法律知識を有している人は、即戦力として企業からの人気が高く、働き口を見つけるのに困る可能性は低いでしょう。

一方、未経験者は、専門職として働けるようになるためにはかなりの努力が必要です。

研修制度を設けているところもあるようですが、勉強して弁理士や司法書士、行政書士などの法律系国家資格を取得するか、あるいは社会人向けの法科大学院で学びなおすなどしなくてはなりません。

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