【2021年版】グランド ハンドリングの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「グランド ハンドリング」とは

空港における「縁の下の力持ち」として、航空機の離着陸をバックアップする仕事

グランドハンドリングは航空機を所定の時間に離着陸させるために、空港の駐機スポットであらゆるバックアップを行う仕事です。

通称「グラハン」とも呼ばれます。

利用者にとって航空機が定時通りに離着陸するのは当たり前のことに感じますが、それはグランドハンドリングスタッフの存在があるからこそといえるでしょう。

業務内容は多岐にわたり、航空機の誘導、貨物の積み込みや搬出、ターミナルと航空機をつなぐ搭乗橋(パッセンジャーボーディングブリッジ)の運転などを行います。

航空機の発着は1日を通して行われるため、グランドハンドリングも早朝・深夜勤務を含めた不規則な勤務時間で働く必要があり、体力の求められる仕事です。

グランドハンドリングになるには、航空会社からハンドリング業務を請け負うハンドリング会社に就職するのが一般的です。

就職後は「大型特殊自動車免許」「けん引免許」など、業務に関連するさまざまな資格を取得していくことになりますが、応募時点で必須の資格などはとくにありません。

「グランド ハンドリング」の仕事紹介

グランド ハンドリングの仕事内容

航空機を予定通りに離着陸させるためにさまざまなサポートを行う

グランドハンドリングは、航空機を予定通りに離着陸させるためにさまざまなサポートを行います。

ここでは、グランドハンドリングの代表的な仕事内容を4つ紹介します。

航空機の誘導

航空機のパイロットに指示を出し、着陸した航空機を定められた場所まで誘導します。

航空機を誘導する「マーシャラー」、翼の安全確認を行う「ウィングウォッチ」、タイヤを確認する「チョークマン」などに分かれ、チームで連携して業務にあたります。

プッシュバック

自力では後進できない航空機を、特殊車両を使って駐機場から押し出すのが「プッシュバック」と呼ばれる仕事です。

航空機を決められた場所へ押し出すには高い技術が必要であり、機内の乗客に衝撃を伝えないよう気をつけながら作業を進めていきます。

貨物の積み込み・搬出

航空機に搭載される貨物の積み込みや搬出を行います。

機内食を航空機に積み込む「ミールローダー」や、航空機に搭載されていた貨物を行き先ごとに仕分けする「カーゴハンドリング」などに分かれます。

到着から次の出発までの限られた時間内で、迅速に作業を進めなければなりません。

パッセンジャーボーディングブリッジ(搭乗橋)の運転

パッセンジャーボーディングブリッジとは、ターミナルと航空機の出入り口をつなぐ旅客用の搭乗橋のことです。

略して「PBB」とも呼ばれ、この装着・離脱の運転もグランドハンドリングが行います。

PBBは専用の操作盤を使って運転を行っており、高度な技術と繊細さが求められる仕事です。

グランド ハンドリングになるには

ハンドリング会社の求人に応募して面接を突破する

グランドハンドリングとして働くには、航空会社からハンドリング業務を請け負うハンドリング会社に就職しなければなりません。

ハンドリング会社には「ANAエアポートサービス」や「JALグランドサービス」といった大手航空会社のグループ企業や、単独でハンドリング会社として運営する企業などがあります。

応募時に必須となる資格はとくにありませんが、歓迎要件として「TOEIC550点以上の語学力を有すること」「普通自動車運転免許(マニュアル)を所持していること」などが募集要項に記載されていることもあります。

また求められる学歴についてはハンドリング会社によって異なり、高卒でも応募可能な企業もあれば、大手企業では「短大・専門卒以上」や「大卒以上」と限定している場合もあります。

そのほか空港関連の事業を幅広く請け負っている会社への就職や、航空関係の派遣案件をもっている人材派遣会社に勤めることでも、ハンドリング業務に携われる可能性があるでしょう。

ただし基本的に一般公募の少ない業界であるため、グランドハンドリングとして働きたいという希望が早い時点で決まっているのであれば、エアライン系の専門学校に通うのも一つです。

「グランドハンドリングコース」などが設置されている専門学校もあり、そこでは就職時にアピールできる資格を取得できたり、その学校に出される航空業界の求人に応募できたりといったメリットがあります。

グランド ハンドリングの学校・学費

求められる学歴は会社によって異なる

グランドハンドリングになるのに必ず通わなくてはいけない学校はありませんが、応募時に求められる学歴はハンドリング会社によって異なります

中小規模の会社であれば「高卒」で受け入れている場合も多いですが、大手航空会社のグループ企業では「短大・専門卒以上」や「大卒以上」と学歴を指定しているケースも少なくありません。

また「グランドハンドリングコース」などが設置されているエアライン系の専門学校もあり、そこではハンドリング業務に必要な知識・技術に特化した内容を学べます。

そのようなエアライン系の専門学校に通う場合、学費は1年間で100〜150万円程度かかると考えておくとよいでしょう。

グランド ハンドリングの資格・試験の難易度

普通自動車運転免許(マニュアル)の取得が必要

グランドハンドリングを目指すうえで、まず取得しておくべき資格が「普通自動車運転免許(マニュアル)」です。

空港内は非常に広く歩いて行くのは困難な場所もあるため、グランドハンドリングスタッフは連絡車を使って目的場所まで移動します。

その際に普通自動車運転免許がなければ連絡車の運転ができず、仕事になりません。

応募時点で必須条件でなくても「入社までに取得すること」としている企業も多いため、早めに取っておくのがよいでしょう。

そのほか「大型特殊自動車免許」「けん引免許」などは入社時点で必須ではありませんが、取得しておけば就職試験でのアピール材料として使えるでしょう。

グランド ハンドリングの給料・年収

就職先の企業によって、年収や福利厚生には大きな差がある

求人サービスなどの調査データから、グランドハンドリングの平均年収は 450万円~550万円程度になると考えられます。

とはいえ、これはあくまで全体の平均値であり、当然ですが最初からこれだけの年収をもらえるわけではありません。

新卒・業務未経験で入社する場合であれば、初任給は18万円〜20万円前後、年収は300万円程度からスタートするのが一般的です。

その後、勤続年数を重ねて社内での立場も上がっていけば、30代や40代で年収500万円〜600万円も目指せるでしょう。

また本人の業務経歴や年齢などに加えて、就職先の企業によっても年収や福利厚生には大きな差がみられます

とくにハンドリング会社にはさまざまなパターンがあり、大手航空会社のグループ会社や空港関連の事業を幅広く委託されている会社、そのほか人材派遣会社でもハンドリング業務を請け負っています。

そのなかには「何年働いてもなかなか給料が上がらない」「残業代が満額支払われない」といった企業も存在するのが実態であり、入社前には十分にリサーチしておくとよいでしょう。

なお企業によっては、特殊車両などの資格を取得すると給料に資格手当が追加される場合もあるため、入社後のスキルアップによって年収を伸ばしていくことも可能です。

グランド ハンドリングの現状と将来性・今後の見通し

航空機や乗客の安全を守るために必要不可欠な仕事

世界的にグローバル化が進み、日本から海外へ、また海外から日本へもビジネスや海外旅行などを目的に多くの人が行き交う時代です。

このような時代の流れを受けて航空関連業務への需要は大幅に増加し、そして航空機や乗客の安全を守るグランドハンドリングは必要不可欠な仕事となっています。

今後もその重要性が変わることはなく、とくに専門的な知識・技術を身につけた人は各社にとって非常に貴重な人材です。

ただし待遇面についてはハンドリング会社によって大きな差があるため、就職を考える際には企業研究をしっかりと行っておきましょう。

グランド ハンドリングの就職先・活躍の場

大手航空会社のグループ企業や、単独のハンドリング会社に就職

グランドハンドリングの就職先には、大手航空会社のグループ企業もしくは単独でハンドリング会社として運営する企業などがあります。

大手航空会社グループに属するハンドリング会社の代表例には、「ANAエアポートサービス」や「JALグランドサービス」などが挙げられます。

これらの会社では、親会社であるANAやJALからハンドリング業務を請け負うのが一般的です。

一方、単独でハンドリング会社として運営する企業では、さまざまな航空会社からの委託を受けてハンドリング業務を行います。

グランド ハンドリングの1日

早番・遅番などシフトを組んで業務にあたる

航空機の発着は早朝から深夜まで行われるため、それにともないグランドハンドリングも早番や遅番などいくつかのシフトを組んで業務にあたります。

ここでは、遅番で出勤するケースのグランドハンドリングの1日を紹介します。

6:00 出勤・朝礼
出勤後は朝礼を行い、1日の運行スケジュールや注意事項などを確認します。
6:20車両チェック
業務に使用する車両に異常はないか、点検作業を行います。
7:00 航空機の出発作業
航空機の出発作業として、必要な機材を配置したり乗客員の手荷物を搬送したりします。
8:00航空機の到着作業
航空機が空港に到着する際にも、航空機の誘導や手荷物の搬送などのハンドリング業務を行います。
11:00 休憩
運行スケジュールの合間をぬって、一時ランチ休憩を取ります。
12:00 航空機の出発・到着作業
航空機の出発・到着作業は1日を通して何回も行われ、そのすべてを慎重かつ迅速にこなしていきます。
14:40引き継ぎ
遅番で勤務するスタッフに引き継ぎをします。
15:00 終礼・退勤
最後に終礼を行い、とくに問題がなければ退勤します。

グランド ハンドリングのやりがい、楽しさ

チームで協力しながら事故のない空港を作り上げていくこと

グランドハンドリングの使命は「航空機とその乗客を安全に送り出すこと」であり、それを達成するためにチームで協力しながら業務を進めています。

裏方として働く職業ではありますが、事故のない空港を作り上げていくためにとても大切な仕事であり、大きなやりがいを感じるでしょう。

またグランドハンドリングの業務の幅広さに楽しさを感じている人も少なくありません。

貨物の積み込みや搬出、航空機の誘導、パッセンジャーボーディングブリッジ(搭乗橋)の運転など、さまざまな業務を経験しながらキャリアを積んでいける仕事です。

グランド ハンドリングのつらいこと、大変なこと

勤務時間はバラバラで、体力が必要な仕事も多いこと

グランドハンドリングは体力がなければ続かない仕事です。

航空機の発着は1日を通して行われるため、それにあわせてグランドハンドリングの勤務シフトも早朝から真夜中までバラバラになります。

また基本的に屋外での勤務が多いことから、真夏や真冬の時期には気温的な厳しさもあるでしょう。

そして業務内容も非常に多岐にわたり、荷物の積み降ろしや搬送、航空機の燃料給油、機内の清掃など、乗客に見えない部分で大変な仕事はたくさんあります。

そのすべてを迅速かつ正確にこなさなければならず、プレッシャーを感じる場面も少なくないでしょう。

グランド ハンドリングに向いている人・適性

責任感をもって、自分の担当業務を確実に進められる人

グランドハンドリングに向いている人は、責任感のある人です。

グランドハンドリングは航空機の運行時間にあわせて、自分の担当業務を確実に進めていかなければなりません。

決められた時間までに自分のやるべき業務を完了できなければ、最悪の場合「航空機を予定通りに運行できない」という事態もありうるでしょう。

また航空機の誘導や手荷物・貨物の搭載など、グランドハンドリングはつねに屋外で体を動かす仕事です。

そのため「体力に自信がある」「体を動かす仕事がしたい」と考える人にも向いているといえるでしょう。

グランド ハンドリング志望動機・目指すきっかけ

航空機や空港に携わる仕事がしたい

グランドハンドリングで働く人の多くは、「航空機に携わる仕事がしたい」「空港関連の仕事に就きたい」などが就職のきっかけです。

数ある空港関連の仕事のなかでもグランドハンドリングを選ぶ理由としては、駐機場で大きな車両を運転したり、航空機を誘導したりするグランドハンドリングの様子を見て憧れを抱いたという人が多くみられます。

また最初は「キャビンアテンダント」や、空港で接客業務にあたる「グランドスタッフ」などを目指していた人が、業界研究を進めるなかでグランドハンドリングの仕事に興味を抱くケースもあります。

グランド ハンドリングの雇用形態・働き方

正社員のほか派遣社員として働くケースもある

グランドハンドリングを目指す場合、ハンドリング会社に正社員として入社するのが代表的な方法でしょう。

ハンドリング会社には大手航空会社のグループ企業、単独でハンドリング会社として運営する企業、ハンドリング業務に限定せず空港関連の事業を幅広く請け負っている企業などが挙げられます。

そのほか人材派遣会社でも、航空会社からハンドリング業務を委託されているケースもあります。

派遣社員の場合はあらかじめ決まった期間働くことになり、時給は1,300~1,500円程度が多いでしょう。

グランド ハンドリングの勤務時間・休日・生活

フライトの運航スケジュールにあわせて働く

グランドハンドリングはフライトの運航スケジュールにあわせて業務を行います。

そのため勤務体系は早朝・深夜勤務を含めたシフト制となり、土日祝日を含めて交代制で働くことになります。

1日あたりの勤務時間は7時間〜8時間程度です。

曜日に関係なく不規則なスケジュールで働く職業ですので、体力が求められるでしょう。

グランドハンドリングのなかには早朝や深夜シフトの際にも通勤しやすいように、空港の近くに住んでいる人もたくさんいます。

グランド ハンドリングの求人・就職状況・需要

全体的に求人の少ない業界

グランドハンドリングの募集は求人サイトなどを使って見つけられます。

ただし求人サイトで見つかる募集の多くは、航空会社からハンドリング業務を請け負っている企業の求人であり、業務内容は航空貨物の梱包や詰め込みなどが中心となります。

空港関連は全体的に求人が少ない業界であり、その点はグランドハンドリングも同じです。

また「ANAエアポートサービス」や「JALグランドサービス」といった大手航空会社のグループ企業でも毎年グランドハンドリングの募集が出されていますが、こちらも採用枠は多くありません。

なお「グランドハンドリングコース」などが設置されている専門学校では、その学校に対して出されるグランドハンドリングの求人に応募が可能です。

グランド ハンドリングの転職状況・未経験採用

業務未経験でも転職できる

多くのハンドリング会社では中途採用も行っており、未経験での転職も可能です。

応募時に必須となる資格には「普通自動車運転免許」が指定されていることが多く、なかには「AT限定可」としている求人も見つかります。

そのほか「大型特殊自動車免許」や「フォークリフト運転技能者」などが歓迎要件になっている場合もあるため、持っていればアピールポイントになります。

なお大手航空会社のグループ企業では新卒採用が中心となっており、中途の募集を見つけられる機会はそれほど多くないでしょう。

女性でもグランドハンドリングとして働ける?

女性のグランドハンドリングも少しずつ増えている

グランドハンドリングは体力的な負担の大きい仕事であるため、「女性でなるのは難しいのでは…」と感じる人も多いでしょう。

そのイメージ通り全体的に女性の少ない仕事であり、男女比は多くのハンドリング会社において「男性8:女性2」もしくは「男性9:女性1」という状況です。

ただし女性は少ないとはいえ、決して女性が就けない仕事ではありません。

就職後の業務内容や給料面なども性別で差がつけられることはなく、男性と同じようにキャリアアップが可能です。

また各メディアで「グラハン女子」が取り上げられるようになった影響もあり、グランドハンドリングを目指す女性は年々少しずつ増えています。