「美容部員」とは

高度なメイクテクニックや接客スキルを持つ、化粧品販売のプロフェッショナル。
美容部員は、百貨店の化粧品売り場やドラッグストアなどで、さまざまな化粧品の販売をする仕事です。
来店したお客さまの肌や髪に関する悩みのカウンセリングを行いながら、その方に適した商品をお薦めし、できるだけ多くの商品を販売することを役目とします。
なるために特別な学歴や資格は必要とされませんが、美容部員のカウンセリング能力やメイクのテクニックが売り上げを決めるうえでの大きな要因となるため、ヘアメイクの専門学校を卒業してこの仕事に就く人もいます。
給料は正社員だと月給20万円前後、アルバイトは時給800円〜1200円程度が相場となっています。
ドラッグストアや雑貨店など化粧品を扱う店舗の種類が増えており、美容部員の活躍の場も広がっていますが、正社員としての求人は決して多くないため、雇用の安定性や自身のライフプランをよく考えて就職先を探す必要があるでしょう。
「美容部員」の仕事紹介
美容部員の仕事内容
お客さまの悩みやニーズに合わせた化粧品を販売する
美容部員は、ファンデーションやアイシャドウ、シャンプー、マニキュアなど、さまざまな化粧品の販売をする仕事です。
「ビューティアドバイザー(BA)」と呼ばれることもあります。
お客さまの肌の悩みや好みを聞き出すために「カウンセリング」をし、その方のファッションや髪型などに合わせ、季節感や流行を取り入れながら最適な化粧品をチョイスします。
接客以外に、商品の陳列や在庫確認、発注作業などさまざまな業務を担当しますが、来店したお客さまに化粧品をお勧めして買っていただき、店の売上アップに貢献することが美容部員の大きな役目です。
美容部員の就職先・活躍の場
化粧品を扱う百貨店や各種店舗で働く
美容部員のおもな活躍の場は、百貨店や駅ビルなどの化粧品売り場からドラッグストアまで多岐にわたります。
どのような職場でも、正社員や契約社員、アルバイト・パートなど、雇用されて働くのが一般的です。
就職後は社内研修を受けて接客技術やスキンケアやメイクの方法、商品知識などを身につけ、店頭に立つことになります。
この仕事では個々のスキルが売上に直結しやすいため、実力のある美容部員は重宝されるでしょう。
美容部員の1日
勤務先の営業時間に合わせて働く
美容部員の出勤時間は、一般的に百貨店や駅ビルなどの店舗の開業時間に合わせて10時から20時ごろです。
営業時間が長い職場では、「早番」「遅番」などのシフト制勤務となることも多く、複数のスタッフで交代勤務となることが多いです。
09:30 出社・店内清掃や商品の陳列状況などを確認
09:50 朝礼
10:00 店舗開店・接客開始・在庫チェックや商品の発注、ダイレクトメールの送信
14:00 昼食
15:00 午後の接客
20:00 店舗閉店・レジ締めや清掃などの閉店作業
美容部員になるには
ヘアメイクを専門的に学んでから就職する人も
「美容部員」になるために、決められた学校で学んだり何か免許や資格を取得する必要はありません。
化粧品に関する知識や、メイクのテクニック、接客ができるコミュニケーション能力があれば、誰でも美容部員になることが可能です。
しかし、実際には美容部員のメイクのテクニックは顧客数や売り上げに直結するほど重要なものなので、高いスキルが求められます。
そのため、まずはヘアメイクの専門学校で勉強してから、化粧品メーカーや百貨店などへの就職を目指していく人も多くなっています。
美容部員の学校・学費
美容専門学校や民間のスクールがある
美容部員に関連する勉強ができる学校として、美容専門学校が挙げられます。
美容部員向けの学科やコースとしては、「ビューティーコンサルタント科」「美容学科」「トータルビューティー科」といったものがあり、美容の基礎からメイクテクニック、エステ技術、ホスピタリティなどまで幅広く学びます。
専門学校では年間100万円程度の学費がかかることが多いですが、もっと手軽に学びたいのであれば民間のスクールや講座を利用する方法もあります。
美容部員の資格・試験の難易度
メイクに関するさまざまな民間資格がある
美容部員になるために特別な資格は必要ありません。
ただし、メイクやスキンケアに関する幅広い知識や接客スキル、カウンセリング方法などを身につけていることを証明するために、「日本化粧品検定」や「メイクアップ技術検定」などを取得する人もいます。
これらの資格取得を目指すためには、講座で学ぶなどの計画的な勉強が必要なものもありますが、こうした資格があると一定の技術が身についたということで、就職活動時にも企業にアピールしやすく、有利になる場合もあります。
美容部員の給料・年収
売上成績に応じたインセンティブがつく職場もある
美容部員の給料は、雇用形態や勤務先によっても大きく異なりますが、スタート時の給料は、正社員であれば月給20万円から、契約社員であれば月給15万円から20万円、アルバイトであれば時給850円から1,200円程度になることが多いようです。
「店舗マネージャー」「新人教育係」などの肩書がつけば、給料はアップしていくでしょう。
会社によってはインセンティブ制度が設けられており、個人の売上成績によって特別ボーナスのようなお金がもらえることがあります。
美容部員のやりがい、楽しさ
大好きなメイクや化粧品に関わっていけること
美容部員の仕事の魅力のひとつは、いつも流行のメイクやスキンケアを追いかける楽しみを味わうことができるところです。
メイクやスキンケアのテクニックを習得することもできるため、「メイクをするのが大好き」「化粧品に興味がある」という人にとっては、好きなことを仕事に直結させられる喜びを感じられるでしょう。
また、自分が好きなメイクや化粧品を通して、多くの女性に笑顔を届けられることは美容部員のやりがいとなります。
美容部員のつらいこと、大変なこと
ただ華やかなだけの仕事ではない
美容部員は、勤務する店舗や雇用形態によっては、個人に売上の目標が課せられるケースがあります。
目標を達成できなくてもすぐに減給やクビになるということではありませんが、自分だけ売上に貢献できていないと肩身の狭い思いをするかもしれません。
また、この仕事は華やかそうに見えて、じつは立ちっぱなしで体力勝負の一面もあります。
どんなに疲れていてもお客さまの前では笑顔でいなくてはならないのは、美容部員の大変なところです。
美容部員に向いている人・適性
人が好きで、美への探求心を持ち続けられる人
美容部員は、世の中の流行に敏感で、つねに美への探求心を持ち続けることができる人に向いている仕事です。
女性のファッションやヘアメイクの流行はめまぐるしく変化するものなので、トレンドをキャッチして仕事に生かしていく姿勢が不可欠です。
また、この仕事では単にメイクアップの技術があるだけではなく、お客さまとのコミュニケーションやカウンセリングの時間が重要な要素となってきます。
人との対話を大事にでき、相手が何を望んでいるのかを掴み取ることが得意な人も、美容部員には向いています。
美容部員志望動機・目指すきっかけ
化粧品が好きで、人にアドバイスをすることに喜びを感じる
美容部員を目指す人のほとんどが、「自分自身メイクや化粧品が大好き」という思いを持っているようです。
ただし、この仕事はあくまでも「化粧品販売のスペシャリスト」であるため、お客さまに対するカウンセリング技術や高度なサービスのスキルも求められます。
そのため、化粧品が好きなことは大前提として、人と接することが好きだったり、人にアドバイスをすることに喜びを感じられるような人が、美容部員になるケースが目立ちます。
美容部員の雇用形態・働き方
化粧品メーカーに勤めるか、特定の店舗に就職するか
美容部員の働き方としては、大きく分けると「特定の化粧品メーカーに就職する」場合と「百貨店や駅ビルやドラッグストアのような特定の店舗に就職する」場合の2種類があります。
どちらの場合も雇用形態はさまざまですが、正社員になれる人は少数で、契約社員やアルバイトでの採用が多いようです。
ただし、売上成績がよいと、アルバイトから正社員にステップアップできるチャンスを得られることがあるようです。
美容部員の勤務時間・休日・生活
店舗の開業時間にあわせて出勤
美容部員の出勤時間は、百貨店や駅ビルなどの店舗の開業時間によって決まってきます。
都心の百貨店やドラッグストアは遅い時間まで営業していることが多いため、20時や21時頃まで店頭に立つ場合もあります。
営業時間が長い店や定休日がない店では、複数の美容部員が交代で働くシフト制となるのが一般的です。
新商品の発売時期には商品の入れ替え作業なども増えるため、残業が発生することがあるようです。
美容部員の求人・就職状況・需要
正社員として採用されるのは難しい
美容部員の求人の特徴として、正社員の募集は少なく、契約社員やアルバイトとしての雇用が多いということが挙げられます。
その理由は、美容業界は20代から30代の若い女性がメインの働き手となっているため、結婚や出産を理由に離職するケースが多く、つねに新しい人を必要としているためです。
新しく美容部員を目指す人にもチャンスは多々ありますが、良い待遇の職場は競争率が厳しくなることがあるという点は頭に置いておいたほうがよいでしょう。
美容部員の転職状況・未経験採用
中途採用を行う企業は多くある
美容部員の仕事では、正社員の求人はあまり多くないものの、契約社員や派遣社員の中途採用の募集は、年間を通して比較的多く行われる傾向にあります。
メーカーや販売店によって「経験者のみを募集する場合」と「過去の経験は一切問わない場合」のどちらもあります。
採用される年齢の上限は28歳から30歳くらいまでが多いものの、企業によっては40歳ほどまで視野に入れているところもあります。
未経験者の場合も、接客経験がある人はプラスに評価されやすいでしょう。
美容部員の現状と将来性・今後の見通し
多様な場で働けるチャンスはある
最近ではドラッグストアや雑貨店など化粧品を扱う店舗の種類が増えていることから、さまざまな場で化粧品の知識やメイクテクニックを持つ美容部員が活躍できるチャンスがあります。
しかし、正社員としての雇用はあまり多くないため、不安定な働き方を余儀なくされる人も多いようです。
また、同じ美容系の職業でも、資格職である美容師などと比べるとやや専門性に劣ると考えられているため、この仕事を目指すのであれば、雇用の安定性や将来性などをしっかりと考慮していくことが大事になるでしょう。