【2021年版】臨床検査技師の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「臨床検査技師」とは

医師の指導の下、病気の診断や治療に必要な心電図・脳波・血液などの各種検査を行う。

臨床検査技師とは、病院や保健所などにおいて、医師の指示の下で、病気の診断や治療のためにさまざまな検査を行う医療専門職です。

検査の種類は、心電図や脳波といった患者本人の体の生理的反応や機能を測定する「生理学的検査」や、患者の体の組織や血液や尿などを採取し、それらの成分や細菌の有無などを調べる「検体検査」などがあります。

検査データを分析する専門的知識、またそこから体の異変を見つけ出す能力なども求められてきます。

臨床検査技師になるには、まず臨床検査に関する養成課程がある学校で3年以上学び、臨床検査技師国家試験に合格することが必要です。

新しい機器や検査法が次々に生まれ、医療の専門化が進んでいるなか、臨床検査技師にもより高度かつ専門的な活躍が求められています。

「臨床検査技師」の仕事紹介

臨床検査技師の仕事内容

医学的検査のプロフェッショナル

臨床検査技師は、病気の診断や治療を目的として、医師の指示の下で各種検査を行う医療系の専門職です。

検査の種類は、大きく「検体検査」と「生理学的検査」の2つに分けられます。

検体検査

検体検査は血液や尿、便、医師の採取した髄液などの検体を調べるものです。

検体中の物質濃度や働きを調べたり、組織の細胞を染色し、細胞に異変がないかを検査します。

生理学的検査

生理学的検査は、心電図や脳波、スパイロメーター、聴力検査、超音波検査など、身体の働きを直接検査するものです。

こうした検査を通して、内臓の動きや腫れ、血管の状態などを確認します。

より高度な検査に携わる臨床検査技師も

臨床検査技師として経験を積むと、専門の認定資格を取得し、より高度な検査に携わる人がいます。

たとえば、がん細胞の早期発見を専門にする「細胞検査士」や腹部エコーなどの超音波検査を専門に行う「超音波検査士」などがあります。

なお、性質上、別の医療職が担当する検査も存在し、たとえば放射線の照射をするのは「診療放射線技師」、内視鏡検査は「医師」が行います。

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臨床検査技師になるには

まずは臨床検査技師の国家資格取得を目指す

臨床検査技師として働くには、国家試験に合格して「臨床検査技師」の資格を取得する必要があります。

高校卒業後、厚生労働省が指定した臨床検査技師養成課程のある4年制大学、または短期大学か専門学校(3年)で所定の過程を修了すると、国家試験の受験資格を得ることができます。

国家試験に合格し、臨床検査技師の資格を取ったら、病院や検査施設、保健所などへの就職を目指します。

臨床検査技師としての実務経験を積み、キャリアを築くなかで、より上位の専門的な資格を取得していく人が多いです。

理数系科目の基礎を固めておく

臨床検査技師になるためにとくに必要な科目は、数学、生物、化学、物理です。

高校時代にこの4科目をきちんと勉強し、基礎を固めておけば、臨床検査技師になるための学校での勉強も比較的楽になるでしょう。

また、臨床検査技師の仕事のひとつである採血は、苦痛に感じる患者さんが多いため、在学中にしっかり練習をして、手技を磨いておくことが大切です。

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臨床検査技師の学校・学費

国家試験の受験資格が得られる学校へ進学

臨床検査技師の国家試験受験資格が得られる学校としては、厚生労働省指定の4年制大学や、医療系の短期大学・専門学校(3年制)があります。

ただし、最近は短大が廃止される傾向が見られるため、現実的には大学もしくは専門学校への進学を考える人が多くなるでしょう。

大学と専門学校の特徴・学費

4年制大学では、実践的な技術だけでなく学術的にもしっかり学習できるカリキュラムとなっており、一般教養まで広く学べます。

専門学校に進学した人より就職は1年遅くなりますが、ややゆとりをもって国家試験対策ができるのも魅力です。

人によっては大学院に進学し、研究の道に進んでいくケースもあります。

一方、専門学校は臨床検査の実習に重点を置いており、3年間で即戦力になれるスキルを磨き、いち早く現場に出たい人にはおすすめです。

もちろん、どの学校に進んでも、臨床検査技師として必要な基礎的な知識・スキルは身につけられます。

卒業までにかかる学費は私立大学で500万円~600万円程度、専門学校では350万円~500万円程度が相場です。

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臨床検査技師の資格・試験の難易度

在学中に専門知識をよく理解することが大切

臨床検査技師になるには、臨床検査に関する養成課程のある学校で所定のカリキュラムを修了し、臨床検査技師国家試験に合格することが必要です。

病院などの医療機関では「チーム医療」の考え方に基づく分業が進んでいるため、検査のプロとして、確かな専門的知識・技術をもつ臨床検査技師が求められています。

臨床検査技師の国家試験は年に1回実施されており、正答率60%以上で合格となります。

合格率は例年70%~80%程度であり、在学中にきちんと勉強に取り組んでいれば、さほど難しい試験ではありません。

既卒者の合格率は大きく下がる

臨床検査技師国家試験の特徴は、新卒者と既卒者で、合格率が大きく異なることです。

既卒者の合格率は、新卒者の半分以下になることもめずらしくないため、なるべく最初の受験で合格できるように努力しましょう。

なお、臨床検査技師の国家資格を得たあとは、各就職先で経験を積むことで、より高度かつ専門的な臨床検査の資格取得を目指せます。

たとえば細胞の病変を検査する実務経験を積むと「細胞検査士」、心電図による心疾患の診療経験を積むと「認定心電検査技師」などを目指せます。

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臨床検査技師の給料・年収

若手のうちから安定した収入が得られる可能性が高い

厚生労働省による令和元年度賃金構造基本統計調査によれば、臨床検査技師の平均年収は38.7歳で461万円です。

国家資格を取得している医療系専門職のため、20代の若いうちから安定した収入が期待できます。

病院の正職員として就職した場合、初任給は20万円前後、初年度の年収は300万円~400万円ほどになるでしょう。

その後、経験年数を重ねるにつれ昇給していき、30代後半になると年収500万円以上になる人も増えていきます。

勤務先によっても収入には多少の差が出ます。

たとえば入院施設や救急外来のある病院では、緊急検査のため月に何度か夜勤があり、その手当によって手取りが増えやすいです。

検査センターでも夜勤を含むシフト制勤務をとることがあり、その場合は日勤のみの職場の人よりも、やや高めの収入が見込めるでしょう。

認定資格を取ると昇給の可能性がある

臨床検査技師には、実務経験を積むことで、より専門的な資格取得を目指せます。

たとえば「超音波検査士」「細胞検査士」「臨床細胞遺伝学認定士」などがありますが、このような資格取得をしていけば、昇給や昇進につながることがあります。

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臨床検査技師の現状と将来性・今後の見通し

各現場で自分の役割をまっとうする意識が重要

検査機器やキットのめざましい発達によって検査の簡易化が進み、病院で必要とされる臨床検査技師の数は減少しています。

しかし、心電図や脳波を取って波形を調べたり、超音波検査や細胞診など「人の目でないとできない検査」に関しては、変わらず需要があります。

現代の医療現場では「チーム医療」の考え方が主流となっており、さまざまな検査に関しては、検査のプロフェッショナルである臨床検査技師が中心となって手掛けます。

各現場で、他の医療スタッフと連携しながら、どれだけ自分の役割を責任もってまっとうできるかが、臨床検査技師としての評価を左右します。

資格取得の先に専門性を高める努力が不可欠

最近の臨床検査技師は、医療機器メーカーなどで検査キットの開発に携わったり、臓器移植コーディネーター、不妊治療を手助けする胚培養士などとして活躍している人も増えています。

臨床検査の知識を生かして、製薬会社で新薬開発などに貢献していく道も考えられます。

これから臨床検査技師を目指すのであれば、国家資格を取得したところをゴールと考えるのではなく、その先に、さらに専門性を高めていく努力が不可欠といえます。

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臨床検査技師の就職先・活躍の場

病院や検査センター、保健所、製薬会社の営業など

臨床検査技師の就職先として最も多いのは、検査部門のある病院です。

比較的規模の大きな病院が中心となり、患者さんと直接コミュニケーションをとりながら検査に携わる技師もいます。

医師や看護師をはじめ、他の医療スタッフと連携を図りながら的確に動くスキル、多様な最新型の医療機器を使いこなすスキルなどが求められます。

このほか、検査を専門に手掛ける検査センターも、臨床検査技師の主要な活躍の場のひとつです。

検査センターでは、小さな病院の検査や、あまり頻繁に行わない特殊な検査などを受注し、検査結果を発注元の病院に送付します。

行政機関で勤務する臨床検査技師もいる

上記以外の勤務先としては、地域の保健所や保健センターといった行政機関が挙げられます。

この場合の身分は公務員となるため、臨床検査技師の資格を取得したうえで、各地方自治体の公務員試験にも合格し、採用される必要があります。

このほか、製薬会社の営業職である「MR」や、「治験コーディネーター」として活躍することも可能ですし、大学院に進学して、さらに研究を続けていく人もいます。

臨床検査技師としてのキャリアは多様であるため、早い段階でキャリアをイメージしておくとよいでしょう。

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臨床検査技師の1日

通常業務のほか、病院では当直が入ることも

臨床検査技師の1日は、各職場での検査業務がメインとなります。

病院の正職員として働く場合には、自分の受け持つ検査のほか、持ち回りで緊急検査の当直が入るのが一般的です。

ここでは、病院勤務の臨床検査技師の1日(日勤)を紹介します。

8:30 出勤
9:00 検査業務(心電図検査、エコー検査など)
12:30 休憩
13:30 検査開始(検体検査が中心)
17:00 検査結果報告書作成・機器の洗浄
17:30 業務終了

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臨床検査技師のやりがい、楽しさ

医療現場を支え、人の健康に貢献できる

臨床検査技師は、「チーム医療」が重視される医療現場において、検査のプロフェッショナルとして不可欠な存在です。

検査を通してさまざまな患者さんと関わることができ、人々の健康を見えないところで支えていくことに充実感をおぼえることができるはずです。

臨床検査技師が専門的知識や技術を存分に発揮できれば、医師が正しい診断を下し、治療方針を決定する助けになります。

一人でも多くの患者さんの病気を発見し、元気になってもらえることに力を注いでいる臨床検査技師は多くいます。

また、臨床検査技師は病気の患者さんだけでなく、健康診断などで健康な人と接する機会もあります。

病気を治すためだけでなく、健康な人たちがより元気に過ごしていけるようにお手伝いができるのは、臨床検査技師のやりがいのひとつです。

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臨床検査技師のつらいこと、大変なこと

集中力を要する業務の多さ

検査技師が検査する検体には、さまざまなものがあります。

なかには感染力の強い微生物のいる検体もあるため、サージカルマスクやディスポーザブル手袋などを装着し、感染予防を行います。

こまめに手洗い・手指消毒をし、検査室もすぐに消毒するなど、検体の扱いには細心の注意を要します。

人の安全や健康を左右する業務であり、非常に気を遣わなくてはならない場面が多く、精神力が必要です。

もうひとつ、臨床検査技師にとって大変なことは、思うように就職先が見つからない場合があることです。

検査の機械化・簡易化により臨床検査技師が必要な場面が少なくなり、病院検査室も縮小傾向にあります。

最近では正規雇用ではなく、数年単位の「任期制」での雇用例も増えており、やや不安定な働き方を余儀なくされる場合があります。

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臨床検査技師に向いている人・適性

注意深く、慎重で手先が器用な人

臨床検査技師はさまざまな検体を扱い、また顕微鏡で細かな細胞などを観察する業務も多くあります。

検体の取り違えや検査ミスなどは絶対にあってはならないことであるため、慎重に物事を進めることができ、注意深いタイプの人に向いているといえるでしょう。

手先が器用であれば、なおさらよいです。

また、医療機関などでは、直接患者さんの体に触れる生理検査などに携わることもあります。

患者さんに不快な思いをしないように気遣いのできる人、安心感を与えられる人であることが好ましいです。

医学的な専門知識を習得することに熱心でありながらも、患者さんのことを思いやり、人のために力を発揮したいと思える人に適した職業といえます。

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臨床検査技師志望動機・目指すきっかけ

実験好き、医療に興味がある人など

臨床検査技師は、「医師」や「看護師」などに比べると、一般の学生さんにはあまりなじみのない存在かもしれません。

このため、高校などで化学の実験が好きだった人が、自分の興味関心を生かせる職業について調べるうちに、臨床検査技師の業務に興味をもつといったケースが多いようです。

生物の授業が好きで、生物としての「ヒト」に興味が生まれたことから臨床検査技師の道に進む人もいます。

あるいは、小さなころから医療の道に進んで人の役に立ちたいと考えていた結果、多様な検査を通して患者さんを救うことができる臨床検査技師に魅力を感じる人もいます。

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臨床検査技師の雇用形態・働き方

任期付き職員、臨時職員の雇用が増えている

臨床検査技師を目指す人の多くが病院勤務を希望しますが、検査のオートメーション化により必要な人員数が減っている現在、正規職員として働くのは難しい傾向にあります。

いったん正規雇用された技師は、その安定性から途中で離職するケースが少なく、なかなか中途採用されることもありません。

ただし、1年契約や3年契約といった「任期付き」での臨時職員の募集は比較的よく見られます。

こうした形態で働きながら経験を積み、「超音波検査士」や「細胞検査士」など、上位の認定資格を取って正規職員を目指す臨床検査技師も多くいます。

フルタイム勤務以外の求人もあるため、たとえば子育てをしながらパート職員として働きたいという女性でも、ムリなく仕事を続けていくことが可能です。

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臨床検査技師の勤務時間・休日・生活

職場により土曜勤務や当直がある

医療機関における臨床検査技師の勤務時間は、外来患者さんの受付時間と同じで、平日の8:30~17:30前後が一般的です。

ただし、土曜の午前中に診療がある病院では、ローテーションで半日勤務があります。

また、入院施設や救急外来がある病院では、緊急検査に備え、夜間の当直もローテーションで回ってきます。

とはいえ「看護師」などと比べると夜間に必要とされる人数は少なく、日勤もある程度時間が決まっているため、さほど不規則なスケジュールにはなりません。

検査センターなど、一部の職場では勤務サイクルが一定で、規則正しい働き方ができる場合もあります。

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臨床検査技師の求人・就職状況・需要

病院の正規職員としての求人数は限られている

検査の機械化・簡易化が進んでいる現状では、病院における臨床検査技師の正職員の求人数は減少傾向となっています。

新卒者の就職活動でも、病院の正職員の求人は人気が高く、常勤での病院勤務を目指すのは簡単な道ではありません。

ただし、臨床検査技師の勤務先は、病院以外にも検査センターや医療機器メーカー、あるいは製薬会社の研究職などもあります。

また医療専門学校の教職員として、臨床検査技師の資格保持者が募集されることもあります。

このほか公務員として保健所などに勤務することも可能であるため、自分の目指す働き方をよくイメージして、早めに就職活動の準備をしておきましょう。

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臨床検査技師の転職状況・未経験採用

医療機関では生理検査の実務経験が求められる

現代では医療機器の発展によって臨床検査技師の採用人数が減少傾向にあるため、とくに医療現場における臨床検査技師への転職に関しては、やや厳しいと言わざるを得ません。

ただし、スムーズに転職ができるかどうかは、生理検査の実務経験があるかどうかで大きく違いがあります。

とくに超音波検査の実務経験があったり、認定資格まで所持していたりすれば、積極的に採用されるケースもあります。

一方、生理検査の実務をまったく行ったことがない臨床検査技師の場合、病院への転職は困難と考えておいたほうがよいでしょう。

病院での臨床検査技師の未経験採用はほとんどが新卒のみとなっているからです。

ただし、検査センターや移植コーディネーター等への転職であればチャンスがあるため、地道に情報を集めてみましょう。

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