警備員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「警備員」とは

警備員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

工事現場や商業施設などの警備や人の警護を行い、人々と社会の安全・安心を守る。

警備員は、施設や人混みなどで警備をする「ガードマン」をイメージする人が多いですが、実際にはそれ以外にも警備員が担当している業務は多岐にわたります。

夜中の道路工事現場での交通誘導、ショッピングセンターでの館内案内、万引きGメン、要人警護、機械式警備のメンテナンスなど、警備員が担う役割は幅広くあります。

警備員のおもな就職先は警備会社です。

必要な資格や特別に必要な知識などはありませんが、警備業法では、新規に警備員を採用して現場に送り出す際には所定の教育を受けさせることが決められています。

依頼があると、目的に合った人数の警備員が各現場や施設などに送り出され、警備員は各現場で与えられた仕事を遂行します。

社会の安全を人知れず守る縁の下の力持ちという存在で、その重要性が増すのと同時に業務内容の専門性は高くなる傾向にあります。

「そこにいること」が警備員の最大の業務であった時代から、総合的なセキュリティサービス業へと業界全体がシフトし、専門的な知識を有する人材が活躍できる環境になってきています。

「警備員」の仕事紹介

警備員の仕事内容

施設や人の警備・警護を行う専門職

警備の種類

警備員は、施設内や人の警備・警護を専門的に行う仕事です。

警備の仕事内容は「警備業法」という法律で定義され、以下の4種類に分けられます。

・ショッピングセンターなど人が集まる場所や、住宅、ビルなどの警備(1号警備)
・工事現場やイベント時に、交通整理をしたり危険を回避したりする業務(2号警備)
・現金や貴金属など、襲われるリスクが高い輸送車の盗難や破損を防止する業務(3号警備)
・命や財産に危険のある依頼者に付き添って、身辺で警戒ボディーガードを行う業務(4号警備)

警備員の役割と権限

警備員は社会の安全を人知れず守る存在で、その重要性が増しているのと同時に、業務内容の専門性は高くなる傾向にあります。

ただ「そこにいること」が警備員の最大の業務であった時代から、総合的なセキュリティサービス業へと業界全体がシフトしはじめているといえるでしょう。

近年では、各種警備の専門的な知識を持っている人材が活躍できる環境に変わりつつあります。

なお、警備員は民間企業の従業員であるため、警察官など公務員と異なり特別な権限を一切持っていません。

そのため、トラブルが発生したとしても職務質問や検問、現行犯以外の逮捕、取調べなどの行為はできません。

こうした法令や、敬礼などの礼式、行進や駆け足、誘導棒による指示などは、警備会社に就職してから警備教育を受け習います。

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警備員になるには

専門知識や資格は警備会社に就職して身につける

警備会社の研修を受けてデビューする

警備員になるために、必要な資格や特別に必要な知識などはありません。

ただし警備業法では、新規に警備員を採用して現場に送り出す際には所定の教育を受けさせなければならないと規定されているため、警備会社へ就職すると決まったカリキュラムの教育を受ける必要があります。

警備会社の採用活動は積極的に行われているため、警備員になること自体はさほど難しくはないでしょう。

ただし、ときに多少な危険を伴う警備を担当することもあるため、警備員になってからしっかりとスキルを身につける努力が求められます。

新卒採用も増えてきている

現在、警備会社の採用活動は新卒学生へのウェイトを高めています。

警備会社は慢性的に人手不足のため、中途採用が活発に行われており、特に中小規模の警備会社は中途採用のほうが圧倒的に多い傾向にありました。

しかし近年では警備員へのニーズが高まっているため、高校や大学を卒業したばかりの人を新卒採用し、現場や裏方の両方を幅広く体験させることで将来の幹部候補生に育てるところが増えてきています。

警備員という仕事では学歴はほとんど重視されないため、高卒の人も大卒の人もいますが、大卒で幹部候補として採用されると、将来的にはマネジメントへ進む道が開けるでしょう。

キャリアパスとしては、入社後の数年間は現場の警備業務に就き、その後は本社で幹部候補としての仕事を任されるのが一般的です。

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警備員の学校・学費

学歴は問われずに就職できることが多い

警備員という仕事では、学歴はほとんど重視されず、高卒の人も大卒の人も働いています。

ただし、大卒で幹部候補として採用されると、将来的にはマネジメントの道へ進む人が多いです。

さまざまな現場を経験し、リーダーやマネージャーなどの役職がつくようになると、給料もアップしていきます。

なお、警備業法では、警備会社へ就職すると決まったカリキュラムの教育を受ける必要があり、護身具の扱い方や護身術、心肺蘇生、法令知識など、多様な知識と技術を習得します。

警備の内容が変わると改めて研修を受けなくてはならないことも多いため、常に向上心を持って勉強に打ち込める人が向いているといえます。

警備員の資格・試験の難易度

さまざまな「警備業務検定」を取得しておくと有利

警備員の資格の種類

警備員になるために必要な資格はありません。

しかし、警備に関する資格は以下のようにたくさんあります。

・ショッピングセンターやアミューズメント施設など施設を警備するための「施設警備検定」
・空港内での保安警備や機内でのハイジャックなどが起きないように警備するための「空港保安警備検定」
・道路工事や工事現場などで、歩行者や車を安全に誘導するための「交通誘導警備検定」
・大型のイベントや野外でのイベントなどの雑踏でスムーズに移動できるように誘導するための「雑踏警備検定」
・銀行ATMなどから現金を輸送するなど貴重品を警護するための「貴重品運搬検定」
・核燃料の運搬を警備するための「核燃料運搬警備検定」
・警備員の知識やスキルを指導・教育することができる「警備員指導教育責任者資格」

長く仕事をしていく上で資格は必須

警備員の資格のほとんどは、有資格者を一定の比率で配置しなければならないという決まりがあるため、警備員の仕事を長く続けていくためには必須です。

これらの資格は講習や終了考査を受けるほか、試験でも取得できるため、実務未経験者が取得することも不可能ではありません。

こうした資格を取得しておくと就職・転職時に有利になる場合がありますし、資格を取得したことで給料や手当てがアップする可能性もあります。

警備員としてキャリアを積んでいきたい場合は、ぜひ積極的に取得しましょう。

警備員の給料・年収

雇用形態によっても年収には差が出やすい

警備員の平均的な年収

一般的に、警備員の給料水準は低めとされており、警備員の平均的な給与水準で手取りの月収を20万円にするには、300時間程度の勤務が必要といわれます。

これがひとつの勤務時間の目安といえるでしょう。

初任給はより低くなり、都内で勤務する場合の基本給は18~19万円、地方の場合は16~18万円ほどと見込まれます。

警備員は平均年齢がやや高めであり、若いうちは年収200万円台にとどまる人も少なくありません。

ただし、警備員は警備業法という法律によって雇用条件が守られ、基本的には安定した条件の元で働くことができます。

業務上危険にさらされることもあることから、各種保険をはじめとした福利厚生を整えているところが多く、夜勤や残業代などもしっかりと支給されています。

さまざまな給与形態

正社員として働く警備員の場合は月給制や年俸制が適用されています。

年俸制は、給与の金額を1年単位で決定する給与形態です。

年俸制と月給制の大きな違いは、1年間に支払う賃金があらかじめ決められていることです。

月給制の場合、賞与の金額は会社の業績や個人の成績によって変動しますが、年俸制の場合は変動することはありません。

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警備員の現状と将来性・今後の見通し

専門性の高い警備業務ができる人材のニーズは大きい

現代では多くの施設や工事現場が常にあり、警備員の働く場所は非常に増えてきています。

こうした状況を考えると、警備員の求人が今後大幅に減ったりなくなったりすることは考えにくいでしょう。

最近では個人住宅やマンションでも警備会社や警備システムを入れるケースが多くなっているため、警備員の人員ニーズは今後さらに高まっていくと考えられます。

ただし、防犯カメラやコンピュータ制御による警備システムの普及も進むにつれ、身体を動かす警備だけでなく、高度な警備システムの扱いに長けた人材ニーズが高まる可能性があります。

資格を取得するなどをしてより専門性の高い警備業務ができるようになると、活躍の幅はさらに広がるでしょう。

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警備員の就職先・活躍の場

警備会社に勤め、そこから各現場に派遣される

警備員のおもな就職先は、警備会社です。

ひとくちに警備会社といっても、仕事内容は施設警備、交通誘導、雑踏警備、ボディーガードなど会社によってまちまちです。

会社の規模も大手から中小までさまざまであり、企業基盤が安定していて、給与などの待遇面でも恵まれていることが多い大手企業は人気が高くなりがちです。

また、各社で社内教育制度にも違いがあり、未経験からしっかりとスキルを身につけられる会社も多いです。

警備員というと屈強な男性のイメージが多いですが、近年では女性の警備員を採用するところも増えてきています

とくにショッピングセンターや公共施設など接客をしたり案内をしたりする可能性がある現場では、やわらかく人当りのいい印象を受ける女性の警備員が好まれる傾向にあります。

警備員の1日

自宅から現場に直行し、勤務を終えると直帰する

警備員は、基本的には自宅から現場に直行して、そのまま現場で勤務を終えて自宅に直帰するというパターンが大半です。

これは実際に警備員として働いている人の多くを占める施設警備・交通誘導警備、それぞれに共通しています。

<施設警備をしている警備員の1日>

09:00 出勤・着替えや身支度を整える
09:20 電話で所属する警備会社に出勤の連絡
09:30 勤務開始・館内巡回
14:00 休憩
15:00 再び警備業務に戻る
21:00 警備業務終了・夜勤担当の警備員に引き継ぎ、報告書の作成など
21:20 帰宅

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警備員のやりがい、楽しさ

多くの人の安心・安全を守ることができる責任ある仕事

警備員のやりがいは、依頼主や、依頼主に関わる人たちの生命と財産を守ることができるところだといえるでしょう。

警察だけではカバーしきれない日常の安全を守る仕事に就き、場所や人などの安心・安全を守っていくことができるのは、警備員ならではの強みです。

現場の安全やスムーズな運営を守る仕事をしていると、その現場に関わる人から思わぬ感謝を伝えられることもあります。

自分が人々の役に立っている実感を味わいやすく、「ありがとう」の声でまた頑張ろうという気持ちになれる仕事です。

また、学歴や性別などは関係なく、実力主義でキャリアアップがしやすい点や、さまざまな業務があり日々違う場所で働くことができる点も魅力といえるでしょう。

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警備員のつらいこと、大変なこと

労働環境や労働条件が不安定になることも

労働環境や労働条件が不安定になることも

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警備員に向いている人・適性

安心安全を守ることに対する使命感と責任感がある人

警備員は「ガードマン」といわれることがあるように、場所や人を「守る」仕事です。

守る仕事に必要な資質は、なんといっても責任感や使命感です。

任された現場に対して「私が守る」という責任感を持って接することは、仕事が円滑に進むだけでなく、そこを利用している人にとって大きな安心感につながります。

自分の持ち場をしっかり守っていける人は信頼を勝ち取り、次第に大きな現場を任されるようになり、仕事の幅が広がっていきます。

また、規則やルールを厳格に守る仕事ではあるものの、少し気を利かせたり思いやりの心を持ったりして接することができる人は、よりお客さまや利用者、依頼者からの信頼も得られやすいでしょう。

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警備員志望動機・目指すきっかけ

子どもの頃から警備員の姿に憧れて目指す人も

若くして警備員を目指す人は、「安全・安心を守る」という警備員の役割に魅力を感じていることが多いようです。

子どもの頃から警備員の制服姿に憧れを抱き、自分もあのような服を着て格好よく働きたいというところから警備員になる人もいます。

ビルや商業施設などでも見かける警備員は、ある意味では警察官よりも身近な存在かもしれません。

もともと体を動かすのが好きで、使命感や責任感が強い人が警備員を目指すこともよくあります。

警備員は生命と財産にかかわる大切な仕事である以上、面接によって応募者に十分な能力や資質があるかをみられます。

体力があることをアピールするほか、社会貢献活動の経験、就職後の展望などについても伝えられるように準備しておきましょう。

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警備員の雇用形態・働き方

正社員のほか、アルバイトとして働く人も多い

警備員は正社員として雇用されている人が多くいる一方、パート・アルバイトなどの非正規雇用で働く人も少なくなく、とくに年配の警備員は、アルバイトのケースがしばしば見られます。

アルバイトに比べると、正社員は特定の現場に出勤することが多く、施設警備の場合はひとつの施設に勤め続けることも珍しくありません

警備員として正社員で働きたいのであれば、警備関連の資格を持っていたり、語学力やITに関する専門スキルなどを有したりしているとプラスに評価されることがあります。

なお、一般の人材派遣会社が警備員を現場に派遣することは原則として禁止されており、派遣社員としてイベントや施設内での手荷物検査や巡回などの業務を求められた場合は注意が必要です。

警備員の勤務時間・休日・生活

1日の勤務時間は長めで、シフト制勤務になる人も多い

警備員が働く現場のほとんどでは、定まった休日がありません。

道路の工事現場が「警備員が休み」という理由で工事を休むことはありませんし、施設警備を担当する場合もほとんどの施設がほぼ無休で営業しています。

そのため警備員の休日は基本的に交代制で、仕事のない日が事実上の休日になることもあります。

警備員の仕事には、忙しい時期とそうでない時期の差があり、週休2日を取ると給与が少なくなってしまうため、休日は週に1日あれば充分と考える人も多いです。

警備員は「そこにいること」が重要な任務であるため、勤務時間は全体的に長めですが、担当業務によっては時期によって忙しさに波があり、連休をとりやすい職場もあります。

警備員の求人・就職状況・需要

新卒の採用に力を入れる警備会社も増えている

近年は警備員の需要が増していること、また既存の警備員の高年齢化が進んでいることなどから、新たに採用活動を行う警備会社は増えているようです。

会社によって考え方は異なりますが、新卒の正社員として採用された人は入社後の数年間は現場の警備業務に就き、その後は本社で幹部候補としての仕事を任されるケースもあります。

警備員といっても、警備の内容は会社によっても異なるため、自分のキャリアプランをイメージしながら就職先を考えるとよいでしょう。

また近年はIT・AIの発達により、監視モニターやセンサーを駆使して遠隔で警備する仕事も増えているため、ITやAIの活用にも長けていると有利になると考えられます。

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警備員の転職状況・未経験採用

未経験からでも転職しやすいが、若いほうが有利に

警備員は、他の職業と比較しても、転職者の割合が大きい職業です。

警備員は慢性的な人手不足で、警備会社では採用に力を入れているため、他の職業に比べると転職のハードルは低いといえます。

未経験からでも健康状態がよく意欲的であれば、誰でも警備員になることは可能です。

ただし、年齢が上がると正社員として雇用されるのは徐々に難しくなり、やむなくアルバイトとして働いている人も少なくありません。

もし警備員として転職し、キャリアアップを目指していきたいのであれば、少しでも若いうちに行動したほうがよいでしょう。

また、街や人の安全・安心を守る仕事として警備員をどのようにとらえ、どのように働きたいのかはしっかりと考えておく必要があります。

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警備員に階級はある?

独自の階級制度を設けている警備会社も

警備会社のなかには、独自の「階級」を設定し、警備員としての知識や能力があるかを評価しているところもあります。

基本的には軍隊や警察と同様の形式で、例としては以下のようなものが挙げられます。

・警備士
・上級警備士
・警備長
・上級警備長
・警備司令補
・警備指令
・警備司令長

階級は、入社年数や試験の結果によって判断され、階級があることによって意欲的に取り組み、自発的に知識や技術を習得することを目標としています。

階級が上がることによって給料がアップするというところも少なくありません。

なおこの階級は、法的な根拠があるものではありません。

あくまで警備会社が独自に設けているもので、こうした階級制度がない警備会社もあります。