舞台機構調整技能士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「舞台機構調整技能士」とは

舞台機構調整技能士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

劇場やコンサートホール、ライブハウスなどで音響設備の調整・操作をする。

舞台機構調整技能士は、劇場やコンサートホール、ライブハウスなどの音響設備の調整・操作を行う仕事です。

また、厚生労働省が主催する国家技能検定の資格の名称でもあり、舞台機構調整技能士試験に合格した人だけが、舞台機構調整技能士と名乗ることができます。

なるための一般的なルートは、音楽専門学校で音響関連の勉強をし、卒業後に実務経験を積んで資格取得を目指すものです。

劇場やコンサートホール、ライブハウスなどへの就職、あるいは舞台機構専門会社に所属するなどさまざまな働き方があり、給料は勤務先や雇用形態、経験年数によって大きく異なるといわれます。

実力が強く問われる仕事であることから、より優遇された状態で働きたいのであれば上位レベルの資格取得を目指し、実務と勉強に励む必要があるといえるでしょう。

「舞台機構調整技能士」の仕事紹介

舞台機構調整技能士の仕事内容

舞台機構調整技能士は、劇場やコンサートホール、ライブハウスなどの音響設備の調整・操作を行う職業/人、また資格の名称です。

演劇や音楽を一番いい状態で観客に届けるために、音質を判別し、音源の適格なミキシングを行います。

劇場やコンサートホールでパフォーマンスをする団体・個人と綿密な打ち合わせをし、演者のイメージする音響効果を実現するために、リハーサルの段階で試行錯誤を重ねます。

音源に合わせた音響機材のチューニングに加え、パフォーマンス中の音楽の音量やタイミング合わせも重要な仕事のひとつです。

また、舞台上にスピーカーやマイクなどの装置があれば、その調整を行うこともあります。

舞台機構調整技能士になるには

舞台機構調整技能士は、職業名であり、厚生労働省主催の国家技能検定の資格名でもあります。

舞台機構調整技能士試験に合格していない人が、舞台機構調整技能士と名乗ることは禁じられています。

舞台機構調整技能士になるためには、音楽専門学校で音響関連の勉強をし、卒業後に実務経験を積んでから資格を取得するのが一般的な進路でしょう。

舞台機構調整技能士には1〜3級のレベルがあり、1級が最も難易度が高くなっています。

各級の受験資格は実務経験年数により異なります。1級は3級取得後4年以上または2級取得後2年以上か実務経験7年以上、2級は3級合格者または実務経験2年以上、3級は半年〜1年の実務経験が必要です。

ただし、3級の場合は国指定の専門学校関連学科に在籍または卒業していれば、受験資格が与えられます。

舞台機構調整技能士の給料・年収

舞台機構調整技能士の給料は、勤務先や雇用形態、経験年数によって大きく異なります。

専門学校を出たてで経験が浅い場合は、見習い的な立場になるため、月給20万円以下のケースがほとんどのようです。

資格レベルも給料の額面に関係します。とくに1級を持っている場合は、勤務先の舞台機構スタッフ全体の管理者となれるため、管理職手当が付く場合もあります。

会場専属として雇用される場合、正社員・契約社員(正職員・嘱託職員)の場合は、勤務先規定に応じて各種保険や手当などの福利厚生の対象となります。

舞台機構専門会社の場合は、正社員・契約社員の場合は規定の福利厚生の対象となりますが、業務委託の場合はフリーランスと同様に公的保険に加入する必要があります。

舞台機構調整技能士の現状と将来性・今後の見通し

舞台機構調整技能士という職業は、さまざまなパフォーマンスがあってこそ成り立ちます。

ひっ迫財政のため文化事業への助成金が削減されている昨今、パフォーマンスだけで採算のとれない多くの団体や会場にとっては厳しい時勢です。

舞台機構調整技能士もその煽りを受け、給与額は下落傾向にあります。

そんな中、ひとりで全方位の舞台機構調整ができる人材が求められています。

舞台機構調節技能士の資格試験内容は音響調整に限られていますが、照明・音響両方のスキルがあれば雇用主としては人件費が削れるため、非常に重宝されるのです。

また、給与面での優遇を目指すのであれば、管理者として通用する1級資格の取得は欠かせません。上級レベル取得を目指して、実務と勉強に励むことが必要です。

舞台機構調整技能士に向いている人・適性

舞台機構調整技能士に向いているのは、演者/顧客である団体や個人の要望をくみ取り、形にできるコミュニケーション能力です。

また、できることとできないことをはっきりさせなければいけない場合もあるため、提案力も求められます。

音に対するセンスはもちろん重要ですが、先輩の技を見て聞いて覚える職人の世界のような部分もあるため、厳しい先輩後輩関係に慣れていること、耐えられることも重要です。

また、打ち合わせや音響卓での作業だけではなく、実際にステージセッティング作業や機材搬入も行うことがあるため、最低限の体力は必須です。

パフォーマンスの本番中は、それが2時間であれば2時間ずっと集中力を欠かさずに音響作業に専念する必要があります。

そのため、高い集中力が求められる仕事でもあります。

舞台機構調整技能士の勤務時間・休日・生活

舞台機構調整技能士の生活と勤務時間は、勤務先の営業時間や、パフォーマンスを行う団体の都合により左右されます。

貸し会場勤務の場合は、会場を使用する団体との打ち合わせやリハーサルの時間に合わせて昼と夜のシフト勤務になります。夜の演目の場合は、撤収が深夜になることもあります。

フリーランスや、専門会社から派遣される場合は、現場の開始時間と終了時間に合わせる必要があるため、かなり不規則な勤務になる可能性があります。

また、職人気質・体育会系の職業であるため、リハーサルや本番が終わった後にお酒を飲む機会が多くあります。

そういった場でのコミュニケーションから得ることも多いため、とくに若手は積極的な参加を奨励されます。

舞台機構調整技能士の求人・就職状況・需要

舞台機構調整技能士は、劇場やコンサートホール、ライブハウスなどの会場専属スタッフとして雇われることがあります。

この場合の雇用形態は、正社員または契約社員が多いようです。(勤務先が公共機関の場合は、正職員、嘱託職員)

音響・照明・美術スタッフを抱える舞台機構専門会社に所属し、現場に派遣されるというパターンもあります。この場合は正社員・契約社員または業務委託での雇用形態が主流です。

劇団やバンドなどの各種団体専属スタッフになる道もありますが、狭き門である上に、人気のある団体でない限り生活が不安定になる可能性があります。

経験を積んだ後に独立し、フリーランスの技能士として複数のクライアントと仕事をする人もいます。