行司の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「行司」とは

日本の国技である相撲の世界で、土俵上で相撲の取り組みをスムーズに進行させる。

行司とは、土俵上で相撲の取り組みをスムーズに進行させる役割を担う人のことです。

仕切りが制限時間いっぱいになれば「時間です」、組み合った両力士の動きが止まった時には「発気よい」、力士が技をかけても勝負がついていない時には「残った」などの声をかけ、進行役としての役目を果たします。

行司は日本相撲協会に所属して働きますが、定員は45名と決まっており、定年は65歳であることから、新規採用は毎年1人あるかどうかという狭き門です。

また、見習いから徐々に階級が上がる仕組みとなっており、若いうちは給料も低めです。

厳しい世界ではありますが、日本の国技である大相撲の伝統を守っていくためにも、使命感に燃えた行司の活躍が欠かせません。

「行司」の仕事紹介

行司の仕事内容

相撲の取り組みの進行役となる人のこと

行司とは、相撲の世界における進行役で、メインの仕事は、土俵上で相撲の取り組みをスムーズに進行させることです。

仕切りが制限時間いっぱいになれば「時間です」、組み合った両力士の動きが止まった時には「発気よい」、力士が技をかけても勝負がついていない時には「残った」などの声をかけます。

勝負がつくと勝った力士に軍配を挙げますが、行司は進行役のため、勝敗を決める最終権限はありません。

勝負の行方が微妙な時は物言いがついて審判員が協議し、判定が覆ることもあります。

裏方としての細かな仕事もたくさんある

行司の仕事は、相撲の取り組みの進行以外にも、さまざまなものがあります。

たとえば、

・土俵入りの先導役や翌日の取り組みの紹介
・決まり手や懸賞金の場内アナウンス
・相撲字で番付表を書くこと
・勝負結果の記録
・地方巡業の事前交渉や巡業中の補佐役

など、大相撲の本場所や地方巡業では、裏方としても忙しく働いています。

行司になるには

義務教育終了後、満19歳までに相撲部屋に入る

行司になる条件は、明確に定められています。

まず、義務教育を終えている満19歳までの男子であることが求められます。

伝統的に行司は男性に限られ、女性はなれません。

入門試験や資格試験はありませんが、まず、どこかの相撲部屋から推薦され、日本相撲協会の審査を経る必要があります。

そのため、行司になりたい人が最初にすることは、どこかの相撲部屋に入ることです。

行司の定員は45名以内(うち十両格以上の定員は22名以内)となっていることもあり、新規採用は1年に1人あるかどうかという少なさです。

行司にも階級が定められている

行司が相撲部屋に入ると、3年間は養成期間になります。

相撲部屋の若い力士たちと雑用をこなしながら、相撲の歴史や勝敗の見極め、発声、相撲字の筆遣いなどを勉強します。

それと同時に初土俵を飾り、序の口格から順番に昇格していきます。

階級があるのは力士と同じで、十両格になれば一人前とされ、付け人をつけることが許されます。

行司の学校・学費

学校に通う必要はないが、見習い期間は必須

行司を目指すために、特別な学校に通う必要はありません。

義務教育さえ終えていれば、行司として相撲部屋に入るチャンスは得られます。

ただし、入門後も3年間は相撲部屋で見習いとしての日々を過ごすことを求められます。

行司としての見習い中は、見習い力士と同じように先輩の身の回りのお世話や料理、雑用などを任されます。

同時に、行司として必要な相撲の知識、勝敗の付け方、発声方法などを習得していきます。

一般的な学校のように国語や数学などの勉強をする必要はありませんが、朝から晩まで相撲漬けの日々を送る覚悟が必要です。

行司の資格・試験の難易度

資格は必須でないが、入門は非常に狭き門

行司になるために必要な資格はありません。

しかし、相撲部屋への入門は狭き門で、1年に1名の採用があるかないかという状況が続いています。

相撲部屋に入るには、親方とのつながりがある関係者に推薦してもらう、相撲部屋の見学をして熱意を伝えるなどの方法があります。

空きが出るかどうかのタイミングも重要になってくるため、どれだけ熱心に行司になりたい気持ちを伝えても、必ず入門できるとは限りません。

入門するための年齢制限は19歳となっているため、年齢にも気をつけながら、入門できる方法を模索していきましょう。

行司の給料・年収

月給は階級によって定められている

行司の給料は、階級である「番付」によって決まります。

まず、月給となる「本俸」については、以下のような基準額が設定されています。

・序の口格:1万5000円~2万円未満
・序二段格:2万円~2万9000円未満
・三段目格:2万9000円~4万2000円未満
・幕下格:4万2000円~10万円未満
・十両格:10万円~20万円未満
・幕内格:20万円~36万円未満
・三役格:36万円~40万円未満
・立行司(木村庄之助と式守伊之助):40万円~50万円未満

諸手当と衣装代も支給される

行司の給料は、上記で紹介した本俸に加えて「諸手当」や「衣装代」がつきます。

友綱部屋のサイトの募集案内を見ると、初任給は手取り12~13万円ほど、手当がつくと「他企業に比べて遜色ない」と説明されています(※2021年時点)

手当にの詳細は公表されていませんが、自主退職しない限りは終身雇用とも書かれています。

行司になるまでの道のりは険しく、狭き門ですが、見習い期間を終えれば生活に困らないほどの待遇は受けられるものと考えられます。

行司の現状と将来性・今後の見通し

相撲界を愛し、伝統を受け継ぐ人材が求められている

大相撲は、日本古来の奉納相撲を起源とし、日本の国技となっています。

現在のような興行は江戸時代初期から続いていますが、現在の大相撲界は外国人力士の活躍が目立ち、若い人たちの相撲離れが進んでいます。

新弟子検査の応募者も年々減少しているように、行司になりたい人も減っています。

将来の人気が不安視される中で、大相撲の伝統を守っていくには、力士はもちろん、行司などの裏方にも使命感に燃えた人材が必要です。

現代の感覚からいえば、相撲界には反発を招きそうな古き慣習やしきたりも多々ありますが、それも含めて大相撲が大好きという人たちが相撲界を盛り上げていくことが望まれています。

決して楽に目指せる職業ではないものの、本気で行司になりたい人には、チャンスが広がっているといえます。

行司の就職先・活躍の場

日本相撲協会の会員となり、相撲部屋に所属して仕事をする

行司の正式な身分は「財団法人 日本相撲協会」の会員です。

日常的には、力士と同じように各相撲部屋に所属して仕事をしています。

一般的な企業のような「就職」ではなく、満19歳になるまでに相撲部屋に「入門」をして見習いをスタートすることが定められています。

行司は厳しい階級社会で、最高格の立行司を筆頭に、全部で8つの格が定められています。

また、大相撲独特の文化として、すべての行司が入門当初から「木村家」もしくは「式守家」の行司名を名乗ります。

行司のやりがい、楽しさ

相撲の取り組みを間近で見て、自分で進行していけること

行司は、大相撲を愛する人ばかりです。

そうでなければ厳しい見習いの日々を続けていくことは到底難しく、途中で仕事に飽きてしまうはずです。

逆に、相撲の世界にどっぷりと浸かることを楽しめる人であれば、相撲の取り組みを間近で見られることに大きな感動と興奮を味わえるでしょう。

行司は、自らの判断で取り組みを進行させていきます。

大相撲の愛好家からは、一人前の行司になれば力士と同じように行司にも注目してもらえることが多く、やりがいを感じられます。

行司のつらいこと、大変なこと

上下関係が厳しく、自由が少ない生活

行司にとって大変なことはたくさんあります。

まず、行司は力士と同じように「番付」で格が決定されます。

見習いからスタートし、若い頃は相撲部屋への住み込みで、先輩の雑用と身のまわりのお世話ばかりが続きます。

まさに年功序列の厳しい世界であり、常に上下関係を意識して生活しなくてはなりません。

一定の番付に昇格すれば一人暮らしも認められますが、そこに至るまで10年はかかります。

10代後半で見習いをスタートするとして、20代は、修業にすべてを捧げる覚悟が必要です。

なかには自由がないと感じて、辞めてしまう行司もいるのが現実です。

行司に向いている人・適性

相撲の世界が大好きで、厳しさにも耐えられる人

行司に向いているのは、大相撲が好きで、その伝統を受け継ぎたいという気持ちの強い人でしょう。

相撲部屋は大家族のような雰囲気で、行司も幕下格になるまでは若い力士たちとも大部屋で一緒に生活します。

部屋の雑用をこなしながら相撲の歴史などの勉強をするため、自由な時間がほとんどありません。

階級の差に厳しく、自分より年齢が低くても階級が上の行司や力士には従うことが求められます。

こうした大相撲の伝統を担っていくには、大相撲の世界そのものが好きでなければ長続きしません。

行司も出世すると、熱心な相撲ファンから所作や態度を厳しい目で見られます。

裏方である行司は、謙虚で控えめな態度が求められると同時に、所作の美しさも求められます。

行司の役割をきちんと理解しようという気持ちがあり、その在り方について研究熱心な人が向いているといえます。

行司志望動機・目指すきっかけ

相撲が好きな人、力士から転向するケースも

行司を目指すのは、幼い頃から相撲を見ることが好きで、相撲に関われる仕事がしたいと考えている人が多いです。

親の影響で大相撲を観戦するようになったり、家のテレビで相撲中継を目にする機会が多かったりなど、さまざまなきっかけがあります。

相撲に関われる仕事はそう多いわけではないため、早くから行司になりたいと考える人もいます。

なかには、もともと力士を目指していた人が、新弟子検査の基準を満たせなかったなどの理由から、行司へ方向転換するケースもあります。

行司の勤務時間・休日・生活

格が一定レベルに上がるまでは厳しい見習い生活が続く

行司の初土俵から幕下格、十両格に昇進するまで10年以上はかかります。

その下の三段目格になるまでは、基本的に相撲部屋での住み込み生活を送るのが一般的です。

とくに若い頃は大部屋で力士の若手と一緒に寝起きし、掃除や料理などの雑用をこなします。

また、先輩行司の付き人になれば、行動をともにしたり、その人に言いつけられた雑用をこなします。

相撲部屋にもよりますが、朝は5時くらいに起きて仕事をスタートし、1日中動き回ります

時間が空けば休むことができますが、部屋で1人になることができませんし、プライバシーもほとんどありません。

相撲部屋はほとんどが東京都内にあり、アパートや新居は相撲部屋の近くに構えます。

1年のうち約3ヵ月間は本場所のため、名古屋、大阪、福岡へ出かけます。

その前後に巡業があれば、地方をめぐり、1年のうち半分くらいは家を空けることになります。

行司の求人・就職状況・需要

定員が定められており、多くの求人は出ない

行司の定員は45名と決まっています。

定年が65歳で、定員に空きが出れば新しく採用されます。

新規採用は毎年1人あるかどうかという狭き門です。

そのため、有力な後援者の後押しがあったり、小さい頃から相撲部屋に出入りして顔なじみの人たち、あるいは新弟子検査に身長が足らずに合格しなかったり、力士からの転向者などが採用されやすいのが現実です。

その一方で、HPに募集案内を掲載している相撲部屋もあります。

本気で行司になりたい人は、問い合わせてみるといいでしょう。

行司は、日本相撲協会に雇われる形になり、給料や諸手当も協会から受け取ります。

昇格は仕事ぶりが評価されると理事会で決定され、初土俵から十両格になるのに10年~15年ほどかかります。

よほどの失態がない限り、65歳の定年まで勤めることができます。

行司の転職状況・未経験採用

満19歳になる前に見習いをスタートする必要あり

行司が身を置く相撲の世界には、一般社会とは異なるさまざまな独特の決まりがあります。

行司になる年齢もその一つで、初めて行司を目指す人は、義務教育を終えてから満19歳までに相撲部屋に入門して見習いをスタートしなくてはなりません。

この年齢だと、いったん社会で働いてからの一般的な転職はほぼムリと考えておいたほうがよいでしょう。

もちろん、中卒で一度社会に出て、1~2年働いて行司を目指すといった可能性は考えられますが、あまり現実的ではありません。

行司は、10代の若いうちになることを目指し、学校を出てそのまま入門するといった流れが通常となっています。