「アクチュアリー」とは

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保険や年金の適正な掛け金と支払金の額を決定する、数理業務のプロフェッショナル。

アクチュアリーは、確率や統計などの数学的な手法を活用し、おもに保険や年金の適正な掛け金や支払い金を決定する専門職です。

個人の寿命や病気、事故にいたる確率など「将来」という不確定な事象の動向に関して、膨大なデータをもとに計算し、予測することが役目です。

このようなスキルを利用して、保険商品の開発に携わったり、企業経営における市場リスクの予測を行ったりと、社会のさまざまな場面で必要とされています。

アクチュアリーと名乗って働くには難関の資格試験に合格しなければならず、まだ需要の高さに比べて人材不足が課題となっています。

給料や待遇面は恵まれており、活躍のフィールドも広がっているため、将来性の高い仕事といえます。

「アクチュアリー」の仕事紹介

アクチュアリーの仕事内容

将来のリスク分析、評価を行う

アクチュアリーは、数学的手法を駆使し、将来のリスクや不確定要素を分析、評価する仕事です。

例えば、今後災害がおこる確率、ある年代の今後の自殺率、気候変動などを、過去のデータから割り出し、それをビジネスに役立てます。

アクチュアリーは、高度な数学的手法を駆使する仕事であり、数学に強いことが求められます。

また、単に数学的センスがあるだけではなく、それを正しく分析し、人に伝える力が必要になります。

私達が生きる社会は、政治、経済、環境面で大きな変化を迎えています。

その急激な変化のリスクも考慮しながら、分析することが必要です。

そのため、高い専門性とコミュニケーション力に加え、柔軟な思考力や常に向上心を持ち、勉強する姿勢が大切です。

アクチュアリーの就職先・活躍の場

保険・年金分野などで幅広い活躍が可能

アクチュアリーの主な活躍場所は、保険(生命、損保)、年金分野です。

保険会社では、人の死、病気、怪我、事故、火災など、将来起こるかもしれない事態に備え、保険商品を提供します。

アクチュアリーは、事故率や死亡率、頻度を分析し、保険商品の開発、掛け金の算定を行います。

アクチュアリーの仕事により、保険会社の収支バランスが適正化され、保険加入者への保険支払いを確実なものにします。

年金分野で、活躍するアクチュアリーが扱うのは、主に企業年金制度です。

企業ごとの制度の給付内容、人員数を分析し、将来の年金額を賄うために必要な掛金を算定します。

商品設計だけでなく、企業の社員に制度内容や積立状況を説明し、必要に応じて変更するなど、コンサルティング的業務も行います。

アクチュアリーの1日

数理の専門的な役割を担う

アクチュアリーといっても、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、コンサルティング会社といったように、活躍する領域はまちまちです。

アクチュアリーは専門職種で代えが効かないということもあり、人に任せることはできませんし、どの会社でも新しい商品を販売する時や、新しい契約を結ぶ前は、膨大なデータを使って計算をすることになり大変忙しくなります。

ここでは、損害保険会社に勤める一般的なアクチュアリーの1日を例に挙げて紹介します。

7:30 出社
8:45 朝礼・スケジュールの情報共有
9:30 集中して掛金の計算を進める
10:30 社内会議に参加
12:30 束の間の昼休憩
13:00 パソコンを使って提案資料の作成
15:30 部内ミーティング
17:00 法改正や業界動向などの情報収集
20:00 帰宅

アクチュアリーになるには

難易度の高い資格試験に合格する

日本アクチュアリー会主催の資格試験全科目合格が必要です。

資格試験合格状況に応じ、研究会員、準会員、正会員、という3つの区別があります。

基礎科目5科目のうち1~4科目に合格すると研究会員です。

5科目に合格すると準会員となります。

さらに2次試験で、専門科目2科目に合格すると正会員となり、アクチュアリーを名乗れます。

一般的には、保険会社、信託銀行などに新卒入社し、経験を積みながら、アクチュアリーを目指す人が多いです。

アクチュアリーの学校・学費

基本は独学で合格を目指す

アクチュアリーを目指す専門学校などは、他の資格試験に比べ、少ないのが実態です。

多くの人は、まず教科書、参考書を使用し、独学で勉強することになります。

過去の問題は、日本アクチュアリー会が公式HPで公表しています。

所属する銀行や保険会社が独自に勉強会を開催するケースもあります。

1次試験に合格し、研究会員になると、日本アクチュアリー協会主催の講座を受けることもできます。

合格者の中には、利用している人も多く、その場合の費用は20万弱かかります。

アクチュアリーの資格・試験の難易度

国内の資格試験で最高峰の難易度

アクチュアリー資格試験は、弁護士、公認会計士などの超難関資格と並ぶ難易度です。

資格試験は、1次試験の基礎科目5科目、2次試験の選択2科目合格が求められます。

科目毎の合格率は様々ですが、1次試験が10%~20%前後です。

2次試験の合格率は、どの科目も10%前後です。

アクチュアリー試験の受験者は、大半が銀行や保険会社に勤めています。

実務経験と専門知識を持つ人が勉強し、受験して、この合格率なので、難易度はとても高いといえるでしょう。

アクチュアリーの給料・年収

高い給料水準が期待できる

上記で述べたように、アクチュアリーの資格試験難易度は高いです。

その為、専門職として、高い給与を得ている人が多いです。

勤務先にもよりますが、アクチュアリーを名乗る正会員であれば、年収1,200万円程度です。

1次試験合格の準会員の平均年収でも、1,000万円程度といわれています。

また、より実力主義の傾向にある外資系企業のアクチュアリーであれば、年収2,000万円あるという人もいます。

外資系企業では、モチベーション向上のため、インセンティブ制度を導入しているところもあります。

アクチュアリーのやりがい、楽しさ

知識を駆使し、人や社会の役にたてる

アクチュアリーの仕事は、商品開発、掛金算定など、今後の会社の業績を左右する重要なものです。

それらを解説する相手は経営陣であることも多く、経営の根幹に関わる仕事です。

重要な仕事を任されることから、大きなやりがいを感じます。

また、年金や保険も根底にあるものは、人々の将来への不安です。

アクチュアリーは商品設計や将来予測を通じ、人々の不安を軽減していくことに繋がります。

計算だけと思われがちですが、複雑な保険や年金制度を顧客に説明することもあり、人に感謝されることもあります。

アクチュアリーのつらいこと、大変なこと

生涯勉強の姿勢が求められる

アクチュアリーは、資格試験に合格するまでも、長期間の勉強が必要になります。

アクチュアリーになってからも、法改正や業界知識を学ぶ必要があります。

そのため、勉強すること、努力することが生涯求められるでしょう。

またアクチュアリーは、国内ではまだ少なく、慢性的人手不足です。

そのため、法改正や決算などの時期になると、仕事が集中し、激務となります。

膨大な資料を読み込み、計算、分析する地道な仕事です。

責任も大きく、肉体的、精神的にプレッシャーの大きい仕事といえるでしょう。

アクチュアリーに向いている人・適性

数学が好きで、努力出来る人

アクチュアリーは、数学が強いことは必須です。

最低限、高校3年までに習う数学レベルは、問題なくクリアできる数学力がないと、試験合格がきついでしょう。

試験合格には平均8年かかります。

多くの人は、銀行や保険会社で、通常の会社員として働きながら、勉強し、合格を目指します。

生半可な覚悟では、勉強の継続はできません。

アクチュアリーになった後も、法改正や業界用語などの勉強は続きます。

数学が好きで高い向上心をもち、努力出来る人こそ、この仕事に向いています。

アクチュアリー志望動機・目指すきっかけ

数学で専門性を高めたいという人が多い

アクチュアリーを目指す人の多くが、数学好きで、それを専門的に生かしたいという人が多いです。

大学の数学科で統計学などを専攻していた人も多いです。

銀行、保険会社など、就職先により、アクチュアリーの業務範囲も異なります。

自分のなりたいアクチュアリー像を持ち、志望動機を考えるとよいでしょう。

アクチュアリーは専門職のため、試験に合格すれば、高い給与水準が期待できます。

また転職で有利なのも人気のポイントです。

アクチュアリーの雇用形態・働き方

銀行、保険会社に正社員として勤務

アクチュアリーの多くは、銀行や保険会社に正社員として勤務しています。

アクチュアリーは、その需要に対し、試験合格者数が少なく、慢性的な人員不足です。

そのため、各社、優秀なアクチュアリーの確保が命題であり、アクチュアリーは転職に強いといえるでしょう。

反対に、日本では、米国などと比較し、アクチュアリーの独立はまだ少ないです。

独立をするにしても、銀行や保険会社で、確かな実力を身に着けることが大切になるでしょう。

アクチュアリーの勤務時間・休日・生活

一般の会社員と同じ勤務形態

アクチュアリーの多くは、銀行や保険会社に勤めていて、その勤務時間通りに働きます。

大体、9時前後に始業し、17時に就業と、一般的な会社員の勤務時間と同じです。

休日についても、事務や営業と同じ週休2日制が多いです。

ただし、残業は時期によっては、多い傾向にあります。

これは、慢性的人材不足に加え、専門職であり、他の人で替えがきかず、仕事が集中しがちになるからです。

そのため、休日出勤などで対応することも多いです。

アクチュアリーの求人・就職状況・需要

慢性的人材不足により、求人多い

アクチュアリーは、需要が拡大しています。

これは、従来にくらべ、リスク管理の大切さが重要視されるようになったためです。

それにも関わらず、国内のアクチュアリーは、1,500人程度と需要に対して少ない状況です。

この1,500人の多くが、銀行や就職会社などに勤務しています。

アクチュアリーの試験の難易度から考え、今後急激にアクチュアリー資格を持つ人が増えることはないでしょう

そのため、アクチュアリーの市場は、売り手市場であり、今後も求人が多い状況が続くと考えられます。

また、学生であれば、基礎科目1科目でも合格しておけば、採用に有利になるでしょう。

アクチュアリーの転職状況・未経験採用

試験に合格していれば、強い

アクチュアリーの仕事を行うには、資格試験の合格が必須です。

平均して8年かかる難関試験のため、既にアクチュアリー試験に合格していれば、転職は有利です。

これは、多くの銀行や保険会社が、優秀で即戦力となる人材を確保したいからです。

他業種からの転職であれば、全く未経験で科目合格なしでは、採用は厳しいでしょう。

少なくとも30歳くらいまでに、準会員資格は取得し、就職活動を行いたいところです。

アクチュアリーの現状と将来性・今後の見通し

保険、年金以外での活躍の場が増える

リスク管理が企業にとって経営課題となるなか、アクチュアリーの能力を経営に生かしたい企業が増加しています。

マーケティング分野においても、その数学的思考からの分析力に期待する声があります。

これらの需要に対し、アクチュアリーは人材不足ですから、将来性は高いでしょう。

今後AIが台頭し、アクチュアリーの仕事はなくなるのではという声もききます。

アクチュアリーの仕事は、計算だけでなく、それを人に解説し、商品の設計に役立てることです。

そのため、AIが普及しても、アクチュアリーの仕事そのものがなくなることはないでしょう。