芸術家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「芸術家」とは

芸術家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

絵画、彫刻、陶芸、音楽などの芸術活動を行い、作品を発表して世の中に影響を与える。

芸術家とは、絵画、版画、彫刻、陶芸、工芸などの芸術活動を行い、主に作品を売ることで生計を立てている人のことです。

「アーテイスト」という広い意味では詩人などの作家、音楽家、写真家、建築家なども芸術家の一種類といえます。

ただ作品をつくるだけではなく、個展などを通して自分の作品を発表、販売したり、メディアに出演したりするなど、知名度を上げ作品を広く知って買ってもらうための営業活動も行います。

作品が高額で売れれば数ヶ月分の収入になりますが、逆に売れなければ収入ゼロという月もあるため、ほとんどの人がアルバイトなどを兼業しています。

創作活動だけで生計を立てるためには、類まれな才能とセンス、努力、そして幸運が必要だといえるでしょう。

芸術家になるには、学歴も資格も必要ありません。

大学や専門学校で学ぶよりも、芸術家に弟子入りしたり、工房に職人見習いとして就職したりするなどの下積みがスキルアップに役立ちます。

近年はSNSを利用するなどして活動する人も増え、才能と努力しだいでは誰でも活躍するチャンスが得られます。

「芸術家」の仕事紹介

芸術家の仕事内容

さまざまな創作活動を行い、作品を販売する

さまざまな芸術活動を通して生計をたてる

芸術家とは、さまざまな芸術活動をして生計を立てている人のことです。

芸術家というと、絵画・版画・彫刻・陶芸・工芸などで生計を立てている美術家を指すことが多いです。

ただし、「アーテイスト」という広い意味では、詩人などの作家、音楽家、写真家、建築家なども芸術家の一種類といえます。

芸術家の主な仕事は、それぞれの分野における創作活動です。

ほとんどの人はフリーランスで活動し、自宅やアトリエなどで働きます。

しかし、作品を作っているだけでは、作品は売れず収入を得られません。

個展やグループ展などで自分の作品を発表したり、テレビや雑誌などのインタビューに答えたりなど、作品を広く知って買ってもらうための営業活動も行います。

なかには後進を育てるために新人に指導を行ったり、弟子をとったりするひともいます。

芸術家の仕事の仕方

芸術家が仕事をする際には、大きく2つの流れがあります。

ひとつは、クライアントやスポンサーとなる企業や個人から依頼を受けて作品を作る場合です。

たとえば「商業施設に飾る絵を描いてほしい」「所有する古民家に飾る花瓶を作ってほしい」など、具体的な要望を聞き、それに合わせた作品を創作していきます。

この場合は安定して収入を得ることができますが、自分の思い通りの作品を作るのは難しいという側面があります。

2つ目は、自由に創作活動をする方法ですが、全く自由な創造だけで活動できる芸術家はごく限られており、類まれな才能と努力が必要です。

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芸術家になるには

芸術家になる道のりはさまざまで人それぞれ

資格も学歴も必要なく、名乗れば誰にでもなれる

試験や面接を受けて一般企業に就職する場合と異なり、芸術家には学歴も資格も必要ありません。

自分で「芸術家」と名乗った日から、芸術家になれるのです。

しかし、作品を売った収入だけで生活できるようになる人は、ごく一部のみです。

多くの人に認められるアートセンスと個性、表現力をもち、なおかつ作品を発表する機会をたくさん得た人だけが芸術家として成功しているのです。

芸術かになるための技術や知識を得たい場合は、専門学校や大学などで学ぶほか、芸術家に弟子入りしたり、工房に職人見習いとして就職したりすることで下積みを経験する方法があります。

ただし、オリジナリティーや個性が最大の武器である芸術家にとっては、大学や専門学校で学ぶことは必ずしも有益とは限りません。

芸術家として身を建てるには

芸術家は、いきなり生計を立てられるという人はほとんどいません。

そこで、まず趣味やアマチュアとして活動し、自信がついたり経験を積んだりしたタイミングで独立したり、本業としたりする人が多いようです。

芸術家として生きていくためには、作品づくりだけでなく、展示会や作品展などを行ったり、ギャラリーへ売り込んだりしなくてはなりません。

こうした地道なプロモーションを重ね、徐々に大きなギャラリーに作品を置いたり、個展を開いたりするようになります。

キャリアアップし、より高値で作品を買ってもらうには専門的な能力や自己プロデュースが必要です。

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芸術家の学校・学費

芸術家に学歴は必要ないが、進学する人も多い

芸術に特別な学歴は必要ありません。

極端に言えば、まったく美術や造形に関してまったく無学の人や、学校に通っていない子どもでも芸術家になることはできます。

ただ、芸術家を目指す人の多くは美術大学や芸術大学、美術系の専門学校で学んでいます。

美術のイロハを学ぶことができ、同じく美術系の仕事を志望する人たちと切磋琢磨することは創作活動をする上で大きな刺激となるでしょう。

一方で、知識を学ぶことは大切ですが、それがかえって個性を抑制してしまうこともあり、一概にそれがよいとは限りません。

よりスキルや感性を磨くためには、芸術家に弟子やアシスタントとして雇ってもらったり、芸術家が主催する教室に通ったりして、創作の現場に触れるという方法もあります。

芸術家の資格・試験の難易度

特別な資格は必要ない

芸術家になるために特別な資格は必要ありません。

試験や面接を受けて会社に就職するサラリーマンと異なり、学歴も資格も関係なく活躍することができます。

なお、美術の教師として働く場合には、教職課程がある大学で教員免許を取得する必要があります。

必ずしも必要ではありませんが、教員免許を取得することで、非常勤講師をしたり絵画教室を開いたりする際に役立ち、活躍の場を広げられる可能性があります。

また美術に関連する資格としては「色彩検定」があり、色に関する知識や技能を証明することができます。

受験資格は特になく、誰でも何級からでも受験できるため、興味のある人はチャレンジしてみるのもよいでしょう。

芸術家の給料・年収

芸術家自身の知名度や活動の仕方によって異なる

作品の価値によって大きな差がある

芸術家が手掛ける作品の価格は安ければ数千円、高ければ数億円と、大きな差があります。

フリーランスのため収入は安定せず、作品が売れなければ収入ゼロという月もあります。

逆に、作品が高額で売れれば数ヶ月から数年分の収入になることもあるのです。

絵画や彫刻などの芸術品は娯楽であるため、時代の経済状況や景気にも密接な関係があり、不景気が続けば芸術家の生活も苦しくなってしまいます。

芸術家としての活動のみで生計を立てている人は今の日本にはほぼいないといわれ、多くの人がアルバイトなどを兼業していることがほとんどです。

また、夫婦のどちらかが働き、もう一方が芸術に没頭するなど、家族や周囲の協力を得て芸術家として活動している人もいます。

売上すべてが収入になるわけではない

芸術を作り上げるためには、多くの費用がかかります。

絵画であれば、キャンバスや絵の具などの画材が必要ですし、彫刻や陶芸であれば材料である土や道具、作品作りに必要な部屋など作品をつくるだけでお金がかかります。

多くの作品をつくるためにはどうしても費用が必要で、作品が売れなければ材料代を捻出するのにも苦労することもあります。

また、芸術家が自身の創作活動だけで生計を立てていくのには、ものの売り方やブランディングなど営業や経営に関する知識も求められます。

大物芸術家になれば、スポンサーやパトロンがつき、こうした仕事を請け負ってくれることもありますが、一般的な芸術家はこうした勉強も自分で行わなくてはなりません。

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芸術家の現状と将来性・今後の見通し

SNSの普及に伴い活躍の場が増えてきている

芸術家は、今後ますます活躍の場が増えることが予想されます。

近年は、日本の美術市場を活性化するため、東京都内だけでなく地方にもギャラリーや美術館が続々とつくられ、新進気鋭の作家や新人作家の展覧会が開催されるようになりました。

さらに、インターネットなどで発表の場が増えたことから、自分の作品を多くの人に知ってもらう機会が格段に増えてきています

SNSから人気に火が付いたり、国内ではなく海外で支持され人気を集めたりした芸術家も少なくありません。

こうしたチャンスを利用すれば、芸術家として成功する糸口を見つけることもできるでしょう。

また、ツールの進化により現代アートやデジタルアート、現代彫刻など、これまでにない新しいジャンルで活躍する人も増えてくると考えられます。

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芸術家の就職先・活躍の場

ほとんどの芸術家はフリーランス

多くの芸術家はフリーランスで活動しており、企業に就職して創作活動をしている人はごくまれです。

主に自宅やアトリエ、工房などの作業部屋で働き、陶芸家の場合は窯元で働きます。

それぞれの仕事をする時間帯や1日の労働時間は人によってまちまちで、活動の仕方はまったく人それぞれです。

なお、芸術家の仕事だけで生計をたてられている人はごくわずかで、ほかに仕事を持ったりアルバイトをしたりしながら芸術活動をする人も多いです。

芸術家の1日

決まった働き方はなく人それぞれ

芸術家はほとんどがフリーランスで活動しているため、勤務時間や労働時間、休日は定まっていません。

人によっては、静かな夜間の方が作業がはかどると、昼夜が逆転した生活を送ることもあります。

<画家として働く人の1日>

7:00 起床
9:00 仕事開始
11:00 スタッフと展覧会の打ち合わせ
12:00 休憩
13:00 仕事再開
17:00 絵画教室の準備
19:00 絵画教室の講師を担当
21:00 教室終了・後片付け
22:00 帰宅・仕事終了

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芸術家のやりがい、楽しさ

「0」から「1」を生み出す仕事

芸術家は、絵を描く、彫刻を彫る、陶芸や工芸作品をつくるといった、自己表現の極みといえる創作活動が仕事です。

何もないところから発想を生み出し、芸術作品を完成させるという芸術家の仕事は大変にやりがいがあります。

芸術家は自分の世界を1つの作品として表現するいわば「0」から「1」を生み出す仕事です。

自分が手掛けた作品が、多くの人の心を揺るがすものになれば、それは何事にも代えがたい喜びです。

さらに、芸術家は作品を発表しても、それを見た人の反応を見るまでは自分の作品がどう評価されるのかは全くわかりません。

孤独に作品と向かい続け、長い苦しみを味わったとしても、それを見た多く人から評価されれば、それまでの苦労も吹き飛び、安堵と満足感を感じることができます。

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芸術家のつらいこと、大変なこと

創作活動には常に金銭面の問題がつきまとう

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芸術家に向いている人・適性

ほかの人に負けないオリジナリティーを持っている人

どんなに芸術が好きであっても、ほかの人とは違うものをつくり出すオリジナリティーがなければ芸術家としては成功しません。

オリジナリティーは生まれ持ったセンスもあるため、未経験の人がいきなり「芸術家になりたい」と思ってもなかなか難しいでしょう。

1つの作品を仕上げても、さらに次から次へとひらめきがあり、いい作品をつくり続けていくことができなければ、それだけで生活していくことは厳しいといえます。

また、芸術家は基本的に一人で作品を作ります。

大きな作品を手掛けるときは、数ヶ月から数年にわたって手掛けることもあります。

こつこつとまじめな性格で、一つ一つの作品を丁寧に作り上げられる人が芸術家に向いているといえるでしょう。

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芸術家志望動機・目指すきっかけ

自分だけの作品を作りたいという強い思い

芸術家を目指す多くの人は、芸術に触れる中でその面白さに目覚め、「自分だけの作品をつくりたい」「この仕事で生計を立てたい」と考えるようになります。

また、はじめは商業的なデザインなどをやっていたことがきっかけでで、もっと自由な作品をつくりたいと考えるようになり、芸術家としての道を歩み始めた、という人もいます。

芸術家はほかの職業のように、志望動機を聞かれる機会はほとんどありません。

しかし、芸術家として自分はどんな思いで作品作りを始めたか、どんなことを表現したいかといった信念は、作品作りの上で重要です。

こうしたことをしっかりと自分で言葉にできるようでなければ、芸術家として活動を続けるのは難しいでしょう。

芸術家の雇用形態・働き方

多くの芸術家はフリーランスとして働く

ほとんどの芸術家はフリーランスで活動しています。

芸術家に弟子入りしたり、学校で学んだりする方法はありますが、最終的には自分の実力次第といえます。

作品を売った収入だけで生活できるようになるまでは、困難を極めるといわざるを得ないでしょう。

なお、画商やスポンサーから依頼を受けて作品を制作する芸術家もいますが、これは企業に雇用されているわけではありません。

テーマやコンセプトを与えられたとしても、そこからインスピレーションを受けて、どう表現するかは芸術家に任されるというのが基本です。

ただスポンサーの言う通りの作品を作るのであれば、芸術家ではなく商業デザイナーを目指した方がよいでしょう。

芸術家の勤務時間・休日・生活

勤務時間や休日は決められていない

芸術家はほとんどがフリーランスで活動しているため、勤務時間や労働時間、休日は定まっていません。

創作意欲が沸いたときや閃きがあったときには作品づくりに没頭し、それ以外の時間はいわゆる「充電期間」と、メリハリのある働き方をする人が多いようです。

インスピレーションを受けるために旅行に行ったり、さまざまな職種の人と交流したりと、過ごし方は人それぞれで、まとまった休みを取ることも可能です。

一年の中でとくに忙しい時期は個展やグループ展の直前です。

とくに必要な作品が仕上がっていない場合や、スポンサーの依頼を受けて作品を制作する場合の締切り前などは忙しくなります。

またほとんどの人が何かしらの副業をもっており、副業をこなしながら創作活動の時間を捻出しています。

芸術家の求人・就職状況・需要

日本では美術の価値を認識する人が少ない

芸術家としての求人はなく、創作活動は人から求められてするものではありません。

もともと日本では文化に対する予算が少なく、絵や彫刻、陶芸などといった芸術に触れる人が少ない、さらに美術品の価値を認識している人がまだまだ少ないのが現状です。

こうした日本の美術市場を活性化するため、近年では東京都内だけでなく地方にもギャラリーや美術館が続々とつくられるようになりました。

注目を集める企画展も、さまざまな都道府県で開催されています。

海外では日本の文化といえば、ジブリアニメやマンガなどのサブカルチャーが知れわたっていますが、日本の伝統工芸や古美術は海外にも愛好家が多く、今後も開拓できる可能性が眠っているといえるでしょう。

芸術家の転職状況・未経験採用

芸術家を本業とするには長い時間がかかる

芸術家を本業として生計をたてているひとは、ごくわずかしかいません。

そのため多くの人が副業をしており、芸術家の仕事だけで身をたてられるよう努力しています。

一方で、年齢を重ねてから創作活動をはじめ、芸術家として本格的に仕事を始める人もいます。

主婦やサラリーマンなど全く芸術と関係のない仕事をしていた人も芸術家を目指すことができますし、退職後に創作活動をはじめ、活動が認められるようになった人もいます。

芸術家はほかの仕事のように企業に就職をするわけではないため、誰でも創作活動をはじめ、芸術家と名乗ればいつでもなることができるのです。

芸術家にはどんな種類がある?

画家、版画家、彫刻家、陶芸家、工芸家などを指すことが多い

芸術家といえば、画家、版画家、彫刻家、陶芸家、工芸家など美術に関する専門家のことを指すことが多いです。

そのほか、音楽家や建築家、文筆家、デザイナー、芸能人なども広い意味で芸術家といえるでしょう。

複数のジャンルを手がけている人は「芸術家」や「アーティスト」「クリエイター」などと呼ぶこともあります。

とくに画家・彫刻家として活躍した奈良美智、画家・イラストレーターとして活躍した天野 喜孝、絵画を中心に多彩な活動をしている草間彌生などは「芸術家」と呼ばれることが多いようです。

いずれにしても特別な才能とセンス、そしてチャンスに恵まれた人だけが到達できる、難しく、かつ魅力的な職種であるといえるでしょう。

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「芸術家タイプ」とはどんな人?

芸術家をイメージするような性格を持っている人

人の性格を表すときに、しばしば「芸術家タイプ」という言葉が使われます。

これは必ずしも芸術家に向いているという意味ではなく、その人の性格や言動から「芸術家」がイメージされるというものです。

芸術家は常識や一般常識から離れ、独自のセンスを生かして働いていることが多いため、表現力がある人や、クリエイティブなことが好きな人が「芸術家タイプ」と言われることが多いです。

また、感受性が豊かであったり、独自の世界観や価値観を持っていたり、直感やひらめきを大切にしていたりする人も、芸術家タイプと言われることがあります。

一方で、自分の世界観を持っているあまりに、他人からは近寄りがたかったり、苦手意識を持たれたりすることもあるようです。