電車運転士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「電車運転士」とは

高度な技術で電車を動かす。車内の点検や整備にも責任を持ち、安全な運行を実現する。

電車運転士の仕事は、JRや私鉄など、さまざまな鉄道会社に所属し、その会社が保有する電車の運転をすることです。

鉄道会社への入社後は駅員や車掌を数年経験し、その後、訓練を受けて電車運転士の道に進むことができます。

電車の運転は「職人技」ともいわれており、特殊な技術を習得しなくてはなりません。

また、たとえば同じ車両でも気象条件や乗車率によって微妙にブレーキのかけ方を変えるなど、状況に応じた判断力と集中力が求められます。

日本の電車は厳密な「ダイヤ」に沿って運行されており、電車運転士は秒単位で細かく時間を気にしながら、電車の正確で安全な運行に責任をもちます。

出発前の点検作業や到着後の報告・事故の対応なども重要な業務の一部です。

学歴はとくに問われませんが、工業高校や商業高校の卒業生の採用実績が多くなっています。

待遇は安定していますが、都市部の大手鉄道会社と地方の鉄道会社とでは給料に大きな開きが出ることも珍しくありません。

「電車運転士」の仕事紹介

電車運転士の仕事内容

安全かつ正確に電車の運転をする

電車運転士の仕事は、電車の運転をすることです。

電車の運転は「職人技」ともいわれており、高度な技術を習得しなくてはなりません。

たとえば同じ車両でも気象条件や乗車率によって微妙にブレーキのかけ方を変えるなど、状況に応じた判断力と集中力が求められます。

また、日本の電車は厳密に定められたダイヤがあるため、常に時間を意識し、秒刻みで正確に運転しなくてはなりません。

高い技術を身につけて安全な運転を心がけ、乗客を目的地まで無事に運ぶことが電車運転士の役割です。

電車の点検や事故対応も重要

電車運転士の仕事は、直接的に運転をすることだけではありません。

たとえば出発前の点検作業や到着後の報告・事故の対応なども重要な業務の一部です。

万が一、人身事故や車内での急病人発生などのトラブルが起こった際には、冷静に事態を把握して判断を下す必要もあります。

鉄道会社の一員として、乗客への真摯で丁寧な対応や、適切なサービスも求められます。

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電車運転士になるには

鉄道会社へ就職後、駅員や車掌を経験して運転士へ

電車運転士になるには、いくつかの段階を経る必要があります。

最初のステップは、学校を卒業後に各鉄道会社への就職を目指すことです。

運転士は「現業職」といわれる区分で採用されるのが一般的です。

ただし新卒や未経験者はいきなり運転士として働けるわけではなく、まず駅員や車掌の仕事を数年経験します。

働きながら鉄道業界の仕組みや電車運行に関する知識を深めていき、乗客への対応力なども高めます。

その後、社内試験に合格することによって電車運転士の研修を受けることができます。

現業職は高卒で就職する人も

鉄道会社における現業職の採用では、高学歴は求められないものの、「高卒以上」であることが応募資格になることが多いです。

大卒からでも運転士を目指すのは不可能ではありませんが、大卒の人は「総合職」として採用され、本社勤務で幅広い業務を経験しながら幹部を目指していくキャリアパスが一般的です。

一方、運転士をはじめとする現業職は、工業高校や商業高校の人の採用が多くなっています。

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電車運転士の学校・学費

採用実績がある高校には直接求人が届くことも

運転士をはじめとする「現業職」を志望する場合、高校卒業後に、そのまま鉄道会社への就職を目指す人が多いです。

大学から現業職に就くのは100%不可能というわけではありませんが、高卒者の採用枠のほうが大きな鉄道会社が多くなっています。

大卒者は総合職として本社勤務の配属になるケースが多いため、確実に現業職一本で考えている人は、高校から就職を考えるのが一般的です。

高校の種類はとくに問われませんが、工業高校、あるいは通称「鉄道学校」といわれる種類の高校への進学者が多いです。

鉄道学校に分類されるのは、東京の岩倉高校(運輸科)と、昭和鉄道高校(鉄道科)の2校のみとなっています。

このような学校では鉄道会社の採用実績が多いため、高校にも直接求人が届きます。

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電車運転士の資格・試験の難易度

運転士として実際に働く際には特殊な資格が必要

電車運転士を目指す人は、鉄道会社への就職後に、数年間ほど駅員や車掌の仕事を経験しながら知識と技術を深めていきます。

実務に必要なことは入社後に学べるため、就職の時点で特別な資格が求められることはありません。

その後、現場で車掌などの経験を積んで、いざ運転士を目指すタイミングになると、電車の運転に関する専門的な国家資格「動力車操縦者運転免許」を取得しなくてはなりません。

この資格は運転する電車の種類に応じて、さまざまな種類に分かれています。

運転士の志望者は、所定の養成所で4カ月程度の訓練を受けたあと、各鉄道会社で資格試験を受験し、取得を目指すのが一般的な流れです。

電車運転士の給料・年収

勤務する鉄道会社によって収入に差が出る

電車運転士の給料は、勤務する鉄道会社の規模や、経験年数などによって、比較的大きな差が出やすくなっています。

一般的に、地方の小さな鉄道会社よりも、都市部の大手鉄道会社(JRや私鉄など)のほうが給与水準は高い傾向です。

都市部の大手鉄道会社では平均年収600万円程度ですが、地方の私鉄では400万円程度になる場合もあります。

鉄道会社は年功序列の要素が残っているところが多いため年齢とともに収入アップしやすく、50代~55歳くらいで年収のピークを迎える人が多いようです。

より高度な運転技術を要する新幹線の運転士になれば、在来線で働くよりも給料は上がります。

大手は福利厚生が充実している企業が多い

大手の鉄道会社は、福利厚生も充実しています。

たとえばJR各社や大手私鉄では、各種社会保険完備をはじめ、各種慶弔金制度、保養所の利用なども可能です。

また、社員寮や社宅制度、病院などの施設を備えている鉄道会社もあります。

職場によってはやや不規則な勤務体系になりますが、残業手当や休日勤務手当なども支給され、待遇面は比較的安定しています。

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電車運転士の現状と将来性・今後の見通し

社員の一人としての強い自覚が求められる

鉄道各社では、「団塊の世代」の電車運転士が多く退職したことにより、若手電車運転士の育成が急務となっています。

しばらく安定した採用が続きそうですが、自社で育成するコストを省くために、経験のある運転士を中途採用する会社も増えています。

電車運転士は、未経験から1年や2年でなれる職業ではありません。

新卒で電車運転士を目指す人は、まず駅員や車掌として地道に経験を積んでいき、厳しい訓練や勉強をしっかりと乗り越える努力が不可欠です。

関連事業に手を広げる鉄道会社も

近年、鉄道会社では自社の沿線そのものを活性化させようと、不動産や飲食業、流通サービスなどの関連事業も手がけて、他社との差別化を目指しているところが増えています。

沿線に人が増えれば、それだけ鉄道の利用者数も増えていくからです。

鉄道会社も昔よりもずっと競争が厳しくなっており、とくに地方では赤字に悩む会社も増えてきています。

そうしたなか、電車運転士にも社員の一人として、よりいっそう強い自覚が求められています。

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電車運転士の就職先・活躍の場

日本全国に大小さまざまな鉄道会社がある

電車運転士の就職先は、日本全国の鉄道会社です。

この仕事は個人で働ける類のものではないため、必ず鉄道会社に就職し、その会社が動かす電車を運転することになります。

鉄道会社は、JRグループのような大きな会社から、地域密着型の私鉄、また地方の小さな会社まで数多くあります。

このほか、国や地方公共団体と民間が共同出資して設立している「第三セクター」と呼ばれる鉄道もあります。

基本的に、規模が大きく、乗客数が多い都市圏の電車を動かす鉄道会社ほど、そこで働く電車運転士の人数も多くなります。

電車運転士の1日

事前に決められた業務スケジュールに沿って働く

運転士は、自分が担当する運転区にて「仕業表」といわれる勤務スケジュールに沿って乗務を行います。

基本的には「泊まり」「明け」「日勤」「休み」を繰り返しながら働きます。

休憩や仮眠を挟みながら丸一日働く日もあれば、朝から夕方まで働く日、あるいは早朝からお昼過ぎまで働く日など、日によって勤務時間は異なります。

ここでは、ある鉄道会社で働く泊まりの日の電車運転士の1日を紹介します。

9:30 出勤
10:00 出発点呼
10:30 乗務
11:30 交代
11:45 休憩
12:00 乗務
21:30 勤務終了・帰社
22:30 帰着点呼
23:00 仮眠
4:00 起床
4:30 出発点呼
4:45 出庫点検
5:00 乗務
6:00 休憩
9:00 帰着点呼・退勤

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電車運転士のやりがい、楽しさ

社会と人々の役に立つ誇りを感じられる

電車運転士になる人は、子どもの頃から電車が好きだった人や、電車運転士に強い憧れを抱いていた人が多いです。

勉強を重ねていき、見事自分が電車運転士となれた際には、大きな電車を自分の手で動かしていくことに興奮と感動を覚えるでしょう。

今度は、子どもたちから憧れられる存在になることができます。

また、電車は人々の交通手段の一つとして、なくてはならないものです。

公共性の高い仕事に携わり、多くの人の役に立てる実感や誇りを味わいやすいのも、この仕事の魅力といえるでしょう。

カッコいい制服を着こなして、正確かつ安全に電車を動かす使命感をもち、イキイキと働いている電車運転士が多くいます。

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電車運転士のつらいこと、大変なこと

常に「安全」に対する責任の重さを感じながら働く

電車運転士の仕事は、想像以上に責任の重いものです。

電車には必ずダイヤが設定されており、その時間に沿って、正確に電車を動かさなくてはなりません。

そのためには「秒単位」で時間を意識しなくてはなりませんし、万が一、大幅に遅れてしまえば重大問題として扱われることになります。

電車運転士は、お客さまからも姿が見えるところで働いていることが多いため、ときには直接怒りやクレームをぶつけられることもあります。

多くの人から見られる立場である、そして多くの人の生活を支えていることをしっかりと理解し、仕事に真剣に向き合う必要があります。

また、電車運転士の多くは、日勤だけでなく泊まりの日もあるなどやや不規則な生活になりやすく、体力的に大変な面もあります。

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電車運転士に向いている人・適性

集中力があり、落ち着いて判断ができる人

電車運転士の仕事では、強い集中力が求められます。

乗務中は自分の好き勝手に休憩をとることができず、常に気を張って電車を安全に動かさなくてはならないからです。

同時に、周囲の状況に変化がないかや、線路上やホームに異常がないかなどにも気を配る必要があります。

やるべきことに集中しつつも、落ち着いて周りを見て、冷静な判断ができるかどうかが重視される仕事です。

また、電車運転士は勤務体系がやや不規則になりがちです。

そのような環境でも、体調管理には十分に気をつけて、毎日できるだけ健康的な状態で運転をすることが望まれます。

オンオフの切り替えがしっかりできる人や、自分で生活をきちんと管理できる人も、電車運転士としての適性の一つを兼ね備えているといえるでしょう。

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電車運転士志望動機・目指すきっかけ

「電車が好きだから」だけでは合格は難しい

電車運転士を志望する人の多くは、「子どもの頃から電車を見たり、電車に乗ったりするのが好きだった」「電車運転士の姿に憧れて」などの思いを抱いています。

もちろん「好き」がきっかけで、なりたい職業が決まるのは素晴らしいことです。

ただ、いざ鉄道会社の採用試験を受ける際には「電車が好き」という志望動機だけでは、なかなか合格は難しいでしょう。

ライバルに差をつけるためには「自分が目指す運転士の姿」「お客さまに対して提供したいサービス」などを、しっかりと考えていきましょう。

また、志望する鉄道会社の特徴をよく調べて、「その鉄道会社の魅力」や「その鉄道会社の社員になりたい理由」までしっかりと伝えられると好印象を与えられます。

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電車運転士の雇用形態・働き方

新卒は正社員が基本、中途は契約社員として働く人も

鉄道会社で働く電車運転士の雇用形態は、正社員が基本です。

とくに高校などを出てすぐに就職した新卒者の場合には、正社員として雇用されることが多くなっています。

電車運転士は誰もが簡単になれる職業ではなく、入社後は駅員や車掌としての一定の経験も必要です。

専門的な訓練や、免許が必要であることから、安定した待遇で働けるケースが多いです。

ただ、中途採用で入社する場合には、必ず正社員として採用されるとは限りません。

会社によっては、中途採用の場合は契約社員としての雇用となることもあります。

その場合は一定期間ごとに契約を更新するため、正社員に比べると待遇面ではやや不安定になりがちです。

ただ、ある程度の経験を積んだり、勤務態度がよかったりすれば正社員になれるチャンスを用意している会社もあります。

電車運転士の勤務時間・休日・生活

日によって異なる勤務表に沿って働く

電車運転士の勤務時間は一定ではなく、シフト制となっています。

一般的には「泊まり、明け、日勤、休日」を繰り返す形となります。

深夜運転は行わない電車も多くありますが、終電の運行、また始発の運行に間に合わせるために、泊まりの日も発生します。

加えて、乗務を予定している運転士の急な体調不良などに備え、出勤をして待機する「予備交番」の日もあります。

休日については、駅や電車は年中無休であることから、必ずしも土日に休めるわけではありません。

また、世間一般が長期休暇となるゴールデンウィークやお盆、年末年始などは繁忙期となり忙しくなりがちです。

ただし、電車運転士の仕事は人の命を預かる責任あるもので、高い集中力を要することから、休憩や休日はきちんと定められています。

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電車運転士の求人・就職状況・需要

新卒者は「現業職」として採用が行われるのが一般的

学校を出たばかりの人や、鉄道業界未経験者が、いきなり電車運転士として採用されることは、まずありません。

こうした人たちは、まず「現業職」として鉄道会社へ入社し、駅員や車掌として経験を積んでいきます。

JRや私鉄の大手鉄道会社では、定期的に現業職の社員採用が行われています。

現業職の採用は、高卒者の割合が大きいことが特徴です。

大きな会社ほど採用人数も多めですが、赤字によるコスト削減が命題となっている会社も多く、募集人員が劇的に増えるといったことは考えにくいでしょう。

入社後、駅員や車掌として数年間の経験を積むことは必須ですが、ここ最近は若手を早くから積極的に育てたいという傾向が見られます。

努力次第で比較的早いうちに運転士にステップアップできるチャンスが得られるかもしれません。

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電車運転士の転職状況・未経験採用

未経験者でも転職できるチャンスはある

鉄道各社では、新卒の若い人材の採用だけでなく、他の会社で社会人経験を積んだ転職者向けの中途採用も行っています。

電車運転士を一から育て上げるには多額のコストや時間がかかるため、すでに電車運転士の免許や経験があり、即戦力となれる人材を求める会社は少なくありません。

経験者であれば、年齢はそこまで意識せずに転職しやすいでしょう。

一方、完全な未経験からの転職の場合は、ややハードルが高めと考えておくべきです。

未経験でも採用の可能性はゼロではありませんが、採用後には新卒社員と同様、駅員と車掌の経験を最低でも3年から5年は積まなくてはなりません。

したがって、できるだけ若い人のほうが好まれます。

転職時の年齢はできれば30歳程度が理想ですが、近年は人材不足の面から40歳くらいまで、あるいは年齢不問で応募できる鉄道会社も出てきています。

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新幹線の運転士になるには

在来線の運転士として経験を積み、特殊な免許を取得する

新幹線の運転士には、在来線の運転士とは異なる経験や技術が求められます。

そのため、新人の電車運転士がいきなり新幹線を運転することはできません。

新幹線の運転士を目指す場合、まずは新幹線を運行する鉄道会社へ現業職として入社します。

そして駅員や車掌を経験し、社内試験に合格して「動力車操縦者免許」を取得します。

その後は在来線の運転士として数年間の経験を積み、新幹線運転士の選抜試験に合格し「甲種新幹線電気車免許」を取得することで、ようやく新幹線を運転できるようになります。

現在の新幹線にはハイテクな自動運転機能が搭載されていますが、運転士はそれを正しく扱うことはもちろん、状況に応じて的確な判断できる力を養わなくてはなりません。

新幹線の運転士を目指す場合には、運転士としての高い意欲を持ち続け、選抜試験合格のために努力を続ける姿勢が不可欠です。

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