【2021年版】音楽療法士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「音楽療法士」とは

音楽が持つ力を利用した心理的治療を実践し、自閉症や精神障害など心の問題にアプローチ。

音楽療法士とは、音楽が持つ力を利用して、心身に障害を持っている人のリハビリテーションをする仕事です。

音楽療法の手法には、クラシック音楽などを聴かせることによって効果をもたらす「受動的音楽療法」と、リハビリテーションを受ける人と音楽療法士が一緒に歌を歌ったり、演奏したりする「能動的音楽療法」があります。

音楽療法士の公的な資格はありませんが、民間の音楽療法士の資格があり、受験資格を得るためには、医療や福祉の分野での臨床経験が必要です。

日本ではまだ知名度が低い音楽療法ですが、アメリカでは健常者のカウンセリングにも用いられることもあるなど、海外では音楽療法の重要性が認められつつあります。

常勤での勤務先はほとんどなく、実際には他の職業に就きながらの兼業で、看護師や介護士をはじめとする医療関係や福祉関係の仕事のなかで音楽療法を行うことが一般的となっています。

近年では、医療や福祉の現場で働く人やボランティアの人が音楽療法を行なうことで注目を集めている職業です。

「音楽療法士」の仕事紹介

音楽療法士の仕事内容

音楽を利用して、障害のある人や悩みを抱える人などのリハビリテーションを行う

受動的音楽療法と能動的音楽療法

音楽療法士とは、利用者に合わせた音楽プログラムを作成し、音楽が持つ力を利用してリハビリテーションを行う仕事です。

幼児から高齢者まで、心身に障害を持っている人の運動機能の回復、社会性、認知力を向上させるために手助けする仕事です。

一人ひとりの利用者に合わせた楽器選びを行い、聴く音楽だけでなく、音楽のリズムに合わせてリハビリテーションを行うこともあります。

受動的音楽療法は、音楽を聴くことによって効果をもたらす療法で、クラシックの音楽や対象者にとっての思い出の曲などを聴かせることによって、精神を安定させます。

能動的音楽療法は、リハビリテーションを受ける人と音楽療法士が一緒に歌を歌ったり、演奏したり、楽器のリズムに乗って動いたりする療法です。

医療・福祉・心理学などさまざまな分野で活躍

看護師や作業療法士、介護職員などが、カウンセリングや患者のケアを行うなかで、音楽療法の知識・スキルを生かして働くケースもよく見られます。

音楽が持つ効果を専門的な観点から分析し、対象者の状態に合ったプログラムを作って実践することで、対象者の状態をより良い方向へと近付けることを目指します。

「音楽療法」というと心のケアに注目が集まりがちですが、心が安らぐことで体も元気になったり、リハビリテーションの効果が高まったりすることも期待されています。

医療の知識だけでなく、福祉、心理学など、幅広い知識が求められる仕事です。

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音楽療法士になるには

資格取得は必須ではないが、あると実力の証明になる

音楽療法士の資格取得が一般的

音楽療法士には公的な資格がないため、誰でも音楽療法士として働くことができます。

ただし、専門性が問われる職業であることから、音楽療法について専門的に勉強して知識を備えたり、音楽の演奏技術を高めたりする必要があります。

また、民間の資格はいくつか存在していますが、そのなかでも「日本音楽療法学会」が認定する音楽療法士の資格が一般的に知られています。

このような民間資格を取得しておくことで、自身の専門性を証明することができます。

活躍の場はまだ少ないのが現状

音楽療法士は国家資格でないということもあり、音楽療法士としての常勤の求人情報はまだまだ少ないのが現状で、常勤や正社員待遇での勤務先を見つけるのは簡単ではありません。

一方で、日本でも音楽療法の治療効果は認められつつあり、非常勤や派遣といった雇用形態で働ける職場は増えつつあります。

現在では、「作業療法士」などの他のリハビリテーション関連資格を持つ人が、仕事の幅を広げるために認定音楽療法士の資格を取るというケースが多いです。

臨床経験が役立つことを考えると、現状では、医療や福祉の現場で働く人がプラスαで目指す資格といえ、音楽療法士のみの資格で働くことは難しいといえます。

ただし、人が抱える心の問題は社会問題化しており、今後よりケアが必要な人が増えるにつれ、音楽を用いて心のケアを行う音楽療法士の活躍の場は増えてくると考えられます。

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音楽療法士の学校・学費

資格取得には音楽を使用した臨床経験が必要

日本音楽療法学会の認定校に進学する

日本音楽療法学会の認定校では、音楽療法士になるための3年以上の教育が課せられます。

具体的には3年制の専門学校と、4年制の大学がありますが、認定校の数は全国合計でも20校弱しかありません。

音楽療法士の認定校では、専門分野にあたる音楽や音楽療法についての知識・技術に加え、医学・福祉・心理学の知識といった関連分野の学び、さらに音楽の技術と援助の技術などの実践力を身につけていきます。

認定校以外でも、音楽系の専門学校で音楽療法を学べるところが増えつつあるため。音楽療法士になりたいと考えている人は検討してみるとよいでしょう。

そのほか、全国音楽療法士養成協議会が認定している音楽療法士(専修・1種・2種)で資格を取得する方法、高卒の方でも受講できる音楽系専門学校が独自で認定をしている通信講座でも学ぶこともできます。

ほかの医療系・福祉系の資格取得を目指す

ただし、音楽療法士は絶対的な求人数が多くなく、音楽療法関連の資格だけで就職活動を成功させるのは難しいのが実情です。

現状では、まずは「心理カウンセラー」や「看護師」、「作業療法士」など、そのほかの医療系、福祉系の資格の取得をし、それから音楽療法士を目指すほうが現実的とされています。

医療・介護・福祉関連の知識もしっかりと身につけ、そのうえで音楽療法を実践できるようになれば、活躍の場を見つけやすいでしょう。

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音楽療法士の資格・試験の難易度

認定校を卒業するなどして受験資格を取得後、試験を受ける

音楽療法士の受験資格とは

「認定音楽療法士」資格を取得するには、まず定められた要件を満たして受験資格を得なくてはなりません。

受験資格を得るための方法は、大きく以下の2通りがあります。

1. 日本音楽療法学会が認めた音楽系の大学や専門学校を卒業する方法
2. 日本音楽療法学会の正会員になるなどのいくつかの条件を満たしたうえで資格取得のための制度に参加する方法

音楽療法士は専門的な職種と捉えられており、誰でも思い立ったらすぐに受験できる認定試験ではないという点において、取得は決して容易ではないといえるでしょう。

最低でも学校に2年通う必要がありますし、学会主催の資格取得のための制度を利用する場合には、5年以上の臨床経験が必要とされます。

音楽療法士の試験内容

日本音楽療法学会の音楽療法士試験は、実技・理論、筆記、面接の3つに分かれています。

実技では、事前に課題として出されるいくつかのピアノ音楽から1つを選び、演奏します。

試験自体の正式な合格率は発表されていないようですが、必修講習会を含めた長期間の授業をしっかり受講し、真面目に取り組んでいれば概ね合格できる基準です。

長い学習期間の集大成ともいえますので、試験のタイミングで本領発揮できるよう、日々の勉強がとても重要な試験といえるでしょう。

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音楽療法士の給料・年収

医療や介護従事者と兼任する方がほとんどで年収はばらつきがある

多くの人は兼任で働く

音楽療法士の給料は、勤務先や働き方などによって、だいぶ違いが出ています。

音楽療法士の働き方としては、看護師や理学療法士などの機能訓練士、介護士、生活相談員として働きながら音楽療法士として活躍するというケースが多いです。

音楽療法士の初任給は、勤務先や学歴、採用時の職種にもよりますが、18万円~20万円ほどがボリュームゾーンとされており、とくに介護職員として採用される場合は、やや低めの初任給になる傾向です。

しかし、規模の大きな病院や福祉施設に勤務する場合には、21万円~23万円ほどの初任給が見込める場合もあります。

専業として高い収入を得るのは難しい

現状、音楽療法士の資格は国家資格化されておらず、この職業を専業として働いている人はほとんどいません。

音楽療法士としての求人募集を出す福祉施設や病院などもあまり多くないため、お金をもらって職業として働くのではなく、地域のサークルやNPOなどでボランティアとして活動する人もいます。

生活するための収入を得ることは難しいですが、「音楽療法の知識やスキルを実践の場で生かしたい」という思いがある場合は、こういった活動の仕方を模索してみてもよいかもしれません。

まだまだ音楽療法の研究が進んでいないため、音楽療法が仕事として発展しておらず、収益も少ない状況ですが、音楽療法の必要性が広まりつつあるなかで、今後は専任で働く方も増加してくると考えられます。

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音楽療法士の現状と将来性・今後の見通し

超高齢化社会により少しずつ需要が増加

音楽療法士の認知度は高まりつつある

近年、職業としての音楽療法士の認知度が高まり始めています。

精神科をはじめとする病院や個人経営のクリニックなどの医療機関、介護福祉施設、学校、あるいはNPO法人など、その活躍の場も多岐に渡っています。

しかしながら、音楽療法士としての求人が行われているケースは希少であり、求人を目にすることはあまりないでしょう。

これは、音楽療法士の需要がないというわけではなく、日本ではまだ音楽療法に対して専門分野や研究が確立されていないためです。

今後、音楽療法士の専門職としての社会的認知度が高まっていくにつれ、より良い環境で活躍できる場がさらに広がっていくと考えられます。

音楽療法士は国家資格ではない

音楽療法士には民間資格が存在するものの、国家資格化はされていません。

そのため、実際には他の職業に就きながらの兼業で、看護師や介護士をはじめとする医療関係や福祉関係の仕事のなかで音楽療法を行うことが一般的となっています。

つまり、音楽療法士の資格がなくても音楽療法に携わることは可能です。

ただし、大学や短大、専門学校などできちんと学び、正しい音楽療法の知識を身に付けていなければ、音楽療法の対象者に対して、適切な効果を生み出しにくいことも現実です。

日本では知名度が低い音楽療法ですが、アメリカでは健常者のカウンセリングにも用いられることもあるなど、海外では音楽療法の重要性が認められつつあります。

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音楽療法士の就職先・活躍の場

医療機関や介護福祉施設が主な就職先

日本では音楽療法がまだまだ未開拓の領域のため、音楽療法士として専任して働く方はあまりいないのが現状で、非常勤やパートで働く人も多いのが実情です。

看護師、機能訓練士、介護士が音楽療法士を兼務することが多く、カウンセリングや患者のケアを行うなかで、自身の医療知識や能力を使って音楽療法を行うのが一般的です。

そのため、病院などの医療機関、老人保健施設や有料老人ホームなどの介護福祉施設、障害者福祉施設、特別支援学校などが主な活躍の場となります。

仕事ではなく、ボランティア活動で音楽療法を実践する人もいますが、どのような場で活躍するとしても音楽療法の専門的な勉強は不可欠だといえます。

音楽療法士の1日

勤務先のスケジュールに合わせて働く

音楽療法士は、医療や福祉の現場で働くため、勤務先の施設のスケジュールに合わせて働きます。

医療・福祉職と兼務している人も多いため、一日中音楽療法士の業務ばかりしているという人はほとんどいません。

<デイサービスで生活相談員と兼任している、音楽療法士の1日>

8:30 始業前の準備、スケジュール確認など
9:00 始業・利用者の出迎え
10:00 利用者との相談援助業務
12:00 お昼休憩
13:00 ほかの職員と共に音楽療法を行う準備
14:00 音楽療法を使ったリハビリテーション
15:00 音楽療法の振り返り・次回に向けた対応策の検討
17:00 事務作業、電話応対などのデスクワーク
18:00 終業

音楽療法士のやりがい、楽しさ

音楽を通して利用者を笑顔にできる

音楽療法士は、利用者が音楽を楽しみながらリハビリテーションに取り組む様子を見たときに、やりがいを感じる仕事です。

音楽のリズムや音色は人によって心地よく感じる度合いも異なり、一人ひとりの疾患や体調に合わせた音楽プログラムを作ることは難しいことです。

心地よいリズムとリハビリテーションを組み合わせることに苦労もしますが、利用者が笑顔で運動をしたりくつろいだりする様子から、この仕事の楽しさを味わうことができます。

また、高齢化を迎える中で音楽療法士の専門性や必要性は今後高まっていくと考えられます。

日本ではまだまだ未開拓の部分も多いですが、その分、将来性ある職業だという点も、この仕事の魅力のひとつだといえるでしょう。

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音楽療法士のつらいこと、大変なこと

利用者が音楽やリハビリテーションが嫌いになることも

音楽療法士として働いて大変なことは、上手に音楽プログラムを作成しないと利用者の心身に負担がかかり、音楽やリハビリテーション自体が苦手になってしまう点です。

早すぎるリズムが体に負担をかけ、リラックスできない状態にしてしまうこともあります。

心地よいと感じる音楽、リズムは利用者によってさまざまなため、そのたびに試行錯誤しなければなりません。

音楽療法を行っている間でも、演奏やコミュニケーションを通じて利用者がどう感じているのか、反応はどうなのか注意しておく必要があります。

また、音楽療法士を専門として働いている人は少なく、現状では活躍の場が限られているということもこの仕事の大変なところであるといえます。

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音楽療法士に向いている人・適性

音楽が好きで誰かの役に立ちたい気持ちが大切

音楽療法士は音楽を用い、利用者の心身をリラックスさせる、失語症などの方のコミュニケーションをとるなど、さまざまな役割を担った仕事です。

そのためまずは自分自身が、音楽が好きであることが重要です。

そして、その音楽を使って誰かを笑顔にしたい、人の役に立ちたい、健康を支えたいなどの気持ちがある人が向いています。

音楽に励まされた方など音楽の重要性を感じている方であれば、音楽療法士に携わっても楽しく働くことができるでしょう。

また、現場では自らピアノやギターなどを演奏することもあるため、一定以上のレベルで楽器が弾けることも大切です。

さらに、音楽だけでなくカウンセリングやその他の心理療法について関心がある人も向いているでしょう。

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音楽療法士志望動機・目指すきっかけ

音楽で利用者を元気にしたい熱意を伝えることが大切

音楽療法士を志す人の大半は音楽が大好きな人です。

また、ただ音楽が好きなだけでなく、自らも音楽によって元気になったり、音楽に励まされたりした経験をきっかけにこの仕事に興味を持つ人も少なくありません。

音楽療法士は、看護師、機能訓練士、介護士などの職業と兼務しているケースが多く、一般的な就職先は医療機関や介護福祉施設が多いです。

まずは自分自身が専門で持っている資格や知識、経験をアピールし、あわせて音楽療法士としてどんなことを行いたいかを志望動機に入れましょう。

音楽への気持ちと、音楽を通じて何をしたいのか、どのように役立ちたいのかを明確に伝えます。

音楽療法士への熱意により、音楽療法士としての勤務も考えてくれる職場もあるでしょう。

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音楽療法士の雇用形態・働き方

看護師や機能訓練士などと兼務するのが一般的

音楽療法士を専任することが現状少ないため、看護師、理学療法士や作業療法士などの機能訓練士、介護士、生活相談員などとして働くことが多いようです。

こうした職業と兼任する場合は正社員として働く割合が多いですが、看護師や機能訓練士、介護士などは女性の割合も高いためパートとして働く方も見受けられます。

音楽療法士を専業とすることを考えると、正社員や常勤での求人は少なく、アルバイト・パートタイムや非常勤として、1日に数時間や単発で働くといった形態でのニーズが比較的多く見られます。

アルバイト、パートで勤務する場合の時給も、業界、職種で大きくばらつきがあるため、平均時給を割り出すのは難しいでしょう。

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音楽療法士の勤務時間・休日・生活

医療、介護従事者の多くがシフト制

音楽療法士の勤務体系は、勤務先や雇用形態によって異なってくるのが実情です。

音楽療法士は「常勤」としてフルタイムで働く人もいれば、「非常勤」という形で短時間勤務をしたり、アルバイト・パートとしていくつかの職場を掛け持ちしたりして働く人もいます。

音楽療法士の多くが医療機関や介護福祉施設で働いているため、シフト制で勤務しています。

土日休みの医療機関やデイサービスなどの介護福祉施設になると、週末を固定休にすることも可能です。

24時間で患者や利用者を支えている医療機関や介護福祉施設になると夜勤が発生し、勤務時間も早番、中番、遅番などに分かれることもあります。

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音楽療法士の求人・就職状況・需要

兼任としての需要は増加し始めているが専任は難しい

音楽療法の必要性が少しずつ広がり始め、音楽療法を取り入れる医療機関や介護福祉施設が増加し始めています。

ただし、日本ではまだ専任として働くケースが非常に少なく、専任の人材を確保するほど音楽療法が広まっていないのも事実です。

音楽療法士として就職先を探すよりも、兼務する職種で仕事を探し、兼務しながら音楽療法士として活躍していく方法が一般的な就職方法です。

現在は、徐々に職業としての地位が確立されつつある段階であり、今後、さらに多くの医療機関や障害者施設や学校などにもニーズが広がる期待のできる職種といえるでしょう。

なお、アメリカやドイツなどの海外ではすでに音楽療法士の資格の地位も確立されており、広く活躍しやすい国もあります。

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音楽療法士の転職状況・未経験採用

職業としては発展途上で転職は難しい

音楽療法士は専任の職種ではなく、看護師や機能訓練士などの職種と兼務するのが一般的なため、音楽療法士としての転職は厳しいものになります。

しかし、音楽療法は少しずつ認知度が上がっているため、音楽療法士が入社することで新しい機能訓練ができたり、精神面で悩んでいる方へのアプローチができたりと、活躍の場を作ってくれることもあります。

未経験の場合、資格取得のためにも音楽療法士として2年以上の臨床経験が必要なため、音楽療法士が働いている医療機関、介護福祉施設に就職することが大切です。

必須の資格ではないものの、自身のアピールや関わりで音楽療法士としての活躍を広がることができるでしょう。