【2021年版】役員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「役員」とは

会社法上で、「取締役」「監査役」「会計参与」のいずれかの肩書きを持つ人のこと。

役員とは、会社法第329条において「取締役」「監査役」「会計参与」の3種類の肩書きをもつ人のことを意味します。

このうち、役員の代表格である取締役は、会社の経営方針を考え、決定していくことをおもな役割とします。

また、監査役は、取締役と会計参与の業務を監査する人、会計参与は、取締役と共同で株式会社の計算書類等を作成する人のことです。

一般の社員から役員へと出世できるのは、通常、現場での経験や実績を十分に積み、実力が認められた人です。

役員の給料は「役員報酬」という名称で、上場企業になると億単位にものぼりますが、中小企業では一般会社員の平均年収とさほど変わらないこともあります。

役員は会社経営における大きな責任を抱える大変なポジションですが、自ら会社の舵取りに参画できるやりがいがあり、実力によっては高く評価され、世の中に名を残すことができます。

「役員」の仕事紹介

役員の仕事内容

会社の経営方針を決定し、円滑な経営を行うための業務を担当する

役員とは、会社法という法律においては「取締役」「監査役」「会計参与」のいずれかの肩書きをもつ人のことをいいます。

役員の代表格である取締役は、会社の基本的な経営方針を考え、日常的な業務執行に関する意思決定を行う立場です。

取締役のなかでも対外的に会社を代表するのが「代表取締役」となります。

監査役は、取締役や会計参与の業務が法に反していないかや、社会常識に照らして著しく不当なものでないかなどをチェックする立場です。

会計参与は、取締役と共同して会社の計算書類などを作成する人のことで、このポストに就けるのは「公認会計士」「監査法人」「税理士」「税理士法人」といった会計のプロフェッショナルのみです。

会社における役員のミッション・役割

株式会社の最高意思決定機関は、会社のオーナーでもある「株主総会」です。

しかし、実際に日常的な業務判断を行っていくのは、現場に近い位置にいる取締役(会)です。

役員をどれだけ置く必要があるかは会社によって異なりますし、取締役会は、上場企業を含めた公開会社などを除けば設置義務はありません。

一般的に、規模の大きな上場企業ほど役員の数も多くなる傾向です。

取締役会の構成員となる役員は、会社と「委任契約」を結んで、経営のプロフェッショナルとして経営に参画します。

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役員になるには

大手企業で出世を重ねて役員を目指す

役員を目指すルートはいくつも考えられます。

ひとつの方法は、学校卒業後、新卒で入社した会社で出世を重ねていくことです。

ただし、実際に大企業で役員になれるのは1000人に1人ほどといわれ、非常に厳しい道のりといえます。

相当優秀であることはもちろん、大手企業では配属先も多岐にわたるため、順調にキャリアアップのルートに乗れるかはわかりません。

その時々の会社の状況や、運などの要素も多少は絡んでくると考えておくべきでしょう。

求められる学歴は会社ごとに異なりますが、昔ながらの大手企業の場合、一流大学の出身者など高学歴の人材が役員に選ばれやすい傾向が見られます。

引き抜きや起業で役員を目指すチャンスも

日本全国には数多くの企業があり、その99%以上は中小企業といわれています。

地方の規模の小さな会社では経営の後継者不足に悩むところも少なくないため、あえて大手以外の会社に入り、役員になるために努力する方法も考えられるでしょう。

また、比較的歴史が新しいベンチャー企業の場合は、年功序列よりも熱意やポテンシャルが重視されることが多く、20代など早くに役員になれるチャンスを掴める可能性があります。

役員になるために学歴をまったく気にしない企業もありますし、最近では大学に在学中、あるいは卒業後にすぐ自分で企業するケースも増えています。

自分で会社を立ち上げれば、すぐに役員になることが可能です。

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役員の学校・学費

大企業の役員を目指す場合は高学歴が有利

役員になるために、法律などで定められている学歴要件はありません。

ただし、歴史ある大企業の役員を目指す場合には、高学歴のほうが有利になるのは確かです。

大企業には難関大学出身の優秀な人材が多く集まり、出世競争も厳しくなるからです。

調査会社などが発表する「役員の出身大学ランキング」などでも、例年、上位にランクインするのは東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、京都大学、一橋大学などの著名な大学です。

一方、中小企業やベンチャー企業の場合は、必ずしも高学歴である必要はありません。

学歴よりも、会社への貢献度や行動力、すでに役員になっている人からの信頼感などが重視される傾向です。

ただし、どこで働くにしても経営やビジネスに対しての意欲は非常に重要であり、社会人になってから経営学を学ぶために大学院に通ったり、ビジネススクールでMBAを取得したりと勉強を続ける人も少なくありません。

役員の資格・試験の難易度

役員になれない人の条件を定めた欠格事由がある

役員になるために必須の国家資格などはありませんが、会社法では「役員になれない人の条件(欠格事由)」が定められているため、事前に確認しておきましょう。

役員には経営・ビジネス全般に対する深い理解が求められるため、それらについて主体的に学び、結果として資格取得まで目指す人は少なくありません。

役員におすすめの資格の種類

役員におすすめの資格は、大きく分けて「経営系」と「税務・会計系」のものがあります。

経営系の代表資格は「中小企業診断士」「MBA(経営学修士)」「経営士」です。

MBAは経営学の国際資格として有名であり、近年、日本人経営者が取得を目指すケースが増えています。

税務・会計系では「日商簿記検定」「公認会計士」「税理士」などが挙げられます。

役員は、自社のお金の動きを把握するのはもちろん、業界比較や取引先の財務を理解し、取引方針を最終決定しなくてはなりません。

これらの資格を取得しておくことで、各分野の専門家と話がしやすくなる面もあります。

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役員の給料・年収

業種や会社の規模で大きく異なる

役員に支払われる給料は、一般の従業員が労働の対価として受け取る「給与」とは異なり、「役員報酬」と呼ばれるものです。

役員報酬は、定款または株主総会で決議される事項のひとつとなっており、会社の経営状況や方針、利益見込みなどによって支給額が決まります。

トップクラスの上場企業における役員報酬は億単位にのぼり、さらに保有株による配当収入もあわせると、数十億円の報酬を得ている役員もいます。

しかし、自社の業績が悪い場合は、役員が責任をとって大幅減となる時もあります。

また中小企業の役員の報酬は、会社員の平均年収とそこまで変わらない場合もあります。

役員のボーナス、福利厚生

役員のボーナスは「役員賞与」と呼ばれます。

役員賞与の額は会社の規模や利益などによって違いますし、同じ会社の役員であっても、役位や職務、経験、実績などで差がつきます。

労務行政研究所による「2017年役員報酬・賞与等の最新実態」調査では、取締役の報酬月額は137万円・年間賞与は186万円、常勤監査役の報酬月額は113万円・年間賞与は32万円です。

なお、役員には原則として福利厚生がありませんが、従業員と同様の福利厚生が役員にも適用できるようにしている企業が多いです。

ただし、役員には「就業規則」が適用されないことから、残業手当などの手当は支給されず、雇用保険の適用外になるなど、従業員とはさまざまな違いがあります。

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役員の現状と将来性・今後の見通し

自ら経営に深く関わっていく重要な役割を担う

役員は、あらゆる業界・業種の会社で活躍することができます。

会社の規模や種類によって役員に求められることや、ビジネスの進め方などはだいぶ変わってくるといえます。

ただし、全般的にいえるのは、役員は会社の経営方針を考え決定する立場として、常に会社全体のことを理解しなくてはなりません。

加えてマーケットや市場環境の変動も考慮し、先を見越して意思決定できる人材が求められています。

役員は、従業員のように法律で守られる立場ではないため、ある意味では不安定な身分だといえますが、経営に参画でき、自ら会社の舵取りをできる刺激的なポジションです。

また、経営の高度な知識・スキルが備わり、実績を積み上げていけば、別の会社からよい条件でヘッドハンティングされたり、自分で起業したりする道も開けます。

経営に対する意欲が強く、熱意あふれる人にとっては、未来に希望をもてる仕事だといえるでしょう。

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役員の就職先・活躍の場

あらゆる会社で活躍できる可能性がある

役員というポジションは、すべての会社に存在する役職です。

1人で起業する場合は、本人が役員になればよいですが、上場企業では取締役の人数が「最低3名以上」という決まりになっています。

会社の規模が大きくなるほど多数の役員が置かれることが多く、それだけ役員になれる優秀な人材が求められています。

新卒社員から順調に出世を重ねて役員に上り詰める人もいますし、別の会社でビジネスパーソンとして優秀な成果を残した人が、引き抜きで別会社の役員になるようなケースもあります。

ただし、規模の小さなオーナー企業の場合、役員は親族中心に構成されており、一般社員が目指すのは難しい場合もあります。

役員の1日

毎日スケジュールが詰まっている役員も多い

役員の仕事の進め方は人によってまったく異なりますが、全体としては忙しく働くことが多いです。

従業員とは異なり、誰かの指示で動くというよりも、リーダー層の社員から事業の進捗状況などの報告を受けるような過ごし方が中心となります。

立場によっては各地への出張が続くこともあります。

ここでは、上場企業の役員のある1日を紹介します。

7:00 出社
ラッシュ時刻を避けて出勤。
7:15 デスクワーク(メールチェックなど)
オフィスが静かな早朝に集中して仕事を進めます。
9:00 会議
役員は毎日、多くの会議に出席します。午前中だけで3~4の会議が入ることも。
13:00 ランチミーティング
14:30 外出(銀行との面談)
18:00 出張準備
19:00 会食
取引先の役員や幹部クラスの人との会食が入ることも。

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役員のやりがい、楽しさ

会社の未来を自分で考えていけること

役員を務めることの醍醐味は、なんといっても自分の意思や考え方が、会社経営に反映されることです。

会社の未来をつくるための経営方針をほかの役員と共に考え、決定していけることにやりがいを感じる人が多いです。

大切な従業員を育てながらプロジェクトを動かして会社を成長させる日々は刺激的です。

経営がうまくいって業績が伸びたり、外部からの評判がよくなったりすると、非常に大きな達成感や充実感が得られます。

また、役員は一般社員とは異なる立場でビジネスの世界に関わっていくため、そこで新たに生まれる人間関係に魅力を感じる人も多いです。

各界の著名人や、他者の優秀な経営者との出会いに恵まれれば、よりいっそう役員としてのモチベーションが高まっていくでしょう。

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役員のつらいこと、大変なこと

従業員よりも圧倒的に重い責任を抱えなくてはならない

役員は、社会的に高く評価されやすかったり、高収入が得られたりする可能性がありますが、その反面、大変な部分もたくさん抱えています。

たとえば、会社に対して抱える責任が圧倒的に重くなることです。

取締役などの役員は、株主や従業員、取引先などへの責任を負うことが求められます。

一般社員であれば、少し仕事でミスをして叱責されたとしても、会社全体の大問題に発展することはありません。

しかし、役員になるとさまざまな法的義務が発生し、もし自身の行為に問題があって会社が倒産した場合には、第三者に生じた損害賠償の責任も問われます。

また、直接的に自分がしたことではなくても、結果的に会社での業績悪化や不祥事などが起きてしまった場合には、役員が責任を取って辞任したり、降格させられたりする可能性があります。

その他の面でも、従業員とは異なる立場や意識で働かなくてはならないため、その責任の重さはよく自覚しておく必要があります。

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役員に向いている人・適性

攻めも守りも苦にせず、ストレス耐性が強い人

一般社員であれば、いちプレーヤーとして、営業成績や開発技術がよいだけで評価されることが多いです。

しかし、役員は自分の仕事や目先の利益だけを考えて行動するのではなく、会社全体や、自社が世間に与える影響度合いなどを常に考えて行動しなくてはなりません。

ときには攻めた経営で周囲があっと驚くような判断を下すこともありますし、またときには、会社にとってマイナスの影響がありそうなものについては、速やかに手を引くなどの行動をとることもあります。

攻めも守りもバランスよくこなし、従業員に対して的確な指示を出せる人が経営のトップに立つ役員に向いているといえます。

同時に、役員の立場に就くと非常にストレスフルな日々となるため、メンタルが安定しており、壁にぶつかってもすぐに気持ちを切り替えて別の道を模索できるような人に適しています。

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役員志望動機・目指すきっかけ

自らが経営に携わりたい気持ちがきっかけに

役員を目指す人は、もともと誰かに指示されてあくせく動くことをあまり好まず、「自らが責任をもって仕事をしたい」「会社の中心人物になりたい」といった気持ちを抱いていることが多いです。

若いうちはそこまで仕事に対する熱意がなくても、働くうちに意識が変わり、どんどん上のポストを目指したいという意欲が沸き起こる人もいます。

一方、社会人になる前から将来は役員を目指している人は、どうやったら仕事をより効率的に進められるか、どうやったら会社がよくなるかということを常に考えて、同僚に負けない努力をしていることも多いです。

いずれにせよ、役員は抱える責任が重く、中途半端な気持ちで務まる仕事ではありません。

役員になりたい気持ちが固まってきたら、経営に関わる立場に就く覚悟と、モチベーションを保つ必要があります。

役員の雇用形態・働き方

一般の従業員とは異なる立場になる

役員は、会社と雇用契約や労働関係を結ぶ一般の従業員とは異なり、会社と結ぶ「委任契約・準委任契約」という契約に基づいて働きます。

このため、労働基準法は適用されず、各企業が定める「役員規程」に沿って動くことが特徴です。

通常、役員規程では勤務時間が定められていませんし、労災・雇用保険にも加入できません。

役員は抱える責任の重さや、それまでに築いてきたキャリアや能力などから高く評価されてよい待遇で契約を結ぶことが多いですが、従業員のようには守られておらず、不安定といえる面があるのも事実です。

なお、会社のなかでも「執行役員」という役職の場合は、会社法では役員ではなく従業員にあたります。

役員の勤務時間・休日・生活

自己裁量で仕事を進めるが、忙しく働く人が多い

役員は、各社の役員規程という社内ルールに沿って仕事をしており、従業員のように明確な勤務時間が定められていない場合がほとんどです。

このため、会社に何かが起これば昼夜関係なく働かなくてはなりませんし、休みも会社の状況を優先しながら取得します。

同じ役員でも人によって忙しさは異なりますが、早朝から夜遅くまで働くこともありますし、夜にはビジネス関係者との会食が多かったり、土日はゴルフ接待や取引先の行事に参加したりと、ゆっくり休まるときはなかなかありません。

役員になると、すべては会社が円滑に動くために行動する必要があります。

自己裁量が大きく、従業員とは異なる自由も得られますが、手を抜けば自分に責任が返ってきてしまうため、どうしてもバタバタとするケースが多いです。

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役員の求人・就職状況・需要

実績や能力がある人は多くの企業で歓迎される

役員になるための資格試験などはないため、誰でも熱意さえあれば自分で起業をして役員になることが可能です。

実際に学生時代にベンチャーを立ち上げて、そのまま経営者としてビジネスの世界で活躍する人も決して少なくありません。

とはいえ、役員は経営者としてビジネス全般の幅広い知識が求められますし、営業や財務、マネジメントなどの経験がおおいに役立ちます。

このため、民間企業で役員を募集する場合には、豊富な社会人経験と幅広いビジネスの知識・スキルをもつ人材が歓迎されます。

大企業では、新卒入社後、役員にまで上り詰めるのに20年、30年とかかることもめずらしくありませんが、中小企業やベンチャー企業であれば、能力次第でもっと若いうちに役員になれる可能性はあります。

役員の転職状況・未経験採用

関係者の紹介や人脈で転職をする役員が多い

役員経験者であれば、比較的転職はしやすく、役員経験者向けの転職サイトやヘッドハンティングもあります。

自分のスキルアップや報酬アップのために、より規模の大きい会社への転職を目指す人も多いのではないでしょうか。

役員未経験でいきなり大手企業の役員に抜擢されるのは正直難しいですが、逆に大手企業の支店長や部長クラスの人材が中小企業の役員に選ばれるということは考えられるでしょう。

実際にメガバンクの銀行員が出向先で役員になるというケースはよくあります。

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役員の種類

会社法上の役員は3種類

会社の設立や組織、運営管理について定めた「会社法」においては、役員とは「取締役」「監査役」「会計参与」の3種類を指しています。

また会社法上において「役員等」と「等」が付く場合は、上記3つの肩書きに加えて「執行役」と「会計監査人」も含まれます。

会社法上の役員は会社の機関でもあり、会社経営に関する重要事項の決定や、運営方針を定めていくことを役割としています。

なかでも取締役は「社長」や「会長」など、肩書きをつけている役職者が就くことが多いです。

法人税法上の「みなし役員」

法人税法上の役員にあたる人は「みなし役員」と呼ばれ、こちらに該当するには「法人の使用人以外の人で、その法人経営に従事している人」などの条件があります。

会社法上の役員よりも範囲が広いことが特徴で、たとえば役員として登記されていない会長や相談役、顧問などが該当するケースがあります。

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専務と常務の違い

役割は各社で異なるが、専務はより社長に近い立場となるのが一般的

「専務」と「常務」は、どちらも法律で定められている役位や肩書きではなく、あくまでも会社内でのポジション、役割を示した呼称のひとつです。

このため、実際の専務や常務の役割および仕事内容は会社ごとに異なりますが、一般的には以下のような立場で活躍することが多いです。

・専務:会社の意思決定を行う社長の補佐役を務め、会社の管理や監督業務を行う
・常務:日常業務の執行と、社長の補佐役を務める

専務は経営に携わる社長により近い立場で、一方の常務はどちらかといえば日常業務を進める従業員に近い立場に位置づけられます。

社長がトップとなり、副社長が不在の会社では、専務はナンバー2のポジションとしてみなされることもあります。

専務や常務の肩書き自体は役員ではありませんが、「取締役」に任じられた場合は会社法上の役員となります。

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