「脚本家」とは

映画や演劇などのストーリーを考え、登場人物のセリフや動きをシナリオとして書き上げる。
脚本家(シナリオライター)は、映画やテレビドラマ、演劇、ゲームなどの脚本を書く仕事です。
脚本は、ストーリーや登場人物を設定し、セリフや心理描写、登場人物の動きなどを加えて作成していきます。
一人で考えるのではなく、監督やプロデューサーなど、各方面の関係者と話をしながら脚本をつくります。
脚本家になるための決まったルートもありませんが、シナリオスクールに通っておくと、脚本の基礎技術を学ぶことができるだけでなく、マスコミ関係者とのコネクションをつくるきっかけを得ることができます。
脚本家として仕事をすることは容易ではありませんが、テレビの多チャンネル化やインターネットでのオリジナルドラマの配信などにより活躍の場は広がっています。
「脚本家」の仕事紹介
脚本家の仕事内容
物語を設計するプロフェッショナル
脚本家とは、脚本を書き、基本的なストーリーの骨組みと進行を作ったり、物語の設計を担当したりするプロフェッショナルです。
その活動の幅はテレビドラマや映画、舞台演劇、ラジオドラマ、漫画、アニメ、テレビゲームやインターネットのソーシャルゲームに至るまで多岐にわたります。
脚本の内容は基本となるストーリーの展開の中に、登場人物から舞台設定、アクション、セリフ、心理、などドラマの要素となるもの全てを盛り込んでいきます。
完全なオリジナルで書くこともあれば、マンガや小説を原作として脚本を書くこともあります。
依頼があって脚本を書く場合には、映画監督やテレビのプロデューサーと話をしながら全体像を作り上げていきます。
脚本家の就職先・活躍の場
事務所やフリーランスで活動
脚本家の活躍の場はさまざまです。
芸能プロダクションやマネジメントオフィスに所属している人もいれば、フリーランスで個人事業主として働いている人もいます。
また、安定した収入が得にくい業界であるため、普段は会社員として働きながら副業としてシナリオを書いている人もいます。
仕事内容としてはテレビやラジオのドラマ、ゲームのシナリオ、舞台の台本などがあり、自分の得意な分野を決めて活動している人が多い業界です。
脚本家の1日
仕事量に応じて臨機応変に対応
11:00 起床
12:00 昼食休憩
13:00 自宅でシナリオ執筆作業
17:00 テレビ局のディレクターと打ち合わせ
19:00 打ち合わせ終了後、帰宅
20:00 夕食休憩
21:00 執筆作業再開
25:00 就寝
脚本家のスケジュールはそのときに担当している仕事によって変わりますが、執筆の作業中は自分のペースで働くことが多いようです。
打ち合わせや収録のために出向く以外は、基本的に自宅や事務所で仕事をすることになります。
脚本家になるには
シナリオスクールやコンテストに応募
脚本家を目指す人はシナリオスクールに通うのが一般的です。
シナリオスクールでは脚本の基礎技術を学ぶことができますし、自分の脚本を評価してもらうこともできます。
また、現在ではさまざまな媒体でシナリオコンクールや創作コンテストの公募があるので、積極的に挑戦して受賞実績を作るのもよいでしょう。
審査委員や関係者の目に留まると声がかかってそこから仕事を依頼され、デビューのチャンスが掴めるケースもあります。
脚本家の学校・学費
脚本家養成のための学校やスクール
脚本家は必ずしも学校やスクールに通わなければならないわけではありません。
しかしながら、プロの脚本家からノウハウを学んだり人脈を作ったりすることができる学校やスクールも勉強の一つの手段として有効です。
シナリオ学校は東京などの大都市に集中していますが、通信講座で学ぶことができるケースもあります。
通学か通信か、講師は誰かなどの条件によって学費が変わるので、さまざまな情報を収集した上で選ぶとよいでしょう。
脚本家の給料・年収
キャリアや仕事に応じた金額に
放送作家の年収はキャリアや仕事の内容に応じて大きな差がありますが、基本的な脚本の料金の算出方法は「一話あたり何円」や「一つのプロジェクトあたり何円」、「放送時間の一分あたり何円」などになります。
発注の単位も人や予算によって変わってきますが、大まかな脚本料でいえば、ラジオドラマは一本十万円程度、一時間程度のテレビドラマが一本あたり60万〜100万程度。
売れっ子の脚本家だとそれが数百万になるそうです。
脚本家のやりがい、楽しさ
チームの力で面白いものを
漫画や小説とは違い、脚本はあくまで作品の「骨組み」となる部分です。
そこから俳優が動き、映像が作られ肉付けされていきます。
現場の人々の料理の仕方で素晴らしい傑作になったり、脚本家自体が想像もできなかった仕上がりになったりすることもあります。
共同で一つの「作品」をプロダクトして、全員の努力と知恵をしぼりチームワークの末に「いいものができた」という結果を得られたときは、大きな達成感を味わうことができます。
脚本家のつらいこと、大変なこと
生みの苦しみと向き合って
どんな巨匠にも凡作があるように、脚本家が書くもの全てが傑作になるわけはありません。
ネタを使い果たしてアイデアが枯渇してしまうこともあります。
厳しい現場の要求に耐え切れず、どうしても思いつかないからといって安易な案を出しても、現場の監督やテレビ局のプロデューサーに突き返されるという結果にもなります。
焦りや不安を抱え生みの苦しみと向き合いながら戦い続けなければいけないのが、脚本家の一番大変なところです。
脚本家に向いている人・適性
好奇心旺盛で多趣味な人
脚本家は好奇心旺盛でいろんなことを知りたがったり、多趣味でいろんなことに首を突っ込みたがる人が多いようです。
そうして得た経験を創作に反映させています。
日頃からさまざまな勉強やリサーチが必要となるので、そうした作業が苦にならない人が向いています。
また、人間関係が大事な業界であるので人脈も影響してきます。
コミュニケーション能力が高く日頃から人との出会いを大切にするタイプであれば、仕事も得やすいでしょう。
脚本家志望動機・目指すきっかけ
作家との違いを明確に
脚本家をめざす人は作家との違いを理解した上で志望動機を述べることが大切です。
小説家や漫画家のような作家は個人の力で作品を作り上げる部分が大きいのですが、脚本家はチームの力で作品を作り上げます。
脚本家が作った骨組みに、監督やプロデューサー、役者やカメラマンなどさまざまな人がアイディアを足して仕上げていきます。
こうした仕事の違いを踏まえた上でなぜ自分が脚本家になりたいのかを明確にアピールしましょう。
脚本家の雇用形態・働き方
フリーランスが多い業界
脚本家として働いている人の雇用形態はさまざまですが、業界全体の傾向としては個人で活動しているフリーランスが多いといえるでしょう。
専業の脚本家として働いている人もいれば会社員をしながら副業として脚本の仕事を受けている人もいます。
女性の場合は家事や育児の合間に仕事をしている人もいるようです。
最近ではテレビやラジオ以外にもインターネットを利用した動画や放送が急増しているので、単発の仕事も増えています。
脚本家の勤務時間・休日・生活
オンとオフの切り替えが大事
脚本家の仕事の大部分は執筆作業となるため、基本的には事務所や自宅、図書館や喫茶店などで働くことが多くなります。
勤務時間や休日が明確に定まっているわけではなく、自分の執筆のペースや体調に合わせて適宜働いたり休んだりすることになるので、スケジュールをしっかり管理することが大切です。
締め切り前には不規則な生活になりがちなので、オンとオフの切り替えを大事にしてメリハリのある生活をすることが求められます。
脚本家の求人・就職状況・需要
募集はあっても採用は少ない現実
芸能プロダクションやマネジメントオフィスが「脚本家募集」という求人広告を出しているのをたまに見かけますが、ほとんどの場合は自社で「シナリオ講座」などの教育機関を設けている事務所です。
この講座を修了した卒業生の中で優秀な人はその事務所の所属となり仕事を斡旋してもらえますが、あくまでも全体の中の一握りの人間です。
未経験者が即採用されるのは非常に珍しい業界だということは理解しておく必要があります。
脚本家の転職状況・未経験採用
業界内からの転職が多い傾向
脚本家として転職する人の多くは、同じ業界内での活動実績がある人です。
演じる側である役者、コントや漫才のシナリオを書いたことがあるお笑い芸人、テレビ番組の放送作家、舞台の演出家。
この他にもコピーライターや小説家など執筆業からの転身も多いようです。
全くの未経験者が採用されることは難しい業界なので、他業種から転職を目指すのであればシナリオコンクールやコンテストで受賞するなど実績を作ることが必要でしょう。
脚本家の現状と将来性・今後の見通し
インターネットで新しい道を
近年ではインターネットが存在感を増し、ネット上でのドラマや番組が増えてきました。
動画サイトで個人的に作ったものが世界的な流行を呼んでそこから仕事が生まれるようになるケースもあります。
クリエイターにとっては、工夫次第で自分をアピールしたり、企業を介さずに稼ぐことができるようになってきているのです。
脚本家も例外ではなく、時代の流れを読みながら新しい仕事のスタイルを模索していくことが求められています。